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JRA大阪杯(G1)ジャックドールは「歴史的逃げ馬」になれるのか? サイレンススズカ、ツインターボ、メジロパーマー……ターフを沸かせた逃げ馬ベスト10

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JRA大阪杯(G1)ジャックドールは「歴史的逃げ馬」になれるのか? サイレンススズカ、ツインターボ、メジロパーマー……ターフを沸かせた逃げ馬ベスト10の画像1

 いよいよ間近に迫った大阪杯(G1)。春の中距離王決定戦には、昨年のJRA年度代表馬エフフォーリアを筆頭に、5連勝中のジャックドール、昨年の優勝馬レイパパレ、エリザベス女王杯(G1)の優勝馬アカイイトなど注目のメンバーが揃った。

 その中で大きなポイントとなるのは、ジャックドールが逃げるのか、そしてその逃げはエフフォーリアに通用するのかという点にある。

 今年のメンバーを見てみるとジャックドール以外にも、アフリカンゴールド、レイパパレ、ショウナンバルディといった逃げて重賞を勝利した馬がいる。それだけにジャックドールが逃げられるかは分からない。

 しかしファンの本音としては小細工なしで逃げ、エフフォーリアとどちらが強いのか見せてほしいというものだろう。

 そしてジャックドールが逃げてエフフォーリアを突き放すようなことがあれば、昨年の年度代表馬に完勝することであり、すなわちそれは現役最強馬として名乗りを上げるもの。過去に活躍した偉大な逃げ馬達に近づくものとなるであろう。

 今回はジャックドールの逃げを期待しつつ、過去に実力と実績を兼ね揃えた印象的な逃げ馬10頭を紹介したいと思う。

 一口に逃げ馬といっても様々だが、今回は条件として全勝利の半分以上を逃げて勝った馬に厳選したい。特に若駒時代から逃げに拘っていたような馬こそが、真の逃げ馬と評されるべきだからだ。


サイレンススズカ

 今や大人気競馬アプリ『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)の人気キャラとして知られるサイレンススズカは、現役時代その名を轟かせた屈指の逃げ馬だ。全9勝中8勝が逃げ切りで、圧巻だったのは58kgの斤量を背負って2着に1.8秒差のレコード勝ちを見せた金鯱賞(G2)。そしてエルコンドルパサー、グラスワンダーといった実力馬に影も踏ませなかった毎日王冠(G2)だろう。続く天皇賞・秋(G1)で故障を発症しなければ、その記録はさらに伸びたに違いない。


ミホノブルボン

 デビュー戦は追い込んで勝利したが、4戦目のスプリングS(G2)から逃げはじめ、皐月賞(G1)、日本ダービー(G1)、京都新聞杯(G2)と逃げて4連勝。特に日本ダービーで2着に付けた0.7秒差は、逃げて日本ダービーを勝利した馬の中でも抜きんでている。続く菊花賞(G1)はライスシャワーに敗れたが、短距離血統ながらクラシック二冠を逃げ切った走りは見事であった。


ツインターボ

 サイレンススズカが華麗な逃げであれば、ツインターボは凶器の逃げと呼ぶべきか。間違いなく記憶に残る、異質な逃げ馬であった。テレビ中継に収まりきらないような後続を離す大逃げで、七夕賞(G3)、オールカマー(当時G3)など重賞を3勝。特筆すべき点は他の馬と異なり、新馬戦から引退するまで出走したすべてのレースでハナに立ったことだ。G1実績がなくとも、ツインターボが稀代の逃げ馬と評されている証左でもある。


マルゼンスキー

 デビューから8戦8勝、一度も負けることがなかったアメリカ産の持込馬。そのスピードは他馬を圧倒しており、全8勝のうち大差が2回、7馬身差以上が4回と圧倒的な内容。しかも朝日杯FS(当時朝日杯3歳S)は、G1レースながら2着に大差で勝利とその実力は抜きんでていた。最後のレース(ダート1200m)以外はすべて逃げて勝利しており、圧倒的なスピードが持ち味。当時の持込馬の規定で日本ダービーには出走できなかったが、もし出走していればどんな逃げを見せただろうか。


