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		<title>ビジネスジャーナル</title>
		<link>https://biz-journal.jp/</link>
		<language>ja</language>
		<description>企業ニュース、経済、IT、投資などビジネスの重要テーマを深掘り。ビジネスジャーナルは企業インタビューや業界分析を通じて、企業活動と社会の動きを読み解くビジネスメディアです。</description>
		<copyright>copyright © cyzo inc. all right reserved.</copyright>
		<lastBuildDate>Fri, 23 Oct 2026 21:00:28 +0900</lastBuildDate>
		
			<item>
		<title>安全認証制度で国内IT市場が変わる…クラウド選びは「安さ」から「説明できる信頼」へ</title>
		<link>https://biz-journal.jp/economy/post_396388.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396388.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイント政府はデータセンター・クラウドの安全認証制度を2027年度以降に導入する方針と報じられた。中国・ロシア系は事実上排除される一方、米メガクラウドとの競争は続く。305項目の要件を満たしてガバメントクラウドに正式採択され...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396388_cloud.jpg" alt="安全認証制度で国内IT市場が変わる…クラウド選びは「安さ」から「説明できる信頼」への画像1" width="1237" height="850" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>政府はデータセンター・クラウドの安全認証制度を2027年度以降に導入する方針と報じられた。中国・ロシア系は事実上排除される一方、米メガクラウドとの競争は続く。305項目の要件を満たしてガバメントクラウドに正式採択されたさくらのクラウドの例、DCの約9割が東京・大阪圏に集中する現状を踏まえ、国産SaaS・ITベンダーの勝機と課題を解説する。</strong><br />
</p>
<p>　政府がデータセンター（DC）とクラウドサービスの安全性を国が審査・認証する制度づくりに乗り出した。10月19日付の日本経済新聞によれば、総務省と経済産業省が2027年度以降の導入を目指す。認証基準や審査主体といった詳細はまだ示されていない。それでも、国内のIT市場で長く続いてきた「安ければ選ばれる」構図に一石を投じる動きであることは間違いない。国産SaaSや国内の中堅ITベンダーにとって、これは本当に好機になり得るのか。制度の中身と市場の実態から冷静に見ていきたい。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">問われるのは「どこにあり、誰が動かしているか」</a></li>
	<li><a href="#second">「国産だから勝てる」わけではない</a></li>
	<li><a href="#third">「東京・大阪に9割」をどう分散させるか</a></li>
	<li><a href="#fourth">制度の詳細を待つ間にできること</a></li>
	<li><a href="#fifth">「守り」の制度を「説明力」の競争につなげる</a></li>
</ul>
<h2 id="first">問われるのは「どこにあり、誰が動かしているか」</h2>
<p>　報道で伝えられている枠組みはこうだ。対象は国内に立地するDC事業者と、国内にサーバーを持つクラウド事業者。金融や医療など重要な個人情報を扱う企業に、認証済みサービスの利用を促す。中国やロシアなどの影響下にある企業は、事実上この枠に入れなくなる見通しだ。</p>
<p>　ただし、これは特定企業の利用を禁じる規制ではない。現時点では義務付けではなく「促す」制度として報じられている。既存契約への扱いも分かっていない。この点は押さえておきたい。</p>
<p>　それでも影響は小さくない。従来のクラウド選定で最初に比べられてきたのは、月額費用と機能だった。そこに「データはどこにあるのか」「運用しているのは誰で、どの国の法律に従うのか」という問いが、国の基準として加わることになる。</p>
<p>　金融や医療だけの話でもない。大手企業は取引先にもセキュリティ要件を課すようになっており、部品メーカーや物流会社も「どのインフラを使っているか」を説明する場面が増えている。認証制度ができれば、こうした調達条件や委託先審査で参照される可能性は高い。</p>
<p>「サーバーが国内にあることと、外国の法制度から切り離されていることは別の話です。米国や英国の指針でも、保存場所に加えて、資本関係や保守・運用の拠点、適用される法律まで確認するのが一般的になっています。日本の制度も、こうした国際的な考え方に近づく一歩だとみています」（サイバーセキュリティコンサルタント・新實傑氏）</p>
<h2 id="second">「国産だから勝てる」わけではない</h2>
<p>　国内ベンダーが置かれてきた状況は厳しい。三菱総合研究所の試算では、2025年の日本の「デジタル赤字」は約6.7兆円。前年からわずかに縮小したものの、大幅赤字の構図は変わっていない。クラウドやソフトウェアへの支払いの多くが海外に流れている。</p>
<p>　ここで誤解してはいけない点がある。新制度で「事実上排除」されると報じられているのは、中国やロシアなどの影響下にある事業者だ。国内に大規模DCを持つ米国系のメガクラウドは、政府情報システム向けの評価制度「ISMAP」でもすでに実績を積んでいる。新制度ができたからといって、国内勢が米国勢との競争から解放されるわけではない。</p>
<p>　では、何が変わるのか。それは商談で問われる中身だ。「いくらか」「何ができるか」に加え、「資本関係はどうなっているか」「運用担当者はどこにいるか」「暗号鍵は誰が管理するのか」といった問いに、文書で答えられるかどうかが重みを増す。意思決定から運用までを国内で完結させている事業者は、その説明がしやすい。価格とは別の物差しで勝負できる余地は、確かに広がる。</p>
<p>　その先例ともいえるのが、さくらインターネットだ。同社の「さくらのクラウド」は2023年11月、技術要件の充足を条件にガバメントクラウドに採択された。2026年3月27日、デジタル庁が305項目すべての技術要件への適合を確認し、正式採択となった。約3年をかけて要件を一つずつ埋めた経緯は、「国産」という看板だけでは評価されないことを示している。</p>
<p>「認証を取れば売れる、という単純な話にはならないでしょう。認証は商談の土俵に上がるための条件です。その先は、障害時の対応やサポート、機能の展開スピードで比べられます。ただ、これまで価格表で切られていた中堅ベンダーが、付加価値を説明する機会を得るのは確かです」（同）</p>
<p>　SaaS事業者には注意点もある。ISMAPの運用では、登録済みの基盤上で構築したというだけで、その上のSaaSが登録済みとみなされることはない。新制度でも、基盤の認証が自社の評価にそのまま引き継がれるとは限らない。この前提で準備するのが現実的だ。</p>
<h2 id="third">「東京・大阪に9割」をどう分散させるか</h2>
<p>　安全性の議論は、DCの立地の問題ともつながっている。総務省の「令和7年版 情報通信白書」は、国内DCのおよそ9割が東京圏・大阪圏に集中していると指摘している。大規模な地震や停電が起きれば、影響が一気に広がりかねない。</p>
<p>　政府が進めるのが、電力と通信の整備を一体で考える「ワット・ビット連携」だ。官民懇談会の取りまとめ（2025年6月）は、DCの地方分散を継続的に促す方針を示し、既存の集積地から離れた「GW級」の拠点を複数つくるという長期目標を掲げた。</p>
<p>　動きは具体化している。総務省は2026年7月、分散型DCの実証7件を採択した。九州電力が主導する「九州版ワット・ビットモデル」や、北海道の大学やさくらインターネットなどが加わる分散AI処理の実証、栃木県のケーブルテレビ事業者と組む地域分散DCの実証などだ。</p>
<p>　再生可能エネルギーに恵まれ、冷涼な地域に拠点を置けば、電力コストと脱炭素の課題にも対応しやすい。そこに「運営主体が明確」という安全性の要素が重なれば、地方DCは災害対策と経済安全保障の両方で選ばれる理由を持つ。</p>
<p>「地方には電力の余力や土地がある一方、通信回線の冗長性や運用人材の確保という課題もあります。政策の後押しだけでなく、利用企業にとって扱いやすい接続環境と保守体制をどう整えるかが、定着の分かれ目になるでしょう」（エネルギー政策研究家・佐伯俊也氏）</p>
<h2 id="fourth">制度の詳細を待つ間にできること</h2>
<p>　制度の詳細が示されるのはこれからだ。だからこそ、今のうちに手をつけられることは多い。</p>
<p>　まずユーザー企業。自社が使っているクラウドやSaaSについて、「データの保管場所」「運営会社の資本関係」「保守の拠点」を一覧にしておくことだ。重要なデータを扱うシステムから優先して確認すればよい。取引先から問われたときにすぐ答えられる状態は、それ自体が信頼になる。データ管理の体制として、統合報告書などで開示する材料にもなる。</p>
<p>　ただし、急な乗り換えは勧めにくい。英国国家サイバーセキュリティセンター（NCSC）も、2022年の指針で、国籍だけで安全性は判断できず、拙速な置き換えが障害を招く危険があると注意を促している。契約更新の時期に合わせて計画的に見直すのが現実的だ。</p>
<p>　次に国内ベンダー。制度が始まるまでの期間は、仕込みの時期だ。できることは大きく三つある。</p>
<p>1．資本関係、運用体制、再委託先、暗号鍵の管理方法を、顧客向けの資料として公開できる形に整える<br />
2．ISMAPやISO/IEC 27017など、既存の第三者評価を取得・更新し、証跡を残す運用を習慣にする<br />
3．顧客が別のサービスに移る際のデータの取り出し方法も明示する</p>
<p>　三つ目は意外に思われるかもしれない。だが「使いやすく、やめやすい」ことは、解約しにくいことより長期的な信頼につながる。</p>
<p>「発注側の担当者が本当に知りたいのは、何かあったときに誰がどう動くかです。認証マークは入口にすぎません。その問いに具体的に答えられるベンダーが、最後に選ばれています」（新實氏）</p>
<h2 id="fifth">「守り」の制度を「説明力」の競争につなげる</h2>
<p>　経済安全保障の制度は、本来はリスクを抑えるための「守り」の仕組みだ。それでも、「安さ」ではなく「説明できる信頼」が比べられる市場が広がれば、国内のIT企業には強みを示す場が増える。</p>
<p>　ただし、その機会は自動的にやってくるものではない。米国のメガクラウドとの競争は続き、機能や価格の差が消えるわけでもない。認証を「お墓付き」として待つのではなく、自社の透明性を積み上げる契機として使えるかどうか。制度の詳細が示されるまでの数年間の動きが、その後の立ち位置を左右しそうだ。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝新實傑／サイバーセキュリティコンサルタント）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA171BY0X11C26A0000000/" target="_blank" rel="noopener">日本経済新聞「データセンター・クラウド、国が安全認証へ」（2026年10月19日）</a><br />
<a href="https://rocket-boys.co.jp/security-measures-lab/japan-data-center-cloud-security-certification-china-russia/" target="_blank" rel="noopener">セキュリティ対策Lab「政府、データセンター・クラウドに安全認証制度を創設へ」（2026年10月20日更新）</a><br />
<a href="https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/dep/2026/0209.html" target="_blank" rel="noopener">三菱総合研究所「日本：デジタル関連収支（2025年）」（2026年2月9日）</a><br />
<a href="https://www.sakura.ad.jp/corporate/information/newsreleases/2026/03/27/1968224087/" target="_blank" rel="noopener">さくらインターネット ニュースリリース（2026年3月27日）</a><br />
<a href="https://www.digital.go.jp/policies/gov_cloud" target="_blank" rel="noopener">デジタル庁「ガバメントクラウド」</a><br />
<a href="https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper//ja/r07/html/nd222430.html" target="_blank" rel="noopener">総務省「令和7年版 情報通信白書」データセンター、海底ケーブル等</a><br />
<a href="https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/watt_bit/pdf/20250612_1.pdf" target="_blank" rel="noopener">ワット・ビット連携官民懇談会 取りまとめ1.0（2025年6月）</a><br />
<a href="https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban04_02000279.html" target="_blank" rel="noopener">総務省「令和8年度ワット・ビット連携関連実証」採択結果（2026年7月15日）</a><br />
<a href="https://www.ncsc.gov.uk/blog-post/use-of-russian-technology-products-services-following-invasion-ukraine" target="_blank" rel="noopener">英国NCSC「Use of Russian Technology Products and Services Following the Invasion of Ukraine」（2022年3月）</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-24T00:19:57+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[経済]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>老化研究マネーは「薬」から「仕組み」へ…AI創薬・M＆Aで変わるバイオ投資</title>
		<link>https://biz-journal.jp/economy/post_396385.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396385.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイント老化を疾患と認める規制が定まらないなか、ロンジェビティ投資はAI創薬や細胞医薬の製造基盤、既存疾患を入口にしたM＆Aへと移っている。インシリコ・メディシンとリリー・武田の提携、ロシュの89bio買収などを例に投資のロ...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396385_longevity.jpg" alt="老化研究マネーは「薬」から「仕組み」へ…AI創薬・M＆Aで変わるバイオ投資の画像1" width="1314" height="850" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>老化を疾患と認める規制が定まらないなか、ロンジェビティ投資はAI創薬や細胞医薬の製造基盤、既存疾患を入口にしたM＆Aへと移っている。インシリコ・メディシンとリリー・武田の提携、ロシュの89bio買収などを例に投資のロジックを整理し、東証グロースの新基準も踏まえて、日本の創薬ベンチャーの出口戦略を考える。</strong><br />
</p>
<p>　老化を「病気」として扱うか否か。米FDA（アメリカ食品医薬品局）もWHO（世界保健機関）も、その答えをまだ出していない。一方で、規制が固まる前に資金を張る「前哨戦」の段階は、ひと通り終わったように見える。</p>
<p>　資金の行き先は変わりつつある。有望な抗老化ベンチャーに個別に出資する「点」の投資から、AI創薬プラットフォーム、細胞医薬の製造インフラ、国境をまたぐM＆A（企業の合併・買収）といった「面」のエコシステムづくりへ。2025年末から2026年にかけての大型案件を並べると、その傾向はかなりはっきりしている。</p>
<p>　本稿では、巨大VC（ベンチャーキャピタル）やメガファーマが次に資金を注ぐ「第2フェーズ」の投資ロジックを、公開データを中心に整理する。そのうえで、アカデミアの層が厚い日本の企業・投資家が、どんな出口（Exit）戦略を描けば世界市場で戦えるのかを考えたい。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">巨額投資の「第2フェーズ」——「1つの薬」から「AI×プラットフォーム」へ</a></li>
	<li><a href="#second">メガファーマの動向——「自社R＆D」から「M＆A・ライセンスイン」へ</a></li>
	<li><a href="#third">「日本の強み」と「グローバルギャップ」——なぜ日本の技術は世界で買われにくいのか</a></li>
	<li><a href="#fourth">機関投資家・CVCが見極めるべき「3つの目利きポイント」</a></li>
	<li><a href="#fifth">「科学の発見」を「産業」に変える日本の勝ち筋</a></li>
</ul>
<h2 id="first">巨額投資の「第2フェーズ」——「1つの薬」から「AI×プラットフォーム」へ</h2>
<p><strong>AI創薬：「時間を短くする仕組み」に値がつく</strong></p>
<p>　象徴的なのが、生成AIを使う創薬企業Insilico Medicine（インシリコ・メディシン）だ。2025年12月30日に香港証券取引所メインボードへ上場し、約22.8億香港ドル（約2.9億ドル）を調達した。</p>
<p>　同社の説明では、従来は2.5〜4年かかる前臨床候補（PCC）の選定を、平均12〜18カ月で終えているという。PCC指名はこれまで31件。財務的に大きいのは、この「速さ」そのものが課金対象になっている点だ。2026年3月には米イーライリリーとの提携を発表した。一時金1億、1500万ドル、マイルストーンを含めれば最大27.5億ドルという契約だ。7月には武田薬品工業とも最大6億ドル規模の提携を結んでいる。化合物1つを売るのではない。探索の「工程」ごと、メガファーマに貸し出している。</p>
<p>　とはいえ、リスクが消えたわけではない。短くなったのはあくまで臨床に入る前の工程だ。同社の特発性肺線維症（IPF）治療薬候補「レントセルチブ」は、第2a相の結果が『Nature Medicine』に掲載された。2026年7月には中国で第3相（320例、52週）を開始した。ただ、終了予定は2029年だ。臨床の時間軸は、AIを使ってもそれほど縮まっていない。</p>
<p>「AIで前半が2年縮むと、VCから見ればファンドの寿命の中でもう一度勝負できる。ただ、本当の審判は第3相です。後期臨床で結果が出るまでは、『速い』と『当たる』は分けて評価しています」（金融アナリスト・川﨑一幸氏）</p>
<p><strong>細胞・遺伝子治療の「造る力」</strong></p>
<p>　もう一つの資金の受け皿が、製造だ。細胞医薬は、研究室で効いても量産でつまずく。手作業中心の培養は、品質のばらつきと人件費が鉱るからだ。米Cellares（セラレス）は2026年1月、ブラックロックなどが主導するシリーズDで2億5700万ドルを調達した。累計調達額は6億1200万ドルになる。製造と品質試験を自動化した工場網をつくる構想で、効率は従来の最大10倍と自社では説明している。</p>
<p>　米国では2025年12月、「懸念される外国」のバイオ企業からの調達を制限するBIOSECURE法が成立した。受託製造（CDMO）の調達先を見直す動きも重なり、この分野はB2Bのインフラ投資として見られ始めている。ただし、市場規模の推計には幅がある。細胞・遺伝子治療CDMOの2026年の規模は、調査会社により約43億ドルから約103億ドルまで開きがある。「成長市場」という言葉だけで納得するのは、まだ早い。</p>
<h2 id="second">メガファーマの動向——「自社R＆D」から「M＆A・ライセンスイン」へ</h2>
<p><strong>特許の崖が買収を急がせる</strong></p>
<p>　大手製薬が外から買う理由は、まず特許切れにある。2025〜2030年に独占販売期間を失う大型薬の売上は、推計によって年間2300億〜4000億ドルに上る。メルクの「キイトルーダ」、ブリストル・マイヤーズ スクイブの「エリキュース」「オプジーボ」などが代表例だ。</p>
<p>　穴を埋める動きはすでに数字に出ている。米BioSpace（バイオ・スペース）の集計では、イーライリリーは2026年6月上旬までに10件、計252.7億ドルの買収を発表した。これは売上上位12社の買収総額の半分を超える。</p>
<p><strong>「老化」ではなく「既存疾患」で買う</strong></p>
<p>　注目したいのは、何を買っているかだ。FDAが老化を疾患と認めていない以上、「抗老化薬」の看板で承認を取る道筋は見えない。そこで大手は、加齢と関係が深いが、すでに承認ルートが確立した疾患のパイプラインを買う。</p>
<p>　典型が代謝機能障害関連脂肪肝炎（MASH、旧称NASH）だ。ロシュは2025年9月、第3相段階の薬を持つ米89bioを最大約35億ドルで買収すると発表した。ノボノルディスクも同年10月、米Akero Therapeutics（アケロ・セラピューティクス）を最大約52億ドルで買収すると発表し、12月に完了している。前章で触れたIPFも、加齢とともに増える線維化疾患だ。</p>
<p>　適応はあくまで既存疾患。ただ、作用機序の先には加齢の生物学がある。承認を取る道と、将来の応用の余地を一つの資産で両方押さえる。これが「デュアルトラック」の考え方である。</p>
<p>「社内で老化を正面から議論することはほとんどありません。評価の軸は、既存の適応で第3相を勝ち切れるかどうか。そのうえで、適応拡大の余地がどれだけあるかを見ます」（外資系製薬企業の事業開発担当者）</p>
<p>　もう一つ見逃せないのが、条件付き対価（CVR）の使い方だ。アケロの買収では、肝硬変を伴うMASHでの米国承認を2031年6月末までに得た場合、1株6ドルが追加で支払われる。規制リスクを売り手と買い手で分け合う設計で、これは今後の標準になりそうだ。</p>
<h2 id="third">「日本の強み」と「グローバルギャップ」——なぜ日本の技術は世界で買われにくいのか</h2>
<p><strong>基礎研究は、実用化の入り口まで来ている</strong></p>
<p>　iPS細胞、大隅良典氏が2016年にノーベル賞を受けたオートファジー、老化細胞の研究。加齢生物学につながる基礎研究で、日本は世界の先頭集団にいる。</p>
<p>　その成果は実用化にも届き始めた。2026年3月、住友ファーマのiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞（パーキンソン病向け）と、クオリプスのiPS細胞由来心筋細胞シート（重症心不全向け）が、いずれも条件及び期限付承認を取得した。大学発ベンチャーの数も、経済産業省の調査で2025年10月時点6220社と過去最高だ。</p>
<p><strong>「小粒IPO」が臨床の資金を細らせる</strong></p>
<p>　問題はその先にある。産業革新投資機構（JIC）傘下のINCJが2023年に厚生労働省の検討会で示した資料がある。それによると、国内で上場する創薬スタートアップ39社の時価総額は、中央値で約108億円だった。数百億円単位が必要な後期臨床を、この規模では市場から賄いにくい。同資料は、上場後に投資する機関投資家が少ないことも課題に挙げている。</p>
<p>　そこに加わるのが、東証のルール変更だ。グロース市場の上場維持基準は、「上場10年経過後に時価総額40億円以上」から「5年経過後に100億円以上」に引き上げられる。2030年3月1日以後に来る事業年度末からの適用だ。臨床の結果が出る前に上場し、その後も低い時価総額のままという道を選ぶと、これまで以上に苦しくなる。</p>
<p>「研究の質で海外に負けているとは思いません。ただ、最初の資金調達を国内だけで組むと、後から海外の投資家を入れるのが難しくなる。特許やデータの扱いを海外の基準で整えておくことが、結果的に企業価値を左右します」（川﨑氏）</p>
<p><strong>処方箋は「設立時からグローバル」</strong></p>
<p>　政策も動いている。日本医療研究開発機構（AMED）の「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」は、認定VCが経費の3分の1以上を出資する創薬ベンチャーの実用化開発に補助する仕組みだ。支援先からは2026年3月に初の上場企業も出た。</p>
<p>　カギになるのは、設立時の設計だ。米欧のVCを初期から引き込む。米FDAへの治験届（IND）を視野に開発計画を立てる。そして、東証へのIPOだけでなく、メガファーマへの事業売却やライセンスアウトも出口の選択肢に入れておく。インシリコと武田薬品の提携が示すように、日本の大手製薬自身が海外のプラットフォームに資金を払う時代だ。国内のシーズが「買われる形」をとっているかどうかが、問われている。</p>
<h2 id="fourth">機関投資家・CVCが見極めるべき「3つの目利きポイント」</h2>
<p>　ロンジェビティ関連のディープテックに出資するとき、最低限確かめたい点を三つに絞る。</p>
<p><strong>1．「ヘルスケア商品」と「医薬品」を分けて見る</strong></p>
<p>「老化」をうたう事業には、サプリメントから臨床段階の医薬品までが混在している。見るべきは、特許の及ぶ範囲と、ヒトでのデータの歩みだ。第1相・第2相で何を主要評価項目に置き、それを達成したのか。老化細胞除去薬でも、第2相で意味のある改善を示しながら、次の試験で主要評価項目を達成できなかった例がある。「有望なシグナル」と「承認できるデータ」は別物と考えたほうがいい。</p>
<p><strong>2．キャッシュが入るまでの時間を設計しているか</strong></p>
<p>　創薬は10年単位の事業だ。臨床試験の受託、検査、データ基盤など、数年で収益を生む事業を並行させているか。インシリコのように、提携の一時金やマイルストーンで研究費を回す形もある。ただし「最大〇億ドル」の大半は、開発が進んだ場合にしか支払われない。評価は一時金を軸にすべきだ。</p>
<p><strong>3．規制戦略を語れるか</strong></p>
<p>　米FDA、欧州医薬品庁（EMA）、日本の医薬品医療機器総合機構（PMDA）。どの当局で、どの適応を最初に取りに行くか。日本には再生医療等製品の条件及び期限付承認があり、早期の実用化では強みになりうる。一方で、そのデータが米国でも通用するかは、別に詰める必要がある。</p>
<p>「経営陣に、最初の承認をどこで取るかを尋ねてみてください。そこが曖昧な会社は、開発計画のどこかに無理があることが多い」（同）</p>
<h2 id="fifth">「科学の発見」を「産業」に変える日本の勝ち筋</h2>
<p>　ここまでの事例を並べると、動いている金額の大きさより、取引の「型」が目につく。探索の工程を貸し出すプラットフォーム提携。製造を自動化するインフラへの投資。既存疾患を入口にし、CVRで規制リスクを分け合う買収。どれも、「老化」を正面から割り切らずに投資を成り立たせる仕組みだ。</p>
<p>　規制の答えが出るまで、産業は待ってはいない。加齢と関わる疾患で実績を積み、製造とデータの基盤を先に押さえた企業が、規制が動いたときに最も有利な位置に立つ。筆者はこう見ている。</p>
<p>　日本には、iPS細胞製品の承認という実績も、厚い基礎研究もある。足りないのは、それを世界の買い手が評価できる形に整える工程だ。研究助成で終わらせるのか。設立時から海外の資金と規制を織り込み、M＆Aも含めた出口を描くのか。その選択は、大学、VC、事業会社のそれぞれに委ねられている。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝川﨑一幸／金融アナリスト）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://pharmaphorum.com/news/insilico-ends-2025-293m-hong-kong-ipo" target="_blank" rel="noopener">Insilico Medicine 香港上場（pharmaphorum、2025年12月31日）</a><br />
<a href="https://insilico.com/news/xmjsn4l091-insilico-initiates-phase-iii-clinical-tr" target="_blank" rel="noopener">レントセルチブ第3相開始（Insilico、2026年7月7日）</a><br />
<a href="https://insilico.com/news/uiy12zcjg1-insilico-medicine-announces-global-rampd" target="_blank" rel="noopener">Insilicoとリリーの提携（Insilico、2026年3月29日）</a><br />
<a href="https://insilico.com/news/4ifuiaal01-insilico-medicine-announces-collaboratio" target="_blank" rel="noopener">Insilicoと武田薬品の提携（Insilico、2026年7月2日）</a><br />
<a href="https://www.biopharminternational.com/view/industrial-scale-cell-therapy-automation-gains-traction-with-new-cellares-funding" target="_blank" rel="noopener">CellaresシリーズD（BioPharm International、2026年1月）</a><br />
<a href="https://www.bakermckenzie.com/en/insight/publications/2026/01/united-states-the-biosecure-act-becomes-law" target="_blank" rel="noopener">BIOSECURE法の成立（Baker McKenzie、2026年1月）</a><br />
<a href="https://ipcloseup.com/2026/09/01/2025-2030-patent-cliff-will-impact-some-pharma-companies-more-than-others/" target="_blank" rel="noopener">特許の崖 2025〜2030年（IP CloseUp、2026年9月1日）</a><br />
<a href="https://longevity.technology/news/unity-biotech-reveals-topline-results-from-senolytic-dme-trial/" target="_blank" rel="noopener">UBX1325第2b相の結果（Longevity.Technology）</a><br />
<a href="https://www.meti.go.jp/press/2026/06/20260612001/20260612001.html" target="_blank" rel="noopener">令和7年度大学発ベンチャー実態等調査（経済産業省、2026年6月12日）</a><br />
<a href="https://www.mhlw.go.jp/content/10807000/001036954.pdf" target="_blank" rel="noopener">日本の創薬スタートアップ・エコシステムの現状と課題（INCJ、厚生労働省検討会資料、2023年1月）</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-23T23:18:59+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[経済]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>カーボンクレジット市場は、今どこまで来たのか。Green Carbon×Carbon EXが語る現在地とこれから</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396378.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396378.html</guid>
		<description><![CDATA[GX-ETS（排出量取引制度）が本格稼働し、カーボンクレジット市場は新たな局面を迎えています。ただ、企業の多くはまだ様子見の段階にあり、取引が一気に活性化しているわけではありません。その一方で、クレジットの品質や信頼性がより重視されるな...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396378_1.jpg" alt="カーボンクレジット市場は、今どこまで来たのか。Green Carbon×Carbon EXが語る現在地とこれからの画像1" width="1999" height="1333" /></p>
<p>GX-ETS（排出量取引制度）が本格稼働し、カーボンクレジット市場は新たな局面を迎えています。ただ、企業の多くはまだ様子見の段階にあり、取引が一気に活性化しているわけではありません。</p>
<p>その一方で、クレジットの品質や信頼性がより重視されるなど、市場を取り巻く評価軸も変わりつつあります。制度やルールが変化する中、企業はカーボンクレジットとどう向き合っていくべきなのでしょうか。</p>
<p>11月17日開催の第2回「Carbon Credits Journal Forum」を前に、Green Carbonの井家良輔氏とCarbon EXの中野征治氏に、市場の現在地と課題、これからの可能性について聞きました。</p>
<h2 class="line">GX-ETS本格稼働も、企業はまだ「様子見」</h2>
<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396378_2.jpg" alt="カーボンクレジット市場は、今どこまで来たのか。Green Carbon×Carbon EXが語る現在地とこれからの画像2" width="1999" height="1333" /><br />
——2026年度からGX-ETSが本格稼働しています。排出権取引所としての機能を持つCarbon EXから見て、企業の動きに変化は感じますか？</p>
<p>中野：国の温室効果ガス削減目標である「2030年度までに2013年度比で46％削減」に合わせた目標設定自体は多くの企業で完了しています。ただ、目標年までにまだ4年ほど猶予があることや、今年度がGX-ETSの本格稼働ならびにCO₂排出量算定の初年度にあたることから、現時点では大きな変化というよりも様子見の企業が多いという印象ですね。</p>
<p>そもそもGX-ETSでは、企業にCO₂の排出可能量を示す「排出枠」が割り当てられ、不足する場合は、他社からの購入や認められたクレジットの活用で補う仕組みになっています。<br />
今回、排出枠の上限・下限価格が当初の想定より低い水準に設定されたことで、企業は、「いつ、どのようにクレジットを調達すべきか」といった計画を再検討している段階なのだと思います。</p>
<p>また、実際の排出量の算定や検証を経て、各社の排出枠の過不足が判明するまでには一定の時間がかかります。さらに、余った枠は将来の不足に備えて繰り越せる『バンキング』が一定可能なため、過不足が見えたとしてもすぐに他社に売却されるとは限りません。こうした背景から、当面は慎重に状況を見極める企業が多く、2030年に向けて徐々に排出枠やクレジットの取引が活発化していくのではないかと見ています。</p>
<p><br />
——カーボンクレジットを創出するデベロッパーの立場から見て、変化はありますか？</p>
<p>井家：大気中のCO₂を除去し、貯留する「CDR（二酸化炭素除去）」の取り組みによって生まれる、除去系クレジットへの注目が高まっています。背景には、一部の削減系クレジットをめぐって、実際の排出削減効果やグリーンウォッシュへの懸念が指摘され、クレジットの品質や信頼性がより重視されるようになったことがあります。</p>
<p>また、科学的根拠に基づく企業の排出削減目標を認定する「SBTi」では、ネットゼロ達成時に、十分な削減を進めても残る排出量を最終的に中和する手段として、除去系クレジットの活用も認められています。こうした国際的な動きも、除去系クレジットへの需要を支える背景の一つです。</p>
<p>※SBTiでは、排出削減目標そのものをカーボンクレジットで代替することはできません。一方、ネットゼロ達成時に残る排出量については、炭素除去による中和が求められています。</p>
<p>実際に、マイクロソフトをはじめとする大手テック企業も、除去系クレジットの調達を進めています。世界的に見ても、需要の高まりを感じています。</p>
<h2 class="line">「目標を掲げる」から「どう実行するか」へ</h2>
<p>——SBTiのネットゼロ基準の改訂など、カーボンニュートラルの領域では制度もルールも変化しています。この動きをどう捉えていますか？</p>
<p>井家：世界的な基準に準拠することはもちろんですが、Green Carbonでは「ルールメーカーであれ」という考え方のもと、国内外の政府などと連携し、積極的にルール作りに参画しています。</p>
<p>例えば、日本が海外のパートナー国と協力して温室効果ガスの排出削減・吸収に取り組む「JCM（二国間クレジット制度）」があります。</p>
<p>私たちはフィリピンで、水田の水管理を行うことでメタンガスの排出を減らす取り組みを進めてきました。その削減実績をJCMのクレジットとして認証できるよう、日本・フィリピンの両政府と協議しながら、削減量の算定や認証に必要なルールの整備に関わってきたのです。その成果もあり、この認証ルールがJCMに承認され、現在はクレジットの発行に向けて取り組みを進めています。</p>
<p><br />
——Carbon EXの視点から、制度などの変化についてどう考えていますか？</p>
<p>中野：全体として、単に目標を掲げるだけでなく、取り組みの「質」や「実際の進捗状況」を重視する方向へ変化してきています。</p>
<p>これまでは、SBTiへのコミットメントを表明し、目標を設定することに重きが置かれていました。しかし今後は、その目標に沿って実際に行動しているか、進捗をどう確認・評価するかという仕組みが、より強化されていきます。また、自社の排出削減以外の貢献をどのように評価するかという点にも変化が見られます。</p>
<p>大前提として、SBTiでは、自社の事業活動やサプライチェーン（Scope1〜3）における排出削減目標の達成に、カーボンクレジットを活用することは認められていません。この原則は、今回のネットゼロ基準の改訂でも変わっていません。</p>
<p>一方で、先ほど井家さんがお話しがあったCDRによる取り組みや、その関連事業への投資などを、自社の排出削減目標とは「別枠」で評価する仕組みが設けられています。</p>
<h2 class="line">市場拡大の鍵は「信頼性」と「需要の裾野」</h2>
<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396378_3.jpg" alt="カーボンクレジット市場は、今どこまで来たのか。Green Carbon×Carbon EXが語る現在地とこれからの画像3" width="1999" height="1333" /><br />
——カーボンニュートラルやGX領域、カーボンクレジット市場において、現在見えてきている課題はありますか？</p>
<p>中野：取り組みの質や実際の進捗が評価される時代になり、排出量や削減量をより細かく、正確に追跡することが求められています。年間の集計値だけを見ると目標に届いていても、1日単位、あるいは1時間単位で見ると、実際の取り組みとデータが一致していないケースがあるからです。</p>
<p>年間集計の裏にある実態をどれだけ細かな粒度で可視化できるか。削減実績やクレジット自体の信頼性を担保するためにも、算定の解像度・精度を上げていくことが今後の大きなテーマですね。</p>
<p>井家：カーボンクレジットを創出するデベロッパーの立場から見ると、需要が一部の企業に偏っていることが課題だと感じています。</p>
<p>GX-ETSの本格稼働や海外の制度の動きによって、需要は高まっています。ただ、実際の購入に動いているのは、すでに必要性を認識している一部の顕在層に限られます。</p>
<p>その需要だけでも規模は大きいのですが、今後は、関心を持ちながらも検討段階にある企業にも活用を広げていきたいですね。さらに、中小企業など、まだ具体的な検討に至っていない企業にも活用が広まることを期待しています。</p>
<p><br />
——現状、すでにクレジットの購入や検討を進めている顕在層とはどのような企業なのでしょうか？ また、その目的も教えてください。</p>
<p>中野：Carbon EXの親会社であるアスエネで排出量算定を支援する中で、やはりクレジット購入のニーズが顕在化しているのは、GX-ETSの対象企業や排出量の大きい製造業ですね。</p>
<p>そうした企業も当然自社での削減を進めていますが、大幅な削減を目指すとなると、水素・バイオマスへの燃料転換や製造プロセスの見直しなど、時間がかかる取り組みが多くなります。だからこそ、長期的な削減を進める一方で、2030年に向けた現実的な手段としてクレジットが検討されるわけです。</p>
<p>また、もう一つの目的として増えているのが、取り組みの背景やストーリーを伝えるための活用です。特定商品のライフサイクル全体での排出や、イベント開催時の排出をクレジットで埋め合わせるといったケースですね。取引の規模としてはそれほど大きくないものの、「商品やイベントを通じてどんな環境価値を提供しているか」をメッセージとして発信することに重きを置かれています。</p>
<h2 class="line">市場を育てるには、「知る機会」を広げることから</h2>
<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396378_4.jpg" alt="カーボンクレジット市場は、今どこまで来たのか。Green Carbon×Carbon EXが語る現在地とこれからの画像4" width="1999" height="1333" /><br />
——カーボンクレジットを持続的な市場として成長させていくために、今後必要なことを教えてください。</p>
<p>中野：まずは、カーボンクレジットを取り巻く現状や今後の動向を、より多くの企業に知っていただく機会を増やすことが不可欠だと感じています。カーボンクレジット活用を含むGXは、地球温暖化という人類共通の大きな課題に向き合う取り組みであり、決して1社だけの力で推進できるものではありません。</p>
<p>だからこそ、それぞれの企業が自社の強みを生かしながら情報や課題を共有し、共通の目的に向かって協調していくことが求められます。そうしたプレイヤー（参加者）を増やし、脱炭素への取り組みを共に加速させていくエコシステムを作ることが、市場の持続的な成長につながると考えています。</p>
<p>井家：カーボンクレジットにフォーカスしていえば、品質を高め、信頼性を確保していくことが大切ですね。</p>
<p>Green Carbonでは、JAXAの衛星関連データなどの外部データやAIを活用し、クレジットの創出過程をモニタリングすることで、品質の向上に取り組んでいます。GX、カーボンニュートラルという広いテーマでは、関心を持ちながらも行動に移せていない方や、まだ具体的な検討に至っていない方に、課題を知り、取り組みを始めるきっかけを届ける必要があると考えています。</p>
<p>「興味はあるけれど、何から手を付ければいいか分からない」という方々に、最初の一歩を示したいですね。</p>
<p>中野：今回、Green CarbonとCarbon EXが「Carbon Credits Journal Forum」を共催するのも、そうしたきっかけを作るためです。是非とも多くの企業の方々に参加していただき、最新の情報に触れるとともに、互いの課題を共有できる場として活用していただければと思っています。</p>
<h2 class="line">第2回「Carbon Credits Journal Forum」を、次の行動につなげる場に</h2>
<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396378_5.jpg" alt="カーボンクレジット市場は、今どこまで来たのか。Green Carbon×Carbon EXが語る現在地とこれからの画像5" width="1999" height="1333" /><br />
——11月17日に、第2回「Carbon Credits Journal Forum」が開催されます。この取り組みが始まったきっかけを教えてください。</p>
<p>井家：第1回を開催した今年2月の時点で、大企業、スタートアップを問わず、カーボンニュートラルやカーボンクレジットに関する取り組みが進んでいることは感じていました。しかし、それが個社ごとの、点としての取り組みにとどまり、共通のストーリーとしてつながっていないことを、もったいなく思っていたのです。</p>
