JRA 掲示板5着馬まで出走停止……武豊「半端じゃない」ベタ褒めの超大物がド派手デビュー! 早逝した世界賞金王の忘れ形見に「タイムオーバー被害」続々
――BC制覇の次はケンタッキーダービー制覇か。
日本競馬の次なる夢を託せる「砂の怪物」が誕生したかもしれない。
13日、阪神競馬場の4Rで2歳新馬戦が行われ、武豊騎手の2番人気ジュタロウ(牡2歳、栗東・河内洋厩舎)が勝利。誰もが舌を巻く圧巻のパフォーマンスを見せてくれた。
10頭立てのダート1800m戦。8枠9番からスタートしたジュタロウは、抜群のスタートを切った隣のプラウサスを先に行かせて、道中は2・3番手の位置からレースを進めた。
前半1000m通過1分2秒6と新馬戦にしては速いペースで流れて先行馬が一杯になる中、ジュタロウは馬なりで単独先頭へ。そこからは武騎手の手綱は動くことなく、後続を突き放す独走劇だった。
2着に2.4秒、3着には4秒と大差をつけての圧勝に、困ったのは中継カメラだろう。3着以下はアングルを目一杯引かなければ、分からなかったからだ。
ド派手なデビュー戦を飾った若駒に対して、武騎手は「強いね。ダートの長距離が合っているんじゃないかな。スタミナが半端じゃないですよ。将来が楽しみです。時計も速かった」と、褒めちぎった。
「勝ち時計1分53秒6は、稍重で行われた阪神ダート1800mの新馬戦で歴代2位の好タイムです。この時計は同じ馬場状態で行われたG1・5勝馬のゴールドドリームの新馬戦タイムを0秒4上回っていますので、既にG1級と言ってもいいのではないでしょうか。
それにジュタロウはスタートから一切追っていません。また、河内師が『外から行かれたからきつい形になった。もっと楽なら、もっと強かったと思いますよ』と、話す通り展開次第では更に高いパフォーマンスを発揮できた可能性もありました。
逆に歴代1位のタイムでジュタロウが走っていたら、他の競馬関係者はもっと困っていたと思います……」(競馬記者)
というのも、ジュタロウがあまりにも強すぎたため、出走馬の半数がタイムオーバーとなってしまったのだ。タイムオーバーは1着馬の走破時計から規定の時間を超えてゴールしたとき、一定期間次のレースへ出走出来なくなる制度のことだ。
ダート1800mの新馬戦の場合、1着馬から6秒を超えてゴールした馬は1ヶ月間次のレースへの出走が認められない。今回の場合、ヒロノシュンから下の着順の馬が該当するが、本馬は何と掲示板を確保した5着馬。出走馬計10頭の半分、そして掲示板を確保した馬までタイムオーバーの規定に該当してしまったのだ。
「先週行われた同条件の新馬戦の走破時計は1分55秒8でした。この時計でしたら、タイムオーバー該当馬が一気に2頭まで減ります。
裁決委員がやむを得ない事情と認めた場合タイムオーバーは適用されませんが、それに該当したのは3コーナーで不利を受けた最下位のナリタボルテックスのみ。他の5頭はすべてタイムオーバーとなってしまいました」(同)
ここまで強いデビュー戦を見ると、頭に浮かぶのが来春のケンタッキーダービー(G1)のことだ。
何故なら、ジュタロウの父は2017年に日本のテイエムオペラオーを抜いて当時世界で1番賞金を稼いだ米国馬のアロゲートだからだ。アロゲートは勝負所の3・4コーナーでポジションを上げていくスタイルで、数多の大レースを制して世界賞金王に輝いた。ジュタロウの今日のレースぶりは、まさに父そっくりの内容だったと言える。
ケンタッキーダービーは米国競馬最高峰のレースの1つで、過去に日本馬も果敢に挑戦してきたが高い壁に跳ね返されてきた。
ただ、先日マルシュロレーヌがBCディスタフ(G1)を制して、初めて日本調教馬が米国ダートG1を勝利した。日本調教馬が米国ダートG1を勝つのは、もう夢ではない。
武騎手はレース後の談話を「気性が前向きすぎるところがあるけどね」と、締めた。これから気性面で成長できれば、亡くなった父の故郷の国で存分に暴れ回る姿が見れるかもしれない。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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