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JRA痛ましい栗東火災事故から1年、5頭が犠牲になった村山明厩舎から希望の光。 “弔い星”を届けたアノ馬がオープン連勝!
先週19日のラジオ日本賞(OP)を快勝したのは、5番人気のケイアイパープル(牡5歳、栗東・村山明厩舎)。道中2番手追走から、最後の直線で力強く抜け出して勝利した同馬は、これでオープン2連勝。前走・阿蘇Sの勝利がフロックではないことを証明した一戦でもあった。
管理する村山厩舎にとって、ケイアイパープルは特別な存在だ。前走の阿蘇Sが行われたのは、今年の8月14日。昨夏、栗東トレーニングセンターで発生した火災事故からちょうど1年後に挙げた劇的な勝利は、甚大な被害を受けた同厩舎と、焼死した管理馬たちへの“弔(とむら)い”の勝利だと、静かな話題を集めた。
さらに冒頭のラジオ日本賞が行われたのは今年の9月19日。1年1ヶ月前の悲しい出来事からオープン2連勝を果たしたケイアイパープルは、同厩舎の辛い記憶を振り払う“勇気”を与える存在といえる。
振り返れば、栗東トレセン保安隊に「厩舎地区から出火」の報が入ったのは2020年8月14日の午後5時40分頃。それから数時間に渡る消火活動の末にようやく鎮火したものの、この火事で最も被害を受けたのが、出火元とみられる村山厩舎だった。
鎮火後には逃げ後れたアオイホープ、ケイティレジェンド、トーアキャンディス、ミラクルユニバンスの4頭の死亡が確認。さらに後日、気管のやけどが原因で競走能力を失い安楽死処分を受けたベストエメラルダを含めた、5頭の管理馬が犠牲となってしまった。
馬に限らず、ほとんどの動物は火を怖がる。救出にあたった関係者の証言によると、馬たちは一様に狭い馬房のなかで、炎や煙による高温と恐怖で全身から汗が噴き出していたという。
そんな恐怖を味わいながら、無念にもこの世を去った“仲間”たち。当時は小倉に滞在していた同厩舎のコパノキッキングと同じく、ケイアイパープルも偶然に死を逃れた一頭だ。
ラジオ日本賞で勝利した中井裕二騎手は「今後に向けても自信が持てるレースでした」とコメント。今年1月の東海S(G2)や4月のアンタレスS(G3)では、ダート重賞の壁に跳ね返されていた同馬だが、この発言は5歳夏にしてようやく本格化したことを予感させる。
今秋から冬にかけて再挑戦する可能性が高いダート重賞路線でも、見限れない一頭といえるだろう。果たして、オープン2連勝の実力は本物か。次走は未定だが、火災事故の被害を受けた村山厩舎の希望の“光”となるよう、今後もケイアイパープルを応援したい。
(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール> 野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。
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