<p>また、国内には、カーボンクレジットに特化して情報を共有し、議論を深める場が十分にありませんでした。環境問題や脱炭素を広く扱うフォーラムはありますが、テーマが幅広い分、カーボンクレジットについて深掘りして議論をする機会は限られます。</p>
<p>中野：GXやカーボンニュートラル、カーボンクレジットは重要な経営課題でありながら、国内外で実際にどのような動きや先進事例があるのか、具体的なリアルな声を聞く機会は意外と少ないですよね。</p>
<p>井家：そこで、カーボンクレジットについてじっくり話し合い、提言につなげられる場を作りたいと考えました。大企業やスタートアップ、海外企業、自治体など、さまざまな立場の方々をつなぐハブとして、私たちGreen Carbonが役割を果たせるのではないか。そうした思いから始まったのが、「Carbon Credits Journal Forum」です。</p>
<p>第1回で好評をいただいたことを受け、第2回からはCarbon EXにも共催に加わっていただき、扱うテーマを広げるとともに、議論をさらに深めたいと考えています。政策提言や新たなイノベーション、協業につながる場にしたいという思いで、今回の開催に至りました。</p>
<p><br />
——今回の第2回「Carbon Credits Journal Forum」を、どのように活用してほしいと考えていますか？</p>
<p>中野：単にセッションを聴いて終わりにするのではなく、そこで得た気づきや視点を自社のサステナビリティ経営にどう生かせるかを考え、具体策へつなげる機会として活用していただきたいですね。</p>
<p>また今回は交流の場も設けていますので、他社のサステナビリティ推進担当者や計画策定に携わる方々と、リアルな実践事例を共有し合うことも可能です。そうした学びやつながりを、ぜひ次のアクションに結びつけていただければと思っています。</p>
<p>井家：参加を迷っている方も、ぜひ一度足を運んでいただきたいですね。大企業からも高い関心が寄せられており、課題解決に向けた共創や協業のきっかけになればと考えています。</p>
<p>カーボンクレジットは今後、経営課題としての重要性がさらに高まるとともに、新たな事業を生み出す可能性もある分野です。企業のサステナビリティ担当者や自治体、海外企業の方々はもちろん、オープンイノベーション、新規事業、経営企画などに携わる方々にも、幅広く参加していただきたいと思っています。</p>
<p>2026年11月17日（火）開催<br />
Carbon Credits Journal Forum2026の詳細はこちら<br />
<a href="https://green-carbon.co.jp/carbon-credits-journal-forum-2026/" target="_blank" rel="noopener">https://green-carbon.co.jp/carbon-credits-journal-forum-2026/</a></p>
<p>※本稿はPR記事です。</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-23T16:21:13+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		</media:content>
	</item>
	<item>
		<title>なぜ、採用は“人事だけ”では勝てなくなったのか</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396369.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396369.html</guid>
		<description><![CDATA[採用力を事業成長につなげる、リクルーティングストラテジーの正体「採用は、単に人を採る仕事ではなく、経営課題」多くの企業の採用を支援してきた、株式会社uloqoの代表取締役・関川懸介氏はそう語ります。採用市場が大きく変化した今、採用は...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><span style="font-size: 20px;">採用力を事業成長につなげる、リクルーティングストラテジーの正体</span></p>
<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396369_1.jpg" alt="なぜ、採用は人事だけでは勝てなくなったのかの画像1" width="940" height="627" /></p>
<p>「採用は、単に人を採る仕事ではなく、経営課題」</p>
<p>多くの企業の採用を支援してきた、株式会社uloqoの代表取締役・関川懸介氏はそう語ります。</p>
<p>採用市場が大きく変化した今、採用は人事部だけで完結する業務ではなく、経営や現場も巻き込んだ「企業全体の戦略」へと変わり始めているのです。</p>
<p>企業は採用をどのように設計し、成果へつなげていけばよいのでしょうか。関川氏に、uloqoが実践する「戦略型RPO」の考え方をまじえて伺いました。</p>
<h2 class="line">「経営の課題」と捉えられるかが採用の行方を左右する</h2>
<p>——以前の記事では、人事部や採用担当者だけでは人材採用が難しくなった理由や、採用活動がうまくいく企業といかない企業の差などについてお聞きしました。採用を人事部任せにしないために必要なことを教えてください。</p>
<p>何より重要なのは、経営者や経営層と採用との接続です。その必要性は、今後ますます高まっていくと考えています。</p>
<p>たとえばDXの推進は、一部の業務をデジタル化する取り組みではなく、会社全体の変革です。そのため、経営トップが方針を示し、全社を巻き込みながら進められる企業ほど、スムーズに変革を実現しています。</p>
<p>採用も同じです。採用を人事部門だけの仕事ではなく、企業の成長を左右する経営課題として捉えられている企業は、採用方針や人材要件、採用条件などについて迅速に意思決定しやすく、採用活動も前に進みやすくなります。<br />
一方で、「現場から人材要件が上がってくるから、人事が採用する」という役割分担のままでは、変化の早い採用市場に対応することは簡単ではありません。</p>
<p>経営者が採用に主体的に関わり、全社で採用を進める体制を築けるかどうか。その違いが、これからの採用成果を大きく左右していくと考えています。</p>
<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396369_2.jpg" alt="なぜ、採用は人事だけでは勝てなくなったのかの画像2" width="940" height="627" /></p>
<h2 class="line">uloqoの「戦略型RPO」とは何か</h2>
<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396369_3.jpg" alt="なぜ、採用は人事だけでは勝てなくなったのかの画像3" width="940" height="627" /></p>
<p>——採用に悩む企業を支援するうえで、uloqoが重視する「戦略型RPO」とは、どのような考え方なのでしょうか。</p>
<p>私たちが大切にしているのは、採用課題を構造的に捉え、構造的に解決することです。そのため、単なる採用業務の代行という考え方はしていません。</p>
<p>採用担当者には、大きく2つの役割があります。ひとつは、候補者とのコミュニケーションを通じて入社まで導く「営業」の役割。もうひとつは、多様化する採用チャネルや市場環境、候補者の意思決定を分析し、採用戦略を設計する「マーケティング」の役割です。</p>
<p>しかし、この2つを1人の採用担当者が高いレベルで担うことは容易ではありません。営業とマーケティングでは、求められる能力、いわば使う「筋肉」がまったく異なるからです。</p>
<p>私たちがとくに価値を提供できるのは、後者のマーケティングの領域です。これまで500社以上の採用を支援してきた実績から、「どのような企業が」「どの採用チャネルで」「どのような人材へアプローチすると」「どのような成果につながるのか」というデータと知見を蓄積しています。</p>
<p>そのため、企業が抱える採用課題を経験や勘ではなく、ファクトに基づいて分析し、最適な採用戦略や改善策を提案できることが、私たちの「戦略型RPO」の強みだと考えています。</p>
<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396369_4.jpg" alt="なぜ、採用は人事だけでは勝てなくなったのかの画像4" width="940" height="627" /></p>
<h2 class="line">サービスイン前から始まる戦略設計</h2>
<p>——それでは、「戦略型RPO」の考え方のもと、企業を支援する際には、具体的にどのようなことを行うのでしょうか。</p>
<p>まず特徴的なのは、商談の段階から採用課題に対する仮説を持っていることです。<br />
私たちは、採用状況や必要な人材だけでなく、事業内容や経営課題、競合環境なども事前に調査したうえで、「おそらく課題はここにあるのではないか」という仮説を立てて商談に臨みます。</p>
<p>その後、商談やヒアリングで得た情報に加え、お客様からお預かりした採用データを自社のAIアプリケーションで分析し、採用課題を客観的に可視化します。その結果をもとに採用戦略を設計し、運用へと移っていくのです。</p>
<p>そのため、サービスを開始する時点で、お客様の事業や職種、採用課題に対する解像度は非常に高い状態になっています。<br />
こうした進め方に驚かれることもありますが、お客様の採用を成功へ導くためには、事業や職種への深い理解が欠かせません。その理解がないままサービスを開始してしまえば、小手先の採用テクニックだけに頼った支援になってしまいます。</p>
<p>だからこそ私たちは、運用を始める前の戦略設計に最も時間をかけているのです。</p>
<p>——運用フェーズでは、どのような支援を行っているのでしょうか。</p>
<p>戦略設計の段階で、求人票の見せ方や採用チャネルの選定など、具体的な施策まで落とし込みます。その内容をもとに、担当コンサルタントが日々の採用活動を実行していきます。</p>
<p>一方で、uloqoの特徴となっているのが、責任者であるディレクターが複数のプロジェクトを横断して支援していることです。ディレクターは戦略の方向性や施策の妥当性、サービス品質を継続的に確認しながら、必要に応じて軌道修正を行い、採用成果につながる運用を支えています。</p>
<p>——多くの企業は他社との比較が難しく、自社の採用活動へ他社事例を生かす機会も多くありません。ディレクターが複数案件を横断して支援することは、企業にとって大きな価値になりそうですね。</p>
<p>そうですね。私たちがご提案する施策は、これまで支援してきた企業の採用実績や運用データをもとに組み立てています。</p>
<p>複数の企業を担当するディレクターが横断的に関わることで、ある企業で得られた知見や成功事例を、別の企業の状況に合わせて施策へ落とし込むことができます。<br />
企業単独では得ることが難しい市場の知見や他社事例を還元できることは、私たちの支援ならではの価値だと考えています。</p>
<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396369_5.jpg" alt="なぜ、採用は人事だけでは勝てなくなったのかの画像5" width="940" height="627" /></p>
<h2 class="line">データと意思で成果を生み出す</h2>
<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396369_6.jpg" alt="なぜ、採用は人事だけでは勝てなくなったのかの画像6" width="940" height="627" /></p>
<p>——採用を構造的に捉えることに加え、サービス開始時や運用の進め方にも、uloqoならではの特徴があると感じます。他のRPO企業と大きく差別化されるポイントはどこだと考えていますか？</p>
<p>RPOでは、お客様との関係性や人材紹介会社・採用媒体とのリレーションを生かした支援が行われるケースも少なくありません。<br />
もちろん、そうした要素も重要ではあるのですが、私たちは、データと構造をもとに課題を捉え、具体的な解決策まで導き出すことを重視しています。</p>
<p>たとえば、人材紹介会社や採用媒体との連携においても、私たちは「どの人材紹介会社が、どのような基準で候補者を企業へ紹介しているのか」といった情報を蓄積・分析しています。<br />
各社の特徴や運用の傾向をデータとして把握し、お客様の採用課題と照らし合わせることで、「現状の進め方では成果につながりにくい理由」や「改善すべきポイント」を、より根拠を持って提案できるのです。</p>
<p>こうしたデータは、意識して蓄積・分析しなければ「蓄積すべきデータ」として認識できず、見過ごしてしまうケースも少なくありません。<br />
私たちは、人材業界出身者だけでなく、コンサルティングファームやSIerなど、多様なバックグラウンドを持つメンバーが在籍しています。それぞれ異なる視点を持ち寄りながら、採用活動を構造的に捉え、必要なデータを積み重ねています。</p>
<p>また、意思を持ってサポート業務にあたっている点も大きく差別化されるポイントだと考えています。</p>
<p>——「意思を持ったサポート」とは、どのようなものなのでしょうか。</p>
<p>単にご依頼いただいた業務をそのまま遂行するのではなく、採用目標の達成という目的に向けて主体的に伴走することです。</p>
<p>私たちは、データや戦略だけで採用が成功するとは考えていません。実際の採用現場では、「社内の決裁が進まない」「現場の協力が得られない」など、戦略だけでは解決できない課題が数多くあります。</p>
<p>そうした状況では、お客様からの依頼をそのまま実行するだけでは、本来目指すべき成果につながらないこともあります。<br />
私たちは、単なる「御用聞き」になるのではなく、本当に採用目標を達成するために何が必要なのかを考え、必要に応じて提案や軌道修正を行うことを大切にしています。</p>
<p>データや構造を武器にしながらも、最後は成果に対して責任を持ち、泥臭く伴走する。それこそが、私たちが提供するRPOの価値だと思っています。</p>
<h2 class="line">採用を人事だけの仕事にしないために</h2>
<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396369_7.jpg" alt="なぜ、採用は人事だけでは勝てなくなったのかの画像7" width="940" height="627" /></p>
<p>——最後に、どのような企業に「戦略型RPO」を活用してほしいと考えていますか。</p>
<p>採用に課題を抱えている企業であれば、企業規模を問わず、どのような企業にもご活用いただきたいと考えています。</p>
<p>採用に苦戦している企業では、単に人材が集まらないだけでなく、現場とのパワーバランスや連携不足に悩むケースも少なくありません。現場ではいまだに「人は集まるもの」「採用担当が連れてくるもの」といった意識が残り、採用部門だけが課題を抱え込んでしまうこともあります。</p>
<p>しかし、採用市場が大きく変化した今、人事部門だけで採用を完結させることは容易ではありません。<br />
採用手法の改善だけでなく、現場との連携や社内体制の構築まで含めて伴走し、採用成果につなげていくことが私たちの役割だと考えています。</p>
<p>＊</p>
<p>人を採ることは、単に人員補充をすることではありません。</p>
<p>「どんな未来をつくる会社なのか」を問い直し、その実現に必要な人材を迎え入れる。採用は今、そんな企業の未来そのものを設計する戦略のひとつへと変化し始めています。</p>
<p>その変化をデータと意思の両輪で支える存在として、uloqoの取り組みはこれからますます注目されていくのかもしれません。</p>
<p>※本稿はPR記事です。</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-23T09:00:27+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		</media:content>
	</item>
	<item>
		<title>ヤンマー、水素専焼エンジン船で大阪湾33km航行に成功…「港がない」問題に挑むマルチ燃料戦略</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396366.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396366.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイントヤンマーが2026年9月、水素専焼エンジン搭載の内航タンカー「輝光丸」で大阪湾約33kmの実証航行に成功。LNG・メタノール・水素に部品交換で対応する「マルチフューエルデザイン」の狙いを、給水素インフラの不足、IMO...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396366_yammer.jpg" alt="ヤンマー、水素専焼エンジン船で大阪湾33km航行に成功…「港がない」問題に挑むマルチ燃料戦略の画像1" width="1225" height="850" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>ヤンマーが2026年9月、水素専焼エンジン搭載の内航タンカー「輝光丸」で大阪湾約33kmの実証航行に成功。LNG・メタノール・水素に部品交換で対応する「マルチフューエルデザイン」の狙いを、給水素インフラの不足、IMOネットゼロ規制の採択延期、中韓が受注の8割超を占める造船市場の構図から読み解く。</strong><br />
</p>
<p>　2026年9月25日、大阪湾。総トン数約4500トンの内航タンカー「輝光丸」が、水素専焼エンジンだけで約2時間、距離にして約33キロメートルを航行した。日本財団の「ゼロエミッション船プロジェクト」の一環で、エンジンを手がけたのはヤンマーホールディングス傘下のヤンマーパワーソリューション（兵庫県尼崎市）。船の改造と乗組員の教育は運航会社の上野トランステックが担った。同財団によれば、水素専焼エンジン搭載船によるカーボンニュートラル航行は世界初で、化石燃料で同じ航行をした場合に比べてCO2排出を約1.2トン減らしたという。</p>
<p>　日本経済新聞は10月16日付で、ヤンマーが水素エンジンの2030年実用化を目指し、アンモニア燃料など他の燃料も並行して開発する「全方位戦略」を取っていると報じた。</p>
<p>　明るいニュースではある。ただ、海運の現場からはこんな声も聞こえてくる。「船だけ水素対応にしても、燃料を積める港がなければ走らせようがない」。この指摘は的を射ている。そして、ヤンマーの戦略を読み解くうえでの出発点でもある。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">「卵が先か鶏が先か」――水素船を阻むインフラの壁</a></li>
	<li><a href="#second">「マルチフューエルデザイン」という回答</a></li>
	<li><a href="#third">国際ルールの不確実性が「全方位」を後押しする</a></li>
	<li><a href="#fourth">船体は中国・韓国、では「心臓部」は</a></li>
	<li><a href="#fifth">「ハード売り」から「導入の仕組みづくり」へ</a></li>
	<li><a href="#sixth">インフラを「待たない」設計という勝ち筋</a></li>
</ul>
<h2 id="first">「卵が先か鶏が先か」――水素船を阻むインフラの壁</h2>
<p>　船主は、水素を補給できる港がなければ水素船を発注しにくい。港湾や燃料供給事業者は、水素船が走っていなければ供給設備に投資しにくい。典型的な「卵が先か鶏が先か」の構図である。</p>
<p>　船は一度造れば20年以上使う。発注時の判断ミスは、そのまま長期の座礁資産リスクになる。しかも水素は扱いが難しい。液化するにはマイナス253度まで冷やす必要があり、液化水素の体積当たりのエネルギーは重油の4分の1程度にとどまる。同じ距離を走るには、より大きなタンクを積まなければならない。</p>
<p>　実際、国の「グリーンイノベーション（GI）基金」事業で進む舶用水素エンジンの陸上試験では、ジャパンエンジンコーポレーション（J-ENG）の本社工場に、70立方メートルの液化水素タンク2基を備えた専用の供給設備がわざわざ整えられた。液化水素を船に積み込むバンカリング設備は、川崎重工業が開発を進めている段階だ。</p>
<p>「船主が見ているのは燃料価格と、寄港地で確実に燃料が手に入るかの2点です。水素はそのどちらにもまだ答えが出ていない。技術が先行するのは当然ですが、普及のスピードを決めるのは港の側の投資判断になるでしょう」（航空・海事アナリスト・山崎慎一氏）</p>
<p>　政府は水素の年間供給量を2030年に300万トン、2040年に1200万トンへ増やす目標を掲げる。とはいえ、供給拠点は大規模港湾から整備が進むとみるのが自然だ。地方港や新興国の港まで行き渡るには相応の時間がかかる。水素一本に絞った船は、航路や寄港地の選択肢をみずから狭めることになりかねない。</p>
<h2 id="second">「マルチフューエルデザイン」という回答</h2>
<p>　ここでヤンマーの設計思想が意味を持つ。同社は大形舶用エンジン「6EY22ALDF」をベースに、LNG、メタノール、水素の各燃料仕様をそろえている。同社の説明では、従来のディーゼル仕様を土台とし、燃料配管やシリンダーヘッドなどの部品交換で後から燃料を切り替えられる（レトロフィット）ことを前提にした「マルチフューエルデザイン」を採用している。</p>
<p>　船主にとっての価値ははっきりしている。今はLNGやメタノールで運航し、水素の供給網が整った段階でエンジンを丸ごと換えずに転換できるなら、インフラ整備の遅れや燃料価格の変動に経営を左右されにくくなる。「どの燃料が勝つか」を当てる必要がなくなるのだ。</p>
<p>　もちろん、エンジン開発の負担は軽くない。水素は燃焼速度が速く、異常燃焼が起きやすい。高温で燃えるためNOx（窒素酸化物）も出やすい。GI基金事業でヤンマーが開発する出力800キロワットの4ストローク発電用エンジンは、単気筒試験で水素混焼率最大96％を確認したうえで、NOxを除去するSCR（選択触媒還元）装置を組み合わせる構成をとる。</p>
<p>「燃料ごとに燃え方はまったく違います。共通の基本設計で複数燃料に対応するには、燃焼制御の知見を相当積み上げなければならない。水素で難しい燃焼を制御できれば、ほかの燃料への応用もしやすくなる面はあります」（同）</p>
<p>　水素エンジンと並行して、燃料電池も手がける。ヤンマーの舶用水素燃料電池システム「GH-FC」シリーズ（出力80〜320キロワット）は2026年9月、ノルウェーの国際船級協会DNVの型式承認を取得した。日本郵船グループが建造中で2027年春に就航予定のクルーズ船にも搭載される予定だ。さらに尼崎市では、主に舶用水素エンジンの試運転に使う新工場を2029年3月ごろに稼働させる計画だ。小型船は燃料電池、中大型船はエンジン、と出口を複線化している点も、リスク分散の発想と読める。</p>
<h2 id="third">国際ルールの不確実性が「全方位」を後押しする</h2>
<p>　この戦略の合理性は、国際規制の動向を重ねるとよりはっきりする。国際海事機関（IMO）は2023年、国際海運の温室効果ガス（GHG）排出を「2050年ごろまでに実質ゼロ」とする戦略を採択した。その具体策が、燃料のGHG強度規制と排出課金を組み合わせた「ネットゼロ・フレームワーク」だ。目標を超過した船には、CO2換算1トン当たり100ドルまたは380ドルの負担を課す仕組みが盛り込まれている。</p>
<p>　ところが2025年10月の臨時会合では、米国などの反対を受けて採択の1年延期が57対49で決まった。報道によれば、審議再開は2026年12月上旬に予定されている。ルールが固まるかどうか、固まるとしていつになるのかが読めない。これが現状である。</p>
<p>　ルールが流動的な局面では、一つの燃料に賭けるより、選択肢を残しておくほうが合理的だ。完全なゼロエミッションに至るまでの10〜20年の移行期に、規制がどちらに振れても対応できるエンジンを提供できれば、それ自体が競争力になる。</p>
<h2 id="fourth">船体は中国・韓国、では「心臓部」は</h2>
<p>　造船市場の勢力図は大きく塗り替わった。英クラークソンズ・リサーチの集計によれば、2025年の新造船受注量のシェアは中国が63％、韓国が21％。日本の建造量は約900万総トン、世界シェアは13％程度にとどまる。政府は2025年末に「造船業再生ロードマップ」を示し、2035年に建造能力を1800万総トンへ倍増させる目標を掲げた。10年間で約3500億円の基金を設け、官民で約1兆円の投資を見込む。</p>
<p>　一方、船の心臓部であるエンジンでは事情が異なる。大型2ストロークエンジンの設計は、独エヴァレンス（2025年6月にMANエナジーソリューションズから社名変更）とスイスのWinGDが大きな存在感を持つ。ただし、WinGDは中国船舶集団（CSSC）の傘下にある。「エンジンは日欧が強い」という単純な見方は、すでに当てはまらない。</p>
<p>　日本勢も動いている。J-ENGは2026年9月、水素混焼率95％以上で、重油焚きと比べてGHG排出を95％以上削減する大型商船向け水素エンジンの陸上試験に成功した。2027年1月に商船三井向けの多目的船へ搭載し、2028年4月から実船での実証に入る予定だ。日本郵船、J-ENG、IHI原動機などが進める、国産エンジンでアンモニアを燃料とするアンモニア輸送船も、2026年11月の竣工を予定している。</p>
<p>「建造量で中国と正面から競うのは現実的ではありません。日本が勝負できるのは、エンジンや燃料供給システム、安全基準といった『船の中身』の領域です。ただ、中国も国家主導で次世代燃料船の開発を加速しており、技術の優位がいつまでも続く保証はありません」（同）</p>
<h2 id="fifth">「ハード売り」から「導入の仕組みづくり」へ</h2>
<p>　では、日本の舶用メーカーはどこで価値を生むのか。手がかりは、今回の実証の座組みそのものにある。輝光丸のプロジェクトでは、エンジンメーカー、船の改造と乗組員教育を担う運航会社、資金と場を提供する財団、船級協会がそれぞれ役割を分担した。水素船の普及には、エンジン単体の性能より、燃料供給システム、安全認証、船員教育までを含めた「導入の仕組み」が欠かせない。</p>
<p>　その延長線上に国際標準がある。水素燃料船の安全基準は、LNGなどに比べて国際的な整備がまだ途上だ。実船での運航実績と安全データを積み上げ、IMOや船級協会のルールづくりに反映させられるかどうか。それが、日本勢が技術を市場の主導権に変えられるかの分かれ目になるだろう。</p>
<h2 id="sixth">インフラを「待たない」設計という勝ち筋</h2>
<p>　ヤンマーの全方位戦略は、環境対応のアピールにとどまるものではない。燃料インフラも国際ルールも定まらない中で、顧客が「今」導入を決められる製品を用意する。いわば不確実性を前提にした事業設計である。</p>
<p>　むろん課題は残る。水素の調達コストは高く、供給網の整備は政策と民間投資の歩調次第だ。2030年の実用化が、すぐに大量普及を意味するわけでもない。</p>
<p>　それでも、インフラやルールが整うのを待ってから動くのでは、市場の主導権は他国に渡る。未成熟な環境でも顧客が選べる柔軟な設計をいかに用意するか。輝光丸の2時間の航行が示したのは、技術の可能性と同時に、日本の製造業が世界で戦うための一つの方法論でもある。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝山崎慎一／航空・海事アナリスト）</p>
<p style="text-align: left;">【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2026/20260930-125537.html" target="_blank" rel="noopener">日本財団 プレスリリース（2026年9月30日）：輝光丸の実証航行（9月25日、大阪湾、約2時間・約33km、CO2約1.2t削減、総トン数約4500t、パイロット着火方式の水素専焼エンジン）</a><br />
<a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF085KG0Y6A001C2000000/" target="_blank" rel="noopener">日本経済新聞「ヤンマー、水素船エンジン30年実用化へ　燃焼技術磨き『全方位戦略』」（2026年10月16日）</a><br />
<a href="https://www.yanmar.com/jp/marinecommercial/newtechnologies/alternativefuels/" target="_blank" rel="noopener">ヤンマー「代替燃料への対応」ページ：6EY22ALDF（LNG）／-M（メタノール）／-H（水素）、マルチフューエルデザイン</a><br />
<a href="https://www.yanmar.com/jp/about/company/power_solution/news/2026/02/16/161444.html" target="_blank" rel="noopener">ヤンマー 2026年2月16日発表：尼崎臨海工場（仮称）、2029年3月ごろ稼働予定</a><br />
<a href="https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000391.000034384.html" target="_blank" rel="noopener">PR TIMES（2026年9月4日）：GH-FCシリーズ DNV型式承認</a><br />
<a href="https://green-innovation.nedo.go.jp/article/h2fuel/" target="_blank" rel="noopener">NEDO GI基金「舶用水素エンジンおよびMHFSの開発」記事：ヤンマー800kW・4スト、単気筒で最大96%混焼、2030年度までの実証運航目標、液化水素供給設備（70m³×2基）</a><br />
<a href="https://www.imo.org/en/mediacentre/pressbriefings/pages/imo-net-zero-shipping-talks-to-resume-in-2026.aspx" target="_blank" rel="noopener">IMOプレスブリーフィング（2025年10月）、cargolinked.com（2026年10月13日時点の状況整理）：延期の票決57対49、再開会合は2026年12月4日予定（MEPC85で確認予定）</a><br />
<a href="https://www.jmd.co.jp/article.php?no=311591" target="_blank" rel="noopener">日本海事新聞（2026年1月13日）：クラークソンズ集計の2025年受注シェア（中国63%、韓国21%、重量トンベース）</a><br />
<a href="https://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji05_hh_000317.html" target="_blank" rel="noopener">国土交通省 報道発表（2025年12月26日）、日本海事センター資料：造船業再生ロードマップ（2035年1800万総トン、現状約900万総トン、基金約3500億円/10年、官民約1兆円）</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-21T22:45:45+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>評価額155億ドルの法務AI「Harvey」が日本上陸…海外M＆Aと契約交渉で何が変わるのか</title>
		<link>https://biz-journal.jp/economy/post_396363.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396363.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイント米法務AI企業Harveyが2027年初頭に東京オフィスを開設する。評価額155億ドル、85カ国以上・3,500超の顧客を持つ同社は、Legalscapeとの提携で日本法への対応を固めたうえで日本市場に入る。海外M＆...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396363_harvey.jpg" alt="評価額155億ドルの法務AI「Harvey」が日本上陸…海外M＆Aと契約交渉で何が変わるのかの画像1" width="1286" height="850" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>米法務AI企業Harveyが2027年初頭に東京オフィスを開設する。評価額155億ドル、85カ国以上・3,500超の顧客を持つ同社は、Legalscapeとの提携で日本法への対応を固めたうえで日本市場に入る。海外M＆Aのデューデリジェンスや英文契約、新規事業の規制調査はどこまで速くなるのか。LegalOnなど国内勢の動きを踏まえ、法務SaaSが選ばれる3つの条件を解説する。</strong><br />
</p>
<p>　米国の法務AI企業Harvey（ハーヴィー）が、2027年初頭に東京オフィスを開設する。同社が2026年10月12日に発表した。リーガルテックはこれまで「契約書チェックの効率化」という文脈で語られることが多かった。だが論点は、コスト削減から事業のスピードへと移りつつある。海外展開と新規事業という2つの現場から、その変化と限界を整理したい。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">「黒船」は日本法への接続を整えてから来た</a></li>
	<li><a href="#second">海外展開の「法務の待ち時間」はどこまで縮むか</a></li>
	<li><a href="#third">新規事業とB2B取引で何が変わるか</a></li>
	<li><a href="#fourth">「一強か、国産の反撃か」では捉えきれない</a></li>
	<li><a href="#fifth">これから選ばれる法務SaaSの3つの条件</a></li>
	<li><a href="#sixth">問われるのは「浮いた時間の使い道」</a></li>
</ul>
<h2 id="first">「黒船」は日本法への接続を整えてから来た</h2>
<p>　Harveyは2022年に米サンフランシスコで創業した。初期にOpenAIのファンドから出資を受けたことで知られる。資金調達のペースは速い。2026年3月に評価額110億ドルで2億ドル、9月には5億ドルを超える額を調達し、評価額は155億ドルに達した(同社発表)。利用顧客は85カ国以上、3500を超えるという。</p>
<p>　日本では2024年に森・濱田松本法律事務所と提携した。東京オフィスの開設発表では、長島・大野・常松法律事務所や三菱商事の法務部門も顧客として名前が挙がっている。</p>
<p>　見落とせないのは、上陸の直前に打った一手だ。10月1日、日本法のリーガルリサーチを手がける国内のLegalscapeとの提携を発表した。Harvey上で日本の法令や判例などの法情報を参照できるようにするもので、森・濱田松本が仲立ちした。汎用的な推論力だけでは日本の法実務には入り込めない。その前提を踏まえた参入と読むのが実態に近いだろう。</p>
<p>　もう一つ確認しておきたいのは、Harveyの主戦場が大手法律事務所と大企業の法務部門だという点だ。中堅企業やスタートアップにとっては、自社が導入するより先に、依頼する法律事務所の仕事の進め方が変わる、という形で影響が及ぶ可能性が高い。</p>
<h2 id="second">海外展開の「法務の待ち時間」はどこまで縮むか</h2>
<p>　海外展開の壁として、まず挙がるのは人の問題だ。ジェトロの「2025年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」では、海外展開を担う人材が「不足している・確保できていない」と答えた企業が9割近くに上った。法務はその不足がとりわけ目立ちやすい領域だ。現地の規制調査、英文契約のレビュー、準拠法や紛争解決条項の交渉。中堅企業では、これらの大半を時間単価制の外部弁護士に頂るケースが少なくない。</p>
<p>　生成AIが効くのは、このうち「一次作業」の部分だ。多言語の契約書から論点を抽出し、自社の標準条件との差を示す。現地規制の概要を整理する。M＆Aの法務デューデリジェンス(DD)で、データルームに並ぶ大量の文書を分類し、チェンジ・オブ・コントロール条項のような要注意の条項に旗を立てる。人が数週間かけていた粗い仕分けをAIが先に済ませ、弁護士は判断が必要な箇所に時間を使う。この分業が成り立てば、提携や買収の検討を始めてから意思決定までの期間は確実に短くなる。</p>
<p>　ただし、「数カ月が数日になる」と一律に言える段階にはない。交渉には相手がいるし、現地法の最終判断はその国の資格を持つ弁護士の仕事だ。AIがもっともらしい誤りを出すリスクも残る。縮むのは主に「調べる」「読む」時間であり、「決める」時間ではない。</p>
<p>「クロスボーダー案件で時間を食うのは、実は法的判断そのものより、判断の前提をそろえる作業です。そこが短くなれば、依頼者に『この条件なら進められる』と返せるまでの日数は変わる。一方で、AIの出力を検証せずに使える場面はまだありません」（証券アナリスト・堀野剛志氏）</p>
<h2 id="third">新規事業とB2B取引で何が変わるか</h2>
<p>　ルールが固まりきらない市場、たとえば生成AI、ヘルスケア、デジタル資産では、事業の設計と法的検討を切り離せない。法令、省庁のガイドライン、パブリックコメントへの回答、過去の照会事例。こうした資料を横断して論点を整理する作業は、AIが得意とするところだ。事業スキームのたたき台を早くつくれれば、「グレーゾーン解消制度」のような公的な確認手続きにも早く進める。</p>
<p>　ここでも線引きは必要だ。AIが示すのはあくまで論点の地図であり、適法性のお墨付きではない。日本では、法務省が2023年8月にAIによる契約書審査サービスと弁護士法72条（非弁護士の法律事務の取扱い禁止）との関係について考え方を公表している。ツールを導入すれば弁護士の関与が不要になる、という構図にはなっていない。</p>
<p>　もう一つの変化は、日常的なB2B取引に現れる。自社が許容できる条件を「プレイブック」として整理しておけば、AIが相手方の修正案に対する対案を下書きできる。法務の確認待ちで商談が止まる日数が減れば、契約締結から売上計上までの時期も前にずれる。理屈の上では資本効率にも効く話だが、前提はプレイブックを自社で書き上げられるかどうかだ。「どこまでなら譲れるか」を言語化できていない企業では、AIは力を発揮しにくい。</p>
<p>「導入して最初にぶつかるのは、ツールの精度よりも自社の判断基準が文書になっていないことです。担当者の頭の中にある基準を書き出す作業が、結果として法務の属人化を解くことにもなります」（同）</p>
<h2 id="fourth">「一強か、国産の反撃か」では捉えきれない</h2>
<p>　Harveyの強みははっきりしている。豊富な資金、最先端の基盤モデルを法務向けに仕立てる開発力、そして世界の大手法律事務所との取引実績だ。英米法が絡む国際案件では、この蓄積がそのまま強みになる。</p>
<p>　一方、国内勢も独自の地盤を築いてきた。LegalOn Technologiesは、同社サービスのグローバルでの有償導入社数が2026年7月末に9000社を超えたと発表している。2025年10月にはARR(年間経常収益)100億円を突破。米国にも拠点を持ち、2026年には営業や人事の分野にもサービスを広げた。法務で培った「文書を審査する技術」を、企業の他の業務へ移植している形だ。</p>
<p>　ただ、この市場を「外資対国産」の二項対立で見ると、実態を見誤る。Legalscapeが競合ではなく提携を選んだことが、それを示している。日本法の信頼できるデータを持つ企業と、汎用的な推論力を持つ企業が、層を分けて組む。今後もこうした提携は増えるとみるのが自然だ。</p>
<p>　国内勢の強みは、稟議や承認フロー、和文契約の習慣、弁護士法72条をめぐる整理といった、日本の現場に深く入り込んだ運用部分にある。外資系にとっては、ここが短期には埋めにくい。逆に国内勢が海外で戦うときは、英米法の知見とブランド力で先行大手に挑むことになる。各社がどの層で、どの顧客層を押さえるか。市場の形はそこで決まっていく。</p>
<p>「法務AIの競争軸は、モデルの賢さから『どの法情報につながっているか』と『どの業務に組み込まれているか』に移っています。層ごとに勝者が分かれる可能性の方が高いでしょう」（同）</p>
<h2 id="fifth">これから選ばれる法務SaaSの3つの条件</h2>
<p>　ここまでの動きを踏まえると、企業が法務SaaSを選ぶ基準は次の3点に集約されていくと考えられる。</p>
<p>1. 業務を「点」ではなく「線」で押さえているか。 契約書レビューは、取引の検討から締結、管理、更新まで続く流れの一部にすぎない。生成AIによってレビュー自体が差別化しにくくなるほど、事業部門とのやり取り、承認、契約管理までを一続きで扱えるかが重みを増す。</p>
<p>2. 複数の言語と法域を前提に設計されているか。 海外取引がある企業では、和文契約と英文契約で別々のツールを使うこと自体が非効率になる。国内の顧客だけを視野に入れた製品は、中堅企業の海外展開が進むほど使い場面が狭まる。</p>
<p>3. 判断の根拠をたどれるか。 AIの回答がどの条文や判例、どの社内基準に基づくのかを、弁護士や経営陣がすぐに確かめられること。最終的な責任を負うのが人である以上、精度と同じくらい、検証のしやすさが問われる。日本法の一次情報との接続がこれほど重視されているのも、そのためだ。</p>
<h2 id="sixth">問われるのは「浮いた時間の使い道」</h2>
<p>　法務AIの導入効果は、これまで削減できた工数や外部弁護士費用で測られることが多かった。それ自体は大事な指標だ。ただ、Harveyの上陸と国内勢の領域拡大が重なるこれからの数年は、別の問いが前に出てくる。浮いた時間を、海外案件や新規事業の検討に振り向けられたかどうかだ。</p>
<p>　そのために必要なのは、最新のツールよりも、自社の判断基準を言語化すること、AIの出力を検証できる人材を持つこと、そして責任の所在を曖昧にしない運用だ。法務AIは日本企業が海外や新市場に挑む際の有力な支えになりうる。それを事業の速度に変えられるかどうかは、使う側の準備にかかっている。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝堀野剛志／証券アナリスト）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://www.harvey.ai/blog/harvey-to-open-tokyo-office" target="_blank" rel="noopener">Harvey to Open Tokyo Office(Harvey、2026年10月12日):東京オフィス開設、日本の顧客、Legalscape提携、85カ国・3500顧客</a><br />
<a href="https://www.harvey.ai/blog" target="_blank" rel="noopener">Harvey Raises $550M at a $15.5B Valuation(Harvey、2026年9月9日)</a><br />
Legalscapeニュース(2026年10月1日発表)<br />
LegalOn Technologies 会社案内・沿革:ARR100億円突破(2025年10月)、営業・人事領域への展開<br />
LegalOn Technologies プレスリリース(2026年8月4日):有償導入社数9000社突破<br />
ジェトロ ニュースリリース(2026年2月12日):2025年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査<br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-21T22:23:13+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[経済]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>JR東日本「teppay」はPayPay対抗ではない…4500万枚のSuica基盤で狙う経済圏の再設計</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396355.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396355.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイントJR東日本は2026年10月20日、モバイルSuicaアプリの中で使えるコード決済「teppay」を始めた。JCBの「Smart Code」によって全国170万か所以上の加盟店を確保し、4,500万枚を超えるモバイル...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396355_teppay.jpg" alt="JR東日本「teppay」はPayPay対抗ではない…4500万枚のSuica基盤で狙う経済圏の再設計の画像1" width="1280" height="850" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>JR東日本は2026年10月20日、モバイルSuicaアプリの中で使えるコード決済「teppay」を始めた。JCBの「Smart Code」によって全国170万か所以上の加盟店を確保し、4,500万枚を超えるモバイルSuicaに新しいアプリなしで組み込んだ。Suicaの2万円上限を補う最大30万円の決済や、地域限定バリュー「バリチケ」を軸に、後発参入の戦略と課題を解説する。</strong><br />
