パチスロ「近代パチスロの礎を築いた伝説のメーカーの業界復帰第1作」~4号機名機伝説~ 『トリプルクラウン』シリーズ 前編【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.95】
1977年、史上初の風営法認定スロットマシン『ジェミニ』をリリースした伝説のメーカー、マックス商事。
同社はその後も、数々のマシンをリリース。パチスロ黎明期において、業界を大きくリードするのだが、タッグを組んでいた他社が起こした不祥事のあおりを受け、日電協を脱退。メーカーとしての活動を停止させてしまう。
そんな同社が心機一転、マックスアライドと社名を改め1994年、業界に復帰。その記念すべき第1作となったのが、伝説の球界三冠王をモチーフにした、その名も「トリプルクラウンⅠ」である。
仕様は、表面上のボーナス比率1:1のきわめてオーソドックスなAタイプ。テーマのベースボールにちなみ、REG絵柄はHOMERUN、リプレイ絵柄はSTRIKEの文字が添えられたボールとなっている。
スペックは、当時の4号機Aタイプ機では定番の、ビッグに重きを置いた確率配分。機械割は設定3ですでに101%をマークするなど良心的な設計だった。
ゲームを盛り上げる出目演出については、とにかくシンプルのひとこと。
基本的にフラグ成立絵柄を引き込む以外に余分なスベリが発生しないリール制御となっているので、ボーナス絵柄がスベリを伴ってテンパイしたり、最初に止めたリールでボーナス絵柄を引き込んできて小役やリプレイが揃わなければチャンス到来となった。
まぁ、ぶっちゃけ言うと本作は、何から何まで先に日活興業からリリースされた『ドラゴンエース』と瓜二つで、メーカーは異なるが実質的に両機種は兄弟機のようなものだった。
そもそもマックス社も日活興業も、ともにパチスロ創生期の頃から業界の成長・発展に多大なる尽力をしてきた関西の古豪メーカー。友好関係にあったことは、容易に想像がつく。
そんな歴史的経緯はともかくとして。「ドラゴンエースと瓜二つってことは、もしや…」と、各方面から「ある種の期待」が寄せられた。そう、「連チャンバージョン」である。
第一報が寄せられたのは、東北は杜の都・仙台から。「通常時のリプレイが大幅にカットされていてコイン持ちが悪い反面、ワンチャンスで2千枚3千枚は日常茶飯事」とのことだった。
さっそく特集記事を組むこととなり、担当編集のN君と二人で仙台に飛び情報にあったホールでデータ採取を行った。
結果からいうと、挙動はかつてホールを賑わせた『サファリラリー』を彷彿とさせるBR混合型で、ゾーンはおおむね60ゲーム以内。ノーマル高設定をちょっぴり激しくした程度のものだった。
残念ながら自分たちの台では、情報にあったような一撃必殺の長打は得られなかったが、周囲の台でかような挙動を目撃・確認。
「無駄足にならず、よかったね」「そうですね」とN君と二人、(余った取材費で)名物の牛タンを頰張りながら、「ほっ」と胸をなで下ろすのであった。
それから半年ほど経った頃だったか。こんどは、愛知からとんでもない情報が舞い込んできた。
パネルのカラーをホワイトに変更した兄弟機『トリプルクラウンⅢ』が、導入当初からいきなり爆裂化。連チャンはビッグオンリーで、ほぼ7連チャンワンセットだというのだ。
そもそも、『トリプルクラウンⅢ』という兄弟機がリリースされたこと自体、こちらにも情報が入ってきていなかったし、色んな意味でこれは、寝耳に水の事件だった。
タイミングよく兵庫の実家へ帰省する予定があったので、帰りに愛知に立ち寄り、先発隊と合流して真偽のほどを確かめることとした。
(後編へつづく)
(文=アニマルかつみ)
〈著者プロフィール〉
兵庫県尼崎市出身。1992年春にパチスロ必勝ガイドのライターとなり、以来30年にわたってメディア人の立場から業界の変遷を見つめてきた大ベテラン。ぱちんこ・パチスロの歴史に関しては誰にも負けない博識を持つ。最近ではYouTube動画チャンネル「ぱち馬鹿」のメンバーとして、各種企画の制作や出演、生配信などにも精を出している。ライター稼業のかたわら、ロックバンドのベースプレイヤーとしても活動中。愛猫家。昭和レトロ好き。
■Twitter(@anikatsu213):ANI-Katsu(アニマルかつみ)
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