どこにでも変わり者というのはいると思うが、今回は私がパチンコ店に従事していた頃の、一風変わったスタッフのエピソードだ。

　その出会いは私が系列店に異動した時のことだった。そのスタッフの年齢は既に40歳手前。一般的にいうと転職も簡単ではない年齢だが、創業社長の頃からのスタッフで在籍期間は20年以上。従業員の中でも最古参ということだった。

スタッフ一筋20年の大ベテランが実は…

　彼は意外にも役職があるどころか社員ですらないアルバイトとしての在籍。しかし、与えられた仕事はそつなくこなす大ベテランであった。ホール内のことなら誰よりも詳しく知っているし、パチンコ店スタッフがするべき業務なら大半はこなすスーパーマン…。

　と言いたいところだが、やはり至らない面も多々あった。例えば遅刻。朝が弱いため遅番がメインだったが、それでもしばしば寝過ごすことがあり、彼が住んでいる店舗2階の寮まで起こしにいくこともあった。

　清潔感がなかったのもそう。現在のパチンコ店であれば致命的だが、それでも口を酸っぱくして清潔にするよう意識づけていき、何とかギリギリのところで踏みとどまっていた感じだろうか。寮の部屋はまるでゴミ屋敷。定期的にチェックし、清掃するよう命じていた。

どことなく憎めないキャラであり…

　あとはプライベートなことだが、お金の使い方。給料が出ると1、2週間ほどか、早い時は数日で使い切ってしまい、インスタントラーメンをすする毎日。もちろん使い道はパチンコだ。しかしキップは良く、大勝した時には他の従業員たちに大盤振る舞いすることもあった。

　そう思えばどことなく憎めないキャラであり、先代社長からも不思議と可愛がられていたことからも、そういった人を惹きつけるような魅力があったのかもしれない。