</p>
<p>　10月20日、JR東日本はモバイルSuicaアプリの中で使えるコード決済「teppay（テッペイ）」の提供を始めた。PayPayの登録ユーザーは7,500万人を超えている（2026年8月、同社発表）。そこに今からコード決済で入って勝ち目はあるのか。そう感じる人は少なくないだろう。</p>
<p>　ただ、公表資料と発表会での説明を追っていくと、JR東日本はPayPayと同じ土俵で正面からぶつかろうとはしていない。狙いは、モバイルSuicaという既存のインフラの弱点を埋めることと、自社の経済圏から決済が外へ流れ出るのを止めることにある。本稿では機能の紹介から一歩引いて、この参入を事業戦略として読み解いてみたい。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">加盟店網は「借りる」――Smart Codeを採用した意味</a></li>
	<li><a href="#second">「アプリの壁」をなくす――4,500万枚の基盤をどう使うか</a></li>
	<li><a href="#third">PayPayから奪うのではなく、取りこぼしを止める</a></li>
	<li><a href="#fourth">地域にとっての「選ぶ理由」――バリチケの可能性と課題</a></li>
	<li><a href="#fifth">課題を含めて見る、「生活のデバイス」への転換</a></li>
</ul>
<h2 id="first">加盟店網は「借りる」――Smart Codeを採用した意味</h2>
<p>　コード決済の立ち上げで一番重いのは、加盟店の開拓だ。PayPayは2018年のサービス開始以降、大規模な営業体制で店舗を一軒ずつ開拓してきた。</p>
<p>　teppayはこの工程の多くを省いている。JCBのコード決済スキーム「Smart Code」に乗ることで、開始時点から全国170万か所以上（2026年3月末時点）で使える。Smart Codeは、決済事業者と店舗のあいだをJCBの決済情報処理センターがつなぎ、加盟店契約を一本化する仕組みだ。</p>
<p>　一方、自社グループの施設は自前で固めた。ルミネ、ニュウマン、アトレ、エキュート、グランスタといった駅ビル・エキナカのほか、大手コンビニや家電量販店も対応先として公表されている。2027年3月末までに申し込んだ新規加盟店には、決済手数料を最大12カ月無料にするキャンペーンも用意した。</p>
<p>「後発のコード決済が加盟店網を一から作るのは、コストの面でも時間の面でも現実的ではありません。&#8221;使える場所&#8221;は共通の仕組みで早めに確保し、差別化は自社の顧客接点でつくる。限られた経営資源の配分としては筋が通っています」（決済インフラに詳しい金融アナリスト・川﨑一幸氏）</p>
<h2 id="second">「アプリの壁」をなくす――4,500万枚の基盤をどう使うか</h2>
<p>　利用者にとって最初の関門は、新しいアプリを入れて登録することだ。teppayは単体のアプリを出さず、モバイルSuicaアプリの一機能として組み込まれた。既存の利用者はアプリを最新版に更新し、規約に同意すれば使い始められる。モバイルSuicaは4,500万枚以上が発行されており、2027年春にはモバイルPASMOでも使えるようになる予定だ。</p>
<p>　ただ、見落とされがちな点もある。改札を通るとき、多くの人はSuicaアプリを開いていない。スマートフォンをかざすだけで済むからだ。「毎日使われているSuica」と「毎日開かれているアプリ」は、イコールではない。</p>
<p>　teppay残高からSuicaやPASMOへチャージできるようにしたこと、アプリ上でクーポンやキャンペーンを案内する方針を示したことは、アプリを開く理由を増やす手立てと読める。同社は2031年度にモバイルSuicaを7,000万枚にする目標を掲げており、2028年度には「Suicaアプリ（仮称）」を出すことも予告している。</p>
<h2 id="third">PayPayから奪うのではなく、取りこぼしを止める</h2>
<p>　Suicaの残高上限は2万円だ。日々の少額決済には足りても、家電やホテル代、まとまった額の土産物には届かない。駅ビルで高額の買い物をする客がそこで他社の決済に切り替えれば、決済データも手数料収入もグループの外へ出ていく。</p>
<p>　teppayでは、マイナンバーカードで本人確認をすると残高で最大30万円まで払える。ビューカードを紐付ければ事前のチャージなしに、カードの利用限度額まで支払える。改札と少額決済はタッチのSuica、2万円を超える支払いや家族への残高の受け渡しはteppay、という分担が一つのアプリの中で成り立つ。</p>
<p>　発表会で髙松奈帆人・決済・金融事業部長は、コード決済そのもので勝負するというより、Suicaを便利にするための位置付けだと説明した（ペイメントナビ報道）。利用者にPayPayからの乗り換えを求めるのではなく、自社の顧客が自社の経済圏の中で決済を済ませられるようにする。そう整理すれば、参入の動機は見えやすい。</p>
<p>「交通系ICの強みは、移動という頻度の高い行動を押さえていることです。そこに高額消費のデータが重なれば、どの駅を使う人が、どこで何にお金を使っているのかが見えてくる。長い目で見れば、決済手数料よりも、データと送客の力の方が意味は大きいでしょう」（同）</p>
<p>　実際、同社はSuicaの移動データに、これまで扱えなかった高額の購買データを加え、新たな価値につなげる考えを示している。</p>
<h2 id="fourth">地域にとっての「選ぶ理由」――バリチケの可能性と課題</h2>
<p>　teppay独自の機能として注目されるのが、地域限定バリュー「バリチケ」だ。特定の地域や店舗でteppay残高と組み合わせて使えるデジタルチケットで、2025年11月の発表時には、自治体のプレミアム商品券やキャッシュレス還元事業との連携が想定として示された。</p>
<p>　対象の地域や店舗を絞って価値を配れる点は、地域経済の担い手にとって魅力になりうる。鉄道の利用と結びつけた観光施策も考えられるだろう。ただ、現時点で具体的な事例は公表されておらず、公式サイトのバリチケ一覧も「coming soon」のままだ。自治体との連携キャンペーンではPayPayがすでに多くの実績を持つ。移動と結びついているという独自性を、どこまで具体的な施策に落とし込めるかが問われることになる。</p>
<p>「自治体が求めているのは、配った予算が地域の中で使われて、その効果を検証できることです。移動データと組み合わせて来訪者の動きまで追えるなら、政策評価の手段として価値があります。ただし個人データの扱いについて、利用者が納得できる説明をすることが前提です」（同）</p>
<h2 id="fifth">課題を含めて見る、「生活のデバイス」への転換</h2>
<p>　課題もはっきりしている。teppay残高で払ったときの還元は0.5%で、ポイントの面で既存のサービスを大きく上回るわけではない。30万円まで使うにはマイナンバーカードでの本人確認が必要で、紐付けられるクレジットカードはビューカードに限られる。また、交通系ICの加盟店とteppayの加盟店は別扱いで、Suicaが使える店でteppayも使えるとは限らない。開始記念の20%還元（上限5,000ポイント、11月4日〜12月25日）が終わったあと、どれだけの人が使い続けるか。そこが最初の試金石になる。</p>
<p>　それでも、今回の参入を「遅れてきたコード決済」とだけ見るのは一面的だろう。JR東日本は、Suicaを「移動と少額決済のデバイス」から「生活のデバイス」へ変える方針（Suica Renaissance）を掲げている。teppayは、その構想に欠けていた高額決済と残高の受け渡しを補う部品にあたる。</p>
<p>　自社の強みである顧客接点はそのまま生かし、手薄なところは外部の共通基盤を借りる。新規事業の立ち上げ方として見れば、業種を問わず参考になる設計だ。成否がはっきりしてくるのは、キャンペーン後の利用の定着と、バリチケを使った地域施策が実際に動き出す2027年以降になりそうだ。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝川﨑一幸／金融アナリスト）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://www.jreast.co.jp/press/2026/20261006_ho03.pdf" target="_blank" rel="noopener">JR東日本 プレスリリース（2026年10月6日）</a><br />
<a href="https://paymentnavi.com/paymentnews/183785.html" target="_blank" rel="noopener">ペイメントナビ（2026年10月20日 発表会レポート）</a><br />
<a href="https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2065890.html" target="_blank" rel="noopener">Impress Watch（2025年11月25日）</a><br />
<a href="https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2610/07/news044.html" target="_blank" rel="noopener">ITmedia Mobile（2026年10月7日 利用可能店舗）</a><br />
<a href="https://www.teppay.jp/guide/valueticket" target="_blank" rel="noopener">teppay公式 バリチケ</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-21T19:41:12+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>国内初の「森林ファンド」、1000億円で何が変わるのか…金融・商社・ゼネコンが協議する投資の中身</title>
		<link>https://biz-journal.jp/economy/post_396359.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396359.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイント投資ファンドのアドバンテッジパートナーズは2026年10月21日、国内森林への投資戦略を発表した。日経報道では2027年春にファンドを設立し、5〜7年で1000億円規模を投じる。三井住友信託銀行や丸紅などと協議し、分...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396359_forest.jpg" alt="国内初の「森林ファンド」、1000億円で何が変わるのか…金融・商社・ゼネコンが協議する投資の中身の画像1" width="1230" height="850" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>投資ファンドのアドバンテッジパートナーズは2026年10月21日、国内森林への投資戦略を発表した。日経報道では2027年春にファンドを設立し、5〜7年で1000億円規模を投じる。三井住友信託銀行や丸紅などと協議し、分散した森林を集約して木材とカーボンクレジットで収益化を狙う。所有の細分化や時間軸のずれといった課題も解説する。</strong><br />
</p>
<p>　国土の約3分の2を森林が占める日本で、民間マネーによる大型の森林投資が動き出そうとしている。投資ファンド大手のアドバンテッジパートナーズ（AP）は10月21日、国内の森林を対象とする「自然資本投資戦略」を始めると発表した。日本経済新聞の報道によれば、2027年春にもファンドを設立する。当初は200億円で始め、5〜7年で1000億円規模の投資を目指すという。森林に特化した大型ファンドは国内初となる。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">資源はあるのに、お金にならない</a></li>
	<li><a href="#second">なぜ投資ファンドなのか</a></li>
	<li><a href="#third">異業種がそれぞれ持ち込むもの</a></li>
	<li><a href="#fourth">スマート林業は「人を守る」話でもある</a></li>
	<li><a href="#fifth">政策の追い風と、三つの課題</a></li>
	<li><a href="#sixth">「放置林」は誰の問題か</a></li>
</ul>
<h2 id="first">資源はあるのに、お金にならない</h2>
<p>　林野庁によると、日本の森林面積は約2500万ha。戦後に植えた人工林の6割超が樹齢50年を超え、伐って使える時期に入った。資源量は過去最大の水準にある。</p>
<p>　それでも林業は長く苦しい産業だった。2024年の木材自給率は42.5％。2割を下回った2000年代初頭からは持ち直したものの、半分以上を輸入材に頼る構図は変わっていない。2025年のスギ丸太の年平均価格は1立方メートル当たり1万5400円で、前年より500円下がった。</p>
<p>　もっと根深いのは所有の問題だ。1人あたりの所有面積が小さく、所有者が山から離れて暮らす「不在村化」や高齢化も進む。相続のたびに権利者が増え、境界がはっきりしない山も少なくない。まとまった面積で計画的に伐って植える経営が成り立たないため、木はあってもお金に換わらない。APの発表資料は、この状態を「蓄積は経済価値に結び付いていない」と書いている。</p>
<h2 id="second">なぜ投資ファンドなのか</h2>
<p>　APは1997年に国内初のプライベートエクイティ（PE）ファンドを設立した、この分野の草分けだ。今回の戦略では、分散した森林の権利を取得・集約し、データで管理を標準化する。そのうえで木材とカーボンクレジットの二本立てで収益を上げる。</p>
<p>　目標に掲げるのは「機関投資家が投資可能な新たなアセットクラス」の確立だ。森林は円建ての長期の実物資産で、木材販売という実体のあるキャッシュフローを持つ。年金や生命保険のように長期の負債を抱える投資家とは、もともと相性がいい。</p>
<p>　海外には前例がある。米国では1980年代以降、年金基金などの資金を林地に振り向ける森林投資管理会社（TIMO）が育った。林地は不動産やインフラと並んで、オルタナティブ投資の一角を占めてきた。日本で同じことが起きなかったのは、森が細かく分かれすぎていて投資の単位にならなかったからだ。森林経済学に詳しい経済アナリスト・峯恵太氏はこう語る。</p>
<p>「海外の林地投資は、数千〜数万ha規模の森をまとめて保有できることが前提です。日本では、1人の所有者の山が数haということも珍しくない。成否を分けるのは利回りの計算より前に、どれだけの面積を合意のうえでまとめられるかです」</p>
<h2 id="third">異業種がそれぞれ持ち込むもの</h2>
<p>　APは協働を目指す企業として、三井住友信託銀行、東京センチュリー、丸紅の3社を挙げた。さらに三菱UFJ銀行、大林組、九州電力とも協議を進めるとしている。</p>
<p>　資料に書かれた役割分担は具体的だ。三井住友信託銀行は、森林信託とTNFD（自然関連財務情報開示タスクフォース）対応の知見を持ち込む。丸紅は林業の知見と販路、森林由来クレジットを組成する力を出す。大林組は木造・木質化建築での国産材の活用について知見を共有し、九州電力は森林経営管理やクレジットの創出で協業する。</p>
<p>　金融は新しい運用先を、商社は木材とクレジットの商流を求めている。建設会社は中大規模の木造建築に必要な国産材の安定調達を、電力会社は脱炭素の手段を求めている。それぞれの利害が「森林」で重なったと見るのが自然だろう。企業に自然関連の情報開示を促すTNFDの枠組みが広がり、自然資本を「測って示す」必要が増していることも、時期を後押ししている。</p>
<p>　ただし資料には「協議の結果、協働を実施しない・内容を変更する等の可能性があります」とも明記されている。参加企業も出資額も、まだ確定したわけではない。</p>
<h2 id="fourth">スマート林業は「人を守る」話でもある</h2>
<p>　戦略のもう一つの柱がデータだ。集約した山では、デジタルツールで1本ずつ木を調べる「毎木調査」を行い、立木（伐採前の木）のデータベースを作る。3D計測やAIを手がけるマプリィ、OWL、木材流通の森未来、林業DXのテミクス・グリーンといったスタートアップとも、業務提携に向けて協議する。</p>
<p>　背景には現場の厳しさがある。林業従事者は2020年時点で約4.4万人。労働災害の起きやすさを示す死傷年千人率は23.3（2024年）で、全産業平均2.3の約10倍に達する。伐る木をデータで事前に選び、機械化で危険な作業を減らすことは、生産性を上げると同時に人を守ることにもつながる。</p>
<p>　目を引くのは、作業を地域の森林組合や林業事業体に任せ、山林の所有も「地域に残すことを基本」とした点だ。外部の資本が山を買い占めるのではない。資金と経営ノウハウを入れて、地元の担い手を強くする。少なくとも設計上は、そう読める。</p>
<p>「現場で一番困るのは、伐った後に植える費用が出ないことです。苗木代と何年も続く下刈りで、立木の売り上げが消えてしまう山もある。外の資金が再造林まで面倒を見る仕組みになれば、所有者の『伐ったら終わり』という感覚は変わるかもしれません」（同）</p>
<h2 id="fifth">政策の追い風と、三つの課題</h2>
<p>　制度面の追い風もある。2026年4月に施行された改正森林経営管理法では、地域の関係者が「集約化構想」をつくって森林をまとめる仕組みができた。6月に閣議決定された新しい森林・林業基本計画は、林業経営体に集める民有林の人工林を2030年に210万haとし、2023年比で3割増やす目標を掲げる。民間ファンドの動きは、こうした政策の方向とも重なる。</p>
<p>　再造林にも改善の兆しが見える。令和7年度の森林・林業白書は、新しい推計方法で見ると、主伐（伐期を迎えた木の伐採）の面積に対して植林された面積は5〜6割程度になると示した。裏を返せば、伐採跡地の4〜5割では植林が行われていないことになる。</p>
<p>　一方で、課題は大きく三つある。</p>
<p>　一つ目は時間軸のずれだ。スギが伐期を迎えるには40〜50年程度かかる。これに対し、一般的なPEファンドの運用期間は10年前後とされる。伐期を迎えた人工林が多い今は収益を上げやすい。しかし、いま植えた木が育つ頃に、今の投資家はもういない。誰が、いつ、どの価格で持ち分を引き継ぐのか。出口の設計が問われる。</p>
<p>　二つ目は、収益源の価格が動くリスクだ。木材価格は横ばいから弱含みが続き、カーボンクレジットの価格も制度設計や企業の需要に左右される。二本の柱のどちらも、安定しているとは言い切れない。</p>
<p>　三つ目は、合意を取りつけるコストだ。所有者一人ひとりとの交渉、境界の確定、相続で増えた権利者の整理が要る。APの責任者は「森林投資は数十年、数百年単位の事業」とコメントしている。お金より時間と手間がかかる仕事である。</p>
<p>「機関投資家が求めるのは、評価の方法が透明で、毎年の数字を説明できることです。立木データベースや、投資が生む効果の測定・開示が、どこまで第三者に検証できる形で出てくるか。そこが、国内の森林を資産クラスとして認めるかどうかの分かれ目になるでしょう」（同）</p>
<h2 id="sixth">「放置林」は誰の問題か</h2>
<p>　今回の構想は、森林を環境貢献の対象としてだけでなく、収益を生む資産として扱い直す試みだ。同時に、水を蓄える力や災害を防ぐ力、生物多様性といった森の公益的な機能を、誰がどう費用を負担して守るのかという問いも突きつける。2024年度からは、国民1人あたり年1000円の森林環境税の徴収も始まった。公的資金と民間資金の役割をどう分けるかは、今後の大きな論点になる。</p>
<p>　ビジネスの視点で見ると、この枠組みは異業種連携の一つの型を示している。1社では採算の合わない社会課題でも、資金、商流、需要、技術を持つ企業が集まれば、事業として組み立てられる余地がある。ただ、それを最後に支えるのは、地域で山を見て木を伐る人たちだ。</p>
<p>　1000億円は、2500万haの森全体から見れば決して大きな額ではない。それでも、これまで「動かせなかった資産」を動かす最初の事例になれるかどうか。2027年春の設立に向けて、具体的な体制と最初の対象地域が示されるのを待ちたい。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝峯恵太／経済アナリスト）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://www.advantagepartners.com/news/20261021-2/" target="_blank" rel="noopener">アドバンテッジパートナーズ「国内森林を対象とする自然資本投資戦略を始動」（2026年10月21日）</a><br />
<a href="https://www.rinya.maff.go.jp/j/press/kikaku/" target="_blank" rel="noopener">林野庁「令和6年（2024年）木材需給表」の公表について</a><br />
<a href="https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r7hakusyo_h/all/tokusyu3_1.html" target="_blank" rel="noopener">林野庁 令和7年度 森林・林業白書 特集 第3節 再造林推進に向けた取組（1）</a><br />
<a href="https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/" target="_blank" rel="noopener">林野庁 令和7年度 森林・林業白書（スギ丸太価格、林業従事者数）</a><br />
<a href="https://www.rinya.maff.go.jp/j/routai/anzen/" target="_blank" rel="noopener">林野庁 林業労働災害の現況（死傷年千人率）</a><br />
<a href="https://www.rinya.maff.go.jp/j/press/kikaku/260605.html" target="_blank" rel="noopener">農林水産省「森林・林業基本計画」閣議決定資料（2026年6月5日）</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-21T21:25:25+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[経済]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>貿易DXの壁となる属人化をどう解消するか　「Trade Hub」が支える業務標準化</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396347.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396347.html</guid>
		<description><![CDATA[日本企業でDX推進が加速する一方、貿易実務の現場では、社内外とのやり取りが今もExcel、メール、PDFを中心に行われている。相手国や商材、取引条件ごとに必要な書類や手順が変わるため、個別判断が増え、業務は担当者の経験に依存しやすい。こう...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396347_kimura.jpg" alt="貿易DXの壁となる属人化をどう解消するか　「Trade Hub」が支える業務標準化の画像1" width="1274" height="850" /></p>
<p>日本企業でDX推進が加速する一方、貿易実務の現場では、社内外とのやり取りが今もExcel、メール、PDFを中心に行われている。相手国や商材、取引条件ごとに必要な書類や手順が変わるため、個別判断が増え、業務は担当者の経験に依存しやすい。こうした状況が、業務手順の統一やデータ活用を阻む壁となっている。</p>
<p>貿易業務のDXを支援する双日テックイノベーションは、貿易現場でDXが進まない理由を探るため、2026年5月に実務担当者・管理者2060人を対象にインターネット調査を実施し、その結果を「貿易業務白書2026」として公開。調査からは、現場が業務改善を望む一方で、社内の合意形成や推進体制が十分に整わず、DXの取り組みが前に進みにくい実態が見えてきた。</p>
<p>本記事では、同社事業開発部副部長の木村悦治氏に、「貿易業務白書2026」から浮かび上がった貿易現場の課題や、属人化・ブラックボックス化が生まれる背景を聞いた。あわせて、貿易DXサービス「Trade Hub」によって、業務の可視化や標準化をどのように進められるのかを探る。</p>
<h2 class="line">国境をまたぐ実務が招く、貿易業務の属人化</h2>

<figure class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396347_kimura2.jpg" alt="貿易DXの壁となる属人化をどう解消するか　「Trade Hub」が支える業務標準化の画像2" width="1200" height="800" /><figcaption class="wp-caption-text">双日テックイノベーション 事業開発部副部長 木村悦治氏</figcaption></figure>

<p><strong>──貿易実務で、デジタル化が進みにくい背景を教えてください。</strong></p>
<p>国境をまたぐ貿易業務では、相手国の制度や規制、商材ごとの関税・必要書類、取引先ごとの商慣習など、取引のたびに異なる条件への対応が求められます。</p>
<p>こうした複雑さから、基幹システムを導入する大手企業であっても、貿易業務に必要な機能を十分に組み込めているケースは限られます。多額の費用をかけて機能を追加しても、一つのシステムですべての取引パターンをカバーすることは、容易ではないのが実情です。</p>
<p>その結果、基幹システムには最終的な取引結果のみを登録し、それまでに発生する書類作成や内容確認、関係者との調整といった膨大な貿易業務は、別の仕組みで管理するケースが多くなっています。</p>
<p>貿易では紙やPDFの書類が関係者間を行き交う場面も多く、書類の内容を確認しながら、必要な情報をExcelの台帳などに転記して業務を進めている企業も少なくありません。</p>
<p><strong>──「貿易業務白書2026」では、「特定の担当者しか手順を把握していない」が43.6％、「イレギュラー対応が文書化されていない」が42.6％と、属人化の実態が浮かび上がっています。熟練者の知見が個人にとどまることで、どのような問題が生じますか。</strong></p>
<p>国際取引にはインコタームズ（貿易条件に関する国際ルール）のような共通ルールがあるものの、国や取引ごとの差異が大きく、個別業務まで十分に標準化された「型」はありません。そのため、国や取引先ごとに担当者が固定され、ノウハウが個人に紐づきやすくなります。今も、「生き字引」のような有識者が一人いて、何かあればその人に聞く状態になっている企業があります。担当者が不在になれば業務が滞り、本人も急に休みにくくなりますし、別の人が対応すれば、事故やミスにつながるリスクも高まるでしょう。</p>
<p>手順書を作成している企業もありますが、そこに記されるのはExcel上の操作方法や作業手順の説明が中心です。「何を確認するための業務なのか」といった、判断の目的や背景まで残せていないケースは少なくありません。そうなると、「この国の場合は、この資料とこの資料を並べて確認する」といった手順だけをこなしていても、仕事本来の目的や価値がわからない。成長を実感しにくくなり、結果として仕事への納得感も得られず、若手の定着を妨げる一因になり得ます。</p>
<p><strong>──熟練者の退職が進むなか、後任を担う人材の確保も難しくなると。</strong></p>
<p>貿易業務には専門性があるため、必要な知識や経験をもつ人材を短期間で採用・育成することは容易ではありません。取引を増やしたくても、それを処理できる人材がいなければ、事業は拡大できません。属人化は現場だけの課題ではなく、企業の成長を左右する経営課題にも直結します。</p>
<h2 class="line">貿易DXを阻む社内の合意形成</h2>
<p><strong> ──「貿易業務白書2026」では、業務改善やデジタル化について「提案したが進んでいない」、または「提案できていない」と答えた層が合計50.8％に上りました。現場には課題意識がある一方、それが実際の改善につながらないのはなぜでしょうか。</strong></p>
<p>現場が抱えるリスクの深刻さを、経営層やマネージャー層が十分に理解できていないケースは多いと思います。貿易実務は、現場の担当者が日々どのような判断をし、どれほど細かな確認を重ねているのか、見えにくいものです。</p>
<p>事故やトラブルは毎回起きるものではありません。実際には、ベテラン担当者が経験や知識でカバーし、リスクが表面化しないようにしている企業も多いでしょう。</p>
<p>日本企業は、費用対効果を慎重に見極める傾向があると感じています。そのため、「今も業務は回っているのに、なぜコストをかけてシステムを導入する必要があるのか」と考えられやすく、属人化や人材不足といった潜在的なリスクに目が向きにくくなります。</p>
<p><strong>──現場の課題を全社の課題として共有し、合意形成につなげるには、どのような進め方が有効でしょうか。</strong></p>
<p>DXは、段階的に進めることが重要です。いきなり最終形を目指そうとすると、議論だけが長期化しがちです。まずは業務の一部分でAIやデジタルを活用し、「これまで時間がかかっていた作業が簡単になる」「特定の担当者しかできなかった作業を、他の人も担える」といった小さな成功体験をつくる。そうした実感が、現場の理解と次の改善意欲につながります。</p>
<p>ただし、部分的なデジタル化を積み重ねるだけでは、いずれ限界が来るでしょう。次の段階では、一つひとつの作業だけでなく、業務全体の流れを見直す必要があります。そのうえで、取引や書類に関する情報をデータとして蓄積し、現場の業務改善だけでなく、経営判断にも生かせる状態を目指すべきです。</p>
<h2 class="line">属人化を解消する「Trade Hub」の仕組み</h2>
<p><strong>──貿易DXサービス「Trade Hub」は、業務の属人化といった課題をどのように解決するのでしょうか。</strong></p>
<p>Trade Hubは、貿易書類の情報をデータ化し、書類の作成・照合から業務プロセスの管理までを支援する貿易DXクラウドサービスです。AIなどを活用して書類に記載された情報を抽出することで、手入力や確認作業の負担を軽減します。</p>
<p>業務プロセスを設定し、自社の実務に合わせて進捗を管理できることも特徴です。商材・取引先・社内ルールなどに応じて、必要な手順や確認項目を定義できます。</p>
<p>「なぜこの確認が必要なのか」「どの目的のために、どの項目を確認すべきか」をあらかじめ定義できるため、経験者の勘や記憶に依存していた業務を、誰でも一定の基準で進められるようになります。AIやシステムによる確認結果をもとに人が最終的な判断を行い、問題がなければ次のプロセスへ進む運用です。</p>

<figure class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396347_TradeHub.jpg" alt="貿易DXの壁となる属人化をどう解消するか　「Trade Hub」が支える業務標準化の画像3" width="726" height="468" /><figcaption class="wp-caption-text">Trade Hubの管理画面。自社固有のフローに合わせて、案件ごとの業務プロセスを設定・変更できる。</figcaption></figure>

<p><strong>──導入をためらう企業に対して、どのように導入へのハードルを下げているのでしょうか。</strong></p>
<p>導入時に、最初からすべての貿易業務を対象にする必要はありません。手入力や書類作成、照合など、負荷や課題が大きい工程を見極め、まずはそこから着手できます。</p>
<p>たとえば、注文書を受け取ってから各種書類を作成する工程に負荷が集中している企業であれば、その工程から始めます。導入効果を確認したうえで、対象を次の業務プロセスへ段階的に広げていくことができるのです。</p>
<p><strong>──導入した企業では、どのような効果が表れていますか。</strong></p>
<p>ある導入企業では、L/C決済（銀行が支払いを保証する貿易決済）に関わる業務で、船積書類のチェック時間が導入前の1件当たり10〜15分から、導入後には半分程度まで削減された例があります。</p>
<p>効果は時間短縮だけではありません。L/C決済では、信用状の条件とインボイスなどの船積書類の記載内容に不一致があると、銀行による買取や支払いが保留・拒絶され、入金が遅れるおそれがあります。従来は、担当者が書類を並べ、一つひとつを見比べながら、確認した箇所にチェックを入れて照合してきました。細かな記載の違いも見逃せないため、慎重さと集中力が求められる作業です。</p>
<p>チェックを仕組み化することで、問題が起きた際にも、それを「個人のミス」として抱え込むのではなく、業務プロセスやチェックの仕組みそのものを改善できます。従来は担当者が大きな責任を抱えていたため、導入後には「精神的にかなり楽になった」という声もありました。</p>
<p><strong>──今後3〜5年で、貿易実務の現場はどのように変わっていくことが望ましいとお考えですか。</strong></p>
<p>今後は、各社がまず自社内の貿易業務を整理し、標準化・データ化することが重要です。そのうえで、企業間やシステム間で必要なデータを連携できる状態を目指すべきでしょう。</p>
<p>一方で、企業やシステムの垣根を越えたデータ連携は、一足飛びには実現できません。当社はその実現に向けて、まずTrade Hubを通じ、企業内の業務整理・標準化や書類情報のデータ化を支援していきます。</p>
<p>紙やExcelへの依存、属人化を解消し、企業やサービスの垣根を越えて必要な情報がつながる。そうした、より円滑で持続可能な貿易実務の実現に貢献していきたいと考えています。</p>
<p>（取材・文＝福永太郎）</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-21T08:59:32+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		</media:content>
	</item>
	<item>
		<title>ジャングリア「年利6.9%・赤字173億円」の真実…日本の事業金融と地方創生の歪みを解剖する</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396343.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396343.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイント沖縄北部のテーマパーク「ジャングリア」を巡り、173億円の赤字や年利6.9%の調達が物議を醸している。本記事はバッシング論調を脱し、無担保リスクマネーの適正金利や非IPモデルの課題、雇用創出やインフラ整備といった地域...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396343_jungliatiop.jpg" width="1288" height="850" alt="ジャングリア「年利6.9%・赤字173億円」の真実…日本の事業金融と地方創生の歪みを解剖するの画像1" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>沖縄北部のテーマパーク「ジャングリア」を巡り、173億円の赤字や年利6.9%の調達が物議を醸している。本記事はバッシング論調を脱し、無担保リスクマネーの適正金利や非IPモデルの課題、雇用創出やインフラ整備といった地域経済効果（広域ROI）を冷徹に構造解剖。日本型事業金融と地方創生の歪みを検証する。</strong><br />
</p>
<p>　沖縄本島北部のテーマパーク「JUNGLIA OKINAWA（ジャングリア沖縄）」をめぐる論調が、ここ数週間で一気に厳しさを増している。</p>
<p>　運営会社の親会社であるジャパンエンターテイメントホールディングス（名護市、以下HD）は9月25日の株主総会で、開業後初の決算となる2026年6月期の最終赤字が約173億円だったと報告した。政府系の沖縄振興開発金融公庫（以下、沖縄公庫）からの30億円のつなぎ融資には、固定金利6.9%が付いたと報じられている。SNSや一部メディアでは「刀・森岡モデルの破綻」といった断定も飛び交う。</p>
<p>　ただ、数字を一つずつ確かめると、見えてくるのは「成功か失敗か」という二択ではない。巨額の初期投資を誰がどう負担するのか。そして、企業の赤字と地域が得たものをどう切り分けて評価するのか。本稿では①リスクマネー調達の現実、②沖縄北部への影響、③IPに頼らない戦略の得失、の三つの角度から検証する。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">まず「173億円」の中身を押さえる</a></li>
	<li><a href="#second">なぜ「年利6.9%」なのか──メガバンク不在で始まった資金調達</a></li>
	<li><a href="#third">損益計算書には映らない「やんばる」への影響</a></li>
	<li><a href="#fourth">「キャラクターIPなし」という実験</a></li>
	<li><a href="#fifth">ジャングリアの試練が示す二つの教訓</a></li>
</ul>
<h2 id="first">まず「173億円」の中身を押さえる</h2>
<p>　173億円は、パークを運営する子会社ジャパンエンターテイメント（以下JE）単体の数字ではない。持株会社HDの最終損益で、琉球放送によればJE単体の赤字は約89億円とされる。</p>
<p>　開業1年の来場者は約100万人で、想定の150万人を大きく下回った。1日平均にすると約2700人。一方、7月の1周年会見では、スパを含む年間売上高が100億円を超える見通しが示されている。</p>
<p>　大型のテーマパークが開業初期に赤字を出すこと自体は珍しくない。減価償却費と支払利息、開業前後の宣伝費が重なる時期だからだ。投資の世界でいう「Jカーブ」の底である。ただし、Jカーブは計画どおりに客が来てこそ上向く。集客が計画の3分の2にとどまった以上、「初期赤字はつきもの」という説明だけでこの数字を片付けることはできない。構造的な要因と計画とのずれ。この二つを分けて見ることが出発点になる。</p>
<h2 id="second">なぜ「年利6.9%」なのか──メガバンク不在で始まった資金調達</h2>
<p><strong>1. 大手に頼らない700億円の調達</strong></p>
<p>　総事業費は約700億円（報道によっては約716億円）。このうち約350億円を出資で、残りを借り入れで賄う構成だった。出資者には筆頭株主の刀のほか、オリオンビールやリウボウなど沖縄の企業が名を連ねる。刀自身には2022年、官民ファンドのクールジャパン機構が80億円を出資している。</p>
<p>　借り入れ側は難航した。東洋経済オンラインによれば、2021年以降、コロナ禍とウクライナ侵攻で建設資材が高騰し、メガバンクは融資を見送った。沖縄に支店を持つみずほ銀行も、22年初頭に断念したとされる。代わりに組まれたのが、商工組合中央金庫（商工中金）と琉球銀行を共同アレンジャーとする366億円のシンジケートローンだ。沖縄公庫を含む13の金融機関が参加した。</p>
<p>　返済原資を事業のキャッシュフローに限るプロジェクトファイナンスの手法で、親会社の信用で借りる融資とは性格が違う。比べると、構造の違いははっきりしている。</p>
<p>●大手資本の後ろ盾があるパーク<br />
・主な後ろ盾…東京ディズニーリゾートは京成電鉄などの大株主、USJは米コムキャスト傘下のNBCユニバーサル<br />
・借り入れの拠り所…グループの信用力<br />
・不足時の補い方…親会社の追加出資や内部資金<br />
</p>
<p>●ジャングリア<br />
・主な後ろ盾…刀を筆頭に、沖縄の企業などが分散して出資<br />
・借り入れの拠り所…事業のキャッシュフロー（366億円の協調融資）<br />
・不足時の補い方　追加融資（26年4月20億円、10月30億円）と新スポンサー探し</p>
<p>　巨額の設備投資を、大手グループの傘下に入らずに立ち上げる。日本のレジャー産業ではあまり例のない試みだった。裏を返せば、計画が下振れしたときに「親が補う」という道がない。いま起きているのは、まさにその局面である。</p>
<p><strong>2. 6.9%をどう読むか</strong></p>
<p>　長く超低金利が続いた日本の感覚では、6.9%は「倒産寸前」の印に見えやすい。確かに、一般的な事業向け貸出と比べれば高い。ただ、赤字が続き、追加の出資者も決まっていない借り手に、さらに資金を出す場面である。信用リスクを金利に反映させるのは、金融としては自然な判断ともいえる。政策金融機関がこの水準を付けたことは、「救済ではなく、リスクに見合う条件で貸す」という線引きと読むこともできる。</p>
<p>　金利の高さだけを切り取って「末期症状」と断じるのも、「問題のない市場金利」と流すのも、どちらも一面的だろう。</p>
<p>「6.9%は、貸し手がこの資金をあくまで『つなぎ』と位置づけていることを示す数字です。金利水準そのものより、この資金で稼いだ時間のうちに出資を集め、資本構成を立て直せるかどうか。見るべきはそこです」（金融アナリスト・川﨑一幸氏）</p>
<p><strong>3. 焦点は「借金」から「資本」へ</strong></p>
<p>　日本経済新聞によれば、HDは5月ごろから既存株主に追加出資を依頼していたが前向きな回答がなく、新規スポンサーの開拓に切り替えた。商工中金の関根正裕社長は4月の追加融資の際、「次は投資家の出番だ」と述べていたという。</p>
<p>　借り入れを重ねれば利払いが増え、稼いだ現金はその分削られる。アトラクションに再投資する余力も生まれない。第三者割当増資による新規出資や、債権の一部を株式に振り替えるDES（デット・エクイティ・スワップ）で負債を軽くできるか。その際に、既存株主の持ち分の希薄化や経営責任をどう整理するのか。再建の分かれ目は、金利よりもこちらにある。</p>
<h2 id="third">損益計算書には映らない「やんばる」への影響</h2>
<p><strong>1. 「素通りされる北部」にできた目的地</strong></p>
<p>　企業の損益と、地域が受け取るものは別の物差しで測る必要がある。</p>
<p><strong>視点　　　　　　　　　何が起きているか</strong><br />
企業の損益（ミクロ）　減価償却費と利払いが重く、集客も計画を下回り、<br />
　　　　　　　　　　　HDで約173億円の最終赤字<br />
地域経済（マクロ）　　開業1年の県内経済波及効果494億円、<br />
　　　　　　　　　　　北部への来訪者数は半年で6.5%増、従業員1000人超</p>
<p>　数字の出どころを示しておく。波及効果と来訪者数は、琉球放送が報じたりゅうぎん総合研究所の調査だ。従業員数はJEの採用サイトによる。開業前の採用では、応募者の7割弱が県内在住者だった（沖縄タイムス）。</p>
<p>　沖縄観光は、那覇や中部西海岸のリゾートで消費が完結しやすい。北部は美ら海水族館などを目当てにした日帰りが中心だと、長く指摘されてきた。そこに、大きな目的地が一つ加わった。ただし、宿泊や周遊が定着したかどうかを判断するには、まだデータが足りない。</p>
<p><strong>2. インフラへの波及は「計画段階」</strong></p>
<p>　沖縄総合事務局は2025年3月、名護東道路を本部町方面へ延伸する計画ルートを自動車専用のバイパスとし、ジャングリア付近を含む中間3カ所にICを設ける方針を示した（国土交通省の公表資料）。民間の大型投資が公共インフラの議論を後押しする構図は、あり得る。ただ完成はまだ先で、テーマパークがあったから計画が動いたとまでは言えない。現時点では「議論の拠点が一つ増えた」という評価にとどめるのが妥当だ。</p>
<p><strong>3. 「運営者が変わっても施設は残る」は本当か</strong></p>
<p>　大型リゾート開発には、一つの経験則がある。先行した開発者が破綻しても、建てられた施設は新しい運営者のもとで使われ続ける、というものだ。宮崎のシーガイアは2001年に会社更生法の適用を申請し、曲折を経て現在はセガサミーホールディングスの僘下で営業している。長崎のハウステンボスも2003年に会社更生法を申請し、2010年からはエイチ・アイ・エスのもとで再建された。初期投資の重荷を切り離した後継の運営者が、施設を地域の集客拠点として生かした例である。</p>
<p>　ただ、これを「だから大丈夫」という楽観論につなげるのは危うい。資本の入れ替えでは必ず誰かが損失をかぶり、運営の空白や縮小で雇用が失われることもある。ジャングリアの場合、その負担者には政策金融や官民ファンドを通じた公的資金も含まれる。地域に残るプラスと、資金の出し手が負うリスク。その両方を同じ温度で見ておきたい。</p>
<p>「北部への来訪者が増えたことは評価できます。ただ、効果を地元に残すには、宿泊や周辺観光と組み合わせた滞在型の動線が要ります。企業の赤字と地域開発としての成否は、分けて評価すべきです」（観光政策アナリスト・湯浅郁夫氏）</p>
<h2 id="fourth">「キャラクターIPなし」という実験</h2>
<p><strong>1. ライセンス料を払わない設計の狙い</strong></p>
