パチスロ「チェリーが連続して出現すれば…!?」~4号機名機伝説~ 『ビガー』後編【アニマルかつみの回胴青春時代Vol.109】
4号機名機伝説~ 『ビガー』後編
プレスリリースの時点では、前作『C51SP』の単なるデザイン違いの兄弟機かと思われていた、パル工業の4号機第4弾『ビガー』。 ところが、首都圏トップ導入となった編集部近くのホールでの初実戦で、早々に「チェリ連前兆を搭載した裏モノ」であることが判明。退屈なデータ取りはたちまち一変する。
よくよく考えれば、そもそもその店には「前科」があった。前回も書いたが、『ビガー』が導入されたシマには以前、『ペガサス412』のバッキバキのがあったし、他にも『ミスターマジック』、『トロピカーナ』、『オリエンタルⅡ』などの激しいやつがあって、爆裂出玉にはふだんから定評があったのだ。
そんなアツい店の、月イチ恒例の一大イベントの日。件の『ビガー』のシマは、朝イチからビッグの連打で早々にドル箱をカチ盛らせる台も多々あったりして、「ただの高設定にしては、ヤケに出玉が早い。まさか…」とは思っていたのだが、「やっぱりな」だったのである。
さて、件の「チェリ連前兆」だが、『ペガサスワープR』の「リプ連前兆」や、『神龍2』の「チェリ連前兆」のような、「特定役が特定の回数連続すると前兆になる」といったものとは、まったく別物であった。『ビガー』のそれは、「数ゲームから十数ゲームにわたって、あたかも集中役のようにチェリーが高頻度で出現すると、ビッグ成立のチャンス」になるというもの。
2~3連続でチェリーが出て、ハズレやリプレイ、他の小役を挟んで再びチェリーが連続し、その後ハズレが数回続いて「ダメか…」と思いきや、左リールが「ズルッ」とスベって7を引き込んできてビッグ…といった感じである。
特定回数で確定となるのは、それはそれで爽快で気持ちがいいものだが、こういったジワジワと期待を煽られる方が、ヒットした時の喜びはひとしおだ。
ちなみに、このチェリ連前兆だが、データ採取を積み重ねていくうちに、「発生しやすいゲーム数やビッグに繋がる『種あり』の頻度に、明らかな偏りがある」ということがわかった。
具体的にいうと、70ゲーム以内のチェリ連は80%でヒットする連チャンゾーン、400~500ゲームはヒット率6割の引き戻しゾーン、そして1001ゲーム以降のチェリ連はほぼ100%ヒットすなわち天井…といった具合である。
以上の特徴から、内部的にゲーム数吸い込み方式を採用しているものと推測。さらなる真相解明に向けてパチスロ必勝ガイド編集部は、どういう手をつかったのかわからないが、チェリ連前兆Ver.のROMを入手。プログラム解析に着手する。
ところが、これが一筋縄ではいかなかった。ゲーム数をカウントしている部分までは解読できたのだが、強固なセキュリティに阻まれ、プログラムをすべて読み解くことができなかったのである。
さらには、業界の裏事情に精通する人物から、「この件には、あまり深く関わらない方がいい。もし、ぜんぶ分かったとしても、発表しない方が身のためだよ」といった忠告があったそうだ。
そんな風に、パチスロ必勝ガイドでの『ビガー』チェリ連Ver.のプログラム解析は残念ながら頓挫してしまったのが、のちに他媒体の手によって、その真相が明らかにされた。
ビッグの連チャン発生システムは貯金方式がベースとなっており、ビッグが成立するとその時点での貯金数を参照に連チャンモードの当否と連チャン数を抽選する仕組み。
加えて、差枚数吸い込み方式を用いた上乗せもあり、どうやらこれが、先述した特定ゾーンでの連打や引き戻しを生む要因となっていたようだ。
同様に、通常時のビッグに繋がらない「ガセ前兆」の発生と、ビッグの天井についても、差枚数吸い込み方式が採用されていたようだ。
どこの誰が作ったシステムなのかは、いまとなっては知る由もないが、頑なに差枚数吸い込み方式にこだわるあたり、初代『ペガサス』への未練というか思い入れが相当に強かったものと思われる。
さて、パル工業はその後も、この『ビガー』と同様、『C51SP』の基本仕様とスペックを踏襲するデザイン違いの後継機を続々とリリース。
チェリ連前兆Ver.は『ビガー』の一例にとどまったが、他は「バンバンVer.」と名付けられた凄まじい連チャン性を持つ裏モノが各地のホールを席巻。ファンを熱狂させる。 4号機がすっかりホールの主役として定着した1990年代半ば。『ニューパルサー』を筆頭とする大量リーチ目搭載の正統派Aタイプ機が人気を博す一方で、「どこかの悪い人たち」の手によって爆裂化しシーンを大いに賑わせた、パル工業のマシン。
やがて、その目の余る暴れっぷりは「怒らせてはいけない人たち」を怒らせ、取り返しのつかないことになってしまうのだが。それについてはまた追々、綴ってゆくことにしよう。
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