エイシンヒカリ

 ディープインパクト産駒を代表する逃げ馬といえよう。新馬戦は4番手から抜け出して勝利したが、2戦目以降は逃げ馬として開花。全10勝中8勝が逃げ切りで、特に武豊騎手が騎乗するようになってからはサイレンススズカを彷彿させる走りを見せた。中でも初の海外遠征となった香港C(G1)は海外の強豪を相手に先手を取り、そのまま押し切って勝利するという圧巻のレース。一方で負けるときは大敗と、逃げ馬の宿命を体現する成績で2着と3着は一度もなかった。

サニーブライアン

 皐月賞を勝つまではまったく無名の存在だった。11番人気の低評価だった皐月賞はスタート直後にハナに立つも、絡んだ馬を行かせて2番手で折り合う。向正面で再び先手を奪うと、そのまま先頭でゴール。皐月賞に続き大外18番に入った日本ダービーでは、スタート直後から果敢に先頭に立つと、一度も他馬に抜かせず逃げ切り、見事二冠を達成した。


メジロパーマー

 クラシックには縁はなかったが、古馬になって本格化した遅咲きの名馬。4歳夏に札幌記念(当時G3)を勝利後、なんと障害に転向。5歳には平地へ戻り、新潟大賞典(G3)、そして宝塚記念(G1)を9番人気で逃げ切って勝利。その年の有馬記念(G1)は16頭立て15番人気で逃げ切るという大波乱を演じた。同年代のライバルであるメジロマックイーン、ライスシャワー、レガシーワールド、トウカイテイオーなどとともに、1990年代前半の競馬を盛り上げた立役者と言えるだろう。


アイネスフウジン

 ミホノブルボン、サニーブライアンと同じく日本ダービーを逃げて勝利。初勝利、共同通信杯(G3)、そして日本ダービーと全4勝中3勝が逃げ切り。圧巻だったのは、やはり日本ダービーだろう。逃げて1000m通過59.8秒というペースは、当時からすると尋常ではない数字。しかし最後まで脚力は衰えず、従来の記録を1秒も縮めるレコード勝ち。2着に0.2秒差を付ける完勝だった。沸き起こった「ナカノコール」は今も語り草となっている。


カブラヤオー

 1974~76年に活躍した名馬。デビュー戦は2着も、2戦目に初勝利をあげるとそのまま9連勝。そのスピードと持続力は他馬の追随を許さず、皐月賞は前半1000mを58秒9で逃げてレコード勝ち。二冠を狙った日本ダービーも、前半1000mを58秒6で飛ばしながらそのまま逃げ切っている。常識破りのハイペースで逃げつつも、そのまま押し切る強さがあった。菊花賞は屈腱炎を発症して無念の回避となったが、その走りはオールドファンにとって忘れられないはずだ。


ダイワスカーレット

 最後に紅一点ダイワスカーレットを挙げたい。12戦して8勝2着4回という準パーフェクトの成績。2008年の有馬記念と大阪杯は牡馬の強豪を相手に逃げ切り、天皇賞・秋ではウオッカと歴史に残る激戦を演じた。牝馬にとって牡馬の強者が集まる古馬の中長距離戦で逃げ切るのは至難の業。現にグレード制導入以降、牝馬で有馬記念を逃げ切ったのは同馬だけである。


 以上、JRA史に残る10頭の逃げ馬を紹介した。なお逃げ馬の印象が強いキタサンブラックは、逃げて勝利したのは全12勝中3勝のみ。同様にタップダンスシチーも全12勝中3勝のみであり、上記の逃げ馬と比較すると「逃げ馬」としての印象は劣るためベスト10には入らないと判断した。

 また先日行われたドバイターフ(G1)では、パンサラッサが逃げ切って勝利。本格的に逃げ馬となった昨年10月以降、これで5戦4勝と本格化の兆しを見せている。順調であれば、宝塚記念や天皇賞・秋でジャックドールとパンサラッサの激しいハナ争いが見られるかもしれない。

 “現役最強の逃げ馬は?”

 いつかその答えが見られる日を待ちつつ、大阪杯はジャックドールの逃げ切りを期待したい。

(文=仙谷コウタ)

<著者プロフィール>
初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。

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