<p>　ジャングリア最大の特徴は、映画やキャラクターのIP（知的財産）を使わず、やんばるの自然そのものを体験の中心に置いた点にある。外部のIPを使えば、売上に応じたライセンス料を払い続けることになる。それがない分、軌道に乗れば利益率を高めやすい。海外のIPに頼らず、地域の資源を世界に売るリゾートをつくる。その発想自体は、日本の観光産業にとって意味のある問いかけだった。</p>
<p>2. 「来る理由」を一からつくる難しさ</p>
<p>　裏返せば、ファンという「最初から来る理由を持った客」がいない。</p>
<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396343_junglia.jpg" width="1459" height="687" alt="ジャングリア「年利6.9%・赤字173億円」の真実…日本の事業金融と地方創生の歪みを解剖するの画像2" /></p>
<p>　開業1年目は、この難しさがそのまま数字に出た。日本経済新聞によれば、同社は入場者の伸び悩みを受けて割安なチケットを設け、暑さ対策や新アトラクションなど運営と設備のテコ入れを進めてきた。訪問した旅行業界の経営者からは、接客や食事を評価する声がある一方、アトラクションの数がまだ少なく、那覇空港から約2時間という距離もあるため、周辺観光と組み合わせた旅程づくりが課題だという指摘も出ている（日経電子版の投稿欄）。</p>
<p>「非IP型のパークは、リピートの理由を自分たちでつくり続けるしかありません。新しいアトラクションへの再投資が欠かせず、その余力を生む資本の厚みがあるかどうかが、軌道に乗れるかどうかを左右します」（同）</p>
<p>　つまり、戦略の課題と資本の課題は一本の線でつながっている。出資が入らなければ再投資の余力は生まれず、再投資がなければ集客は伸びにくい。非IPモデルの是非は、資本を立て直したあとの数年を見なければ判断できないだろう。</p>
<h2 id="fifth">ジャングリアの試練が示す二つの教訓</h2>
<p><strong>1. リスクマネーの担い手が薄い</strong></p>
<p>　メガバンクが降りた後、融資を支えたのは商工中金と地方銀行、そして政策金融だった。開業後の資金も借り入れでつなぎ、既存株主からは追加出資の返事が得られていない。</p>
<p>　資産を持たないソフトウェア企業などにはベンチャーキャピタルの資金が集まりやすくなった。一方で、土地と巨大な設備を伴う地方の大型事業に、融資と出資の間を埋める資金を出す担い手はまだ少ない。欧米では一般的なメザニンファイナンスやインフラファンドの層が薄ければ、リスクが高まった局面で政策金融に頼るしかなくなる。今回の経緯は、その構図を具体的に示した。</p>
<p><strong>2. 検証と挑戦を分けて考える</strong></p>
<p>　公的資金が関わる以上、計画の前提や経営責任が問われるのは当然だ。株主総会では役員報酬の返納やコストの見直しを求める声が上がり、琉球新報によれば、刀の森岡CEOは謝罪したうえで、来場者数の目標や損益分岐点を引き下げた再建計画を示したという。</p>
<p>　ただ、開業1年目の数字だけを根拠に、事業そのものや大型投資の試み自体を否定する議論ばかりが広がれば、次に地方で大きな投資に踏み出す企業は減る。その先にあるのは、小さくまとまった事業しか生まれない「縮小均衡」だろう。計画とのずれを数字で厳しく検証することと、挑戦そのものを否定することは、分けて考えたい。</p>
<p><strong>3. 継続会後の焦点</strong></p>
<p>　当面の焦点は10月30日の株主総会の継続会と、その後のスポンサー選びだ。新たな出資者は見つかるのか。見つかるとして、既存株主と債権者はどこまで負担を分け合うのか。そして、立て直した資本で集客を引き下げ後の計画まで持ち上げられるのか。</p>
<p>　ジャングリアがいま直面しているのは、立ち上げ期から安定期へ移る過程での資本再編と、計画の立て直しだ。ここで示される再建の形は、民間主導で地方に大型施設をつくる事業にとって、一つの前例になるはずだ。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝湯浅郁夫／観光政策アナリスト）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC243Q00U6A920C2000000/" target="_blank" rel="noopener">日本経済新聞「ジャングリア、最終赤字173億円　沖縄公庫がつなぎ融資30億円」（2026年9月25日）</a><br />
<a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC1468T0U6A011C2000000/" target="_blank" rel="noopener">日本経済新聞「ジャングリア30日に総会、新スポンサー焦点　つなぎ融資は金利6.9%」（2026年10月15日）</a><br />
<a href="https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2827447" target="_blank" rel="noopener">TBS NEWS DIG（琉球放送）「ジャングリア沖縄が開業1周年　来場者は約100万人、経済波及効果は494億円」（2026年7月26日）</a><br />
<a href="https://recruit.japan-entertainment.co.jp/facts" target="_blank" rel="noopener">ジャパンエンターテイメント採用サイト「数字で見るジャパンエンターテイメント」</a></p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-20T23:51:09+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>「速さを競わない」スバルが、開発期間を4割縮める理由…トヨタが2割出資でも「アリーン」は使わない</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396340.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396340.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイントSUBARUは2026年10月18日、ソフトウエア定義車両（SDV）を20年代後半に投入し、次世代車の開発期間を約4割短くする方針を示した。中核は米AMDと共同開発した半導体を載せた制御統合ECUで、全車種に順次搭載...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396340_subaru.jpg" alt="「速さを競わない」スバルが、開発期間を4割縮める理由…トヨタが2割出資でも「アリーン」は使わないの画像1" width="1234" height="850" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>SUBARUは2026年10月18日、ソフトウエア定義車両（SDV）を20年代後半に投入し、次世代車の開発期間を約4割短くする方針を示した。中核は米AMDと共同開発した半導体を載せた制御統合ECUで、全車種に順次搭載していく。開発面では試作のデジタル化や並行開発を進め、部品共用率は50%に引き上げる。本記事では、組織と取引先に求められる変化、品質とサイバーセキュリティの課題を整理する。</strong><br />
</p>
<p>　SUBARU（スバル）は10月18日、栃木県佐野市の研究実験センターで報道陣向けに開発戦略の説明会を開いた。ソフトウエア定義車両（SDV）を2020年代後半に投入すること、次世代車の開発期間を今より約4割短くすることが、その場で示された。</p>
<p>　水平対向エンジンと運転支援システム「アイサイト」。スバルは機械と制御の作り込みで評価を固めてきたメーカーだ。四輪駆動の走破性と安全性能は北米で支持を集め、熱心なファンは「スバリスト」とも呼ばれる。規模で勝負せず、特定の価値に絞って選ばれてきた会社と言っていい。そのスバルが開発の進め方そのものを変えると言っている。発表の中身と、それが社内や取引先に何を求めることになるのかを整理したい。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">説明会で示されたこと</a></li>
	<li><a href="#second">なぜ今なのか</a></li>
	<li><a href="#third">4割短縮は何を変えるのか</a></li>
	<li><a href="#fourth">社内に求められること</a></li>
	<li><a href="#fifth">取引先に及ぶ影響</a></li>
	<li><a href="#sixth">課題は品質とサイバーセキュリティ</a></li>
	<li><a href="#seventh">日本の製造業にとっての意味</a></li>
</ul>
<h2 id="first">説明会で示されたこと</h2>
<p>　ロイターなどの報道によると、SDVの中核になるのは新しく開発した「制御統合ECU（電子制御ユニット）」だ。これを全車種に順次載せていく。アイサイトと、「走る・曲がる・止まる」に関わる車両制御をこのECUでまとめ、購入後も無線通信によるソフト更新（OTA）で機能を高めていく。ECUの核になる半導体は米AMDと共同開発した。</p>
<p>　両社の協業は2024年4月に発表されたもので、AMDのSoC（システム・オン・チップ）に、ステレオカメラの認識とAI推論を担うスバル独自の回路を組み込む。2025年11月には、この独自回路について機能安全規格「ISO 26262」の認証も取っている。</p>
<p>　柴田英司常務執行役員は「使えば使うほど、どんどん車自体が良くなっていくことを狙う」と話した。次世代アイサイトは社内で開発した認識AIを載せ、オプション価格は現行の「アイサイトX」と同じくらい（実質10万円程度）に抑えたい考えだという。</p>
<h2 id="second">なぜ今なのか</h2>
<p>　背景はいくつかある。まず業績だ。2026年3月期の営業利益は401億円にとどまった。米国の追加関税やBEV（バッテリーEV）関連の費用が響いた。連結販売台数は89.6万台で、そのうち79.3万台が海外。北米に大きく依存する、年間100万台に届かない規模のメーカーである。研究開発に使える人も予算も限られている。2027年3月期は営業利益1500億円への回復を見込むが、4〜6月期は426億円と前年同期比で4割強減った。販売台数の減少や販売奨励金の増加、原材料高が重なっている。足元の収益が楽ではないなかで、次の世代への投資を続けなければならない。</p>
<p>　次に競争環境。中国勢はおよそ2年という短い周期で新しいEVを出し、運転支援やコネクテッド機能を上げてきた。従来の日本メーカーのモデルサイクルとはテンポが違う。</p>
<p>　もう一つはトヨタの動きだ。スバルに約21％出資するトヨタは、自前のソフト基盤「アリーン」を新車に載せ、2030年までに世界で売る全車種をSDVにする計画を掲げる。ただスバルは今のところアリーンを採用する計画はないとしている。独自の制御統合ECUを選んだのは、アイサイトと車両制御という「スバルらしさ」の中核を自分たちで握っておきたい、という判断と読むのが自然だろう。</p>
<p>　開発資源を安全と走りに集中させ、それ以外の「協調領域」はパートナーに任せる。説明会で示されたのはそういう線引きだった。</p>
<h2 id="third">4割短縮は何を変えるのか</h2>
<p>　短縮の手段は大きく二つ。一つは試作工程の多くをデジタルシミュレーションに置き換えること。もう一つは、設計、実車検証、量産準備を順番に進めるのをやめ、並行して進めることだ。部門や取引先に設計を順々に引き渡していたやり方を改め、同じ場所・情報・目標を共有するチームで開発する体制に移す。車種間の部品共用率を50％に引き上げ、生産性を今の2倍にする目標も掲げた。</p>
<p>　注意したいのは、スバルが実車での検証をなくすとは言っていない点だ。乾保常務執行役員は「仮に開発期間が若干長くても、しっかり市場の要望に応えていく柔軟性を持ちたい」と述べている。短さそのものを競うより、浮いた時間を最後の作り込みに回したい、というのが会社側の説明である。</p>
<p>「並行開発で一番難しいのは、仕様が固まらないまま次の工程が動き出すことです。手戻りを防ぐには、シミュレーションの精度を上げることと、どの段階で何を決めるかのルールを事前に詰めておくことが欠かせません。4割という数字より、意思決定の仕組みをどこまで作り直せるかを見たほうがいいと思います」（自動車アナリスト・荻野博文氏）</p>
<h2 id="fourth">社内に求められること</h2>
<p>　これまでの自動車開発は、車体やエンジンといったハードが先にあり、ソフトはそれに合わせて作られることが多かった。SDVでは順序が逆になる。どの機能を後からどう更新するかを先に決め、それに耐えるハードを用意する。</p>
<p>　この転換は技術だけの話ではない。実車で何度も確かめてから世に出す文化は、スバルの安全への信頼を支えてきたものでもある。そこに、出荷後も改良を重ねる前提のソフト開発を組み合わせる。評価制度や役割分担も見直しを迫られるはずだ。渡森孝有執行役員は「失敗を学びとしつつ挑戦できる環境」を維持したいと話している。</p>
<p>「機械系の技術者とソフト系の技術者では、品質の考え方も仕事の区切り方も違います。どちらかに合わせるのではなく、両方が同じ指標で評価される仕組みがないと、チームを一つにしても実際には分業のままになりがちです。ソフト人材の採用競争は業種を越えて激しく、育成を含めた投資を何年続けられるかが問われます」（同）</p>
<h2 id="fifth">取引先に及ぶ影響</h2>
<p>　完成車メーカーの開発の進め方が変われば、部品メーカーの仕事も変わる。試作の回数が減れば、試作品の製作で収益を上げてきた企業には影響が出る。並行開発のもとでは、部品メーカーも早い段階から設計に加わり、デジタルデータでやり取りしながら短い期間で答えを出すことが求められる。</p>
<p>　一方で、これを「下請けの崩壊」と一括りにするのは早い。スバルは取引先も含めて一つのチームで開発する体制を、まず自社開発のEVで進めている。初期から関われる企業にとっては、提案の幅が広がる面もある。CAE（コンピューターを使った解析）や3Dデータを扱える体制を持っているかどうかで、明暗が分かれやすくなる、と見るほうが実態に近い。</p>
<p>　また、半導体やソフトを手がける企業の存在感が増すのは確かだ。AMDとの共同開発はその表れと言える。ただしスバルは半導体の一部やECUの内製も進めており、すべてを外部に任せるわけではない。</p>
<p>「中小のサプライヤーにとって、試作の減少は短期的には痛手です。ただ、設計段階から参加できれば単価や付加価値の考え方も変わります。デジタル対応への投資を一社で抱えきれないなら、地域の同業や大手Tier1との連携を早めに考えておくべきでしょう」（同）</p>
<h2 id="sixth">課題は品質とサイバーセキュリティ</h2>
<p>　SDVは、ソフトの不具合やサイバー攻撃という、これまでとは違うリスクを抱える。国連規則のUN-R155（サイバーセキュリティ）とR156（ソフト更新）は、日本や欧州で型式認可の要件になっている。OTAで機能を足すほど、更新の管理や検証の負担は増える。「後から良くなる」ことと「後から不具合が入らない」ことを両立させる体制づくりは、発表された数字以上に時間がかかる可能性がある。</p>
<p>　価格も課題だ。高性能の半導体やAIはコストを押し上げる。スバルはEV、ハイブリッド車、ガソリン車で電子プラットフォームを共通にし、部品点数を減らして吸収するとしている。量で戦えないメーカーが、共通化と内製の組み合わせでどこまで価格を抑えられるか。最初のSDVが出たときの値付けで、ある程度は見えてくるだろう。</p>
<p>　その先にあるのが、SDV時代の「スバルらしさ」をどう定義し直すかという問いだ。これまでは購入した時点の走りや安全性能が評価の中心だった。今後は、衝突回避や運転支援の性能が年を追って上がっていくか、走りの味付けを後から磨けるかといった、持ち続ける間の体験も比べられるようになる。会社側は次世代アイサイトで、衝突回避と、高度な運転支援「レベル2＋＋」を視野に入れた機能を両輪で開発するとしている。ハードの作り込みで積み上げてきた信頼を、ソフトの継続的な改善にどうつなげるかが試される。</p>
<h2 id="seventh">日本の製造業にとっての意味</h2>
<p>　ソフトで価値を上げる。開発を速める。取引先との関係を組み直す。スバルが直面しているのは、規模の大小を問わず日本の製造業の多くが抱えている課題でもある。</p>
<p>　スバルは自社EVの投入を2029年以降に延ばし、市場を見極める姿勢も見せている。無理に速さだけを追わず、得意な領域に資源を寄せる。その方針が組織と取引先にどう浸透していくのか。20年代後半に出てくる次世代車が、最初の答えになる。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝荻野博文／自動車アナリスト）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
（参考）ロイター「スバル、20年代後半にSDV投入、開発期間も4割短縮」（2026年10月19日）、ニュースイッチ「開発・生産効率2倍に挑む…スバル“らしさ”追求」（同20日）、SUBARU IR「直近の業績および見通し」、SUBARUニュースリリース（2024年4月19日、2025年11月21日）</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-20T17:49:04+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>金融は「選ぶ」から「組み込まれる」へ…GeNiE齊藤社長が語る、エンベデッド・ファイナンスの現在地</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396337.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396337.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイント・GeNiEの齊藤雄一郎社長が、金融は使い慣れたアプリの中で受ける時代に移ると語った。・営業開始から2年で提携35社、累計の貸付実行額は200億円を超えたと明かした。・提携先ごとに個別の与信モデルを運用し、提携先...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396337_genie1.jpg" alt="金融は「選ぶ」から「組み込まれる」へ…GeNiE齊藤社長が語る、エンベデッド・ファイナンスの現在地の画像1" width="1210" height="866" /></p>
<p>●この記事のポイント<br />
・GeNiEの齊藤雄一郎社長が、金融は使い慣れたアプリの中で受ける時代に移ると語った。<br />
・営業開始から2年で提携35社、累計の貸付実行額は200億円を超えたと明かした。<br />
・提携先ごとに個別の与信モデルを運用し、提携先のデータを審査に生かす仕組みを説明した。<br />
・レンディング以外の商品や東南アジアへ事業を広げる構想を示した。</p>
<p>　スマートフォンの中で、買い物も移動も仕事探しも完結する。生活の入口がアプリに集約されるなか、「銀行に行く」という別の手順を要する金融は、利用者から遠い存在になりつつある。この距離を縮める手法として、非金融企業が自社サービスに金融機能を組み込む「エンベデッド・ファイナンス（組込型金融）」が注目を集めている。</p>
<p>　その一角で存在感を高めるのが、消費者金融大手アコムの100％子会社、GeNiE（ジーニー）株式会社だ。2022年4月に設立され、事業会社のアプリやWebサービスに個人向けローンを組み込める「マネーのランプ」を提供する。9月30日、東京・赤坂で開かれた同社の勉強会に、代表取締役社長の齊藤雄一郎氏が登壇した。新卒でアコムに入社し、社内起業の形でGeNiEを立ち上げた人物である。</p>
<p>　本稿では、講演と質疑をもとに、金融が事業会社の側に組み込まれる構造と、提携先の審査やデータをめぐる考え方を追う。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">「銀行に行く」から「アプリの中」へ――金融サービス3.0の入口</a></li>
	<li><a href="#second">「初対面」から「顔なじみ」へ――与信が変わる</a></li>
	<li><a href="#third">「黒子」に徹する設計――アコムの名を前に出さない理由</a></li>
	<li><a href="#fourth">提携35社、貸付実行額200億円超――事例が映す変化</a></li>
	<li><a href="#fifth">提携先はどう選ぶのか――質疑で語られた審査とデータ</a></li>
	<li><a href="#sixth">100社、そして東南アジアへ</a></li>
</ul>
<h2 id="first">「銀行に行く」から「アプリの中」へ――金融サービス3.0の入口</h2>
<p>　齊藤氏は金融の歴史を3段階で整理した。銀行の窓口に通う1.0、ネットで金融機関に行かずに済む2.0、そして好みのサービスがスマホに流れてくるように、金融も向こうから届く3.0である。</p>
<p>「以前は、ECサイトで買い物をしようとしても、いったん離脱して金融サービスを探しに行く手間がありました。現在は、そのEC上でローンを受けられます」</p>
<p>　銀行や保険会社がAPI（システム同士をつなぐ接続口）で金融機能を提供し、ブランドを持つ事業会社が自社サービスに組み込んで届ける。これがエンベデッド・ファイナンスだ。齊藤氏は、矢野経済研究所の調査を引用し、決済から保険までを合算した収益について、2022年から2030年の8年間で36倍に成長する見込みだと説明した。</p>
<h2 id="second">「初対面」から「顔なじみ」へ――与信が変わる</h2>
<p>　このサービスで軸になるのは与信、つまり貸してよい相手かを見極め、貸す額を決める判断だ。</p>
<p>「アコムにローンの申し込みに来られた方は、ある意味、初対面の方です。その方に、あと15分ほどで金額を決めなければなりません。ところが、もともと使っていたサービスのデータを第三者提供の形でいただければ、その方がどういう方かを我々も理解でき、適切に与信ができます」</p>
<p>　事業会社は、利用者の離脱を防ぎ、顧客一人ひとりのLTV（顧客生涯価値）を高めて金融で収益を得られる。利用者にとっても、使い慣れたブランドから申し込めるほか、本人の同意など必要な手続きを経て提供されたサービス上の利用実績が、与信判断の材料になり得るという。</p>
<h2 id="third">「黒子」に徹する設計――アコムの名を前に出さない理由</h2>
<p>　では、なぜこのようなサービスの開発にいたったのか？その背景にあるのは、利用者心理の複雑さだという。</p>
<p>「お金を借りることにはブラックなイメージもあり、約9割の方が消費者金融に心理的な抵抗感を持っています」</p>
<p>　そこで開発した「マネーのランプ」は、申し込み画面を提携先のサービスの一部として見せ、名称も提携先が自由に付けられる黒子の設計にしている。たとえば、トップ・マネジメントでは「TMファイナンス」、教育分野のEduCare向けには「Jimuu Money」、グーネットとの連携では「マネーのランプ in cooperation with グーネット」と、それぞれ異なる名称や見せ方で提供されている。GeNiE自身も、提携企業のブランド名で展開し、そのサービスの「一貫した世界観」の中で金融サービスを提供できることを特徴として掲げている。</p>
<p>　プランは4段階あり、最も軽いライトプランは貸付の広告を出して反応を見るもので、9月30日に申し込めば最短10月13日から始められる。API連携のスタンダード、貸金業の一部業務を担うアドバンス、貸金業の登録取得まで支援するライセンスへと進み、現在はライトが約17社と最多だ。</p>
<p>「提携先35社の一つ一つに、個別の審査モデルと基準を運用しています。共同事業を一つ一つ利益化できる構造をつくれることが、我々の強みです」</p>
<h2 id="fourth">提携35社、貸付実行額200億円超――事例が映す変化</h2>
<p>　実際、事業開始から提携先と貸付実行額は拡大している。</p>
<p>　営業開始から2年となる2026年9月末時点で、提携先は累計35社。累計の貸付実行額は200億円を超えた。</p>
<p>　フリーランス向けマッチングサイトのクラウドワークスでは、報酬の受け取り実績や評価といった稼働データを与信に生かしているという。</p>
<p>「フリーランスの方が銀行に行くと、自営業者と呼ばれ、なかなか高い評価がつきません。ただ、このプラットフォームにいれば、しっかり働いていることが分かり、適切な与信につながります」</p>
<p>　一面的な属性だけでなく、サービス上で蓄積された多様なデータを与信に生かす。それがGeNiEの組込型金融の特徴の一つだと、齊藤氏は位置づける。</p>
<h2 id="fifth">提携先はどう選ぶのか――質疑で語られた審査とデータ</h2>
<p>　質疑では、提携先の審査基準と、国際カードブランドが「ハイリスク」とみなす業種の扱いを問う声が出た。齊藤氏は、ギャンブルなどの業種は元々対象から外していると答えたうえで、こう続けた。</p>
<p>「カード会社の加盟店審査のような義務化はされていないため、そこまで厳格には行っていません。ただ、ライセンスを持たない事業者が勧誘すると業法違反につながるため、自主的なチェックシートを提携先にご提供し、確認していただいています」</p>
<p>　さらに与信に役立つデータを問われると、まず本人の実在性を挙げた。</p>
<p>「なりすましを狙う方は、今日アプリをダウンロードして申し込んでくるケースが多いのです。半年前から使っている履歴があれば、この方は実在していると判断できます」</p>
<h2 id="sixth">100社、そして東南アジアへ</h2>
<p>　今後は、レンディング以外の商品の組み合わせや、提携先が自社で金融を始める際の基幹システムの提供、タイやフィリピンなど東南アジアへの展開を進める。</p>
<p>「向こう3年ほどで、提携社数が3桁に届くことは、このままの調子で進めば、間違いなくいけると思っています」</p>
<p>　100社、200社に達すれば、提携先同士が顧客を送り合う仕組みを担うプラットフォーマーにもなれる、と齊藤氏は見ている。</p>
<p>　初対面の相手を、15分で見極めて金額を決める。消費者金融が長年磨いてきた審査の前提を、齊藤氏はそう言い表した。GeNiEが進めるのは、その前提を、利用者が毎日開くアプリの「顔なじみ」の履歴で置き換えていく試みである。金融が選ぶものから組み込まれるものへと変わるほど、その裏側を担う黒子の存在意義は増していく。名前を前に出さないことを選んだ会社が、信用の新しい形をどこまで広げられるか。その答えは、増えていく提携先のアプリの中に現れるはずだ。</p>
<p>（取材・文＝昼間たかし）</p>
<p>※本稿はPR記事です。</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-20T11:35:55+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		</media:content>
	</item>
	<item>
		<title>出前館は8期連続赤字、マクドナルドは最高益…明暗を分けた「顧客との接点」の持ち方</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396329.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396329.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイント出前館の2026年8月期は売上高390億円とほぼ横ばいながら、配達員報酬の増加で最終赤字82億円と8期連続の赤字に。一方、注文の約7割がデジタル経由の日本マクドナルドや、うどん弁当が累計5000万食を超えた丸亀製麺の...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396329_demaekan.jpg" alt="出前館は8期連続赤字、マクドナルドは最高益…明暗を分けた「顧客との接点」の持ち方の画像1" width="1315" height="850" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>出前館の2026年8月期は売上高390億円とほぼ横ばいながら、配達員報酬の増加で最終赤字82億円と8期連続の赤字に。一方、注文の約7割がデジタル経由の日本マクドナルドや、うどん弁当が累計5000万食を超えた丸亀製麺のトリドールは過去最高業績を更新した。ドミノ・ピザの172店閉店も踏まえ、自社チャネル戦略が機能する条件を探る。</strong><br />
</p>
<p>　出前館が10月15日に発表した2026年8月期の連結決算は、最終損益が82億4600万円の赤字だった。前期の49億7100万円から赤字幅が広がり、最終赤字は8期連続になる。売上高は390億5700万円で、前期比1.7%減にとどまった。一方で売上原価は約351億円から約384億円に増え、売上総利益は約46億円から約6億円まで縮んだ。日本経済新聞は、配達員への報酬増が響いたと報じている。</p>
<p>　数字を見る限り、売上はほとんど落ちていない。減ったのは「1件の注文から手元に残る額」のほうだ。同社は26年3月から、店頭と同じ価格で頼める「お店価格」や送料無料の対象を広げた。その結果、6～8月の注文数は前年同期比8%増の約1605万件まで戻っている。注文は戻ったものの、それを運ぶ配達員を確保するコストが先に膨らんだ。</p>
<p>　市場全体を見ても楽ではない。サカーナ・ジャパンの調べでは、国内のフードデリバリー市場は23年の8603億円から24年に8078億円へ縮んだ。25年は8240億円と小幅に持ち直したばかりだ。そこへ韓国クーパン系の「ロケットナウ」が送料・サービス料無料を掲げて参入した。ウォルトは26年3月に日本から撤退し、KDDI傘下のmenuも8月にサービス終了を決めている。</p>
<p>　加盟店の側にも事情がある。プラットフォームに払う手数料は契約形態によって異なるが、デリバリー注文では売上の3割前後になることが珍しくない。客単価の低い業態では、注文が増えるほど利益が薄くなることもある。プラットフォームも加盟店も利益を出しにくい構造が、少しずつ表に出てきた格好だ。</p>
<p>　では、デリバリーやテイクアウトはもう儲からないのか。そうとは言い切れない。外部プラットフォームを使いながらも顧客との接点を自社側に引き寄せ、業績を伸ばしている外食チェーンがあるからだ。両者を分けているのは何か。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">マクドナルド――プラットフォームに「預けきらない」</a></li>
	<li><a href="#second">宅配ピザ――自前の配送網は武器にも重荷にもなる</a></li>
	<li><a href="#third">テイクアウト――配達をやめると「手間」は客側に移る</a></li>
	<li><a href="#fourth">伸びている企業に共通する3つの条件</a></li>
	<li><a href="#fifth">「誰の上で商売をするか」という問い</a></li>
</ul>
<h2 id="first">マクドナルド――プラットフォームに「預けきらない」</h2>
<p>　日本マクドナルドHDの25年12月期は、全店売上高が8886億円（前期比7.2%増）、純利益が339億円（同6.1%増）で、どちらも過去最高だった。26年1～6月も既存店売上高は5.9%増え、43四半期連続のプラスが続いている。</p>
<p>　目を引くのは注文経路の変化だ。トーマス・コウ社長兼CEOは8月の決算説明会で、モバイルオーダー、デリバリー、店内タッチパネル経由の注文が約7割に達したと説明した。公式アプリの会員は約2600万人いる。</p>
<p>　同社はウーバーイーツや出前館への出店をやめたわけではない。公式アプリで頼む「マックデリバリー」と外部サービスを並行して使っている。違いは、クーポンやポイントといった「また来る理由」を自社アプリの側に置いていることだ。新しい客との出会いは外部に任せても、2回目以降の関係は自社で持つ。この分担によって、手数料負担の比重は下がりやすくなる。</p>
<p>　もっとも、デジタル化にはコストもかかる。店内に客がいないのに注文だけが入る「見えない注文」が増えたため、同社は厨房設備の増強やデリバリー受け渡しスペースの拡張を進めてきた。顧客接点を握るぶん、店舗にかかる負荷は自分で引き受けているわけだ。</p>
<p>「プラットフォームは集客の装置としては優秀ですが、顧客データは基本的に店側には残りません。外部経由で来たお客さんを自社アプリへ移す導線を、どれだけ地道に作り込めるかで差がつきます」（外食産業コンサルタント・杉田誠氏）</p>
<h2 id="second">宅配ピザ――自前の配送網は武器にも重荷にもなる</h2>
<p>　自社の配達網を持つ宅配ピザは、デリバリーの時代には有利に見える。だが実際には明暗が分かれた。</p>
<p>　ドミノ・ピザは25年2月、親会社の豪ドミノ・ピザ・エンタープライズが、国内店舗の約2割にあたる172店を閉める方針を発表した。26年6月には看板だった「持ち帰り半額」を終え、宅配価格を平均約600円下げた。あわせて持ち帰りは、宅配価格の30%引きに改めている。自分で取りに来る客と配達コストがかかる客の価格差を縮めるのが狙いだと報じられている。</p>
<p>　自前の配達員と車両は、注文が多いうちは速さと品質を守る武器になる。だが注文が減れば、そのまま固定費として残ってしまう。コロナ禍に広げた店舗網と配送網を見直している段階と見るのが妥当だろう。</p>
<p>　ピザハットは対照的に、小型店と店頭受け取りを軸に出店を続け、24年4月に国内600店舗に達した。宅配網は持ちつつ持ち帰りの比重を高め、1店あたりの投資と配送の負担を軽くする設計だ。同じ「自社配送」でも、どこまで自前で抱えるかの判断で結果が変わっている。</p>
<h2 id="third">テイクアウト――配達をやめると「手間」は客側に移る</h2>
<p>　配達コストそのものを生まない選択もある。丸亀製麺の「丸亀うどん弁当」は21年4月の発売以降、25年9月時点で累計5000万食を超えた。麺がのびる、汁がこぼれるといった麺類の持ち帰りの弱点を、弁当という形で避けた商品設計だ。トリドールHDの26年3月期は、売上収益2787億円、事業利益215億円で、ともに過去最高を更新した。</p>
<p>　とはいえ、テイクアウトにも限界はある。同社の27年3月期第1四半期は、売上収益が第1四半期として過去最高だった。それでも人件費などが増え、営業利益は34.3%減った。配達費がかからなくても、店でつくる人の人件費からは逃れられない。</p>
<p>　業態全体で見ても同じことがいえる。日本フードサービス協会の外食産業市場動向調査によると、25年の「持ち帰り米飯／回転寿司」は売上高が前年比102.9%だった一方、客数は96.0%と前年を下回った。外食全体の客数は102.9%だったから、持ち帰り中心なら安泰という状況ではない。値上げで単価を確保しながら、来店の頻度をどう保つかが問われている。</p>
<p>「テイクアウトは配送費がかからない分、利益は残しやすい。ただ、お客さんに“取りに行く手間”をお願いしている以上、予約や支払いのしやすさ、受け取りの待ち時間といった部分の出来が、そのまま来店頻度に返ってきます」（同）</p>
<h2 id="fourth">伸びている企業に共通する3つの条件</h2>
<p>　ここまでの事例から、業種を問わず応用できる条件を3つ挙げておく。</p>
<p>　1つ目は、「2回目の接点」を自社で持っていることだ。外部プラットフォームは、新しい客を連れてくることには向いている。問題になるのは、再来店の動機まで丸ごと預けてしまうことだ。</p>
<p>　2つ目は、配達コストを誰が負担するかを決めていることだ。手数料を払ってでも届けてほしい客と、安く済ませたいから取りに行く客とでは、求めているものが違う。両者を同じ値付けで扱うと、どちらかに無理が出る。ドミノ・ピザの価格改定は、この線引きを価格に表した例と読める。</p>
<p>　3つ目は、購買データを次の注文につなげていることだ。購買履歴に合わせたクーポン配信がその典型だが、アプリの開発・運営費を回収できるだけの会員規模が要る。中小の店が大手と同じ仕組みを持つのは現実的ではない。</p>
<p>「LTV（顧客生涯価値）の発想自体は規模を問いません。中小なら、LINE公式アカウントや会員カードのような低コストの手段で常連との接点を持っておくだけでも、外部への依存度はかなり変わります」（同）</p>
<h2 id="fifth">「誰の上で商売をするか」という問い</h2>
<p>　出前館の赤字は、デリバリーの需要が消えたことを意味しない。実際、注文数は回復している。問われているのは、配達という人手のかかる工程のコストを、プラットフォーム、店、利用者、配達員がそれぞれどれだけ負担するかという分担の問題だ。出前館は26年9～11月期の売上高を110億～115億円と見込むが、通期の利益見通しは示していない。手数料、配達員報酬、利用者への値引きの釣り合いをどこで取るのか、模索はしばらく続くだろう。</p>
<p>　外食チェーンにとって、プラットフォームは使うか使わないかの二択ではない。どの客との関係を外に預け、どこから先を自社で持つかという線引きの問題である。今後は、自社アプリとデータに投資を続ける大手と、プラットフォームの集客力を使う中小という二層の構図がはっきりしていくだろう。ただ、後者が必ず不利になるとは限らない。手数料を織り込んだ価格設計やメニューの絞り込みで、採算を取る道もある。</p>
<p>　外部の販路に乗れば、商品は早く売れる。では、そのとき客との関係は誰の手元に残るのか。外食に限らず、ECモールやSNS広告に集客を頼る企業にもそのまま当てはまる問いだ。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝杉田誠／外食産業コンサルタント）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
日本経済新聞（出前館決算）（ドミノ・ピザ172店閉店）<br />
yuku.co.jp（出前館決算の数値）<br />
note（出前館の注文数・お店価格）<br />
集英社オンライン（市場規模、menu・Wolt撤退）<br />
流通ニュース（マクドナルド25年12月期）<br />
日本食糧新聞（マクドナルドのデジタル注文比率）（ドミノ・ピザ価格改定）<br />
ITmedia ビジネスオンライン（マクドナルドの店舗投資）<br />
ピザハット（600店舗到達）<br />
PR TIMES（丸亀うどん弁当5000万食）<br />
流通ニュース（トリドール第1四半期）<br />
FoodWatchJapan（日本フードサービス協会の25年年間データ）<br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-19T23:09:20+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>りそな×JCB資本業務提携の狙いとは…「口座×決済データ」が開く中小企業金融</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396331.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396331.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイントりそなHDは2026年10月15日、JCBとの資本業務提携を発表した。既存株主からJCB株式の2.24％を約80億円で取得し、グループの保有比率は5.27％になる。提携の柱は、法人カード・企業間決済の拡充、銀行口座と...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396331_risona.jpg" alt="りそな×JCB資本業務提携の狙いとは…「口座×決済データ」が開く中小企業金融の画像1" width="1240" height="850" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>りそなHDは2026年10月15日、JCBとの資本業務提携を発表した。既存株主からJCB株式の2.24％を約80億円で取得し、グループの保有比率は5.27％になる。提携の柱は、法人カード・企業間決済の拡充、銀行口座と決済データを組み合わせた与信、地域の加盟店網の活用の三つ。キャッシュレス比率が58.0％（2025年）に達したいま、決済競争の軸が法人と地域へ移りつつある背景を解説する。</strong><br />
</p>
<p>　りそなホールディングス（HD）とジェーシービー（JCB）が10月15日、資本業務提携を発表した。りそなHDは11月中旬ごろ、JCBの発行済み株式の2.24％を既存株主から取得する。日本経済新聞によれば取得額は約80億円。傘下のりそなカードとみなと銀行がすでに計3.03％を持っており、取得後のグループ保有比率は5.27％になる。</p>
<p>　数字だけ見れば小さい。経営に影響を及ぼす水準ではないし、両社の関係も今回始まったわけではない。2014年にりそなクレジットカード〈クラブポイントプラス〉JCBで組み、2024年9月には中小企業向けの法人決済で業務提携を結んでいる。ステーブルコイン決済の実証実験でも連携してきた。</p>
<p>　ではなぜ、いま改めて資本を入れるのか。発表文が提携の柱として最初に掲げたのは「法人カードや企業間決済」だった。個人向けのポイント還元競争ではなく、企業の支払いと資金繰り、そして地域の加盟店。今回の提携は、決済ビジネスの重心がそちらへ移りつつあることを示す一つの材料として読める。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">りそなの狙い——金利が追い風のうちに「金利以外」を育てる</a></li>
	<li><a href="#second">JCBの狙い——「個人の取り合い」の外側に席をつくる</a></li>
	<li><a href="#third">「口座」と「決済」がつながると何が起き得るか</a></li>
	<li><a href="#fourth">競合との関係——勝ち負けより「役割分担」で見る</a></li>
	<li><a href="#fifth">「金庫番」から「お金の流れの伴走者」へ</a></li>
</ul>
<h2 id="first">りそなの狙い——金利が追い風のうちに「金利以外」を育てる</h2>
<p>　まず前提を確認しておきたい。りそなHDの業績はいま悪くない。2026年3月期の連結純利益は2587億円で前期比21％増。今期は3100億円を目標に掲げる。日銀の利上げで預金と貸出の利ざやが改善しているからだ。</p>
<p>　ただ、内訳を見ると役務取引等収益（手数料収入）は2935億円で、伸びは3％ほどにとどまる。金利は銀行自身が動かせるものではない。追い風が吹いているうちに、景気や金利に左右されにくい収益の柱を太くしておく。今回の出資はその文脈で見ると納得がいく。</p>
<p>　りそなは、埼玉りそな銀行や関西みらい銀行などを抱え、個人と中小企業に特化した「リテール」の大手グループだ。取引先の中小企業とは貸出や口座でつながっているが、その企業が仕入れや経費をどう払い、店頭でどう売上を受け取っているかまでは、必ずしも銀行の手元にない。そこに決済という接点を加えれば、口座、支払い、入金、資金繰りを一続きで提案できる。</p>
<p>　決済インフラを自前で一から組むのは重い。世界で約7200万店の加盟店網を持ち、カード発行（イシュア）、加盟店開拓（アクワイアラ）、ブランド運営を一社で担うJCBと組む方が、時間もコストも読みやすい。</p>
<p>「銀行にとって決済の手数料そのものより大きいのは、取引先のお金の流れが日次で見えるようになることです。決算書が出るのは年に一度ですから」と、地域金融に詳しい金融アナリストの川﨑一幸氏は話す。</p>
<p>「ただしデータを持っていることと、それを審査や提案に使えることは別の話。そこはこれから問われます」</p>
<h2 id="second">JCBの狙い——「個人の取り合い」の外側に席をつくる</h2>
<p>　JCBは日本発で唯一の国際カードブランドだ。2026年3月末の会員数は1億8192万、年間取扱高は50兆円を超える。それでも立ち位置は楽ではない。国内でもVisaやMastercardと同じ土俵で戦っており、個人向けでは経済圏を持つIT企業がポイントで顧客を引きつけている。</p>
<p>　ここで注意したいのは、コード決済が「敵」という単純な構図ではない点だ。経済産業省によれば2025年のキャッシュレス決済額162.7兆円のうち82.7％はクレジットカードで、コード決済は10.2％。しかもコード決済の支払い元にカードが紐づくことは多く、PayPayカードや楽天カードにもJCBブランドがある。IT経済圏は競合であると同時に、取引先でもある。</p>
<p>　それでも、個人の「どのアプリで払うか」を巡る競争では、還元率やアプリの使い勝手が物を言う。ブランド側が主導権を握りにくい領域だ。これに対して企業の経費や仕入れの支払いは、まだ振込や手形の文化が残る。一度仕組みに組み込まれれば切り替えも起きにくい。</p>
<p>　ただし、中小企業に法人カードを持ってもらうには、企業の内情を知る相手が要る。利用枠をいくらにするかも、決算書だけでは決めづらい。2024年の業務提携で両社が「利用枠の拡大」と「高額短期与信サービスの開発」を挙げていたのは、この壁を意識したものだろう。銀行の法人営業と取引情報は、JCBには自力で得にくい資産だ。</p>
<p>「法人カードは一枚あたりの利用額が個人と桁違いになり得る。その分、与信を外したときの痛みも大きい。銀行と組む余地が一番大きいのは、実は加盟店よりこちらです」（同）</p>
<h2 id="third">「口座」と「決済」がつながると何が起き得るか</h2>
<p>　今回の発表文が示した提携の柱は四つある。</p>
<p>法人カード・企業間決済の拡充による、決済業務の効率化と資金管理の高度化<br />
決済と金融をつなぐサービス<br />
地域・日常での決済体験の向上と、決済を金融サービスへの入り口にすること<br />
データやデジタル技術を使った商品・サービスの共同開発<br />
具体的な商品名や時期はまだ示されていない。そのうえで、これまでの流れから考えられる展開を整理しておく。</p>
