JRAグラスワンダーがスクリーンヒーローから「略奪愛」!? メジロフランシスから連なる愛憎劇……。すでに“禁じられた”モーリスの甥・キンジラレタアソビ
グランプリ3連覇の輝かしい実績を持つグラスワンダー。同世代にエルコンドルパサー、スペシャルウィーク、セイウンスカイといった名馬がズラリと並ぶ“最強世代”を代表する1頭だ。
そんなグラスワンダーの代表産駒といえば、2008年のジャパンC(G1)を制したスクリーンヒーローだろう。同馬も種牡馬として活躍しており、マイル王モーリスを輩出した。グラスワンダーの血は脈々と受け継がれている。
ただ、グラスワンダーは25歳と高齢なため、今年4月に種牡馬を引退。現在は明和牧場で余生を送っている。そのため、これからデビューするグラスワンダー産駒の数は限られ、希少な存在となる。
そんな中、22日の阪神5Rの新馬戦(芝2000m)でグラスワンダー産駒・キンジラレタアソビ(セン2歳、栗東・森秀行厩舎)がデビューする。
個性的な馬名の名付け親は内田玄祥オーナー。他にも所有馬はチャラオ、ヨアソビ、センテンスプリングなど。ユーモアあふれるネーミングセンスだ。
今回、デビューするキンジラレタアソビはオーナーにとってゆかりの血統である。母は現役時代に所有したリャクダツアイ、半姉オトナノジジョウも所有馬である。
“禁じられた遊び”、“略奪愛”、“大人の事情”と、ムード漂うワードがズラリと並んでいるが、血統背景を見ると、この言葉の重みが増すかもしれない。
まず、キンジラレタアソビの母母メジロフランシスまで遡る必要がある。メジロフランシスと聞けば、ピンとくるファンも多いのではないだろうか。2011年にスクリーンヒーローとメジロフランシスの間に生まれた仔がモーリスだ。
その1年後に、父チチカステナンゴとの間に生まれたのがリャクダツアイ。同馬が現役を退き、繁殖入りして最初の交配相手となったのが、なんと半兄の父スクリーンヒーローだった。見方によっては母からの“略奪愛”である。その仔はオトナノジジョウと名付けられた。
そして、2番仔となるキンジラレタアソビがグラスワンダーとの間に誕生。グラスワンダーといえば、初年度の交配相手スクリーンヒーローの父である。また、リャクダツアイにとっては母の夫の父でもあり、まさに“禁じられた遊び”だ。
「競馬においてこのような配合が行われることは、そこまで珍しくありません。ですが、まるで往年の昼ドラを連想させるよう愛憎劇要素たっぷりな馬名なので注目してしまいますね。
ただ、血統的には叔父にモーリスを持つ良血馬ですし、グラスワンダー産駒ということで頑張ってほしいですね」(競馬記者)
キンジラレタアソビにはグラスワンダーの後継としても期待したいところだったが、気性難だったのかデビュー前から去勢済み。すでに種牡馬入りの夢は、“大人の事情”により絶たれている……。
競走馬として、キンジラレタアソビが一花咲かすことに期待したい。
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