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JRAフェアリーS(G3)2番人気クールキャットが“ノーザン決着”の立役者に!? 津村明秀「無謀」捲りで明暗

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 11日には中山競馬場で、3歳牝馬重賞のフェアリーS(G3)が行われた。

 優勝したのは、C.ルメール騎手の3番人気ファインルージュ。2着に8番人気の伏兵ホウオウイクセル、3着には6番人気ベッラノーヴァが追い込んで、3連単は12万円超という波乱の結果となった。

 レースをスタートから振り返ると、内田博幸騎手のタイニーロマンスがハナを主張。直後の2番手にシャドウファックスがつけて、社台ファーム生産の2頭がややスローな流れをつくった。

 同じ社台ファーム生産馬で1番人気に支持されたテンハッピーローズは中団につけ、スローペースのなか、盤石の態勢で末脚を伸ばすかと思われた。しかし、2角過ぎで動いたのが津村明秀騎手の2番人気クールキャットだった。

 2角では後方2~3番手という位置取りだったが、一気に進出。残り1000mのハロン棒を過ぎた地点でハナを奪うと、緩んだ流れが一気に加速した。

 レースの通過ラップは「12.4 – 11.6 – 11.8 – 11.0 – 11.9 – 12.0 – 11.9 – 11.8」。クールキャットが捲っていった直後の4ハロン目「11.0秒」が際立って速くなっている。この4ハロン目の影響で、凝縮していた馬群はばらけ、後方グループが進路を確保しやすい状況となった。

 そして、この恩恵を最大限受けたのが1~3着の3頭だ。

 勝ったファインルージュは中団後方からペースが上がった間隙をつき、外に進路を確保。最後の直線でルメール騎手が促すと力強く伸びた。そのファインルージュの直後にいたホウオウイクセルも末脚を伸ばし、4角で最後方にいたベッラノーヴァも上がり最速の脚で3着に追い込んだ。

「クールキャットが捲ってペースアップしたことが、追い込み決着につながりましたね。玉砕覚悟で仕掛けたクールキャットは、馬主がシルクレーシングで生産者は、レイクヴィラファームです。つまり、実質ノーザン系の馬ということになります。

勝ったファインルージュと3着のベッラノーヴァも馬主は違いますが、ノーザンファームの生産馬。そして、2着のホウオウイクセルは、クールキャットと同じレイクヴィラファームの生産馬です。クールキャットは玉砕という結果になりましたが、最終的にはノーザンファーム系の生産馬が恩恵を得る結果になりましたね」(競馬誌ライター)

 もちろん日本の競馬界ではペースメーカーの存在は認められておらず、津村騎手も勝負を懸けた捲りだったはず。ただ、その捲りでペースを乱され、人気以下の着順に沈んだのが3頭の社台ファーム生産馬だったのは、何とも皮肉な結果だ。

 津村騎手からはレース後、「ペースが遅くて早めに動くことになりましたが、結果的に厳しい展開になりました」と作戦ミスとも取れる発言があった。2番人気に支持されながら10着に敗れたクールキャット。結果的にノーザンの上位独占を後押ししたとはいえ、関係者の心中は複雑だろう。

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