<p>　一つは、企業間の支払いのカード化だ。請求書をカードで払えば、払う側は支払いを後ろにずらせ、受け取る側は振込より早く入金を確定できる場合がある。ただし受け取る側には手数料がかかる。「誰がそのコストを負うのか」を当事者が合意できなければ普及しない。</p>
<p>　二つ目は与信だ。銀行口座の入出金とカードの利用履歴を組み合わせれば、年一回の決算書より新しい情報で資金繰りを見られる。中小企業にとっては、必要なときに短期の資金を引き出しやすくなる可能性がある。一方で、取引データを与信に使うには本人の同意と、利用目的の丁寧な説明が前提になる。</p>
<p>　三つ目は、発表では触れられていないが、日経の報道で示されたステーブルコインだ。両社はすでに決済の実証実験で組んでおり、企業間の送金や精算に応用できるかどうかは今後の焦点になる。ただ、実用化の時期を語れる段階ではまだない。</p>
<p>「口座データと決済データを合わせた与信は、理屈では以前から言われてきたことです。難しいのは精度よりも、審査の現場と営業の現場でそれを実際に使う運用の方。ここをどう設計するかで差がつきます」（同）</p>
<h2 id="fourth">競合との関係——勝ち負けより「役割分担」で見る</h2>
<p>　IT経済圏との関係でいえば、りそな×JCBが個人向けの還元競争に正面から加わる様子は見えない。狙うのは店や会社の側、つまり売上の入金、支払い、資金繰りといった業務である。地方の中小企業には、取引銀行の担当者から直接説明を受けたいという声も根強い。対面の接点は、オンライン中心の事業者とは異なる強みになり得る。</p>
<p>　ただ、対面営業は人手もコストもかかる。支店の担当者が本業の貸出と並行して決済端末や法人カードを勧められるのか。その仕組みづくりが、強みを強みのままにできるかどうかを左右する。</p>
<p>　メガバンクの動きも既にある。三井住友フィナンシャルグループは個人向けの「Olive」で銀行・カード・証券を一つのアプリにまとめ、加盟店向けにも決済プラットフォームを展開している。りそながそこと同じ土俵で規模を競うのは得策ではない。地域と中小企業に絞る方が、グループの強みとも合う。</p>
<p>　もう一つ、国内ブランドという観点もある。海外のプラットフォームへの支払いが膨らむ「デジタル赤字」への問題意識が政策でも語られるなか、「国内の決済インフラを使う」ことを評価する事業者はいるだろう。とはいえ、事業者が最終的に選ぶのは手数料と使い勝手だ。「国産」は加点要素にはなっても、それだけで選ばれる理由にはなりにくい。</p>
<p>「決済はもう単体では儲かりにくい。口座、会計、資金繰りなど、何と組み合わせるかの競争になっています。口座を持つ銀行は、その軸になれる立場にいる」（同）</p>
<h2 id="fifth">「金庫番」から「お金の流れの伴走者」へ</h2>
<p>　80億円、2.24％という規模だけを見れば、業界地図を塗り替えるような話ではない。ただ、10年以上続いてきた協業に資本で裏付けを与え、法人と地域を正面に掲げたことには意味がある。銀行はお金を預かり貸すだけの存在から、取引先のお金の流れ全体に関わる存在へ。今回の提携は、その変化を具体的な形にした一つの例だ。</p>
<p>　政府はキャッシュレス比率を2030年までに65％、将来的に80％へ引き上げる目標を掲げる。2025年は58.0％。残りの差を埋めるのは、都市部の個人より、まだ現金や振込が中心の事業者や地域になるだろう。</p>
<p>　注目したいのは三つ。第一に、法人カードや企業間決済の具体的な商品がいつ、どんな条件で出てくるか。第二に、利用件数や取扱額など、成果を測る数字が開示されるか。第三に、他の地域金融機関が同様の形でカード会社との関係を深めるか。結果が見えるまでには時間がかかる。それでも、地域の決済を考えるうえで追いかける価値のある事例だ。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝川﨑一幸／金融アナリスト）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB157KB0V11C26A0000000/" target="_blank" rel="noopener">りそなHD、JCBと資本業務提携　株式約2%を80億円で取得（日本経済新聞、2026年10月15日）</a><br />
<a href="https://paymentnavi.com/paymentnews/183572.html" target="_blank" rel="noopener">資本業務提携契約を締結（ペイメントナビ）</a><br />
<a href="https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2148462.html" target="_blank" rel="noopener">りそなHDとJCBの資本業務提携（Impress Watch）</a><br />
<a href="https://www.resona-gr.co.jp/holdings/news/newsrelease/detail/20240911_3510.html" target="_blank" rel="noopener">りそなHDとJCBの業務提携契約締結（2024年9月11日、りそなHD）</a><br />
<a href="https://www2.jpx.co.jp/disc/83080/140120260512525022.pdf" target="_blank" rel="noopener">りそなHD 2026年3月期決算短信</a><br />
<a href="https://www.meti.go.jp/press/2025/03/20260331006/20260331006.html" target="_blank" rel="noopener">2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました（経済産業省、2026年3月31日）</a><br />
<a href="https://www.saiyo.jcb.co.jp/introduction/knowledge/" target="_blank" rel="noopener">JCB早わかり（会員数・取扱高、2026年3月末）</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-19T22:45:51+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>売上1割増でも純利益2割減のココイチ、客増でも減益の鳥貴族…「加算型の価格」とコスト高の関係</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396326.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396326.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイント壱番屋（CoCo壱番屋）の2027年2月期中間決算は、売上高が10.0%増えた一方で純利益は20.9%減った。客単価は2.5%上がったが、客数は横ばいだった。鳥貴族、日本マクドナルド、サイゼリヤの最新決算と比べ、価...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<figure class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/08/post_395831_cocoichi.jpg" alt="売上1割増でも純利益2割減のココイチ、客増でも減益の鳥貴族…「加算型の価格」とコスト高の関係の画像1" width="1200" height="839" /><figcaption class="wp-caption-text">CoCo壱番屋の店舗（<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A3%B1%E7%95%AA%E5%B1%8B#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:CoCo_ichibanya_CurryHouse.jpg">「Wikipedia」</a>より）</figcaption></figure>

<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>壱番屋（CoCo壱番屋）の2027年2月期中間決算は、売上高が10.0%増えた一方で純利益は20.9%減った。客単価は2.5%上がったが、客数は横ばいだった。鳥貴族、日本マクドナルド、サイゼリヤの最新決算と比べ、価格の組み方とコスト構造の違いから、インフレ期に外食の利益が分かれる理由を読み解く。</strong><br />
</p>
<p>　カレーハウスCoCo壱番屋を展開する壱番屋が10月5日に発表した2027年2月期中間期（2026年3〜8月）の決算は、売上高352億円と前年同期比10.0％増えた。ところが営業利益は20億9100万円で17.2％減、親会社株主に帰属する中間純利益は10億9500万円で20.9％減だった。</p>
<p>　国内CoCo壱番屋の既存店売上高は2.4％増。分解すると、客数は前年並み（0.0％）で、客単価が2.5％増えている。伸びのほぼ全部が単価によるものだ。会社は減益の理由に、米をはじめとする食材仕入価格の上昇と物流費などの増加を挙げている。</p>
<p>　単価は上がったのに、利益は削られた。これは壱番屋だけの話ではない。焼鳥チェーン「鳥貴族」を運営するエターナルホスピタリティグループの2026年7月期は、国内鳥貴族の直営既存店で客数3.8％増、客単価2.8％増と、数字だけ見れば申し分ない。それでも連結営業利益は10.4％減、純利益は23.4％減だった。</p>
<p>　反対側には、2026年12月期中間期（1〜6月）の営業利益が15.2％増えた日本マクドナルドホールディングスと、「メニュー価格維持」の方針を続けながら2026年8月期に売上高が初めて3000億円を超えたサイゼリヤがいる。</p>
<p>　差を生んだのは値上げの上手い下手だけなのか。本稿では各社が開示した決算資料の数字をもとに、業態、価格の組み方、コスト構造の違いから、利益の出方が分かれた理由を整理する。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">まず前提をそろえる：4社は同じ土俵にいない</a></li>
	<li><a href="#second">「値上げの質」：同じ単価アップでも中身が違う</a></li>
	<li><a href="#third">サイゼリヤの「値上げしない」を支えているもの</a></li>
	<li><a href="#fourth">ココイチの減益は「つまずいた」のか、「切り替えの途中」なのか</a></li>
	<li><a href="#fifth">「単価を上げれば利益が出る」とは限らない</a></li>
</ul>
<h2 id="first">まず前提をそろえる：4社は同じ土俵にいない</h2>
<p>　業態の違う会社を勝ち負けで並べるのは乱暴だ。客がいつ、何のために来るのか。価格をどう組んでいるのか。コストがどこで膨らむのか。比べる前に、この3点を揃えておく。</p>
<p>●企業名<br />
①主な利用場面<br />
②価格の組み方<br />
③コスト構造の特徴</p>
<p>●壱番屋（CoCo壱番屋）<br />
①昼・夕の食事、一人客が多い<br />
②ベース＋トッピングの加算型<br />
③国内1205店のうち直営は120店。約9割がFC</p>
<p>●鳥貴族<br />
①夜の飲食・滞在型<br />
②全品均一価格<br />
③国内695店のうち直営424店、内装・建築費の上昇を会社自身が課題に挙げる</p>
<p>●日本マクドナルド<br />
①朝から夜まで全時間帯<br />
②手頃な商品と高単価商品の併存<br />
③全店売上は半期で4643億円。規模の経済が効く</p>
<p>●サイゼリヤ<br />
①昼・夕食、軽い飲酒<br />
②低価格の据え置き<br />
③国内5工場と豪州の生産拠点を持つ製造直販型</p>
<p>　直近の業績を並べると、次のようになる（決算期が異なるため、対象期間も併記する）。</p>
<p>●企業（対象期間）<br />
①売上高<br />
②営業利益<br />
③純利益<br />
④営業利益率<br />
⑤既存店の客数／客単価</p>
<p>●壱番屋（27年2月期中間、26年3〜8月）<br />
①352億円（+10.0％）<br />
②20.9億円（△17.2％）<br />
③11.0億円（△20.9％）<br />
④5.9％<br />
⑤0.0％／+2.5％</p>
<p>●エターナルホスピタリティG（26年7月期）<br />
①513億円（+10.6％）<br />
②28.0億円（△10.4％）<br />
③13.2億円（△23.4％）<br />
④5.5％<br />
⑤+3.8％／+2.8％（鳥貴族直営）</p>
<p>●日本マクドナルドHD（26年12月期中間、26年1〜6月）<br />
①2041億円（+0.4％）<br />
②302億円（+15.2％）<br />
③197億円（+17.0％）<br />
④14.8％<br />
⑤既存店売上高+5.9％</p>
<p>●サイゼリヤ（26年8月期）<br />
①3015億円（+17.4％）<br />
②164億円（+5.9％）<br />
③110億円（△1.1％）<br />
④5.4％<br />
⑤+9.2％／+1.5％（国内8月）</p>
<p>出所：各社決算短信・決算説明資料・月次情報。営業利益率は公表値から編集部計算。</p>
<p>　意外に思えるかもしれないが、営業利益率で見ると壱番屋、鳥貴族、サイゼリヤの3社は5％台でほぼ横並びだ。頭ひとつ抜けているのはマクドナルドだけである。「勝ち組・負け組」という分け方は、この時点で少し危うくなる。</p>
<h2 id="second">「値上げの質」：同じ単価アップでも中身が違う</h2>
<p><strong>ココイチ：単価を押し上げたのは「限定」</strong></p>
<p>　壱番屋の客単価2.5％増について、会社はコラボ企画による押し上げと、比較的単価の高い期間限定メニューの効果を挙げている。送り出した施策が単価を支えた形だ。</p>
<p>　気になるのは客数の動きだ。第1四半期（3〜5月）は0.5％増だったが、第2四半期（6〜8月）は0.5％減に転じた。国内既存店売上高も会社の計画値（中間期2.9％増）に対して実績は2.4％増で、第2四半期だけなら0.9ポイント下回った。</p>
<p>　トッピングを重ねる加算型の価格は、好きなように組める楽しさがある。その代わり、注文のたびに「いくらになるか」を足し算してしまう。</p>
<p>「加算型は物価が落ち着いているときには強い仕組みです。ただ値上げが続くと、客はトッピングを1品減らすといった形で自分で予算を調整します。そうすると、客単価は数字ほど伸びず、来店頻度のほうに影響が出やすい。客数と単価を分けて追う必要があります」（外食産業コンサルタント・杉田誠氏）</p>
<p><strong>鳥貴族：客は来たが減益</strong></p>
<p>　鳥貴族は2025年5月に価格改定したが、会社は「ご利用状況への大きな影響は見られず」と説明している。全品均一価格だと、客は頭の中で会計を計算しやすい。値上げ幅も「1品あたりいくら」で一度に納得できる。客数3.8％増という数字は、その強さを示している。</p>
<p>　ただし、利益は減った。会社は原材料、エネルギー、人件費に加え、店舗の内装・建築費の上昇を収益の下押し要因に挙げる。年間で純増34店と出店を続けるなかで、新店をつくるコストそのものが重くなっている。客が納得する価格設計ができても、それだけでは利益は守れない。この点は押さえておきたい。</p>
<p><strong>マクドナルド：単価を上げつつ、「手頃感」も残す</strong></p>
<p>　日本マクドナルドは2026年2月にも価格改定を実施した。その一方で「トクニナルド」キャンペーンを展開し、「お手頃感のあるメニュー」を続ける方針を示している。月次では、2026年1〜9月の既存店客単価は毎月プラス（+1.1〜+6.5％）だった。既存店客数が前年を割り込んだのは3月と6月だけだ。</p>
<p>コ　スト面も見ておく。中間期の直営店では、材料費率が0.9ポイント上がっている。それを労務費率の1.1ポイント低下で相殺した。単価を上げる導線と、安く済ませる導線を両方残している。そこへ店舗運営の効率化を重ねた結果が、営業利益率の差になって表れている。</p>
<h2 id="third">サイゼリヤの「値上げしない」を支えているもの</h2>
<p>　サイゼリヤは決算短信で、原材料やエネルギーのコストが上昇するなかでも「メニュー価格維持」を方針としてきたと説明している。他社が値上げを重ねるほど、据え置きの割安感は目立つ。国内既存店の客数は8月が前年同月比9.2％増、9月も同8.6％増だった。</p>
<p>　ただ、この戦略は「コストが増えない」から成り立っているわけではない。決算説明資料によると、国内の原価要因は前期比で44.7億円の利益押し下げだった。内訳は為替31.7億円、ハンバーグやチキンなどの仕入単価18.7億円、物流費6.2億円。単体の売上原価率は48.3％と、2.4ポイント悪化している。</p>
<p>　それでも国内の営業利益は60億円と、19.4％増えた。客数が増えれば、家賃や設備といった固定費を1人あたりで薄められる。仕入れや生産の規模も大きくなる。国内5工場への設備投資や、センター機能による店舗作業の削減といった取り組みも、その後押しをしている。</p>
<p>　もう一つ、見落とせない数字がある。連結営業利益164億円のうち、約6割にあたる97億円は中国などのアジア事業が稼いでいる。国内単体の営業利益率は3.0％にとどまる。「値上げしない」を国内単独の利益だけで支えているわけではない、と読むのが自然だろう。</p>
<p>「サイゼリヤの強みは価格そのものよりも、製造から物流、店舗作業までを自社で設計できる点にあります。一方で、為替の影響を直接受ける構造でもある。円安が長引けば、据え置きを続けられるかどうかは常に問われます」（同）</p>
<p>　実際、同社は今後の価格改定を「状況に応じて」行うとも記している。据え置きは絶対的な公約ではなく、効率化で吸収できる範囲で続ける判断だと受け取るのが妥当だ。</p>
<p>　壱番屋と比べると、違いは利益の压迫要因をどこで吸収できるかにある。壱番屋も米などの食材価格と物流費の上昇を減益の理由に挙げる。ただし既存店の客数が横ばいで、固定費を薄める「量」の効果が働きにくかった。</p>
<h2 id="fourth">ココイチの減益は「つまずいた」のか、「切り替えの途中」なのか</h2>
<p>　壱番屋は通期予想を変えていない。売上高726億円（前期比10.8％増）、営業利益50億円（同6.0％増）の計画だ。ただし上期の営業利益は20.9億円にとどまった。達成には、下期だけで約29億円を稼ぐ必要がある。前期の下期実績（約22億円、筆者計算）と比べると3割近い増益で、低いハードルとは言いにくい。</p>
<p>　ただ、この減益をブランドの衰えとみるのは早計だ。国内CoCo壱番屋1205店のうち直営は120店。約9割をFCが担う以上、人件費や光熱費の上昇を加盟店側に押しつけるわけにはいかない。客単価を上げて加盟店の採算を守ることは、本部にとって避けられない選択だったともいえる。</p>
<p>　成長の軸も増えてきている。海外のCoCo壱番屋は220店で、店舗売上高は103.6億円（前年同期比14.6％増）。3月には米大リーグ・パドレスの本拠地球場内にも出店した。もつ鍋やつけ麺などの国内子会社事業も、店舗売上高は62.8％増えている。</p>
<p>「ココイチは、さっと済ませる日常食から、自分好みに仕立てるちょっとした贅沢へと、位置づけが移っているように見えます。その場合、問われるのは値段に見合う体験をつくれるかどうか。今回のコラボや限定メニューは、その試行とも読めます」（同）</p>
<p>　今後注目したいのは、月次の既存店客数がプラスに戻るかどうかだ。単価で稼ぐ構図が、客の支持を保ったまま続けられるか。その答えは下期の数字に表れるはずだ。</p>
<h2 id="fifth">「単価を上げれば利益が出る」とは限らない</h2>
<p>　4社の数字から引き出せる教訓は、大きく3つある。</p>
<p>　1つ目は、客数や客単価といった需要側の指標と、利益は別物だということだ。鳥貴族は客数も単価も伸ばしたのに減益だった。値上げが受け入れられても、出店費や人件費がそれ以上に膨らめば利益は残らない。</p>
<p>　2つ目は、値上げの「見せ方」が客の行動を左右すること。均一価格や「手頃な入り口」を残す設計は、客に合計額を意識させにくい。加算型はその逆で、値上げ局面では客数の動きをより注意深く見る必要がある。</p>
<p>　3つ目は、コスト高を吸収する場所がどこにあるかだ。マクドナルドは規模と店舗運営の効率で、サイゼリヤは自社の生産・物流と客数の増加で吸収している。ただしサイゼリヤの場合、国内の利益率は薄く、アジア事業の稼ぎが全体を支えている。どのモデルにも、それぞれの弱点はある。</p>
<p>　外食に限らず、値上げを検討している企業は多いはずだ。そのときに問うべきなのは、「いくら上げるか」よりも「自社の利益はどのコストに左右され、どこで吸収できるのか」だろう。今回の4社の決算は、その問いを考えるための具体的な材料になる。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝杉田誠／外食産業コンサルタント）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://ssl4.eir-parts.net/doc/7630/tdnet/2891613/00.pdf" target="_blank" rel="noopener">壱番屋「2027年2月期 第2四半期（中間期）決算短信」（2026年10月5日）</a><br />
<a href="https://ssl4.eir-parts.net/doc/3193/tdnet/2884005/00.pdf" target="_blank" rel="noopener">エターナルホスピタリティグループ「2026年7月期 決算短信」（2026年9月11日）</a><br />
<a href="https://svss.tv/admin/sv/chapter/file_691_1786601464940.pdf" target="_blank" rel="noopener">日本マクドナルドホールディングス「2026年12月期 第2四半期（中間期）決算短信」</a><br />
<a href="https://www.mcd-holdings.co.jp/ir/sales_report/" target="_blank" rel="noopener">日本マクドナルドホールディングス「IRセールスリポート（月次）」</a><br />
<a href="https://www.saizeriya.co.jp/files/544q%E6%B1%BA%E7%AE%97%E7%9F%AD%E4%BF%A17.pdf" target="_blank" rel="noopener">サイゼリヤ「2026年8月期 決算短信」（2026年10月14日）</a><br />
<a href="https://www.saizeriya.co.jp/files/544q%E6%B1%BA%E7%AE%97%E8%AA%AC%E6%98%8E%E8%B3%87%E6%96%99-%E7%A4%BE%E5%A4%96%E7%94%A88.pdf" target="_blank" rel="noopener">サイゼリヤ「2026年8月期 決算説明会資料」</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-18T19:29:43+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[CoCo壱番屋の店舗（「Wikipedia」より）]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>「感覚値の採用」から脱却する…生成AI×Pythonで面接評価と入社後活躍をつなぐ内製分析</title>
		<link>https://biz-journal.jp/economy/post_396323.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396323.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイント分析結果を経営層の意思決定に反映できた企業は32％にとどまる（PwC・HR総研、2026年）。本稿は、生成AIで面接コメントをスコア化し、Pythonで面接評価と入社後評価の相関を検証し、BIツールで経路別の有効採用...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396323_saiyodata.jpg" alt="「感覚値の採用」から脱却する…生成AI×Pythonで面接評価と入社後活躍をつなぐ内製分析の画像1" width="1219" height="850" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>分析結果を経営層の意思決定に反映できた企業は32％にとどまる（PwC・HR総研、2026年）。本稿は、生成AIで面接コメントをスコア化し、Pythonで面接評価と入社後評価の相関を検証し、BIツールで経路別の有効採用単価や1年定着率を可視化する内製手順を解説する。範囲制限や個人情報保護など、分析時の注意点もあわせて整理した。</strong><br />
</p>
<p>　ATSには何年分もの選考記録が残り、タレントマネジメントシステムには評価データが入っている。それでも採用会議で予算配分を決める段になると、出てくる根拠は「去年もこの媒体だったから」。そんな光景は珍しくない。生成AIとノーコードツールが普及したいま、「誰が、どの経路で入り、入社後に活躍しているか」は人事担当者が自分の手で検証できるようになった。その手順と、つまずきやすい点を整理する。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">データはあるが「分析」はされていない</a></li>
	<li><a href="#second">外部に任せるだけでは、分析は「続かない」</a></li>
	<li><a href="#third">「採用×定着・活躍」をつなぐ3つの分析軸</a></li>
	<li><a href="#fourth">ノーコードAI×Pythonの内製ワークフロー</a></li>
	<li><a href="#fifth">モデルケース：Webサービス企業E社（想定事例）</a></li>
	<li><a href="#sixth">分析の価値は「次の一手」を早く決められることにあり</a></li>
</ul>
<h2 id="first">データはあるが「分析」はされていない</h2>
<p>　PwCコンサルティングとHR総研が2026年に公表した「ピープルアナリティクスサーベイ2026」（速報版）によると、需給予測や生産性向上につながる分析に取り組みたいと答えた企業は71％にのぼる。一方、分析結果が経営層の意思決定に反映された経験がある企業は32％にとどまった。「やりたい」と「使えている」のあいだには、いまも大きな差がある。</p>
<p>　採用の現場に置き換えると、この差はよく見える。週次の定例で確認するのは、応募数、書類通過率、面接通過率、内定承諾率。どれも一つの指標を単独で数えた単純集計だ。必要な数字ではあるが、これだけでは「どんな人が、どの経路で採用され、入社後に成果を出しているか」という問いには答えられない。</p>
<p>　答えが出ないまま残るのは、経験則である。「あの大学の出身者は伸びる」「この面接官が通した人は辞めない」。当たっていることもあるだろう。だが検証されていない経験則は、アンコンシャス・バイアス（無意識の思い込み）と見分けがつかない。条件に当てはまらない優秀な候補者を見落とす原因にもなる。</p>
<p>　厚生労働省が2025年10月に公表した最新データでは、新規大卒就職者の就職後3年以内の離職率は33.8％だった。中途採用に同じ基準の公的統計はないものの、マイナビ「中途採用状況調査2026年版」によれば、中途採用費用の年間予算は1社平均696.0万円にのぼる。これだけの投資の効果を、勘だけで判断し続けるのは無理がある。</p>
<h2 id="second">外部に任せるだけでは、分析は「続かない」</h2>
<p>　分析が進まないのは、担当者の能力不足のせいではない。構造の問題だ。</p>
<p>　第一に、ATS標準レポートには守備範囲がある。選考プロセスの進捗を追う仕組みとしてはよくできているが、入社後の人事評価や在籍状況は別のシステムに入っていることが多い。この二つをつながない限り、「採用の質」は測れない。</p>
<p>　第二に、外部委託だけでは社内にノウハウが残りにくい。専門家による分析の価値は大きく、とくに初期の設計段階では心強い。ただ、採用市場の状況は四半期ごとに変わる。報告書が届いたころには前提が古くなっていることもあるし、翌期に同じ分析を回せる人が社内にいなければ、改善のサイクルはそこで止まる。</p>
<p>　第三が最大の壁で、データの形がそろっていないことだ。面接評価シートの自由記述、職務経歴書のテキスト、面接官ごとにばらつく評価のつけ方。こうした非構造化データを手作業で整えるのは、これまで工数がかかりすぎて現実的ではなかった。</p>
<p>「採用データの分析でいちばん難しいのは、統計の手法そのものより、&#8221;何をもって活躍とするか&#8221;を社内で定義することです。評価制度が毎年のように変わっていたり、部署ごとに評価の甘い・辛いがあったりすると、どれだけ精密に分析しても結論はぶれます。最初に手をつけるべきは、成果指標の定義と、それを記録する運用の見直しです」（人事・労務コンサルタント・松本祐樹氏）</p>
<h2 id="third">「採用×定着・活躍」をつなぐ3つの分析軸</h2>
<p><strong>分析軸1：流入経路別の入社後活躍</strong><br />
見るべきは媒体ごとの応募単価ではない。入社1〜2年後に高い評価を得ている社員、あるいは定着している社員が、最初にどの経路で接点を持ったかである。応募数の多い経路と、活躍人材を多く生んでいる経路は、必ずしも一致しない。</p>
<p><strong>分析軸2：面接官別の評価と入社後評価の相関</strong><br />
面接官ごとに、つけたスコアと入社後の評価がどの程度一致しているかを確かめる。人事選考の研究では、構造化面接（評価項目と質問をあらかじめ決めて行う面接）は入社後のパフォーマンスをよく予測する手法の一つとされてきた。Sackettら（2022年）による大規模なメタ分析の再検討でも、構造化面接は予測力の高い手法として上位に位置づけられている。面接官ごとの分析は、自社の面接がその水準に届いているかを確かめる作業でもある。</p>
<p><strong>分析軸3：活躍人材に共通する経歴・行動特性</strong><br />
活躍している社員の経歴や面接記録から、共通する経験や行動パターンを抜き出す。たとえば「立ち上げフェーズの経験がある」「面接で、失敗から立て直したエピソードを具体的に語っていた」といった要素だ。</p>
<p>　ここで押さえておきたい注意点がある。入社後のデータがあるのは、合格した人だけだということだ。不合格者がもし入社していたらどうだったかは、誰にもわからない。統計学ではこれを「範囲制限」と呼び、相関が実際より低く出やすくなる原因になる。面接官一人あたりの評価件数が数十件程度なら、一人の入社者の結果だけで相関の値は大きく動く。分析結果は「確定した事実」ではなく、仮説として扱うのが妥当だろう。</p>
<h2 id="fourth">ノーコードAI×Pythonの内製ワークフロー</h2>
<p><strong>Step 1：生成AIで非構造化データを構造化する</strong><br />
面接コメントをChatGPTやClaudeに渡し、項目ごとのスコアに変換する。プロンプトの例は次のとおりだ。</p>
<p>「以下の面接コメントから『論理的思考力』『主体性』『組織適合性』の3項目を1〜5段階で評価し、根拠となる記述を引用したうえでCSV形式で出力してください。記述から判断できない項目は空欄にしてください」</p>
<p>肝心なのは、根拠の引用を必ず求めることと、判断できない項目は空欄にさせることの2点だ。そうしないと、AIはもっともらしい点数で欄を埋めてしまう。最初の数十件は人がAIの評価と見比べ、ずれの大きい項目は評価基準の文言を直していく。</p>
<p>個人情報の扱いにも注意がいる。個人情報保護委員会は2023年6月、生成AIサービスに個人情報を入力する際の注意喚起を出した。氏名などは仮のIDに置き換える。入力データを学習に使わない設定の法人向けプランを使う。応募者に伝えた利用目的の範囲に収まっているかを確認する。この3点は、作業を始める前に法務部門とすり合わせておきたい。</p>
<p><strong>Step 2：生成AIにPythonコードを書かせ、相関を確かめる</strong><br />
構造化したCSVと入社後評価を社員IDでひもづけ、「一次面接スコアと入社1年後評価の相関を散布図で可視化し、相関係数とサンプル数を表示するPythonコードを書いて」と依頼する。出てきたコードはGoogle Colabに貼り付ければ、ブラウザ上でそのまま動く。</p>
<p>このとき、サンプル数（n）も一緒に表示させるのを忘れてはいけない。サンプル10件での相関係数0.5と、200件での0.5とでは、意味の重さがまるで違う。</p>
<p><strong>Step 3：BIツールでダッシュボードにする</strong><br />
GoogleのBIツール（2026年4月、名称がLooker Studioから「データポータル（Data Studio）」に戻った）などを使い、スプレッドシートと連携させる。最低限そろえたいのは次の4つだ。</p>
<p>　・経路別の有効採用単価<br />
　　（入社1年後も在籍し、一定以上の評価を得ている人1人あたりのコスト）<br />
　・経路別の1年定着率<br />
　・面接官別のスコア分布<br />
　・選考ステップごとの歩留まり</p>
<p>「ダッシュボードを作ったあとに一番起きがちなのは、&#8221;見られなくなる&#8221;ことです。最初から全部を可視化しようとせず、月1回の採用会議で必ず話題にする指標を3つ程度に絞ったほうが、結果的に長く使われます」（同）</p>
<p>　なお、EUのAI法は採用・人事分野でのAI利用を「高リスク」に分類している。この分野の義務の適用は、2026年に成立した改正で2027年12月まで延期された。日本国内の採用だけなら直接の対象にはならないが、AIによる評価を最終判断に直結させず、人が判断した記録を残すという運用は、国内でも参考になる考え方だ。</p>
<h2 id="fifth">モデルケース：Webサービス企業E社（想定事例）</h2>
<p>※以下は、典型的な課題と打ち手を示すために設定した想定事例である。</p>
<p>　E社は従業員約250名。中途採用を中心に、年間30〜40名を採用している。応募数の多い求人媒体Aに予算の大半を投じてきたが、社員ID単位で入社後の評価と在籍状況を結びつけてみると、媒体A経由の入社者は1年以内の離職が目立った。一方、入社者数こそ少ないものの、エージェントB経由の人材が高い評価を得ている傾向が浮かび上がった。</p>
<p>　人事チームは生成AIとBIツールだけで分析環境を自前で組み上げた。活躍している社員の共通項（特定フェーズでの業務経験と、STAR形式〈状況・課題・行動・結果〉での具体的な語り）を一次面接の評価項目に組み込んだ結果、ミスマッチによる1年以内離職率は22％から6％へ、有効採用単価は約35％下がった。</p>
<p>　ただし、年間30〜40名の規模では、1人の離職で離職率は3ポイント前後動く。単年の数字で効果を断定するのは早計だ。少なくとも2〜3年分の推移を追い、景気や採用市場の変化といった外部要因もあわせて見る必要がある。</p>
<p>「小さな組織ほど、数字が改善したときに&#8221;施策が効いた&#8221;と思いたくなるものです。大切なのは、改善の理由を説明できるかどうか。面接項目を変えたことで、どんな候補者を見送るようになったのかまで言語化できていれば、再現性のある改善といえます」（同）</p>
<h2 id="sixth">分析の価値は「次の一手」を早く決められることにあり</h2>
<p>　人事データ分析の目的は、きれいなグラフを作ることではない。次の四半期にどの経路へ予算を寄せるか。どの面接官に一次面接を任せるか。スカウト文面をどう変えるか。こうした判断を根拠をもって、早く下せるようにすることだ。</p>
<p>　パーソル総合研究所の調査では、正規雇用者の生成AI業務利用率は2025年10月の41.9％から、2026年5月には54.3％まで上がった。分析のハードルは確実に下がっている。それでも、何を活躍とみなすかの定義、サンプルの少なさや偏りへの自覚、個人情報の適切な扱い。この3つはツールが肩代わりしてくれるものではない。</p>
<p>　感覚値を捨てる必要はない。現場の経験から生まれた感覚を検証可能な仮説に置き換え、データで確かめ、外れていれば直す。その繰り返しを回せる人事こそが、組織の採用力を底上げしていくはずだ。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝松本祐樹／人事・労務コンサルタント）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
PwCコンサルティング・HR総研「ピープルアナリティクスサーベイ2026調査結果（速報版）」<br />
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況（令和4年3月卒業者）」2025年10月24日公表<br />
マイナビ「中途採用状況調査2026年版（2025年実績）」2026年3月27日公表<br />
パーソル総合研究所「AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査」2026年7月22日公表<br />
個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」2023年6月2日<br />
Sackett, P. R. et al. (2022) Journal of Applied Psychology（選考手法の予測妥当性の再検討）<br />
EU AI法の改正（AIオムニバス、規則(EU)2026/1744）：高リスクAI規制の適用を2027年12月2日に延期<br />
Google Cloud公式ドキュメント：2026年4月にLooker Studioの名称をデータポータルへ戻した旨の告知<br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-18T18:53:22+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[経済]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>外資の日本企業買収、9カ月で前年超え…なぜ「地味な優良企業」が狙われる？</title>
		<link>https://biz-journal.jp/economy/post_396318.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396318.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイント2026年1〜9月の日本企業M＆Aは3883件で過去最多となり、海外勢による買収額は約6.2兆円と、9カ月で前年1年分を超えた（レコフデータ）。円安に加え、東証の資本コスト要請と、後継者不在率50.1%が示す事業承継...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396318_ma.jpg" width="1241" height="850" alt="外資の日本企業買収、9カ月で前年超え…なぜ「地味な優良企業」が狙われる？の画像1" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>2026年1〜9月の日本企業M＆Aは3883件で過去最多となり、海外勢による買収額は約6.2兆円と、9カ月で前年1年分を超えた（レコフデータ）。円安に加え、東証の資本コスト要請と、後継者不在率50.1%が示す事業承継の需要が重なり、KKRによる太陽HDの非公開化など中堅素材メーカーの買収が続いている。改正外為法のもとでも進む再編の構造と、働く人への影響を解説する。</strong><br />
</p>
<p>　日本企業が関わるM＆Aが、また過去最多を更新した。レコフデータによると、2026年1〜9月の件数は3883件。前年同期から5.0%増え、同期間としては3年連続の最多だ。</p>
<p>　目を引くのは、海外勢による日本企業の買収（OUT-IN）である。件数は326件で21.2%増。日本経済新聞の報道によれば、金額は約6兆1957億円に達し、わずか9カ月で2025年の年間実績を上回った。</p>
<p>「円安で日本が安く買われている」。そう片付けるのは簡単だ。ただ、数字を追っていくと、為替だけでは説明しきれない部分が残る。買い手は何を見て、どこに値段をつけているのか。その構造を整理すると、日本企業とそこで働く人がこれから向き合う変化の輪郭が見えてくる。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">円安、東証、事業承継――3つが同時に効いている</a></li>
	<li><a href="#second">狙われるのは「地味」な素材・部材メーカー</a></li>
	<li><a href="#third">規制は強まっているのに止まらない理由</a></li>
	<li><a href="#fourth">これから起きる3つの変化</a></li>
	<li><a href="#fifth">「自社が買われる日」に備える</a></li>
</ul>
<h2 id="first">円安、東証、事業承継――3つが同時に効いている</h2>
<p>　まず為替だ。ドル円は10月中旬時点で1ドル＝157〜158円台と、円安水準が続く。ドル建てで資金を集める海外ファンドにとって、円建ての資産は割安に映る。資金も厚い。日経の報道によれば、スウェーデンのEQTは4月に156億ドル規模のアジア太平洋ファンドを組成。米ベインキャピタルは5月、105億ドル規模のアジアファンドのおよそ半分を日本に投じる方針を示した。</p>
<p>　ただし、円安は2022年から続いている。今になって案件が積み上がっている理由は、ほかの2つの要因にある。</p>
<p>　1つは東京証券取引所の動きだ。東証は2023年3月、プライムとスタンダードの全上場企業に「資本コストや株価を意識した経営」を要請した。規則による義務ではなく、PBR（株価純資産倍率）1倍割れもあくまで「目安」だ。それでも効果は大きかった。2026年8月末にはプライム市場の94%が対応を開示し、PBR1倍割れの比率もプライムで50%（22年7月）から27%（26年3月）へ下がった。</p>
<p>　ただ、中身はまだ追いついていない。東証の調査では、事業ポートフォリオの見直しを「実施している」企業は28%にとどまる。一方、投資家の73%はそこを課題とみている。開示は進んだが、事業の組み替えまでは手が回らない。このギャップに、非公開化を前提とした買収提案が入り込む。</p>
<p>　もう1つが事業承継だ。帝国データバンクによると、2025年の後継者不在率は50.1%。7年連続で下がり、過去最低を更新した。注目したいのはその中身で、事業承継の経緯に占める「M＆Aほか」は20.6%と、前年の19.2%から伸びた。後継者問題は、M＆Aという出口を通じて解消されつつあるとも言える。日経によれば2026年1〜9月の事業承継目的のM＆Aは833件で2007年以来の多さだった。2027年分から強化される高所得者向けの追加課税（いわゆるミニマムタックス）を前に、売却を急ぐオーナーもいるという。</p>
<p>「円安はきっかけにすぎません。買い手が見ているのは、資本効率を上げる余地がどれだけ残っているか。東証の要請をきっかけに、その余地が開示資料の数字で見えるようになった。買い手にとっては、以前より探しやすい市場になっています」（証券アナリスト・堀野剛志氏）</p>
<h2 id="second">狙われるのは「地味」な素材・部材メーカー</h2>
<p>　象徴的なのが太陽ホールディングスだ。プリント基板向けの保護膜インキで世界トップの化学メーカーだが、一般の知名度は高くない。米KKRは2026年3月、同社の非公開化を前提としたTOBで合意したと発表した。自己株取得を含めた買収総額は約4906億円。筆頭株主のDICは保有株を売却し、非公開化後には積水化学工業が9.99%を出資する。</p>
<p>　太陽ホールディングスは理由として、短期的な成果に過度にとらわれず中長期の戦略を遂行できる体制づくりを挙げた。物言う株主との対立が続いていたことも、背景にあるとみられている。米アポロ・グローバル・マネジメント系ファンドによる日本板硝子の非公開化（企業価値約5900億円、9月30日に手続き完了）も、成熟した素材産業に外資が値段をつけた例だ。</p>
<p>　こうした企業に共通するのは、技術や顧客基盤は強いのに、市場の評価がそれに見合っていない点だ。ファンドの価値向上策は、魔法ではない。製品ごとの採算を洗い出して価格を見直す。主力と関係の薄い事業や資産を整理する。海外の販路や追加のM&amp;Aで規模を取りにいく。いずれも教科書に載っている施策だ。違いは、株主と経営が一体になり、数年という期限を切って実行するところにある。</p>
<p>　では、なぜ企業自身ではできなかったのか。値上げを切り出せば、長年の取引関係に響く。不採算事業を畳めば、社内の雇用や地元への配慮が要る。大株主や取引先との株の持ち合いが、資本の入れ替えを遅らせる。経営者個人の怠慢というより、合意形成を重んじる仕組みが生んだ結果と見るほうが実態に近い。</p>
<p>「日本の中堅メーカーには、品質では勝っているのに価格決定権を握れていない企業が少なくありません。外部株主の規律が入ると、意思決定の優先順位が変わる。価値向上の多くは、新しい技術よりもその優先順位の変化から生まれます」（同）</p>
<h2 id="third">規制は強まっているのに止まらない理由</h2>
<p>　国も手をこまねいているわけではない。2026年6月には改正外為法が公布された。日本企業の株を持つ外国法人を買収し、間接的に支配する行為も審査対象に加えるなど、対内直接投資の審査を一段と細かくした内容だ。</p>
