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JRAフジキセキはなぜ「幻の三冠馬」と呼ばれるようになったのか? 4戦無敗でターフを去ったサンデーサイレンスの最高傑作、どよめきから歓声に変わった衝撃的なデビュー

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JRAフジキセキはなぜ「幻の三冠馬」と呼ばれるようになったのか? 4戦無敗でターフを去ったサンデーサイレンスの最高傑作、どよめきから歓声に変わった衝撃的なデビューの画像1

 ディープインパクトやコントレイルなどが活躍し、子孫たちが日本競馬を席巻しているサンデーサイレンス。1989年に米二冠を含むG1・6勝を挙げる活躍でエクリプス賞年度代表馬に選ばれたアメリカのスーパーホースが日本にやってきたのは1990年のことだった。

 母系の評価も低く、種牡馬としてのサンデーサイレンスの活躍には、アメリカの生産者からも「日本人のブリーダーがとても成功しそうにない母系から生まれたヘイロー産駒を買っていった」と懐疑的な見方もあった。

 だが、94年6月に初年度産駒がデビューすると、その評価は正反対のものへと変わっていく。この中にはジェニュイン、タヤスツヨシをはじめ、マーベラスサンデーもいたように層が厚かった。

 なんと約半年の間に重賞4勝を含む30勝を挙げるという驚異の好成績を残したサンデーサイレンスは、同馬を輸入した社台ファームの関係者の予想をも遥かに上回ったのである。

 そんな初年度産駒の中でもとりわけ大きな輝きを放ったのがフジキセキだ。父サンデーサイレンスと同じ青鹿毛だったこともあり、関係者からは最も父に似ていると評判だった同馬は、デビューから4連勝で朝日杯3歳S(G1)、弥生賞(G2)を制した。皐月賞を目指していたが、屈腱炎を発症して4戦無敗のまま引退、志半ばで種牡馬入りすることとなった。

 同世代にはフジキセキに完敗していた馬に敗れていた皐月賞馬ジェニュイン。フジキセキとの直接対決で敗れたダービー馬タヤスツヨシなどがクラシックを勝利。そのため、「幻の三冠馬」の呼び声も高かったが、キャリア4戦で最もファンを驚かせたのは重賞レースでもなく、新馬戦だったかもしれない。

 デビュー戦は8月の新潟で芝1200m。当時の新潟はまだ右回りコースで、1000mの長い直線もなければ、左回りでもなかった。8頭立てで行われたレースでフジキセキは2番人気と、既走馬相手に1番人気を譲ったものの、その衝撃的な勝ちっぷりはひと際目を引くものだった。

 このレースに蛯名正義騎手とのコンビで出走したフジキセキは、出遅れて最後方からのスタート。人気馬のトラブルに観衆からはどよめきも起こった。

 だが、蛯名騎手は手綱をしごいてリカバリを試み、3コーナー過ぎには前から3番手まで押し上げる。最終コーナー手前で1頭が落馬するアクシデントもあったが、既に先団へ取りついていたため、巻き込まれずに済む幸運もあった。

 直線に入ってグングン加速するフジキセキは瞬く間に先頭に立つと、他馬との脚色の差は歴然。そのまま後続を突き放し、勝利を確信した蛯名騎手は流すような走りでゴールした。出遅れたときには、どよめいた観衆の声も、ゴール前では歓声へと変わっていた。

 スタートが肝となるスプリント戦で致命的にも思えた出遅れを見せながら、終わってみれば2着に8馬身もの差をつけるワンサイドゲームを演じたフジキセキ。まだまだ余裕を残して記録した上がり3ハロンのラップ34秒8は、2番目に上がりが速かった馬の36秒3とは1秒5も開きがある。これでは敗れた馬が太刀打ちできなかったのも仕方がない。

 また、並の馬ならスタートであれだけの不利があれば、能力を発揮できないまま終わることも珍しくはない。蛯名騎手がやや強引に思える道中の追い上げをしながら、脚が止まることなく余裕を残したまま独走したのは、あまりにも能力が“違い過ぎた”からだろう。

 種牡馬入りしてからは、砂のディープインパクトと呼ばれたカネヒキリ、高松宮記念を連覇したキンシャサノキセキ、ヴィクトリアマイル連覇のほかスプリンターズSも制したストレイトガールなど、多数のG1馬を世に送り出した。

 サンデーサイレンスの最高傑作候補といえばディープインパクト、アグネスタキオン、サイレンススズカなどもいるが、初年度産駒として父の活躍を確信させたフジキセキの功績は、日本競馬の発展に多大な貢献をしたといえるだろう。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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