JRAラブカンプー「244万馬券」演出を信じると危険な理由……藤田菜七子とアイビスSD(G3)参戦も意外な「落とし穴」
5日の日曜阪神メイン・CBC(G3)を13番人気で制したラブカンプー(牝5、栗東・森田直行厩舎)。長らくスランプに陥り、低迷していたかつての実力馬の復活は、コンビを組んだ斎藤新騎手含め、人馬ともに初重賞制覇となった。
陣営によると、次走は藤田菜七子騎手とのコンビで26日に新潟で行われるアイビスサマーダッシュ(G3)へ向かうことが予定されている。
18年のスプリンターズS(G1)で2着するなど、快速馬で知られていた実力馬も、以降の4戦で連続して最下位に沈んだ。陣営の懸命の努力も虚しく二桁着順の大敗を繰り返していたことも人気薄に拍車が掛かったといえそうだ。
そんな「終わった馬」の烙印を押されていたラブカンプーだったが、今年は阪神開催となった夏の名物重賞・CBC賞であっと驚く快走で低評価を覆した。馬に走る気が戻って来たとなれば、G1を勝ち負けしていた馬の実力は軽視できなくなる。
重賞を勝った斎藤騎手から藤田菜七子騎手へ乗り替わることも、アイビスサマーダッシュでより大きな注目を集めることだろう。
だが、2年近く低迷していた馬の激走を完全復活と鵜呑みにしていいかは疑問が残る。
その背景となりそうなのが、先週の阪神開催の芝コースの傾向だ。土日に芝で開催されたレースでほぼ前にいた馬が勝利していたのである。重の土曜阪神では6鞍が組まれていたものの、勝利をあげたのはすべて逃げ先行馬。稍重に回復した日曜は、さらに前残りが顕著となり、6鞍中3鞍が逃切り勝ち。4鞍が直線先頭のポジションだった。
勿論、これにはメインレースのCBC賞も含まれている。出走馬で最も軽い51キロのハンデ、2枠3番の絶好枠から逃げたラブカンプーにとって、勝ってくださいと言わんばかりの「お膳立て」が揃っていたといっていいかもしれない。
「アイビスサマーダッシュで強敵として立ちはだかるのはライオンボスでしょう。あの馬はまさに千直の鬼です。直線競馬で楽に先頭に立てるスピードの持ち主だけに、逃げてこそのラブカンプーにとっては非常時厄介な存在です。
自分の形でこそ持ち味を発揮できると強い反面、逃げられないと脆いのもまた逃げ馬の宿命でしょう。前走の勝利で人気確実なだけに、危険な人気馬となりかねません」(競馬記者)
13番人気での鮮やかな逃切りに目を奪われがちだが、前残り馬場の恩恵が大きかった阪神コース、ハンデ戦のCBC賞から別定戦のアイビスサマーダッシュは軽ハンデが見込めないこと、連覇を狙う千直最強馬ライオンボスの存在と、クリアすべき難題は多い。
若手騎手の手綱で復活を遂げたラブカンプーだが、連勝に立ちはだかる壁は高そうだ。昨年の新潟年間リーディングを獲った藤田騎手の手腕に期待したい。
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