<p>　ただ、財務省は改正の目的を「我が国経済の健全な発展に寄与する対内直接投資を一層促進」しつつ、安全保障上のリスクに対応することだと説明している。外資を一律に締め出す仕組みではなく、守るべき領域を絞り込んだうえで、それ以外の投資は受け入れる設計なのだ。規制の強化と買収の増加は、矛盾しているようで実は両立している。</p>
<p>　もう一つの理由は、国内に大型案件の買い手が少ないことだ。国内の投資会社も数千億円規模のファンドを組むようになったが、海外大手が一度に集める資金とはなお桁が違う。数千億円の非公開化に、エクイティで単独で応じられる国内勢は限られる。事業会社による同業買収も選択肢だが、独占禁止法や統合後の調整を考えると、どの案件にも使えるわけではない。</p>
<p>「外資規制を、経営改革を先送りする理由に使う企業もあります。ただ、それで企業価値が上がらなければ、株主の不満は別の形で出てきます。問われているのは資本の国籍ではなく、その資本をどう生かすかです」（同）</p>
<h2 id="fourth">これから起きる3つの変化</h2>
<p><strong>（1）非公開化は「例外」ではなくなる<br />
</strong>　レコフデータによると、M＆Aやグループ内再編で上場廃止を前提とした案件は2025年に142件。前年から51%増え、新規上場の66件を76件上回った。うちMBOは30件で、上場企業数は2023年をピークに減少に転じている。上場を続ける意味を問い直す企業は、今後も増えるだろう。一方で、東証の施策が企業をMBOへ追い込んでいるという指摘もある。少数株主の保護や買収価格の公正さは、引き続き議論の焦点になる。</p>
<p><strong>（2）グループ再編と取引関係の見直し<br />
</strong>　太陽ホールディングスの例のように、大株主の持ち分整理と非公開化はセットで起きやすい。親子上場や株の持ち合いの解消が進めば、系列を前提にした取引慣行も見直しを迫られる。仕入れ先や販売先にとっては、価格交渉の前提そのものが変わる可能性がある。</p>
<p><strong>（3）「買われる」ことの意味が変わる<br />
</strong>　PEファンドは、数年後に売却することを前提に投資する。再上場や事業会社への売却を経て、企業がどう変わったか。その実績が積み上がるにつれて、外資による買収は「身売り」ではなく、成長資金と経営の知見を取り入れる手段として見られるようになっていくだろう。ただし、それは買収後に成果が伴った場合に限られる。市場の評価を決めるのは、これから数年の「出口」の中身だ。</p>
<h2 id="fifth">「自社が買われる日」に備える</h2>
<p>　外資による日本企業の買収が増えているのは、為替だけで説明できる一過性の現象ではない。資本効率を問う市場改革と、経営者の世代交代という人口構造の変化が重なった結果だ。金利上昇による資金調達コストの増加は制約になりうるが、当面はこの流れが続くとみるのが自然だろう。</p>
<p>　働く側にとって、変化は評価のあり方に表れやすい。ファンドの傘下では、事業ごとの採算と目標がはっきりし、それに対する成果が問われる。社内の調整力よりも、自分の仕事がどれだけの利益やキャッシュを生んでいるかを数字で説明できる力が重みを増すだろう。取引先が買収されれば、自社が当事者でなくても交渉の前提は変わる。</p>
<p>「買収は悪」とも、「外資が入ればうまくいく」とも言い切れない。確かなのは、自社の事業がどれだけの資本を使い、どれだけのリターンを生んでいるのか。それを自分の言葉で説明できる人の価値は、株主がどこの国の資本であっても上がっていくということだ。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝堀野剛志／証券アナリスト）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
レコフデータ「2026年1-9月期のM&amp;A件数、3883件で最多更新」（2026年10月2日）<br />
レコフデータ「M&amp;A・グループ内再編による上場廃止案件数、2025年142件」（2026年2月13日）<br />
日本経済新聞「日本企業M&amp;A、1〜9月は過去最多　外資による買収額はや前年超え」（2026年10月13日）<br />
政経フォーカス「外資の買収額6.2兆円、過去最多ペース」（日経報道の紹介、2026年10月13日）<br />
帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査（2025年）」（2025年11月21日）<br />
ジェイ・フェニックス・リサーチ「資本コスト開示の2026年アップデート」（東証資料の整理。一次資料は東証2023年3月31日・2026年4月28日公表）<br />
財務省「外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律」について<br />
M&amp;A Online「太陽ホールディングス、米投資ファンドKKRによるTOBで株式を非公開化」（2026年4月1日）<br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-18T00:28:26+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[経済]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>新リース会計基準、企業不動産の見直しが不可避…「PBR1倍割れ」対策の死角</title>
		<link>https://biz-journal.jp/economy/post_396315.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396315.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイントPBR（株価純資産倍率）改善要請が続く中、企業の保有不動産に制度変更が重なる。2027年4月以後開始年度から強制適用の新リース会計基準でリースバックのオフバランス効果は縮小し、東京都の削減義務率はオフィスビルで50%...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396315_pbr.jpg" alt="新リース会計基準、企業不動産の見直しが不可避…「PBR1倍割れ」対策の死角の画像1" width="1230" height="850" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>PBR（株価純資産倍率）改善要請が続く中、企業の保有不動産に制度変更が重なる。2027年4月以後開始年度から強制適用の新リース会計基準でリースバックのオフバランス効果は縮小し、東京都の削減義務率はオフィスビルで50%に上昇、貸付用不動産の相続税評価も見直される。負動産化のサインと、棚卸し・資産入れ替えなどのCRE戦略を解説する。</strong><br />
</p>
<p>　東証の要請から3年半。資本効率の議論は、いよいよ「本業以外の資産」に及んでいる。なかでも見直しが後回しになりがちなのが、自社で抱える不動産だ。2027年前後に節目を迎える会計・環境・税の3つの制度変更を手がかりに、保有不動産がいつ「負動産」に変わるのか、何から手をつけるべきかを整理する。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">「不動産は安全資産」という前提が揺らぐ</a></li>
	<li><a href="#second">2027年に重なる3つの制度の節目</a></li>
	<li><a href="#third">「優良資産」が「負動産」に変わるサイン</a></li>
	<li><a href="#fourth">財務部門がいま検討すべき3つのアプローチ</a></li>
	<li><a href="#fifth">まずは「棚卸し」から</a></li>
</ul>
<h2 id="first">「不動産は安全資産」という前提が揺らぐ</h2>
<p>　東京証券取引所が2023年3月に「資本コストや株価を意識した経営」を要請して以来、企業の対応は形になってきた。東証の集計では、2026年9月末時点でプライム市場の94%（1,445社）が取組みを開示し、うち82%は内容を更新済みだ。大和アセットマネジメントのレポート（2026年7月）によれば、TOPIX構成企業のうちPBR1倍未満の比率は2022年12月末の51%から2026年6月末には38%まで低下した。</p>
<p>　それでも、TOPIX構成企業のおよそ4割は、市場から「純資産ほどの価値もない」と評価されている計算になる。開示が一巡したいま、問われているのは計画の中身だ。自社株買いや増配の次に議論の俎上に上がりやすいのが、バランスシートに長く眠っている不動産である。</p>
<p>　自社保有の不動産がどれだけの利益を生んでいるのか。含み損益はいくらなのか。物件ごとに即答できる経営陣は、実務の実感としてはそう多くない。管財部門が台帳を持ち、経理が減価償却を回し、経営企画は全体のROAだけを見る。その分断が、制度変更の影響を見えにくくしている。</p>
<h2 id="second">2027年に重なる3つの制度の節目</h2>
<p><strong>1．会計：新リース会計基準で「オフバランス」の前提が変わる</strong></p>
<p>　企業会計基準委員会（ASBJ）が2024年9月に公表した新リース会計基準は、2027年4月1日以後に開始する事業年度から強制適用される。借手は原則としてすべてのリースについて、使用権資産とリース負債をバランスシートに計上する。</p>
<p>　これまでCRE戦略の定番だった「売却して借り戻せば資産が軽くなる」という発想は、ここで前提が崩れる。セール・アンド・リースバックをしても、借りている限り資産と負債は残るからだ。</p>
<p>「新基準の下では、持つか借りるかでバランスシートの大きさはそれほど変わらなくなります。比べるべきは、その拠点が本業でどれだけ稼いでいるか、そして借りることで将来の選択肢がどれだけ広がるか。見かけのROA改善を狙った売却は、説明が難しくなるでしょう」（税理士・村井綾乃氏）</p>
<p><strong>2．環境：「省エネ性能」が建物の価値と維持コストを左右する</strong></p>
<p>　東京都のキャップ＆トレード制度（原油換算で年1,500kL以上の大規模事業所が対象）は、2025〜2029年度の第四計画期間で削減義務率を大きく引き上げた。オフィスビル等は基準排出量比27%から50%へ、工場等は25%から48%へと、ほぼ倍増している。</p>
<p>　義務を自力で達成できなければ、排出量の取引や再エネ電力の調達でまかなう必要がある。いずれもコストだ。国レベルでも2025年4月から原則すべての新築建築物に省エネ基準への適合が義務づけられ、性能の低い既存ビルとの差は今後さらに開いていくとみられる。</p>
<p>「テナントや買い手が環境性能を気にするのは、もう一部の大企業だけではありません。改修の余地がない古いビルは、賃料と売却価格の両面で評価が下がりやすい。いわゆるブラウン・ディスカウントです。実際の取引でどこまで価格差がつくかは物件次第ですが、少なくとも『買い手の数が減る』ことは織り込んでおくべきです」（不動産アナリスト・伊藤健吾氏）</p>
<p><strong>3．税制：オーナー企業を直撃する「相続評価」と「事業承継」の期限</strong></p>
<p>　非上場企業やオーナー経営者にとって見逃せないのが税制だ。令和8年度税制改正の大綱を受け、国税庁は2026年9月18日に貸付用不動産の評価に関する通達案を公表した。相続・贈与の前5年以内に取得した貸付用不動産は、路線価ではなく原則として通常の取引価額で評価する内容で、2027年1月1日以後の相続・贈与から適用される見込みだ（2026年10月時点で意見公募中）。不動産取得による相続税の圧縮を前提とした承継計画は、見直しが避けられない。</p>
<p>　あわせて、法人版事業承継税制の特例承継計画の提出期限は1年6か月延長された。準備期間が延びた分、株価評価に効く保有不動産の整理を同時に進める余地が生まれたと捉えたい。</p>
<p>　このほか、稼働率の低い拠点は減損リスクを抱え続け、固定資産税や修繕費は使っていなくても毎年かかる。どれも急な変化ではないが、何もしなければ確実に積み上がる類のコストである。</p>
<h2 id="third">「優良資産」が「負動産」に変わるサイン</h2>
<p>　制度の影響を受けやすい物件には、共通する兆候がある。物件ごとに次の5項目を当てはめ、複数に該当するものから検討の俎上に載せたい。数値の目安は業種や立地で変わるため、自社のハードルレートに合わせて設定してほしい。</p>
<p>【健全な状態】<br />
事業への貢献　本業の拠点として稼働し、代替が効きにくい<br />
資本効率　　　物件が生む利益が資本コストを上回る<br />
環境性能　　　省エネ性能が高い、または改修計画がある<br />
流動性　　　　都心・駅近など、第三者に売却しやすい<br />
情報の後追い　時価・含み損益・維持費を定期的に把握<br />
</p>
<p>【負動産化のサイン】<br />
事業への貢献　稼働率が低い、倉庫代わり、未利用地<br />
資本効率　　　簿価は大きいが、利益への貢献が説明できない<br />
環境性能　　　削減義務や改修費が見積もれていない<br />
流動性　　　　地方・郊外の単機能物件で買い手が限られる<br />
情報の後追い　取得以来、時価を一度も確認していない</p>
<p>最後の「情報の後追い」は追加した項目だが、実際にはここでつまずく企業が少なくない。データがなければ、そもそも上の4項目を判定できないからだ。</p>
<h2 id="fourth">財務部門がいま検討すべき3つのアプローチ</h2>
<p><strong>1. 売却・流動化：「資産を減らす」より「資金を生かす」</strong></p>
<p>　セール・アンド・リースバックや信託受益権化は、含み益を実現して成長投資や負債の圧縮に回す手段としては今後も有力だ。ただし先述のとおり、新リース会計基準の下ではリースバック後も使用権資産とリース負債が計上される。取引の条件によっては、売却ではなく金融取引として扱われる可能性もある。「オフバランス化でROAが改善する」という説明は、もうそのままでは通らないと考えた方がよい。得た資金をどこに使うかを、売却とセットで示せるかどうかが問われる。</p>
<p><strong>2. 資産の入れ替え：総額ではなく中身を入れ替える</strong></p>
<p>　使い切れていない地方の営業所や遊休地を売却し、省エネ性能の高い拠点や本業の設備へ再投資する。資産規模を大きく変えずに、将来の環境コストや減損リスクを下げられるのが利点だ。売却と取得のタイミングがずれると税負担が先に発生するため、買換特例などの要件を早めに確認しておきたい。</p>
<p><strong>3. 所有から利用へ：「柔軟性」の価値で比べる</strong></p>
<p>　自社ビルを手放して賃借やシェア型オフィスに移れば、修繕費の振れや環境対応の負担を貸主側に寄せられる。一方で、会計上は賃借でもリース負債が計上されるため、バランスシートが軽くなる効果は小さい。評価すべきは、事業の縮小や拡大に合わせて拠点を動かせる「選択肢の価値」だ。短期の契約ほど賃料単価は上がりやすく、総コストでは保有に劣る場合もある。そこまで含めて比較したい。</p>
<p>「オーナー企業の場合、会社の不動産をどうするかは、そのまま株価評価と相続の話に直結します。売っても持っても税は動くので、税制改正を見てから慣てて動くより、試算を先に済ませておく方が選べる手は多くなります」（村井氏）</p>
<h2 id="fifth">まずは「棚卸し」から</h2>
<p>　企業不動産の管理は、総務・管財部門のコスト管理から、CFOや経営企画が担う資本配分の問題へと移りつつある。ただ、売るか持つかを決めるのは先でよい。最初の一歩は、物件ごとの時価、含み損益、稼働率、維持費、省エネ性能を一つの表に並べることだ。</p>
<p>　新リース会計基準の強制適用、貸付用不動産の評価見直し、東京都の削減義務の強化。いずれも日程はすでに見えている。対応を急がされる前に自社の数字を握っていれば、不動産は「説明を求められる資産」から「資本効率を示す材料」に変わりうる。その差は、数年後の投資家との対話ではっきり表れるはずだ。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝村井綾乃／税理士）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://www.jpx.co.jp/equities/follow-up/jr4eth0000004vj2-att/mklp770000006z6h.pdf" target="_blank" rel="noopener">日本取引所グループ「資本コストや株価を意識した経営」開示状況（2026年9月末時点）</a><br />
<a href="https://www.asb-j.jp/jp/wp-content/uploads/sites/4/ecl20261016_15.pdf" target="_blank" rel="noopener">企業会計基準委員会 企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」</a><br />
<a href="https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kankyo/4th_overview-final_draft-files-bessi2" target="_blank" rel="noopener">東京都環境局 キャップ＆トレード制度 第四計画期間の改正事項（別紙2）</a><br />
<a href="https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/climate/large_scale/" target="_blank" rel="noopener">東京都環境局 総量削減義務と排出量取引制度（対象要件）</a><br />
<a href="https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf" target="_blank" rel="noopener">財務省 令和8年度税制改正の大綱（令和7年12月26日閣議決定）</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-17T10:33:35+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[経済]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>資源量は世界3位、発電比率は0.3％…三井不動産と大成建設が挑む「次世代地熱」の到達点</title>
		<link>https://biz-journal.jp/economy/post_396311.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396311.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイント三井不動産らは2026年10月、鹿児島県指宿市で同軸二重管型クローズドループ方式の地熱発電の掘削を完了した。27〜28年度に実証を行い、早ければ29年度の商用化を目指す。大成建設は9月、CO2を熱媒体とする地熱発電の...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396311_chinetsu.jpg" alt="資源量は世界3位、発電比率は0.3％…三井不動産と大成建設が挑む「次世代地熱」の到達点の画像1" width="1247" height="849" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>三井不動産らは2026年10月、鹿児島県指宿市で同軸二重管型クローズドループ方式の地熱発電の掘削を完了した。27〜28年度に実証を行い、早ければ29年度の商用化を目指す。大成建設は9月、CO2を熱媒体とする地熱発電の実現可能性調査に着手。熱水に頼らない2つの次世代地熱技術について、強みと課題、国の導入目標（2050年に7.7GW）を比べて検証する。</strong><br />
</p>
<p>　日本の地熱資源量は約2347万kWで、世界3位とされる。ところが、国内の発電電力量のうち地熱が占める割合は約0.3％（2022年度）にすぎない。資源はあるのに使えていない状態が、もう何十年も続いている。</p>
<p>　ここにきて、2つの大手企業がこの状況を変えようと動き出した。三井不動産は10月14日、鹿児島県指宿市で「同軸二重管型クローズドループ方式」の実証に必要な掘削を終えたと発表した。その約1カ月前の9月8日には、大成建設がCO2を熱媒体に使う地熱発電の実現可能性調査（FS）に着手している。</p>
<p>　デベロッパーとゼネコンでは、本業も技術の筋もまるで違う。両社の公表資料をもとに、それぞれの到達点と課題を整理してみたい。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">なぜ日本の地熱は増えなかったのか</a></li>
	<li><a href="#second">三井不動産：地下の水に触れない「密閉管」</a></li>
	<li><a href="#third">大成建設：CO2を「熱を運ぶ流体」にする</a></li>
	<li><a href="#fourth">両社の比較</a></li>
	<li><a href="#fifth">デベロッパーが地熱を手がける意味</a></li>
	<li><a href="#sixth">注目すべきは「29年度の数字」</a></li>
</ul>
<h2 id="first">なぜ日本の地熱は増えなかったのか</h2>
<p>　従来型の地熱発電が成り立つには、3つの自然条件が必要になる。地下の「熱」、その熱を地上に運ぶ「熱水・蒸気」、そして熱水を地下にためておく「器（貯留層）」だ。このうち地表から確かめられるものはない。調査井を掘っても、十分な蒸気が出ずに撤退する例は珍しくない。</p>
<p>　有望な地点の多くは国立・国定公園や温泉地と重なっている。そのため、自然公園法や温泉法の手続き、温泉事業者との合意形成に長い時間がかかる。調査から運転開始までは10年以上が一般的とされる。しかも資源エネルギー庁によれば、1地点の出力は1万5000kW程度と小さい。リスクが高く時間もかかるのに、規模は大きくならない。地熱が伸びなかった理由はこれに尽きる。</p>
<p>　国も方針を改めた。2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画は、次世代型地熱を「地熱ポテンシャルを現状の4倍以上に拡大する可能性がある技術」と明記した。同年4月には官民協議会が発足している。ロードマップの目標は、2030年代早期に次世代型の運転を始め、2040年までに1.4GW、2050年までに7.7GWを導入すること。2040年度の電源構成の見通しでは、地熱の比率を1〜2％程度に引き上げるとしている。</p>
<h2 id="second">三井不動産：地下の水に触れない「密閉管」</h2>
<p>　三井不動産、新日本科学、ジャパン・ニュー・エナジー（JNEC）の3社が採用したのは、1本の坑井に内管と外管を重ねた「同軸二重管」を入れる方式だ。地上から送り込んだ水を管の中で循環させ、地中の熱で温めて取り出す。地下の熱水や蒸気、それに含まれる成分を地上に出さない点が最大の特徴になる。必要な自然条件は「熱」の一つだけ。ここが従来型との決定的な違いだ。</p>
<p>　実証の場所は「メディポリス指宿」。新日本科学が2015年から地熱発電所を運営している土地で、2025年度は温泉発電と合わせて年間約1400万kWhを発電した。地下の情報と運営の経験がすでにある場所を選んだことは、実証のリスクを下げるうえで理にかなっている。</p>
<p>　報道によれば、2026年度後半に実証プラントを着工し、27〜28年度に実証を行い、早ければ29年度に商用化を目指す。実現すれば国内初になる。</p>
<p>　ただし、温泉法上の扱いには注意が必要だ。熱水をくみ上げない方式を温泉法の対象外と整理できるかどうかは、関係省庁がいまも議論している。規制が自動的に外れるわけではない。</p>
<p>　技術面の課題もはっきりしている。</p>
<p>「クローズドループは、管の壁を通した熱伝導だけで熱を集めます。岩盤の中で熱が伝わる速さには物理的な上限があるので、1本の井戸から取れる熱量はどうしても限られる。長く運転すると管の周りの岩盤が冷えて、出力が落ちていくことも考えておかなければなりません。商用化の分かれ目は、掘削コストをどこまで下げられるか、そして複数の井戸をどう組み合わせるかでしょう」（エネルギー政策研究家・佐伯俊也氏）</p>
<h2 id="third">大成建設：CO2を「熱を運ぶ流体」にする</h2>
<p>　大成建設は2021〜25年度の5年間、地熱技術開発（GERD）と組んで、JOGMEC（エネルギー・金属鉱物資源機構）の研究事業として基礎研究を進めてきた。高温の地層にCO2を圧入し、地下で超臨界状態になったCO2を循環させて熱を回収する仕組みだ。超臨界CO2は粘り気が小さく、岩盤の細かい亀裂に入り込みやすい。そのため、効率よく熱交換できると考えられている。圧入したCO2の一部は貯留層の中で炭酸塩鉱物などとして固定されるため、採熱とCO2の固定を同時に狙える。</p>
<p>　大成建設は、CCS（CO2回収・貯留）でCO2が地下でどう動くかを数値解析する技術を長年手がけてきた。地下の流体挙動を読む力は、まさにゼネコンが得意とする分野だ。2025年12月にJOGMECのFSに採択され、今後は技術課題の整理、発電コストの試算、事業化までのロードマップづくりを進める。日本経済新聞は、事業化の目安を2040年以降と報じている。</p>
<p>「CO2を熱媒体として使うには、CO2をどこから安定して調達するかという問題が避けられません。CCSの輸送網や貯留の制度と一体で考える必要があります。加えて、人工的に貯留層をつくる過程では誘発地震のリスクを管理しなければならず、漏れがないかを長期にわたって監視する体制も欠かせない。技術的な意義は大きい一方で、社会実装には時間がかかる性質の技術です」（同）</p>
<h2 id="fourth">両社の比較</h2>
<p>項目　　　　　　　<strong>三井不動産ほか</strong><br />
熱媒体　　　　　　水（密閉管の中を循環）<br />
地下の熱水　　　　使わない<br />
現在の段階　　　　掘削完了、27〜28年度に実証<br />
主な強み　　　　　構造が単純で、地下環境への影響が小さい<br />
主な課題　　　　　1本あたりの出力が小さく、熱の減衰もある</p>
<p>項目　　　　　　　<strong>大成建設</strong><br />
熱媒体　　　　　　超臨界CO2（地層に圧入して循環）<br />
地下の熱水　　　　使わない（熱水量が足りない高温サイトが対象）<br />
現在の段階　　　　FSに着手、事業化は40年以降が目安<br />
主な強み　　　　　採熱効率に期待でき、CO2の固定も狙える<br />
主な課題　　　　　CO2の調達、誘発地震の管理、漏出の監視</p>
<p>　この比較からわかるのは、両者は同じ土俵で勝ち負けを競っているわけではないということだ。三井不動産の方式は、商用化に近い位置から「熱水がなくても地熱を使える」ことを示す役割を担う。大成建設の方式は、より長い時間軸で、地熱とCO2の削減を結びつける可能性を探っている。段階も役割も違う。</p>
<h2 id="fifth">デベロッパーが地熱を手がける意味</h2>
<p>　地熱の最大の価値は、天候や時間帯に左右されずに発電できることにある。太陽光や風力は出力が変動するため、大量に導入するほど蓄電池や調整用の電源が必要になる。一方で地熱は、最初の掘削にかかる費用が重く、屋根に太陽光パネルを載せるような手軽さはない。どちらが優れているかではなく、互いに補い合う関係にある。</p>
<p>　需要の側でも変化が起きている。資源エネルギー庁は、米グーグルが自社のデータセンター向けに地熱発電所から電力を直接購入している例を紹介している。24時間使えるクリーンな電源に対しては、はっきりとした買い手が存在するということだ。</p>
<p>　三井不動産はリリースで、技術・施工・電力活用といった領域での協業や、「地域特性を活かしたまちづくり」との連携を掲げている。電気の買い手を自前で抱え、街をつくる力もあることは、ほかの発電事業者にはない強みだ。</p>
<p>　ただ、指宿でつくった電気を都市部のビルに届ける場合は、送電網を経由することになる。実際には電力購入契約（PPA）などの形をとることになるだろう。</p>
<p>「デベロッパーにとって地熱の価値は、発電事業そのものより、テナント企業の再エネ調達ニーズに応えられる電源を持つことにあります。ただ、地熱発電所の近くで工場やデータセンター、宿泊施設を一体で開発する地産地消型のほうが、送電の制約を受けにくく現実的かもしれません。地域にとっても、雇用や産業が生まれてこそ受け入れる意味が出てくるはずです」（同）</p>
<h2 id="sixth">注目すべきは「29年度の数字」</h2>
<p>両社の取り組みを「どちらが日本を救うか」という対決として見る必要はない。開発リスクの中心にあった「熱水があるかどうか」という問題を、異なる方法で外そうとしている点に本当の意義がある。</p>
<p>これから確かめるべき点は3つある。三井不動産の実証で、出力と発電コストがどの水準に収まるか。温泉法上の扱いがどう整理されるか。大成建設のFSで、CO2の調達と安全管理がどこまで具体的に描けるか。</p>
<p>資源エネルギー庁も強調しているとおり、次世代型であっても地域との共生が欠かせないことは変わらない。技術が地熱の壁をどこまで崩せるか。その最初の答えは、2020年代の終わりに見えてくる。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝佐伯俊也／エネルギー政策研究家）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2026/1014/" target="_blank" rel="noopener">三井不動産ほか ニュースリリース（2026年10月14日）</a><br />
<a href="https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260908_11176.html" target="_blank" rel="noopener">大成建設 FS着手のお知らせ（2026年9月8日）</a>／<a href="https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/210823_8430.html" target="_blank" rel="noopener">2021年の開発着手リリース</a><br />
<a href="https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/geothermal_power2026.html" target="_blank" rel="noopener">資源エネルギー庁「地熱発電も『次世代』へ！」（2026年6月5日）</a><br />
<a href="https://www.kochinews.co.jp/article/detail/1054445" target="_blank" rel="noopener">共同通信配信（高知新聞、2026年10月16日）</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-16T22:40:43+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[経済]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>労災の3割が60歳以上…アシストスーツは熟練工の現役期間を延ばせるか</title>
		<link>https://biz-journal.jp/economy/post_396305.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396305.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイント2025年の休業4日以上の労災死傷者13万5333人のうち、60歳以上は31.3%を占めた。2026年4月には、高年齢者の労災防止が事業者の努力義務になった。農研機構の試算で椎間板への負担を最大約48%減らしたアシス...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396305_powersuit.jpg" width="1276" height="850" alt="労災の3割が60歳以上…アシストスーツは熟練工の現役期間を延ばせるかの画像1" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>2025年の休業4日以上の労災死傷者13万5333人のうち、60歳以上は31.3%を占めた。2026年4月には、高年齢者の労災防止が事業者の努力義務になった。農研機構の試算で椎間板への負担を最大約48%減らしたアシストスーツの効果検証、遠隔操作の重機、体調を見守るウェアラブル、導入時の3つの壁と補助金までを、公的統計と研究から整理する。</strong><br />
</p>
<p>「重い物は若い人に任せる」。物流倉庫や工場で長く通ってきたこの線引きが、揺らぎ始めている。</p>
<p>　総務省統計局によると、2025年の65歳以上の就業者は943万人。22年連続で増え、就業者全体の13.8%を占めた。働く人のおよそ7人に1人が65歳以上という計算になる。一方、リクルートワークス研究所は、2030年に約341万人、2040年に約1100万人の労働供給が不足すると試算している。製造現場を含む「生産工程」だけでも、2040年の不足は112.4万人にのぼる。</p>
<p>　人が足りないだけではない。段取りや品質の勘所を握っているのは、往々にしてベテランだ。体力を理由に彼らが現場を離れれば、失われるのは頭数以上のものになる。</p>
<p>　本稿では、アシストスーツなどで身体の負担を補う「身体拡張（オーグメンテーション）」について、公的統計と学術研究をもとに現状を整理する。何がすでに確かめられていて、何がまだ途上なのか。その線引きもあわせて示したい。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">数字が示す現場の負担と、自動化の「届かない範囲」</a></li>
	<li><a href="#second">アシストスーツは「どれだけ効く」のか</a></li>
	<li><a href="#third">筋力の次は「目」と「体調」を補う</a></li>
	<li><a href="#fourth">「売って終わり」ではないビジネスへ</a></li>
	<li><a href="#fifth">導入でつまずく3つの壁</a></li>
	<li><a href="#sixth">人を置き換えるのではなく、持ち場を広げる</a></li>
</ul>
<h2 id="first">数字が示す現場の負担と、自動化の「届かない範囲」</h2>
<p>　厚生労働省が2026年5月に公表した2025年の労働災害統計では、休業4日以上の死傷者は13万5333人。このうち60歳以上が4万2318人と、3割超（31.3%）を占めた。75歳以上に限っても、すでに5000人を超えている。</p>
<p>　事故の型で見ると、最多は「転倒」の3万7195人。腰痛などを含む「動作の反動・無理な動作」が2万2166人でこれに続く。労働者健康安全機構は、休業4日以上の業務上疾病のうち6割以上を腰痛が占めるとしている。重量物の持ち上げや中腰での作業が、いまも現場の大きな負担であることに変わりはない。</p>
<p>　制度も動いた。2026年4月の改正労働安全衛生法の施行で、高年齢者の労働災害を防ぐ措置が事業者の努力義務となった。これまでの「エイジフレンドリーガイドライン」は、法に基づく「高年齢者の労働災害防止のための指針」に引き継がれている。</p>
<p>　では、人が担う作業そのものを機械に置き換えれば済むのか。大量・定型の工程ならそれが正解になる。だが、荷姿が日ごとに変わる倉庫や、多品種少量の組立てでは、例外処理のたびに人の判断が要る。</p>
<p>「全自動化は、工程が固まっていて初めて元が取れる投資です。不定形の荷物や、毎日違う段取りが残る現場では、判断は人が担い、力のいる部分だけを機器が担う。この分担のほうが現実的な場面は少なくありません」（人事・労務コンサルタント・松本祐樹氏）</p>
<p>　人が判断し、機器が力を足す。いわゆる「ヒューマン・イン・ザ・ループ」の考え方が、身体拡張の出発点にある。</p>
<h2 id="second">アシストスーツは「どれだけ効く」のか</h2>
<p>　効果の測り方は、ここ数年でずいぶん精密になった。</p>
<p>　農研機構は2026年5月、スーツが実際に出す力（トルク）の計測と、体にかかる負荷を計算する生体力学モデルを組み合わせた評価法を発表した。市販の腰補助用スーツで、30kgの収穫コンテナを持ち上げる動作を想定して試算したところ、腰の椅間板にかかる圧縮力は最大で約48%減った。繰り返し作業では、時間がたつほど腰の疲労がたまりにくくなる傾向も示されている。</p>
<p>　海外の知見もおおむね同じ方向を向く。産業用外骨格の研究を整理した2016年のレビュー論文（de Loozeら、学術誌『Ergonomics』）は、持ち上げや前かがみ姿勢の保持で、背部の筋活動が10〜40%減るという報告をまとめている。</p>
<p>　ただし、数字の読み方には注意がいる。こうした測定の多くは、動作を単純にした実験室での結果だ。腰痛そのものや休業日数がどれだけ減るのか。この問いに答える長期の現場データは、まだ十分にはそろっていない。</p>
<p>「筋活動が下がることと、労災が減ることは、分けて考える必要があります。前者は測れますが、後者を確かめるには、作業内容をそろえた比較を数年単位で続けるしかありません。導入する企業こそ、その記録を残してほしい」（同）</p>
<p>　製品は大きく2系統に分かれる。モーターで力を出す「アクティブ型」と、バネやゴム、空気圧の人工筋肉などを使う「パッシブ型」だ。アクティブ型は補助力を制御しやすい。その反面、重量や充電の手間がついて回る。パッシブ型は軽く安価で、一日中着ける用途に向く。どちらが優れているかではなく、「どの作業の、どの関節を助けるか」で選ぶ時代に入ったといえる。</p>
<p>　規格の整備も進む。生活支援ロボットの安全規格ISO 13482は日本が主導して策定したものだ。腰補助用スーツの性能試験には、JIS B 8456-1がある。「効くらしい」から「この作業ならこれだけ効く」へ。そんな比較が、ようやくできるようになってきた。</p>
<h2 id="third">筋力の次は「目」と「体調」を補う</h2>
<p>　年齢を重ねて変わるのは、筋力だけではない。手元の小さな文字が読みづらくなる。暑さや疲れに、自分では気づきにくくなる。身体拡張の対象は、こうした感覚や認知の領域にも広がりつつある。</p>
<p>　ひとつは、スマートグラスなどの視覚支援だ。ピッキングの棚番や作業手順を視界に重ねて示せば、伝票を持ち替える手間が減る。細かい文字を読む負担も軽くなる。ただ、画面を見続けることによる疲れや、足元への注意がそれるリスクもある。転倒が労災の最多である以上、表示の量を絞る設計が欠かせない。</p>
<p>　もうひとつは、「その場にいなくても力を出せる」仕組みだ。JR西日本は2024年7月、人型ロボットを搭載した「多機能鉄道重機」の使用を始めた。操縦者は運転室からロボットを操り、高さ最大12mで、40kgまでの物を扱う。同社は、作業に必要な人員の約3割削減とともに、性別や年齢を問わず高所の重作業を担えるようになることを見込んでいる。力の手応えを操作者に返す「力触覚（ハプティクス）」の研究が進めば、壊れやすい物をそっとつかむような繊細な作業にも、この発想が広がっていくだろう。</p>
<p>　3つ目が、ウェアラブル端末による体調の見守りだ。心拍や体温などの変化から、暑さや疲労のリスクを推定する。追い風は制度の側から吹いている。2025年6月の改正労働安全衛生規則の施行で、一定の暑熱環境での作業では、熱中症のおそれがある作業者を早く見つける体制づくりが事業者の義務になった。</p>
<p>「センサーが出すのはあくまで『気づきのきっかけ』です。数値だけで作業を止めたり、人を評価したりすると、現場は着けるのを嫌がります。何のために測り、誰が見て、どう動くのか。そこを先に決めておくことが大事です」（同）</p>
<h2 id="fourth">「売って終わり」ではないビジネスへ</h2>
<p>　身体拡張の市場は、機器を売るだけの商売から形を変えつつある。方向性は大きく3つだ。</p>
<p>　1つ目は、サービス型の提供だ。レンタルや月額制に、保守や交換、使い方の指導を組み合わせる。導入する側にとっては、初期費用を抑え、合わなければ別の機種に替えられるのが利点になる。「どの作業にどの製品が合うか」が事前に読みにくい以上、試しながら選べる契約の形には合理性がある。</p>
<p>　2つ目は、保険との接続だ。労災保険にはもともと「メリット制」がある。一定規模以上の事業では、労災の発生状況に応じて保険料率が上下する仕組みだ。将来は民間の上乗せ保険などで、装着率や体調データを安全対策の「実績」として評価する商品が出てくる可能性はある。ただし現時点では、一般的な仕組みとして確立しているわけではない。</p>
<p>　3つ目は、熟練技能のデータ化だ。ベテランの姿勢や視線、力の入れ方を記録し、若手の教育や作業標準の見直しに生かす。アシスト機器やセンサーは、そのまま記録の入り口にもなる。言葉にしにくい「勘」を、本人が現役のうちに残せる。そこに価値がある。</p>
<p>「体のデータは、本人にとって非常にセンシティブな情報です。利用目的をあらかじめ示し、人事評価には使わないと約束する。そうしたルールを先に作らないと、データビジネスは現場の信頼を失います」（同）</p>
<h2 id="fifth">導入でつまずく3つの壁</h2>
<p>　機器を買うのは簡単だ。難しいのは、半年後も使われている状態をつくることの方だ。</p>
<p><strong>①心理的な抵抗</strong>　「年寄りだから着せられている」と受け取られると、機器はロッカーにしまわれる。年齢ではなく作業で対象者を決め、若手も含めて全員が使う保護具として位置づける。この方が定着しやすい。作業服になじむ外観や、蒸れにくい素材といった地味な改良も効いてくる。</p>
<p><strong>②着脱と運用の手間</strong>　作業の合間に着け外しできなければ、使われなくなる。どの工程で着け、どこで外すのか。置き場、充電、サイズ合わせ、汗の手入れまで含めて、最初に運用ルールを決めておきたい。</p>
<p><strong>③投資対効果の説明</strong>　効果は、休業による欠員や代替要員のコスト、採用・育成の費用、熟練者が抱える技能の価値に分散して現れる。単年度の機器代と比べれば、割高に見えて当然だ。導入前から作業ごとの負担と休業の実績を記録し、数年単位で比べられる形にしておく。それが前提になる。</p>
<p>　費用面では、公的な支援もある。令和8年度の「エイジフレンドリー補助金」は、60歳以上を常時雇用する中小企業などを対象に、腰痛予防などの機器導入を支援する。上限は100万円で、申請は2026年10月31日まで（予算に達し次第終了）だ。</p>
<p>「いきなり全社に入れるより、腰の負担が最も大きい工程をひとつ選んで試す方がいい。そこで使う人の声を拾い、選び直す。その繰り返しが、結局は一番の近道です」（同）</p>
<h2 id="sixth">人を置き換えるのではなく、持ち場を広げる</h2>
<p>　身体拡張は、老いを消す技術ではない。負担の大きい部分を機器に預け、人には判断と技能を残す。その分担を引き直す道具だ。</p>
<p>　効果の測り方が整い、法制度も高年齢者の安全を事業者の努めとして位置づけた。一方で、労災や離職をどれだけ減らせるかという問いには、まだ現場の積み重ねが足りない。その答えを出すのは、研究機関だけではなく、導入して記録を残す企業自身でもある。</p>
<p>　あなたの現場では、「もう年だから」という一言で、どれだけの技能が静かに失われているだろうか。それを数えるところから、検討は始められる。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝松本祐樹／人事・労務コンサルタント）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_73382.html" target="_blank" rel="noopener">厚生労働省「令和7年の労働災害発生状況を公表」（2026年5月27日）</a><br />
<a href="https://www.stat.go.jp/data/topics/pdf/topi149_02.pdf" target="_blank" rel="noopener">総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者」Ⅱ 高齢者の就業（2026年9月）</a><br />
<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/newpage_00010.html" target="_blank" rel="noopener">厚生労働省「高年齢者の労働災害防止のための指針」について（公示、2026年2月10日）</a><br />
<a href="https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/iam/175762.html" target="_blank" rel="noopener">農研機構「アシストスーツの「効き具合」を見える化」（2026年5月19日）</a><br />
<a href="https://www.westjr.co.jp/press/article/items/240627_00_trainmaintenancemachine.pdf" target="_blank" rel="noopener">JR西日本「鉄道設備メンテナンスに多機能鉄道重機を使用開始」（2024年6月27日）</a><br />
