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一悶着あった藤沢和雄師と横山典弘のゼンノロブロイ巡る不思議な因縁

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横山典弘騎手

 平成を彩った名馬の1頭、ゼンノロブロイの訃報が届いたのは先週のことだった。

 ゼンノロブロイといえば、2004年秋の古馬中長距離G1を3連勝したことで知られる。その3戦すべてで鞍上を務めたのはO.ペリエ騎手だった。他にもK.デザーモ騎手とのコンビで3歳秋の神戸新聞杯(G2)を制するなど、ゼンノロブロイは外国人ジョッキーとコンビを組んでいた印象が強い。

 しかし、デビューから日本ダービー(G1)までの5戦を含め、最も多くの騎乗機会があったのは、他でもない横山典弘騎手だった。

 ゼンノロブロイを管理していたのは今年2月末に引退した藤沢和雄元調教師。当時すでに大ベテランの域に達していた岡部幸雄元騎手を主戦に据えつつも、若手の北村宏司騎手を育成していた時期だった。ペリエ騎手を筆頭に外国人騎手を重用しながらも、横山典騎手とも蜜月と呼ばれる関係を築いていた。

「藤沢和雄×横山典弘」コンビの最高傑作となるはずだったゼンノロブロイ。日本ダービー前哨戦の青葉賞(G2)で重賞初制覇を飾ると、ネオユニヴァースが二冠を達成した日本ダービーでは3番人気で2着と、人気を上回る着順に好走した。

藤沢師が横山典騎手の騎乗に不満を抱いたとも…

 ただ、陣営も納得の騎乗だったかというと、そうではなかったようだ。

「実は藤沢師はこの時(ダービー)の横山典騎手の騎乗に不満を抱いたとも言われています。実際、ダービーを最後に2人は疎遠となり、2年以上にわたって横山典騎手には騎乗依頼がありませんでした。

2人が復縁したのはダービーから2年1か月後。05年夏の北海道シリーズで再びタッグを結成すると、天皇賞・秋(G1)で2年5か月ぶりにゼンノロブロイに横山典騎手が騎乗しました。しかし1番人気に推されたものの、伏兵ヘヴンリーロマンスに足をすくわれる形で2着に敗れると、その後のジャパンC(G1)と有馬記念(G1)はデザーモ騎手に乗り替わりました。

2年1か月の空白期間を経て復縁した2人ですが、2度目の疎遠もありました。2013年のダービーでそれまで横山典騎手がコンビを組んでいた藤沢師管理のコディーノがC.ウィリアムズ騎手に乗り替わり。これを機に2人は再び距離を置いたといわれています。結局その後は師の引退までほぼこのコンビを見ることはありませんでした」(競馬誌ライター)

 関東の名伯楽と2度の疎遠を経験した横山典騎手だが、1度目の原因となったゼンノロブロイとのコンビ解散後は何度となくライバルとして同馬の前に立ちはだかった。

 ゼンノロブロイがペリエ騎手を背に2番人気に推された菊花賞(G1)。この時、横山典騎手は4番人気のリンカーンに騎乗していた。道中でゼンノロブロイを徹底的にマークすると、ザッツザプレンティには惜しくも敗れたが、リンカーンを2着に導き、ゼンノロブロイ(4着)に先着している。

 また、翌年の天皇賞・春(G1)には伏兵イングランディーレで世紀の大逃げを打って、ゼンノロブロイ(2着)の末脚を封じ込める大金星も挙げた。

 さらに横山典騎手とゼンノロブロイの因縁は同馬の現役引退後にも……。

 ゼンノロブロイ産駒で唯一JRAのG1を勝ったのはサンテミリオンという牝馬だったが、アパパネと同着Vを果たした2010年のオークス(G1)で鞍上にいたのは横山典騎手だった。

 のちに横山典騎手は『UMAJIN.net』のインタビュー記事で、ゼンノロブロイと臨んだダービーをこう振り返っている。

「あのときはね、自分のことでいろいろあって…。とにかくもう、あのレースは勝つことしか頭になかった。これだけいい馬に乗せてもらえて、こんなチャンスをもらって。ここで勝たないと俺はもうダメだって思って臨んだ。それであっさり負けたからね…言い訳もなにもない。正直、ライアン(メジロライアン)のとき以上にね、へこんだよ」

 当時35歳だった横山典騎手も実力馬で臨んだ大一番で肩に力が入り過ぎたのだろう。その後、ロジユニヴァースとワンアンドオンリーで2度ダービーを制したが、ゼンノロブロイは騎手人生に大きな影響を与えた1頭だったことは間違いないだろう。ゼンノロブロイの訃報に横山典騎手は何を思っただろうか。

中川大河

中川大河

競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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