<a href="https://jsite.mhlw.go.jp/toyama-roudoukyoku/news_topics/oshirase/0706nechushokyoka.html" target="_blank" rel="noopener">厚生労働省「職場における熱中症対策の強化について」（令和7年6月1日施行）</a><br />
<a href="https://musclesuit.co.jp/howtobuy/subsidies/" target="_blank" rel="noopener">イノフィス「パワーアシストスーツ導入に活用できる補助金・助成金情報」（令和8年度エイジフレンドリー補助金の概要。厚労省の公募要領で最終確認のこと）</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-21T17:29:02+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[経済]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>ホンダはなぜ三菱自のトラックを売るのか…中国53%減、タイ日系シェア低下の先</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396293.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396293.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイントホンダが三菱自動車から、タイで生産するピックアップトラック「トライトン」のOEM供給を受け、2028年にも東南アジアで発売すると報じられた。他社から車両を調達するのは約30年ぶり。9月の中国販売53.1%減、タイでの...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396293_honda.jpg" alt="ホンダはなぜ三菱自のトラックを売るのか…中国53%減、タイ日系シェア低下の先の画像1" width="1255" height="850" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>ホンダが三菱自動車から、タイで生産するピックアップトラック「トライトン」のOEM供給を受け、2028年にも東南アジアで発売すると報じられた。他社から車両を調達するのは約30年ぶり。9月の中国販売53.1%減、タイでの日系シェアの低下、日産とのSDV共通化契約を手がかりに、自前主義の転換と、資本に頼らない3社協業の勝算と課題を読み解く。</strong><br />
</p>
<p>　本田技研工業（ホンダ）が三菱自動車から完成車の供給を受ける――。10月9日、読売新聞や日本経済新聞などが報じたこのニュースは、業界関係者の間でも驚きをもって受け止められた。</p>
<p>　対象は、三菱自がタイで生産する1トンピックアップトラック「トライトン」だ。ホンダのブランドを付け、2028年にも東南アジアで発売し、他地域への展開も検討するという。ホンダが他社からOEM（相手先ブランドによる生産）供給を受けるのは、1990年代にいすゞ自動車からSUVの供給を受けて以来、約30年ぶりになる。</p>
<p>　エンジンから車体まで自分たちで手がけることを企業文化の核にしてきたホンダが、なぜ他社の車に自社のエンブレムを付けるのか。背景をたどると、中国市場の急縮小、東南アジアでの品ぞろえの空白、そして日産自動車を含む3社協業という三つの流れが重なって見えてくる。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">中国「53%減」が突きつけたもの</a></li>
	<li><a href="#second">なぜ東南アジアで、なぜトライトンなのか</a></li>
	<li><a href="#third">「資本で縛らない」3社協業の現在地</a></li>
	<li><a href="#fourth">割り切りの先にある課題</a></li>
</ul>
<h2 id="first">中国「53%減」が突きつけたもの</h2>
<p>　ホンダの中国法人が10月12日に発表した9月の新車販売台数（登録ベース）は2万5564台。前年同月比53.1%減と、半分以下になった。1～9月の累計は28万3183台で、前年同期から約4割減っている。</p>
<p>　ただし、この数字をホンダ固有の問題だけで説明するのは正確ではない。中国汽車工業協会によれば、9月の中国国内販売は190万4000台で前年同月26.0%減。11カ月連続の前年割れだ。新エネルギー車（NEV）の購入税が2026年から「全額免除」から「半額減免」に切り替わったことや、中東情勢を受けた原油高でガソリン車の需要が冷え込んだことが重なった。一方で輸出は61%増と好調で、中国勢の生産が国外へ向かう構図が鮮明になっている。</p>
<p>　それでも、市場全体の約2倍のペースで販売が減っている事実は重い。ホンダの中国販売は2020年の約162万台をピークに、2025年には約64万台まで縮んだ。日経ビジネスは、2026年度の中国生産を35万台前後に絞る計画を報じている。</p>
<p>　本体の業績も、この1年で大きく揺れた。ホンダは2026年3月、北米で計画していたEV3車種の開発中止を含む四輪電動化戦略の見直しを表明。26年3月期に四輪事業で1兆5778億円の損失・費用を計上し、上場以来初の最終赤字に転落した。27年3月期も約5200億円のEV関連損失を見込む。</p>
<p>　一方で、4～6月期の連結営業利益は5307億円と四半期ベースで過去最高だった。牢引したのは過去最高の2339億円を稼いだ二輪事業と、北米のハイブリッド車（HV）。四輪事業の営業利益率は5.0%にとどまる。稼ぐ力がないわけではないが、四輪の投資にはこれまで以上に厳しい優先順位をつけざるを得ない。そういう局面だ。</p>
<p>「中国の月次の数字だけを見て『ホンダ失速』と結論づけるのは早計だと思います。問われているのは、中国で浮いた開発資源と資金をどこに振り向けるか。ソフトウェアやHVに重点を置くなら、自社に貯えの少ないラダーフレーム車を一から作る余裕は、今のホンダにはあまりない」（自動車アナリスト・荻野博文氏）</p>
<h2 id="second">なぜ東南アジアで、なぜトライトンなのか</h2>
<p>　中国の次に重みを増すのが東南アジアだ。ただ、ここも「日系の牢城」と安心できる場所ではなくなりつつある。</p>
<p>　タイの2025年の新車販売は62万1166台で、前年比8.5%増となった。ホンダは7万3942台（3.4%減）と、トヨタに次ぐ二番手を守っている。一方で日系ブランドの合計シェアは、24年の76.7%から25年は69.3%に下がった。BYDが47.5%増と伸ばすなど、中国勢がEVを軸に存在感を増している。</p>
<p>　ホンダが抱える「空白」は、この市場の成り立ちを見るとわかりやすい。タイの25年販売のうち、乗用車が約24万台、商用車が38万台余り。商用車の大半を占めるのが、1トンピックアップだ。シティやHR-Vなど乗用車で強いホンダは、この領域に商品を持たない。北米には「リッジライン」があるが、モノコック構造の乗用車ベースで、新興国で好まれるラダーフレーム車とは性格が違う。</p>
<p>　トライトンは、三菱自にとって世界戦略の柱となるモデルだ。ラダーフレームに2.4リットルディーゼルターボを組み合わせ、タイやインドネシアで高いシェアを持つ。ただタイの国内市場は2019年の約100万台から縮小し、生産台数もピークの13年（246万台）に対して25年は145万台。現地工場の稼働率をどう維持するかは、三菱自にとって切実な課題だ。</p>
<p>　その解決策として、三菱自はすでに先例を作っている。25年12月20日から、トライトンをベースとする日産向け「ナバラ」をタイのレムチャバン工場で生産し、オセアニアへ供給している。ホンダ向けが加われば、同じラインでさらに量を積める計算になる。</p>
<p>　ホンダ側から見れば、これは「時間と投資リスクを買う」判断といえる。商用需要の強いピックアップは、耐久性や整備体制で評価が決まる。実績のない新型車を自社で開発し、信頼を積み上げるまでの時間を考えれば、実績のある車両を借りる方が合理的だ。</p>
<p>「タイやインドネシアで、ピックアップは毎日の仕事の道具です。壊れにくさと、地方の販売店ですぐ直せるかどうかが全てと言っていい。そこに新参入のブランドが入るなら、実績のある車をベースにするのは理にかなっている。ただ、ホンダの販売網はこれまで個人客が中心。法人や自営業の客をどう取り込むかが、実際の勝負どころになるでしょう」（同）</p>
<h2 id="third">「資本で縛らない」3社協業の現在地</h2>
<p>　今回のOEMは、単独の取引というより、3社協業の流れの中に置くと意味が見えやすい。</p>
<p>　経緯を整理すると、ホンダと日産自動車は2024年8月から三菱自を交えた3社で協業を検討してきた。ホンダと日産の経営統合協議は25年2月に打ち切られたが、事業単位の協議は続いた。26年8月31日には、両社が次世代SDV（ソフトウェア定義車両）の中核となるECUとソフトウェアの共通化に向け、共同開発契約を結んだ。29年度以降の新型車への搭載を目指す。</p>
<p>　そして今回のトライトンは、ホンダと三菱自の「提携第1弾」と報じられている。読売新聞によれば、ホンダは他車種のOEM供給や、メーター・ディスプレーなど運転席周りの部品の共同開発も検討しているという。</p>
<p>　ここで注意したいのは資本関係だ。日産は三菱自株の26.67%（26年3月末時点）を持つ筆頭株主で、9月には出資を維持する方針も報じられた。一方、ホンダはどちらとも資本関係を持たない。3社の関係は、日産と三菱自の既存の資本提携に、ホンダが「案件ごとの契約」でつながる形だ。</p>
<p>　対照的なのがトヨタ自動車だ。ダイハツを完全子会社とし、SUBARU、マツダ、スズキとは出資を伴う資本業務提携を結んでいる。出資という長期的なコミットメントを土台に、部品や技術の共通化を進めてきた。</p>
<p>　どちらが優れているかは一概には言えない。資本を伴う提携は結びつきが強い一方、解消には大きなコストがかかる。契約ベースの協業は合意形成に手間がかかるが、条件が合わなければ見直しやすい。経営統合の破談を経た3社が、後者を選んだのは自然な流れともいえる。</p>
<p>「資本の裏付けがない協業は、案件ごとに利害を調整しなければならず、その度に交渉コストが生じます。ただ、押さえるべきは個々の案件の成否より、小さな成功を重ねて社間の信頼を制度として定着させられるかどうか。OEMはその入口としてはわかりやすい題材です」（戦略コンサルタント・高野輝氏）</p>
<h2 id="fourth">割り切りの先にある課題</h2>
<p>　合理的な判断であっても、うまくいく保証はない。課題は少なくとも三つある。</p>
<p>　一つ目は差別化だ。OEM車はコストを抑えるため、外観の違いがフロント周りなどに限られることが多い。同じ車が三菱自、日産、ホンダの3ブランドで並ぶ可能性もある中で、「ホンダで買う理由」をどう示すか。保証やアフターサービス、金融商品といった、車体の外側での工夫が問われそうだ。</p>
<p>　二つ目は、利益配分と意思決定の調整だ。供給価格や引き取り台数、モデルチェンジの時期を巡って、供給する側と受ける側の利害は必ずしも一致しない。資本関係がない分、契約の設計と現場同士の信頼関係がそのまま協業の強度になる。</p>
<p>　三つ目は時間軸。発売は28年以降と、まだ先の話だ。その間にも、中国メーカーは東南アジアやオセアニアで電動ピックアップの投入を進めている。ディーゼル車で市場に入るホンダが、電動化の波にどう備えるかも、いずれ問われるだろう。</p>
<p>　それでも、今回の動きには経営の意思決定として学ぶべき点がある。自前主義を「捨てた」と見るより、「自前で持つ領域を絞り込んだ」と見る方が実態に近い。ホンダはソフトウェアやHV、二輪といった強みに資源を寄せ、貯えのないラダーフレーム車は得意な相手から調達する。中国の急変が、その線引きを前倒しで迫ったともいえる。</p>
<p>　これは自動車業界に限らない問いだ。自社の強みと弱みを棚卸しし、事業ごとに「自ら作る」「借りる」「組む」を選び分ける。その判断をどれだけ早く、かつ冷静に下せるか。ホンダと三菱自の「第1弾」が成果を出せるかは、28年以降の現地の販売動向と、その後に続く協業の中身が示してくれるはずだ。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝荻野博文／自動車アナリスト）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://news.mynavi.jp/article/automotive-industry-65/" target="_blank" rel="noopener">三菱自動車がトライトンをホンダにOEM供給？（マイナビニュース、10月14日）</a><br />
<a href="https://response.jp/article/2026/10/09/417583.html" target="_blank" rel="noopener">四輪事業で苦戦のホンダ、三菱自動車からタイ生産の『トライトン』をOEM供給へ（レスポンス、10月9日、読売新聞報道の紹介）</a><br />
<a href="https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2608/06/news053.html" target="_blank" rel="noopener">ホンダ、2027年3月期第1四半期決算（MONOist、8月6日）</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-15T23:15:36+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>「暑い夏は服が売れない」は間違い？トレファク営業益21.5％増が示すリユース業の強み</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396295.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396295.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイントトレジャー・ファクトリーの2026年3〜8月期は、売上高が15.3％増、営業利益が21.5％増、純利益が21.0％増でした。衣料（14.5％増）と家電（12.5％増）の販売に加え、店頭の持込買取（11.1％増）など...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<figure class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396295_trefac.jpg" width="1280" height="848" alt="「暑い夏は服が売れない」は間違い？トレファク営業益21.5％増が示すリユース業の強みの画像1" /><figcaption class="wp-caption-text">トレファクの店舗（<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:%E5%90%8D%E5%8F%A4%E5%B1%8B%E5%BE%B3%E9%87%8D-2.jpg" target="_blank" rel="noopener">「Wikipedia」</a>より）</figcaption></figure>

<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>トレジャー・ファクトリーの2026年3〜8月期は、売上高が15.3％増、営業利益が21.5％増、純利益が21.0％増でした。衣料（14.5％増）と家電（12.5％増）の販売に加え、店頭の持込買取（11.1％増）など仕入れの伸びが寄与しています。記事では、セカンドリテイリング（旧ゲオHD）とブックオフGHDの直近決算とも比べながら、猛暑と物価高がリユース市場と衣料消費に与えた影響を読み解きます。</strong><br />
</p>
<p>　猛暑は衣料品店にとって逆風――。小売の現場では長くそう言われてきた。客足が鈍り、秋物の立ち上がりが遅れ、売れ残った夏物は値引きで処分する。ところが2026年の夏、リユース（中古品）大手の決算には、その常識とは違う数字が並んだ。</p>
<p>　トレジャー・ファクトリー（以下、トレファク）が10月14日に発表した2027年2月期中間決算（2026年3〜8月）は、売上高258億9100万円（前年同期比15.3％増）、営業利益23億3000万円（同21.5％増）、親会社株主に帰属する中間純利益14億9700万円（同21.0％増）。6〜8月の第2四半期単独の営業利益4億7500万円は、第2四半期として過去最高だった。単体の既存店売上高は、2021年9月から60カ月連続で前年同月を上回っている。</p>
<p>　新品はどうだったか。日本百貨店協会によると、8月の全国百貨店売上高は2.6％増だったが、衣料品は0.8％増にとどまった。紳士服・洋品は0.8％減、婦人服・洋品は0.1％減。7月は接触冷感やUVカットといった機能性商品が好調だった一方、8月は「地域ごとの天候差」で盛夏商材の動きにばらつきが出たという。新品が負けたわけではない。ただ、伸び率の桁が違う。</p>
<p>　この差はどこから来るのか。リユース大手3社の開示資料を読み比べると、「暑かったから」だけでは説明しきれない構造が見えてくる。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">衣料と家電、二つの夏需要を同じ店で受ける</a></li>
	<li><a href="#second">勝負を分けるのは「仕入れ」</a></li>
	<li><a href="#third">大手3社、それぞれの戦略</a></li>
	<li><a href="#fourth">季節が曖昧になると、服の買い方はどう変わるか</a></li>
</ul>
<h2 id="first">衣料と家電、二つの夏需要を同じ店で受ける</h2>
<p>　トレファクの中間期のカテゴリー別販売高を見ると、衣料は前年同期比14.5％増で、販売高全体の47.4％を占める。会社は増加の背景に「気温上昇に伴う夏物衣料需要の高まり」を挙げる。電化製品も12.5％増。3〜4月の新生活需要に加え、エアコンや扇風機など夏物家電の販売が伸びた。</p>
<p>　衣料専門店では、暑さの恩恵を受けるのは衣料売り場だけだ。総合リユース店は、同じ気温上昇を衣料と家電の二つの売り場で受け止められる。電化製品の構成比は9.6％と衣料ほど大きくはない。それでも、天候による振れを複数の売り場で分け合う形にはなっている。</p>
<p>　店頭での「ついで買い」がどれほど起きているか、同社は数値を開示していない。ただ、家電を見に来た客が衣料売り場をのぞく、衣料を売りに来た客が買取金で生活用品を買う、といった回遊は、総合型という業態がもともと狙っているものだ。決算説明資料でも、8月は「店舗回遊施策が奏功」したと説明している。</p>
<p>「総合型の強みは、天候や流行でひとつのカテゴリーが崩れても、ほかで補えることにあります。今年は衣料と家電がたまたま同じ向きに振れました。それがそのまま数字に出たとみています」（流通コンサルタント・永田由紀氏）</p>
<p>　もっとも、増益の理由は天候だけではない。連結売上総利益率は60.2％と0.2ポイント改善し、単体既存店に限れば65.9％と1.0ポイント上昇した。会社は、前期第3四半期に買取クーポンの運用を見直し、値入れが改善したと説明する。暑さが売上を押し上げ、粗利の改善が利益を押し上げた。この二つは分けて見たほうがいい。</p>
<h2 id="second">勝負を分けるのは「仕入れ」</h2>
<p>　リユース業は、売る商品がなければ始まらない。新品小売のように発注すれば届くわけではなく、売り手から買い取った量がそのまま売上の天井になる。</p>
<p>　トレファクの中間期の商品仕入高は14.6％増。チャネル別（単体）では、店頭への持込買取が11.1％増、宅配買取が22.2％増、出張買取が20.5％増だった。ブックオフグループホールディングス（GHD）も、国内ブックオフ事業の既存店仕入高が第1四半期（2026年6〜8月）に前年同期比122.8％に達した。アパレルの仕入高も114.5％と、販売（104.7％）を上回るペースで伸びている。</p>
<p>　ブックオフの数字は、もう一歩踏み込んで読める。既存店の仕入客数は102.3％で、仕入高（122.8％）ほどは伸びていない。売りに来る人が大きく増えたというより、一人あたりの持ち込み量か買取単価が上がった計算になる。</p>
<p>　各社がその背景として共通して挙げるのが、物価上昇に伴う生活防衛意識だ。不要品を現金に換えたい人が増えれば、買取の母数そのものが広がる。</p>
<p>　ここでフリマアプリとの関係にも触れておきたい。フリマアプリは自分で値段を決められるぶん、高く売れる可能性がある。そのかわり、撮影、出品、購入者とのやり取り、梱包、発送までを自分でこなし、販売手数料と送料も負担する。数百円から千円台で取引される夏物のTシャツのような商品だと、手間に見合う分が手元に残りにくい。</p>
<p>「単価の高いものはフリマアプリ、細かいものや急ぎのものは店頭へ。売り手の使い分けは年々はっきりしてきています。店頭ならその日のうちに現金になるし、数が多くてもまとめて持ち込めるので、値段の差より手間を重く見る人は少なくありません」（同）</p>
<p>　ただし、各社の開示から「フリマアプリの利用者が店頭に移った」とまでは言えない。店頭の買取が伸びていることと、それがどこから流れてきたのかは別の問題だ。両者は競合しながらも、中古品を手放す人の裾野を一緒に広げている。そう見るほうが実態に近いだろう。</p>
<h2 id="third">大手3社、それぞれの戦略</h2>
<p>　決算期が異なるため単純比較はできない。それでも直近の四半期を並べると、3社が伸びている理由はそれぞれ違う。</p>
<p><strong>・トレジャー・ファクトリー</strong>（対象期間：2026年3〜8月）<br />
連結売上高　　258.9億円（+15.3％）<br />
連結営業利益　23.3億円（+21.5％）<br />
伸びを引っ張った分野　衣料+14.5％、服飾雑貨+18.5％、家電+12.5％<br />
</p>
<p><strong>・セカンドリテイリング</strong>（旧ゲオホールディングス　2026年4〜6月）<br />
連結売上高　　1250.0億円（+19.7％）<br />
連結営業利益　53.0億円（+32.8％）<br />
伸びを引っ張った分野　セカンドストリート事業（衣料・服飾雑貨・家具・家電等）+23.6％</p>
<p><strong>・ブックオフGHD</strong>（2026年6〜8月）<br />
連結売上高　　326.2億円（+10.5％）<br />
連結営業利益　8.7億円（+80.6％）<br />
伸びを引っ張った分野　既存店でトレカ・ホビー+15.2％、家電・携帯+17.0％、アパレル+4.7％</p>
<p>出典：各社の決算短信・決算説明資料。ブックオフの分野別は国内ブックオフ事業の直営既存店。</p>
<p>　セカンドリテイリングは、創業40年の節目となる2026年10月にゲオホールディングスから商号を変えた。国内の「2nd STREET」は6月末時点で949店（FC含む）。衣料と服飾雑貨を軸にした専門型の店舗網を国内外で広げ、規模と出店の速さで流通量を押さえる戦略だ。</p>
<p>　同社は第1四半期について、リユース衣料・服飾雑貨が国内外とも堅調だったと説明している。ゲームやスマートフォンなどのリユース売上も16.8％増えた一方、新品の売上高は3.4％減だった。社名に「セカンド」を掲げたことも含め、グループの重心が中古に移っていることが数字からも読み取れる。</p>
<p>　ブックオフの伸びを支えているのは、暑さよりトレーディングカード・ホビーだ。既存店売上の24.6％を占める。アパレルは構成比10.7％で、伸びは4.7％にとどまる。そのうえで大型店「BOOKOFF SUPER BAZAAR」の出店を続け、本やソフトを目当てに来た客を総合リユースの売り場へつなげている。</p>
<p>　トレファクはその中間にある。衣料が販売の半分近くを占めながら、家電・家具・ホビーまで扱う総合型だ。関東を中心に店を密集させる出店を重ね、中間期は19店を出してグループ店舗数は337店になった。</p>
<h2 id="fourth">季節が曖昧になると、服の買い方はどう変わるか</h2>
<p>　今夏の決算から言えるのは、気温上昇と物価高が重なると、リユース大手は「売りたい人」と「買いたい人」の両方を取り込みやすい、ということだ。暑さが長引いても、中古なら手ごろな値段で必要な分だけ買える。着なくなれば、また売れる。</p>
<p>　トレファクは決算短信で、実質賃金の伸び悩みを背景に消費行動が「安いから買う」から「共感・納得して選ぶ」へ移りつつあると記している。安さだけでは差がつきにくくなる、という自己認識でもある。</p>
<p>　これは新品アパレルにとっても別の話ではない。百貨店で接触冷感やUVカットの商品が売れたように、新品は「機能」で選ばれる場面が増えている。中古で値がつくかどうかを買う前に気にする人が増えれば、新品と中古は奈い合うだけでなく、一着の服の「一生」の前半と後半を分け合う関係に近づいていく可能性がある。</p>
<p>「夏と秋の境目がはっきりしなくなると、シーズン前に新品をまとめて買うやり方は外れやすくなる。必要なときに必要な分だけ買い、着終えたら手放す。中古市場はその受け皿になりやすい」（同）</p>
<p>　とはいえ、追い風がずっと続く保証はない。トレファクの商品在庫は中間期末で104億円と、期初から13億円増えた。会社は秋冬の繁忙期に現金化する計画だが、暖冬になれば単価の高い冬物衣料の動きは鈍る。免税売上も、免税制度がリファンド方式に変わることから、今後は伸びが鈍る見通しを示している。</p>
<p>　気候や物価がどう振れても、商品を安定して集め、天候に合わせて売り場を素早く入れ替えられるか。リユース各社の差は、今後この「在庫の機動力」で開いていくと考えられる。その答え合わせになるのが、この秋冬の数字だ。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝永田由紀／流通コンサルタント）</p>
<p>【主な参照データ・出典】</p>
<p>トレジャー・ファクトリー 2027年2月期 第2四半期（中間期）決算短信（2026年10月14日）<br />
トレジャー・ファクトリー 2027年2月期 第2四半期 決算説明資料（60カ月連続、粗利率、カテゴリー別仕入・販売）<br />
ゲオホールディングス（現セカンドリテイリング）2027年3月期 第1四半期決算短信（2026年8月6日）<br />
セカンドリテイリング IR情報（商号変更の経緯）<br />
ブックオフGHD 2027年5月期 第1四半期決算短信／同 決算補足資料（2026年10月13日）<br />
日本百貨店協会 2026年8月 全国百貨店売上高概況／同 7月<br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-15T22:23:00+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[トレファクの店舗（「Wikipedia」より）]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>スペースXの6兆円調達、なぜ株ではなく借金？GPU争奪戦とAI投資の構造変化</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396299.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396299.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイントスペースXが、エヌビディア製AI半導体の購入資金として、米アポロ主導で約400億ドル（約6兆円）の借入を検討していると英FTが報じた。上場直後なのに増資ではなく借入を選ぶ理由を、3つの材料から分析する。マスク氏が議...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<figure class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396299_spacex.jpg" alt="スペースXの6兆円調達、なぜ株ではなく借金？GPU争奪戦とAI投資の構造変化の画像1" width="1226" height="850" /><figcaption class="wp-caption-text">スペースＸのロケット開発拠点「スターベース」（<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B9X#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:USA_-_Texas_-_Boca_Chica_-_Starbase_(51285307187).jpg" target="_blank" rel="noopener">「Wikipedia」</a>より）</figcaption></figure>

<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>スペースXが、エヌビディア製AI半導体の購入資金として、米アポロ主導で約400億ドル（約6兆円）の借入を検討していると英FTが報じた。上場直後なのに増資ではなく借入を選ぶ理由を、3つの材料から分析する。マスク氏が議決権の約8割を握っていること、1四半期で約160億ドルが流出していること、アンソロピックやグーグルとの計算資源契約だ。エヌビディアの5000億ドル金融構想も踏まえ、AIインフラ投資の資金が株から借入へ移る構造を読み解く。</strong><br />
</p>
<p>　米スペースXが、エヌビディア製のAI半導体を買うために約400億ドル（約6.3兆円、1ドル＝157円換算）の資金調達を検討していると英フィナンシャル・タイムズ（FT）が報じた。内訳は銀行融資が約100億ドル、投資適格の社債が約300億ドル。取りまとめ役は米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントで、債券運用大手ピムコも貸し手として協議に加わっているという。完了は2027年の見込みだが、ブルームバーグは協議がまだ初期段階で、合意に至らない可能性もあると伝えている。</p>
<p>　ロケットの会社がなぜ半導体を、と首をかしげる人もいるだろう。ただ、いまのスペースXは2026年2月にイーロン・マスク氏のAI企業xAIを吸収し、6月にはナスダックに上場した。4〜6月期の設備投資184億ドルのうち、158億ドルはAI向けだ。もはや「AIインフラ企業」の顔のほうが、数字の上では大きい。</p>
<p>　むしろ考えたいのは、もう一つの問いである。上場直後で、株式市場から資金を集めやすい立場にあるはずの会社が、なぜ「株」ではなく「借金」を選ぶのか。そこには、AI投資のお金の流れそのものが変わりつつある兆しが見える。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">株を売らない理由──上場しても残る「支配」と「希薄化」の計算</a></li>
	<li><a href="#second">GPU争奪戦──問われるのは「現金の多さ」より「確約の速さ」</a></li>
	<li><a href="#third">エクイティからデットへ──AIインフラ金融の構造変化</a></li>
	<li><a href="#fourth">日本企業に問われるもの──「調達」と「財務」を切り離さない</a></li>
</ul>
<h2 id="first">株を売らない理由──上場しても残る「支配」と「希薄化」の計算</h2>
<p>　まず、スペースXがここ数カ月で集めた資金の規模を確認しておきたい。6月12日の上場では公開価格135ドルで約860億ドルを調達し、約十日後には満期2031〜2056年の社債250億ドルを発行した。社債には募集額の3倍を超える注文が集まっている。今回の400億ドルを加えると、わずか4カ月ほどで1500億ドルを超える計算になる。</p>
<p>　それでも足りない。四半期報告書によれば6月末の現金と有価証券は約1000億ドルあるが、4〜6月期は営業キャッシュフロー24億ドルに対して設備投資が184億ドル。差し引きで約160億ドルが1四半期で出ていった。経営陣は今後2四半期も「非常に似た」水準になると説明しており、単純計算で手元資金は1年半ほどで尽きる。</p>
<p>　では、追加の増資ではいけないのか。理由は大きく二つ考えられる。</p>
<p>　一つは支配構造だ。スペースXは1株10議決権のクラスB株を持つ種類株式構造をとり、マスク氏は経済的持分約4割で議決権の約8割を握る（報道により79〜85%と幅がある）。採決の主導権は当面揺らがない。ただし新株を大量に出せば経済的持分は薄まり、既存株主の反発も招きやすい。</p>
<p>　もう一つは、株式の需給である。上場時のロックアップ（売却制限）は10月9日と24日にそれぞれ約3億2800万株分が解除され、第3四半期決算後には最大13億株が続く。売りに出うる株が増える局面で新株まで重ねれば、株価への重しは避けられない。</p>
<p>　もっとも、借金も安くはない。同社の格付けはBBB、投資適格の下から2番目だ。6月に出した2056年満期債（クーポン6.65%）は額面85ドル前後まで値を下げたとも報じられている。</p>
<p>「成長企業にとって株主資本は、帳簿上は利息がかからないものの、実質的には最も高い資金です。将来の利益を分け合うことになるので。一方、設備のように先の収入が見える資産なら、利息を払っても負債で賄うほうが合理的という判断は成り立ちます。問題は、その収入がどこまで確かかという一点です」（経営コンサルタント・田辺晃成氏）</p>
<p>　取りまとめ役のアポロは、銀行以外の貸し手が企業に直接融資する「プライベート・クレジット」の大手だ。以前にも、旧xAIがメンフィスのデータセンター「コロッサス2」向けにGPUを確保する際、約70億ドルの資金提供で合意したとブルームバーグが報じている。銀行融資、投資適格債、プライベート・クレジットを組み合わせるやり方は、一つの市場だけでは吸収しきれない金額を複数の資金源に分けるための工夫とみるべきだろう。</p>
<h2 id="second">GPU争奪戦──問われるのは「現金の多さ」より「確約の速さ」</h2>
<p>　では、そこまでしてGPUを急ぐ理由は何か。マスク氏は9月、コロッサス2にはエヌビディアのGB200が11万個、GB300が44万個あり、年末までにその数を倍以上にできると語った。マイクロソフトやグーグル、メタなど巨大IT企業に加え、中東をはじめ国家ぐるみのデータセンター構想も最先端のGPUを求めている。</p>
<p>　こうした市場では、「いくら持っているか」より「いつ、どれだけ、確実に買うと約束できるか」が意味を持ちやすい。GPU本体だけでなく、高帯域メモリーや先端パッケージング、電力といった周辺の供給も数四半期先まで計画で動くからだ。</p>
<p>「半導体の供給計画は、一度踏み込んだら簡単には引き返せないものです。メーカー側から見れば、資金の裏付けがはっきりした大口の注文ほど計画に組み込みやすい。今回の調達は、金額そのものより、その裏付けを早く示す意味が大きいと見ています」（半導体アナリスト・岩井裕介氏）</p>
<p>　ここで見落とせないのは、スペースXにとってGPUが「自社用の研究設備」だけではなくなっている点だ。報道によれば、同社はアンソロピックと月額12.5億ドル（2029年5月まで）、グーグルと月額9.2億ドル（2029年6月まで）の計算資源の提供契約を結んでいる。AI部門の売上高は2026年4〜6月期に約26億ドルと、前年同期（約7億ドル）の3倍超になった。</p>
<p>　つまりGPUは、貸して使用料を取る「収益を生む資産」になりつつある。契約に裏打ちされた将来の収入があるからこそ、借金で買うという選択肢が現実味を帯びる。ただし、契約の中には拘束力のある期間が短いものもあるとの指摘があり、貸し手は契約の中身を細かく詰めることになるだろう。</p>
<h2 id="third">エクイティからデットへ──AIインフラ金融の構造変化</h2>
<p>　生成AIブームの初期、資金の主役はベンチャーキャピタルや大手IT企業による出資だった。将来の成長への期待にお金を出す、エクイティ主導の段階である。</p>
<p>　流れが変わり始めたのは2025年だ。オラクルが9月に180億ドル、メタが10月に300億ドルの社債を発行し、メタはルイジアナ州のデータセンター「ハイペリオン」で、米ブルー・オウルと共同で約270億ドル規模の特別目的会社（SPC）を使った資金調達も行っている。米モルガン・スタンレーは同年、2028年までにデータセンター投資で約1.5兆ドルの外部資金が必要になると推計した。</p>
<p>　2026年に入ると、供給する側が動いた。エヌビディアは8月10日、アポロ、ブラックロック、ブラックストーン、ブルックフィールド、ゴールドマン・サックス、KKRの6社と提携し、計算資源向けに5000億ドル超の外部資金を動員する構想を発表した。ジェンスン・ファンCEOはここで「AIでは、計算資源は収益だ」と述べている。今回のスペースXの案件も、この流れの延長線上にある。</p>
<p>　航空機や船舶と同じように、GPUが「借金で買い、稼いで返す」アセットファイナンスの対象になりつつある、と言い換えてもよいだろう。ただし決定的な違いがある。航空機は20年以上飛ぶが、GPUは新世代がほぼ毎年登場する。返済が終わる前に機器の価値が落ちるなら、その差は誰かが負うことになる。</p>
<p>「貸し手が見るのは三つです。顧客契約の期間と解約条件、GPUの中古価値がどう推移するか、そして金利です。この三つがそろっているうちはレバレッジは成長を加速させますが、どれかが崩れると逆に効きます。バブルかどうかを議論するより、そこを定点観測するほうが実務的です」（田辺氏）</p>
<p>　金利環境も追い風とは言いがたい。10月6日時点で米国債30年物の利回りは5.6%台にあった。400億ドルの条件がどう決まるかは、スペースX個社だけでなく、AI向けの負債を市場がどこまで吸収できるかを測る試金石にもなる。</p>
<h2 id="fourth">日本企業に問われるもの──「調達」と「財務」を切り離さない</h2>
<p>　この案件から引き出せる教訓は、いわゆる「AIに乗り遅れるな」という話ではない。技術、キーパーツの確保、資金調達を一つの意思決定として扱えるかどうかだ。</p>
<p>　多くの日本企業では、調達部門が仕様と価格を詰め、財務部門が予算と支払いを管理するという分業が前提になっている。しかし供給が限られた部品を大量に押さえる局面では、「いつ、どの資金で、どれだけ確約できるか」がそのまま交渉力になる。資産の耐用年数と借入期間をどう合わせるか、顧客契約をどう担保にするかといった設計も、調達と財務が同じテーブルにつかなければ組めない。</p>
<p>「日本の事業会社は、設備投資を自己資金の範囲で考える癖が強い。それ自体は健全ですが、データセンターや電力のように規模が勝敗を分ける分野では、プロジェクトファイナンスやアセットファイナンスを使いこなせるかどうかで、打てる手の大きさが変わります。CFOが調達戦略の段階から関わるべきでしょう」（同）</p>
<p>　もちろん、レバレッジは万能ではない。スペースXの決断が吉と出るかは、AI部門の収入が借入の返済を上回るペースで伸びるかにかかっている。今後は、第3四半期決算で示される設備投資とAI売上高の推移、そして400億ドルの最終的な金利と条件が、判断の材料になる。</p>
<p>「株か、借金か」という問いの答えは、結局のところ、その資金で買うものがどれだけ確かに稼ぐかで決まる。自社の強みを広げようとするどの企業にとっても、同じ問いは避けて通れない。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝田辺晃成／経営コンサルタント）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://finance.yahoo.com/technology/ai/articles/spacex-seeks-40-billion-debt-114434062.html" target="_blank" rel="noopener">SpaceX seeks $40 billion in debt financing for Nvidia AI chips（Yahoo Finance / Quartz、2026年10月7日）</a><br />
<a href="https://investinglive.com/stocks/spacex-seeks-40-billion-in-debt-led-by-apollo-to-fund-nvidia-chip-order-ft-says/" target="_blank" rel="noopener">SpaceX seeks $40 billion in debt led by Apollo…, FT says（investingLive）</a><br />
<a href="https://247wallst.com/investing/2026/10/07/spacex-wants-to-borrow-40-billion-to-buy-nvidia-chips/" target="_blank" rel="noopener">SpaceX Wants to Borrow $40 Billion to Buy Nvidia Chips（24/7 Wall St.）</a><br />
<a href="https://www.ctol.digital/news/spacex-40-billion-chip-loan-lenders-cloud-contract-risk/" target="_blank" rel="noopener">SpaceX&#8217;s $40 billion Nvidia chip loan（CTOL Digital、10-Q等を引用）</a><br />
<a href="https://cryptobriefing.com/spacex-40-billion-debt-nvidia-chips/" target="_blank" rel="noopener">SpaceX reportedly seeks $40 billion in debt（Crypto Briefing）</a><br />
<a href="https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-partners-with-apollo-blackrock-blackstone-brookfield-goldman-sachs-and-kkr-to-establish-ai-compute-infrastructure-financing-platforms-to-mobilize-over-500-billion-of-third-party-capital" target="_blank" rel="noopener">NVIDIA Partners With Apollo, BlackRock, Blackstone, Brookfield, Goldman Sachs and KKR（NVIDIA、2026年8月10日）</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-15T22:51:32+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[スペースＸのロケット開発拠点「スターベース」]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>東京エレクトロン、営業益1兆円が視野に…「市況の波」に頼らず積み上げてきた3つの経営判断</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396288.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396288.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイント東京エレクトロンは2026年7月の決算資料で、営業利益1兆円が「視野に入ってきた」と記した。売上高が17％減った2024年3月期にも研究開発費を2,028億円に増やし、5年間で研究開発費1.5兆円・採用1万人を計画し...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396288_tel.jpg" alt="東京エレクトロン、営業益1兆円が視野に…「市況の波」に頼らず積み上げてきた3つの経営判断の画像1" width="1233" height="850" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>東京エレクトロンは2026年7月の決算資料で、営業利益1兆円が「視野に入ってきた」と記した。売上高が17％減った2024年3月期にも研究開発費を2,028億円に増やし、5年間で研究開発費1.5兆円・採用1万人を計画している。宮城・岩手・熊本の新拠点や取引先707社との協働も含め、AI特需を支える経営判断を開示資料から読み解く。</strong><br />
</p>
<p>　東京エレクトロン（TEL）が、2027年3月期に営業利益1兆円をうかがう位置まで来た。同社は2026年7月の決算説明資料で「1兆円の営業利益が視野に入ってきた」と記している。ただ、ここまでの道のりは一直線ではない。前期は売上高こそ過去最高を更新したが、営業利益は1割減った。景気の谷でも研究開発費を削らず、人と拠点に先回りして投じてきた判断の積み重ねを、同社の開示資料から追ってみる。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">追い風だけでは説明できない数字</a></li>
	<li><a href="#second">不況期に研究開発費を増やす戦略</a></li>
	<li><a href="#third">人件費を「投資」として扱う</a></li>
	<li><a href="#fourth">地方拠点と取引先を巻き込むエコシステム</a></li>
	<li><a href="#fifth">リスクを抱えたまま、投資を続ける</a></li>
</ul>
<h2 id="first">追い風だけでは説明できない数字</h2>
<p>　2027年3月期第1四半期（2026年4〜6月）の売上高は7,323億円で前年同期比33.3％増、営業利益は2,114億円で46.1％増だった。同社は上期（4〜9月）の予想も売上高1兆6,200億円、営業利益4,580億円へ引き上げている。</p>
<p>　背景にAIがあるのは間違いない。同社はWFE（半導体前工程製造装置）市場を2026年に1,500億ドル以上、2027年に1,900億ドル以上と見込み、AIデータセンター向けがWFE全体の半分に迫る勢いで伸びているとする。</p>
<p>　とはいえ、追い風は同業他社にも同じように吹いている。差がつくのは、風が吹く前に何を準備していたかだ。2022年に掲げた中期目標は「2027年3月期までに売上高3兆円以上、営業利益率35％以上、ROE30％以上」。このうち利益率35％について、同社自身が「チャレンジング」と表現している。足元の利益率は3割に届いていない。目標との距離を認めたうえで、何を積み上げてきたのか。戦略・組織・エコシステムの3つの切り口で見ていく。</p>
<h2 id="second">不況期に研究開発費を増やす戦略</h2>
<p>　数字で見るとわかりやすい。メモリ不況が直撃した2024年3月期、売上高は前期の2兆2,090億円から1兆8,305億円へ約17％減った。それでも研究開発費は1,911億円から2,028億円に増え、設備投資は744億円から1,218億円へと大きく積み増している。</p>
<p>　同社は2024年5月、2025年3月期からの5年間で研究開発費1.5兆円、設備投資7,000億円、人材採用1万人という投資計画を公表した。2026年3月期の研究開発費は2,778億円、今期は3,300億円を計画する。売上高の1割強を、市況にかかわらず技術に回し続けている計算になる。</p>
<p>　こうした判断を支えているのが、顧客との長期的な技術ロードマップの共有だ。7月の決算説明会で同社は、顧客から約2年分の投資計画を受け取っていると説明した。ベルギーの研究機関imecとは1995年から提携を続け、2025年6月には2nm世代以降を見据えた5年間の延長を発表している。High NA露光に対応したパターニングや、次世代トランジスタ構造CFET向けの成膜・エッチングが重点テーマだ。</p>
<p>　もう一つの特徴は、戦う場所の選び方にある。TELは露光装置を手がけていない。露光機とつながって感光材の塗布・現像を担うコータ/デベロッパに加え、エッチング、成膜、洗浄など前工程の複数領域で製品を持つ。露光装置メーカーとは、ぶつかるよりも補い合う関係にある。工程をまたいで装置を持てば、組み合わせによる提案の幅も広がる。同社が次の中期計画で掲げる「技術の組み合わせによるSAM（獲得可能市場）の拡大」は、この延長線上にある。</p>
<p>「半導体装置は、量産の何世代も前から顧客と開発を始めないと採用されない世界です。不況だからと開発を止めれば、回復期に出す製品がなくなる。TELの研究開発費の推移は、その構造を経営判断として織り込んでいることを示しています」（半導体アナリスト・岩井裕介氏）</p>
<p>　短期業績で投資を上下させないためには、顧客と数年先の課題を共有する仕組みが要る。問われるのは投資額の大小より、長期投資を社内外に説明できる根拠を持っているかどうかだ。</p>
<h2 id="third">人件費を「投資」として扱う</h2>
<p>　足元で利益率の伸びを抑えている要因の一つは、人件費を含む固定費の増加だ。同社は7〜9月期の利益率が4〜6月期より下がる見通しを示し、その理由に製品構成と固定費の増加を挙げた。利益率35％を目指す企業が、あえて固定費を積み増しているわけだ。</p>
<p>　採用は2024年度から5年で約1万人を計画し、国内では2024年度に1,031人、2025年度に855人を採った。グループの従業員は約2万800人で、その大半をエンジニアが占める。</p>
<p>　報酬は競合企業の水準をベンチマークに置き、業績が好調なときはそれを大きく上回るように設計しているという。評価は相対評価ではなく絶対評価で、目標とコンピテンシーの2軸で見る。同僚同士で評価の枠を取り合う構図にはなりにくい。</p>
<p>　河合利樹社長は「やる気重視経営」を掲げ、2015年度から全グループ会社でエンゲージメント調査を続けてきた。2024年度のスコアは2015年度比で19ポイント上昇した。各社は地域・業界の上位25％を目標水準に置いている。</p>
<p>　装置ビジネスでは、顧客の工場で装置を立ち上げ、トラブルに対応するフィールドエンジニアの力が次の採用を左右する。TELは国内にその専門子会社を置き、グローバルにフィールドエンジニアのトレーニング拠点も設けている。現場にどこまで判断を任せているか、制度としての公開情報は多くない。ただ、評価・報酬・研修を一体で回そうとする姿勢は、開示された数字からも読み取れる。</p>
<p>「固定費を増やせば、短期の利益率は下がります。それでも採用を続けるのは、装置の立ち上げや保守を担う人材が、次の受注の前提になる業界だからでしょう。人への投資が回収されるまでの時間を、株主や社員にどう説明するかが問われます」（同）</p>
<p>　人件費を削るべきコストと見るか、受注の前提として投じるか。後者を選ぶなら、評価の透明性と還元の仕組みをセットで示す必要がある。</p>
<h2 id="fourth">地方拠点と取引先を巻き込むエコシステム</h2>
<p>　TELの開発・生産の中心は東北と九州にある。この1年半ほどで、大型拠点が相次いで完成した。</p>
<p><strong>拠点：所在地、用途、建設費、時期</strong></p>
<p><a href="https://www.tel.co.jp/news/ir/2025/20250206_002.html" target="_blank" rel="noopener"><strong>東京エレクトロン宮城 生産新棟</strong></a>：宮城県大和町、プラズマエッチング装置などの製造、約1,040億円、2027年夏竣工予定</p>
<p><a href="https://www.tel.co.jp/news/ir/2025/20251121_001.html" target="_blank" rel="noopener"><strong>TELテクノロジーソリューションズ 東北生産・物流センター</strong></a>：岩手県奥州市、成膜装置の製造・物流、約240億円、2025年11月竣工</p>
<p><a href="https://www.tel.co.jp/news/ir/2025/20251015_001.html" target="_blank" rel="noopener"><strong>東京エレクトロン九州 新開発棟</strong></a>：熊本県合志市、コータ/デベロッパ・洗浄装置の開発、約470億円、2025年10月竣工</p>
<p><a href="https://www.tel.co.jp/news/ir/2025/20250424_001.html" target="_blank" rel="noopener"><strong>東京エレクトロン宮城 新開発棟</strong></a>：宮城県大和町、プラズマエッチング装置などの開発、約520億円、2025年4月竣工<br />
</p>
<p>　宮城の生産新棟（宮城生産革新センター）では、労働生産性4倍、生産リードタイム3分の1といった目標を掲げる。稼働後はエッチング装置の生産能力を現状の約3倍にする計画だ。</p>
<p>　ただし、装置1台は多数の部品やユニットでできている。自社工場を広げるだけでは生産は増えない。同社の国内製造会社は年2回「生産動向説明会」を開き、需要の見通しを取引先と共有している。年1回の「TELパートナーズデイ」では優秀な取引先を表彰し、2024年度からはコア技術に絞った「TELサプライヤーサミット」も始めた。</p>
<p>　取引先への評価も、切り捨てるためではなく改善を促す形で回している。2025年度は707社を対象にサステナビリティ評価を実施し、重点的な改善が必要な48社のうち37社で是正を確認した。取引の見直しに至った企業はなかった。環境面では2021年に「E-COMPASS」を立ち上げ、物流や施設管理を担う取引先とも温室効果ガスの削減に取り組んでいる。</p>
<p>　外部の研究者や学生との接点も広げている。大学などからテーマを募る共同研究公募制度を設け、日米の大学間パートナーシップ「UPWARDS」にも参画している。</p>
<p>「装置メーカーの増産は、部品を供給する地域の中小企業の設備投資とセットです。発注側が需要の見通しを早めに開示すれば、取引先は判断しやすくなる。地方に開発拠点を置き続けることは、理工系の若い人が地元で働く選択肢を増やす意味もあります」（同）</p>
<p>　増産計画を取引先と共有し、評価と改善を一緒に回す。1社だけでは完結しない能力増強を、連携でどう実現するかが問われる。</p>
<h2 id="fifth">リスクを抱えたまま、投資を続ける</h2>
<p>　先行きは平坦ではない。2026年3月期の地域別売上高では中国が34.1％を占め、輸出規制など地政学リスクの影響を受けやすい。四半期ごとの中国比率は、2024年4〜6月期の49.9％から2026年4〜6月期は30.4％まで下がった。AI投資の勢いがいつまで続くかも読み切れない。同社自身、2027年3月期から業績予想の開示を半期ごとに切り替えており、通期予想は中間決算の発表時に示すとしている。</p>
<p>　それでもTELは、谷で研究開発費を増やし、人を採り、拠点を建ててきた。営業利益1兆円に届くかどうかは、今期後半の需要と生産の立ち上がり次第だろう。</p>
<p>　ただ、その成否とは別に、ここまでの経緯から読み取れることがある。景気の谷で長期投資を続けるには、顧客と数年先を共有すること、人への投資を説明できる評価制度を持つこと、取引先と見通しを分け合うことが要る。いずれも豪華な施策ではない。規模や業種を問わず、自社の条件に当てはめて考えてみる価値はある。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝岩井裕介／半導体アナリスト・経済コンサルタント）</p>
<p>【主な参照データ・出典】（いずれも東京エレクトロン公式）<br />
<a href="https://www.tel.co.jp/ir/irta3a00000006g5-att/fy27q1tanshin-j.pdf" target="_blank" rel="noopener">2027年3月期 第1四半期決算短信</a>・<a href="https://www.tel.co.jp/ir/irta3a00000006g5-att/fy27q1presentations-j.pdf" target="_blank" rel="noopener">決算説明資料</a>・<a href="https://www.tel.co.jp/ir/irta3a00000006g5-att/FY27Q1_EarningCall_QA_J.pdf" target="_blank" rel="noopener">質疑応答集</a>（2026年7月30日）<br />
<a href="https://www.tel.co.jp/ir/finance/forecast/index.html" target="_blank" rel="noopener">業績予想</a><br />
<a href="https://www.tel.co.jp/ir/library/report/jngpc500000000l6-att/fy26q4presentations-j.pdf" target="_blank" rel="noopener">2026年3月期 決算説明資料</a>・<a href="https://www.tel.co.jp/ir/library/report/j8ht1m00000000pg-att/fy24q4presentations-j.pdf" target="_blank" rel="noopener">2024年3月期 決算説明資料</a><br />
<a href="https://www.tel.co.jp/sustainability/commitment/index.html" target="_blank" rel="noopener">CEOメッセージ</a>・<a href="https://www.tel.co.jp/sustainability/management-foundation/human-resource/index.html" target="_blank" rel="noopener">人材</a>・<a href="https://www.tel.co.jp/sustainability/management-foundation/supply-chain-management/index.html" target="_blank" rel="noopener">サプライチェーンマネジメント</a><br />
<a href="https://www.tel.co.jp/ir/personal/index.html" target="_blank" rel="noopener">個人投資家向けページ（地域別売上構成）</a>・<a href="https://www.tel.co.jp/news/topics/2025/20250616_001.html" target="_blank" rel="noopener">imec提携延長</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-14T23:08:58+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>アンソロピックへの書籍販売、出版会はなぜ反発？AI学習のルールの空白</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396286.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396286.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイント日販グループの日販アイ・ピー・エスが2024年12月〜25年12月、米アンソロピックに書籍を販売していた問題を解説。出力の差し止めだけでは守れない著作権法30条の4の限界、重版で投資を回収する出版の収益構造、1冊50...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396286_anthropic.jpg" alt="アンソロピックへの書籍販売、出版会はなぜ反発？AI学習のルールの空白の画像1" width="1251" height="850" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>日販グループの日販アイ・ピー・エスが2024年12月〜25年12月、米アンソロピックに書籍を販売していた問題を解説。出力の差し止めだけでは守れない著作権法30条の4の限界、重版で投資を回収する出版の収益構造、1冊5000ドルのAI学習ライセンス事例、米地裁のフェアユース判断を踏まえ、出版界が学習段階でのルールづくりを求める理由を考える</strong><strong>。</strong><br />
</p>
<p>　出版取次大手の日販グループホールディングス（GHD）の子会社が、米AI開発企業アンソロピックに日本の書籍を販売していた。日本書籍出版協会（書協）が9月17日付で送った質問状に対し、日販GHDは10月5日付の書面で販売の事実を認めた。報道によれば、取引を担ったのは海外事業を手がける日販アイ・ピー・エス。2024年11月に契約し、同年12月から25年12月まで販売していたという。</p>
<p>　発端は米国の裁判資料だった。米作家らがアンソロピックを訴えた集団訴訟（Bartz v. Anthropic）の開示資料に、書籍の購入先として「Nippan Japan」の名が記されていた。一方で、冊数や単価、値引率は黒塗りのままで、日販も公表していない。ネット上では「数万冊」「10万冊」といった数字も飛び交うが、現時点で裏付けのある数字は見当たらない。</p>
<p>　日販側は、契約前に用途を確認したものの「AI学習用の購入という認識には至らなかった」と説明している。そのうえで、学習目的が明らかな場合は販売しない方針だとした。</p>
<p>　ここで素朴な疑問が浮かぶ。本が大量に売れたのなら、出版社にも著者にも売上は立っているはずだ。しかも日本の著作権法30条の4は、AIによる情報解析のための利用を原則として認めている。仮にAIが本の中身をそのまま吐き出すようなら、その時点で出力を差し止めればいいのではないか。</p>
<p>　それでも出版社側の反発は強い。読売新聞の取材に、ある出版社幹部は「許せない」と憤りを語っている。感情論に見えるかもしれないが、背景をたどると、出版というビジネスの収益構造とAIの相性の悪さが見えてくる。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">出力を止めるだけでは、本の売上は守れない</a></li>
	<li><a href="#second">重版で回収するモデルと「1タイトル1冊」の非対称</a></li>
	<li><a href="#third">取次と出版社の間にあった「ルールの空白」</a></li>
	<li><a href="#fourth">なぜ「紙の本」が求められるのか</a></li>
	<li><a href="#fifth">「本を売る」から「知を許諾する」へ</a></li>
</ul>
<h2 id="first">出力を止めるだけでは、本の売上は守れない</h2>
<p>　まず押さえておきたいのは、著作権法が守っているのは文章の「具体的な表現」だという点だ。アイデアやノウハウ、事実、論理の組み立てそのものは保護の対象にならない。文化庁の文化審議会が2024年にまとめた「AIと著作権に関する考え方について」も、この原則を前提に組み立てられている。</p>
<p>　AIが本の一節を丸ごと出力すれば、それは侵害に問える余地がある。だが、生成AIが得意なのはむしろ要約や言い換えのほうだ。ビジネス書や実用書なら、読者が本当に欲しいのは文章そのものより、そこに書かれた知見だ。知見を別の言葉で解説されてしまうと、法的には問題になりにくい。</p>
<p>「著作権侵害を訴えるには、出力と原著作物の類似性と依拠性を立証する必要があります。要約や言い換えでは類似性が認められにくく、無数の出力を一つずつ拾っていくのも現実的ではありません。出口だけで権利を守ろうとすると、どうしても穴が開きます」（知的財産法に詳しい法学研究者）</p>
<p>　ユーザーからすれば、違法コピーを読んでいるつもりはない。AIの答えで用が足りたから、本を買わなかっただけだ。ただ、その「買わなかった一冊」が積み上がれば、出版社にとっては売上の目減りそのものになる。出力側の対策はどうしてもモグラ叩きになる。だから出版界は、入口である学習の段階でのルールづくりにこだわる。</p>
<h2 id="second">重版で回収するモデルと「1タイトル1冊」の非対称</h2>
<p>　出版の収益構造は、初期投資を部数で回収する形になっている。著者が何年もかけて蓄えた知見に、編集、校閲、事実確認、装丁といった工程が重なる。これらは売れても売れなくてもかかる固定費だ。初版では赤字かトントンで、重版がかかって初めて利益が出るーー。そうした本は珍しくない。少数の売れ筋が、売れなかった大半の本の投資を支えてもいる。</p>
<p>「実用書だと、初版だけで編集の人件費まで回収できる本は多くありません。何年もかけて少しずつ重版を重ね、ようやく利益が出る。その『何年もかけて』の部分が削られることを、現場は一番恐れています」（元中堅出版社の編集幹部で出版ジャーナリスト・森山一人氏）</p>
<p>　AI学習のための購入は、この構造とかみ合わない。スキャンしてデータにするなら、1タイトルにつき理屈のうえでは1冊で足りる。出版社に入るのはその1冊分の売上だけだ。一方で、その知見を根拠とした回答は、不特定多数の利用者に何度でも届き得る。</p>
<p>　比較の材料はすでにある。米出版大手ハーパーコリンズは2024年、既刊ノンフィクションをAI学習用にライセンスする契約を結んだ。米業界誌パブリッシャーズ・ウィークリーによれば、参加は著者の希望制で、対価は1冊あたり5000ドル。著者と出版社で折半する。定価数千円の1冊を売るのと、数十倍から数百倍の対価がつくライセンス。学習用のデータとしての価値が市場で付いているのに、紙の流通を通るとその差額が消えてしまう。</p>
<p>　もちろん、AIの普及で本の売上がどれだけ減るのか、実証的なデータはまだ乏しい。ただ、市場全体に余力はない。出版科学研究所によれば、2025年の紙の書籍・雑誌の推定販売金額は9647億円。前年比4.1%減で、約50年ぶりに1兆円を割り込んだ。重版で稼ぐ余地がただでさえ狭まっているなかで、その余地をさらに削りかねないことが、出版社の警戒の核心にある。</p>
<h2 id="third">取次と出版社の間にあった「ルールの空白」</h2>
<p>　取次の立場から見れば、注文を受けて本を届けるのは本業そのものだ。著作権法には「譲渡権の消尽」という考え方があり、適法に流通した本を転売すること自体は、通常は著作権の問題になりにくい。買った人がその本をどう使うかを縛る仕組みも、紙の流通にはもともとない。電子書籍なら利用規約で学習利用を制限できるが、書店で買う一冊には利用規約がついていない。</p>
<p>　出版社の受け止め方は違う。一般読者に読んでもらう前提で流通に乗せた本が、知らないうちに海外で裁断され、データ化されていたかもしれない。書協が問うたのも、会員社の刊行物が含まれていたか、版元の許諾なく海外事業者に大量販売したことをどう考えるか、という点だった。</p>
<p>「取次と出版社の取引契約は、本を読者に届けることを想定して作られています。大口の一括購入をどう扱うか、まして用途をどう確かめるかは、ほとんど議論されてこなかった。誰かが悪意を持っていたというより、想定していない買い手が現れたというほうが実態に近いのではないでしょうか」（同）</p>
<p>　対照的なのが米国の取次大手イングラムの対応だ。裁判資料によれば、同社は研究開発目的の裁断・スキャンを適法と見ながらも、評判への影響を理由に取引に消極的だったとされる。合法かどうかと、取引先や著者が納得するかどうかは別の問題だ。日本では、その判断を支える業界のルールがなかった。問われているのは特定の企業の責任だけではなく、この空白をどう埋めるかだろう。</p>
<h2 id="fourth">なぜ「紙の本」が求められるのか</h2>
<p>　AI開発の側にも事情がある。ウェブ上の文章は量こそ多いが、質のばらつきが大きい。専門家が書き、編集者や校閲者の手を経た書籍は、論理の通った長い文章の塊として代わりがききにくい。出版社が「編集の価値」と呼んできたものが、そのまま学習データとしての価値になっているとも言える。</p>
<p>　アンソロピックについては、米ワシントン・ポストが2026年1月、社内で「プロジェクト・パナマ」と呼ばれた計画を報じている。大量の紙の本を買い入れて裁断し、スキャンして学習に使うというものだ。米連邦地裁は2025年6月、正規に購入した本をスキャンして学習に使うことはフェアユースに当たると判断した。一方、海賊版サイトからの入手についてはフェアユースを認めず、同社は15億ドルでの和解に応じている。和解は2026年7月に最終承認された。</p>
<p>　つまり「紙の本を買ってスキャンする」という手法は、少なくとも米国では合法とされた調達ルートだ。問題はそれが違法かどうかより、ライセンス市場を経由しないことにある。前述のように学習用ライセンスの市場価格が形成されつつあるなかで、定価で本を買えば同じデータが手に入る。その差は出版社と著者には戻らない。なお、日販経由の書籍が実際に学習に使われたかどうかは、現時点で公式には確認されていない。</p>
<p>「日本でも、学習用に整理されたデータベースが販売されているのに、それを買わずに複製するようなケースは『著作権者の利益を不当に害する』として30条の4の対象外になり得る、というのが文化庁の整理です。裏返せば、出版界が学習用のライセンス市場を実際に作れるかどうかが、法的な立場にも影響してくる。ただし、書籍のスキャンを対象にした国内の裁判例はまだありません」（前出法学研究者）</p>
<h2 id="fifth">「本を売る」から「知を許諾する」へ</h2>
<p>　出版界が求めているのは、AIそのものの拒否ではないだろう。学習に使うなら、定価の書籍代ではなくデータ利用の対価を払う。その交渉の土侵に立ちたい、というのが実際のところだ。入口でのルールにこだわるのは、そこを押さえないと交渉の前提自体が成り立たないからだ。</p>
<p>　実務上の課題は大きく三つある。</p>
<p>　1．取引契約の見直し。大口取引の用途確認や、学習目的の転売の扱いを取次と出版社のあいだで明文化する。</p>
<p>　2．学習用ライセンスの窓口づくり。個々の出版社が海外の大手AI企業と一社ずつ交渉するのは現実的ではない。音楽では著作権管理団体が配信事業者と包括的に許諾契約を結ぶ仕組みが定着している。出版でも複写の分野には集中管理の前例がある。</p>
<p>　3．著者への配分。ハーパーコリンズの事例が著者の希望制と折半を採ったように、誰が同意し、誰にいくら払われるのかを先に決めておかないと、業界内部の合意がもたない。</p>
<p>「今回の件で、紙の本の流通が数十年そのままにしてきた前提が形になったとも言えます。多くの出版社は、そこに対価をつけられるならむしろ歓迎だと考えているはずです。問題は、その仕組みがまだないことです」（森山氏）</p>
<p>　書協は10月27日の理事会・評議会で今後の対応を検討するとしている。日販も、出版社からの個別の問い合わせに応じる方針だ。誰が悪かったのかを問うだけで終われば、同じことは別のルートで繰り返される。紙の本は今も、書店でも古書市場でも誰でも買えるからだ。</p>
<p>　知的な商品を作るのにかかるコストを、誰がどう負担するのか。この問いは出版に限らず、報道や教育、専門的な情報を売るあらゆるビジネスに関わってくる。今回の件は、その答えを業界として用意できるかを問う最初の具体例になりそうだ。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝森山一人・出版ジャーナリスト）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://www.yomiuri.co.jp/culture/20261006-GYT1T00335/" target="_blank" rel="noopener">読売新聞（2026年10月6日）</a><br />
<a href="https://www.shinbunka.co.jp/archives/14498" target="_blank" rel="noopener">新文化オンライン「日販GHD、アンソロピックへの書籍販売認める」</a><br />
<a href="https://tokyonewsmedia.com/archives/28909" target="_blank" rel="noopener">東京報道新聞（2026年10月8日）</a><br />
<a href="https://storage.courtlistener.com/recap/gov.uscourts.cand.434709/gov.uscourts.cand.434709.560.34.pdf" target="_blank" rel="noopener">Bartz v. Anthropic 裁判資料 Dkt. 560-34（イングラムの対応）</a><br />
<a href="https://cdn.arstechnica.net/wp-content/uploads/2026/07/Bartz-v-Anthropic-Order-Approving-Settlement-7-20-26.pdf" target="_blank" rel="noopener">和解最終承認命令（2026年7月20日）</a><br />
<a href="https://hon.jp/news/1.0/0/58293" target="_blank" rel="noopener">HON.jp「2025年出版市場」（出版科学研究所データ）</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-15T00:00:37+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>イオン系スーパー100店閉鎖の深層…スーパー事業赤字でも中間最高益、イオンのポートフォリオ経営</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396282.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396282.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイントイオン傘下のU.S.M.H（マルエツ・カスミ・いなげや）は2026年3～8月期に32億円の営業赤字となり、2030年までに約100店を閉鎖する（新規出店約50店で純減約50店）。一方イオンはツルハ連結でドラッグ事業...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<figure class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396282_maruetsu.jpg" alt="イオン系スーパー100店閉鎖の深層…スーパー事業赤字でも中間最高益、イオンのポートフォリオ経営の画像1" width="1242" height="869" /><figcaption class="wp-caption-text">マルエツの店舗（<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%84#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Maruetsu_Hirama.jpg" target="_blank" rel="noopener">「Wikipedia」</a>より）</figcaption></figure>

<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
イオン傘下のU.S.M.H（マルエツ・カスミ・いなげや）は2026年3～8月期に32億円の営業赤字となり、2030年までに約100店を閉鎖する（新規出店約50店で純減約50店）。一方イオンはツルハ連結でドラッグ事業が伸び、営業利益1307億円と中間期最高を更新。その実像と、中小企業が学べる3つの視点を解説する。<br />
</p>
<p>　10月9日、イオン傘下で首都圏に「マルエツ」「カスミ」「いなげや」などを展開するユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス（U.S.M.H）が、2030年までに約100店を閉鎖する方針を明らかにした。その4日後、親会社のイオンは2026年3～8月期（中間期）の連結決算を発表し、営業収益と営業利益がともに中間期として過去最高を更新した。</p>
<p>　子会社は店を閉め、親会社は最高益を出す。見出しを並べると矛盾して見えるが、決算の中身をセグメントごとに追うと、いまのイオンがどうやって利益を出しているのかがはっきり見えてくる。この「ずれ」には、業種や規模を問わず経営に通じる論点がいくつも含まれている。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">売上は14％増、それでも営業赤字</a></li>
	<li><a href="#second">「100店閉鎖」は純減50店の入れ替え計画</a></li>
	<li><a href="#third">セグメントで見る「稼ぎ頭」の交代</a></li>
	<li><a href="#fourth">ポートフォリオ経営の実像</a></li>
	<li><a href="#fifth">中小企業にも応用可能な視点</a></li>
	<li><a href="#sixth">「途中経過」としての100店閉鎖</a></li>
</ul>
<h2 id="first">売上は14％増、それでも営業赤字</h2>
<p>　U.S.M.Hの中間期の営業収益は5447億円で、前年同期から14.0％増えた。一方、営業損益は32億8300万円の赤字に転落した（前年同期は1億6800万円の黒字）。純損失は46億円に達し、通期では最終赤字80億円の見通しに修正している。最終赤字は2期連続となる。</p>
<p>　売上が伸びても利益が残らない理由はコストにある。仕入れ値の上昇、電気代などのエネルギー費、最低賃金の引き上げに連動する人件費が重なった。食品スーパーの営業利益率は数％にとどまるのが一般的で、コストがわずかに上がるだけで利益がほぼ消えてしまう。節約志向を強める客を前に、上がったコストをそのまま売価に乗せることも難しい。</p>
<p>　イオンの四方基之副社長は13日の会見で、中東情勢に伴うコスト上昇や節約志向の強まりに触れた。そのうえで、自社の「価格政策や販促施策は十分に機能しなかった」とも述べている。原因を外部環境だけに求めなかった点は、記事の後半で触れる教訓にもつながる。</p>
<h2 id="second">「100店閉鎖」は純減50店の入れ替え計画</h2>
<p>　閉鎖する店の選定基準として、U.S.M.Hは築40～50年といった店の古さ、店舗の状態、人口動態を挙げた。地域は限定していないが、郊外の店が多くなる見通しだという。一方で、今後3年間に約50店の新規出店も計画しており、店舗数の純減は約50店にとどまる。グループ店舗の平均店齢は、12.1年から2030年には10年まで下がる計算だ。</p>
<p>　3年間のコスト構造改革では、合計80億円の効果を見込む。内訳は次の4つだ。</p>
<p>　不採算店舗の見直し：24億円<br />
　不採算事業の見直し：18億円<br />
　物流の効率化：14億円<br />
　その他：24億円</p>
<p>　数字を並べると、閉店は単純な縮小ではなく、古い店を新しい店に入れ替える「スクラップ・アンド・ビルド」だとわかる。</p>
<p>「食品スーパーの店舗は、建物と設備が古くなるほど光熱費も修繕費もかさみます。インフレ下では、その差が利益に直結します。老朽店を閉めて新店に置き換えるのは、むしろ遅れていた投資を取り戻す動きとみるべきでしょう」（流通コンサルタント・永田由紀氏）</p>
<h2 id="third">セグメントで見る「稼ぎ頭」の交代</h2>
<p>　イオン連結の中間決算をセグメント別に見ると、構図はさらにはっきりする。</p>
<p>　<strong>総合スーパー（GMS）</strong>：営業損失126億円（前年同期から124億円悪化）<br />
　<strong>スーパーマーケット（SM）</strong>：営業損失1億7600万円（前年同期は約129億円の黒字）<br />
　<strong>ヘルス＆ウエルネス</strong>：営業利益597億円（370億円増）<br />
　<strong>ディベロッパー・エンターテイメント</strong>：営業利益542億円（132億円増）<br />
　<strong>総合金融</strong>：営業利益261億円（9億円減）</p>
<p>　祖業の小売り2事業が赤字に沈んだ一方、ドラッグストアを中心とするヘルス＆ウエルネスと、モール事業を担うディベロッパーの増益がそれを上回った。その結果、連結の営業利益は1307億円（10.7％増）、中間純利益は133億円（約3.3倍）となった。</p>
<p>　ただし、数字を読むときにはいくつか注意が要る。</p>
<p><strong>①ヘルス＆ウエルネスの大幅増益は買収効果が大きい。</strong> 2025年12月にツルハホールディングスとウエルシアホールディングスが経営統合し、ツルハがイオンの連結子会社に加わった。この増益の多くはその効果で、既存事業の自然な伸びとは分けて見る必要がある。</p>
<p><strong>②純利益3.3倍には前年の反動が含まれる。</strong> 前年同期に計上した特別損失が減ったことが寄与している。</p>
<p><strong>③直近の勢いはむしろ鈍っている。</strong> 6～8月の3カ月だけを見ると、営業利益は前年同期より約10％減った。7月の熊本地震などで約42億円の特別損失も計上しており、決算発表の翌日にイオン株は年初来安値を更新した。市場は「最高益」を手放しで評価しているわけではない。</p>
<h2 id="fourth">ポートフォリオ経営の実像</h2>
<p>　それでも、事業の組み合わせが利益を下支えしている事実は動かない。各事業の収益構造は次のように異なる。</p>
<p>　<strong>ドラッグストア</strong>：医薬品・調剤・化粧品を扱い、粗利率が食品より高い。食品を安く売って来店頻度を上げ、医薬品や化粧品で利益を確保するモデルが定着している。<br />
　<strong>モール事業</strong>：専門店テナントから賃料を受け取る仕組みで、売上がそのまま利益を左右する小売りより収益が安定しやすい。<br />
　<strong>金融業事</strong>：カード決済や銀行を通じて、グループの買い物客から手数料収入を得る。</p>
<p>　結果として、イオンは「スーパーが客を集め、別の事業が利益を稼ぐ」形に近づいている。ただし、ここを都合よく解釈するのは危うい。</p>
<p>「スーパーは集客装置で、赤字でも構わないという見方は正確ではありません。イオン自身が価格政策の失敗を認め、下期はPB（プライベートブランド）の強化や経費の見直しで黒字化を目指すと明言しています。ほかの事業が稼いでいる間に本業を立て直す時間を確保できている、というのが実態に近いと思います」（同）</p>
<p>　実際、イオンは下期に向けて、年間売上が10億円を超える「メガアイテム」のPB商品を、約100品目から300品目規模に増やす計画を示している。スーパー事業の収益改善を諦めたわけではない。</p>
<h2 id="fifth">中小企業にも応用可能な視点</h2>
<p>　イオンほどの規模がなくても、応用できる考え方はある。</p>
<p><strong>1. 事業ごとの損益を見える化し、撤退基準を先に決めておく</strong><br />
　U.S.M.Hは、築年数や人口動態といった閉店の判断基準を外部に示した。中小企業では、部門別・店舗別・取引先別の損益を出していない会社も少なくない。どこで稼ぎ、どこで失っているのかが見えなければ、撤退の判断はいつまでも先送りになる。</p>
<p><strong>2. 「集客役」と「利益役」を設計段階で分ける</strong><br />
　客を呼ぶ商品やサービスと、利益を生むものを意識的に分けて組み立てる。ただし、ここで言う集客役は「意図して設計したもの」に限られる。結果として赤字になっている事業に集客役という名前をつけて放置するのは、設計ではなく言い訳にすぎない。</p>
<p><strong>3. コスト上昇を吸収できる収益源を一つ持つ</strong><br />
　自社ブランド商品のような粗利の高い商品、保守契約や会員制のように継続して入ってくる収入などがその例だ。薄利多売の事業だけで会社全体を支える構造は、インフレ局面では特にもろい。</p>
<p>「多角化には体力が要るので、中小企業がいきなり新規事業に打って出る必要はありません。まずは既存事業の中で、粗利の高い商品や継続課金型のサービスの比率を少しずつ上げていく。それだけでもコスト高への耐性はずいぶん変わります」（同）</p>
<h2 id="sixth">「途中経過」としての100店閉鎖</h2>
<p>　U.S.M.Hの改革が計画どおりに進むかどうかは、閉店で浮いた経費を新店、物流、デジタルにどれだけ振り向けられるかにかかっている。イオンはネットスーパー「Green Beans（グリーンビーンズ）」も展開しており、実店舗とネットの役割分担をどう描くかも問われる。閉店する地域では、日々の買い物の場が失われることへの目配りも欠かせない。</p>
<p>　今回の100店閉鎖は、イオンの危機を示すものでも、ビジネスモデルの完成を示すものでもない。インフレという環境変化に合わせて事業の組み合わせを組み替えていく、その途中経過と見るのが妥当だろう。中小企業にとっての学びも、規模の大きさにあるわけではない。数字で事業を見ること、基準を決めること、決めたら動くこと。この3点は、どんな規模の会社でも明日から始められる。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝永田由紀／流通コンサルタント）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://www.ryutsuu.biz/strategy/s100919.html" target="_blank" rel="noopener">流通ニュース：U.S.M.H／30年までに100店舗閉鎖、コスト構造改革で80億円の効果見込む</a><br />
<a href="https://www.ryutsuu.biz/accounts/s101317.html" target="_blank" rel="noopener">流通ニュース：イオン 決算／3～8月営業収益・営業利益が過去最高を更新</a><br />
<a href="https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2610/14/news061.html" target="_blank" rel="noopener">ITmedia ビジネスオンライン：イオン中間決算、過去最高の売上高5.9兆円 熊本地震の特損41億円</a><br />
<a href="https://www.jiji.com/jc/article?k=2026101300894&amp;g=eco" target="_blank" rel="noopener">時事通信：イオン、純利益3.3倍 ドラッグストアが好調</a><br />
<a href="https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202610140243" target="_blank" rel="noopener">株探：イオンは続落し年初来安値更新、直近の6～8月期営業益が10％減</a><br />
<a href="https://diamond-rm.net/management" target="_blank" rel="noopener">ダイヤモンド・チェーンストアオンライン：ウエルシアとツルハがついに経営統合</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-14T18:03:44+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[マルエツの店舗（「Wikipedia」より）]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>高さ250mなのに「通り抜け」歓迎…トフロム八重洲タワーが選んだ“外向き”設計の狙い</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396276.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396276.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイント2026年9月10日、東京駅八重洲口前に開業したトフロム八重洲タワー（地上51階・高さ約250m）は、68店舗の多くを路面側に配置し、周辺の4つの通りを結ぶ3本の通路を館内に通した「外向き」の設計が特徴だ。記事では...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<figure class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396276_tofrom.jpg" alt="高さ250mなのに「通り抜け」歓迎…トフロム八重洲タワーが選んだ外向き設計の狙いの画像1" width="1262" height="850" /><figcaption class="wp-caption-text">トフロム八重洲タワー（<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/TOFROM_YAESU#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:TOFROM_YAESU_04_%E3%81%95%E3%81%8F%E3%82%89%E9%80%9A%E3%82%8A%E5%81%B4.jpg" target="_blank" rel="noopener">「Wikipedia」</a>より）</figcaption></figure>

<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>2026年9月10日、東京駅八重洲口前に開業したトフロム八重洲タワー（地上51階・高さ約250m）は、68店舗の多くを路面側に配置し、周辺の4つの通りを結ぶ3本の通路を館内に通した「外向き」の設計が特徴だ。記事では、丸の内との街の成り立ちの違いと、都心5区の空室率1.87%という出社回帰の局面を踏まえ、今後の都市開発を測る評価軸を読み解く。</strong><br />
</p>
<p>　9月10日、東京駅八重洲口の目の前で「TOFROM YAESU TOWER（トフロム八重洲タワー）」が開業した。地上51階・地下4階、高さ約250メートル、延床面積は約22万5000平方メートル。東京建物が再開発組合の一員として参画し、約250人の権利者との合意形成に25年以上をかけた事業である。</p>
<p>　ただ、高さや床面積だけでこのビルを語ると、いちばん大事なところを見落とす。事業者は公式の発表資料で、一般的な商業施設のように来館者を建物の中へ引き込み、館内を回遊させる構造は採らず、店舗の多くを路面側に並べた「外向き」の計画にしたと説明している。館内には、周辺の主要な4つの通りを結ぶ3本の通路も通した。</p>
<p>　なぜいま、駅前の超高層ビルが「客を囲い込まない」方向へ舵を切るのか。従来型との違い、丸の内との対比、そして今後の都市開発を測る物差しの順に整理していく。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">「囲い込み型」から「通り道型」へ</a></li>
	<li><a href="#second">丸の内と八重洲――「計画された網」と「積み重なった路地」</a></li>
	<li><a href="#third">これからの都市開発を測る3つの物差し</a></li>
	<li><a href="#fourth">「自社を目的地にしない」という発想</a></li>
</ul>
<h2 id="first">「囲い込み型」から「通り道型」へ</h2>
<p>　これまでの駅前大型ビルの定石は、わかりやすかった。下層に商業施設を積み、エスカレーターで上下に回遊させ、上層をオフィスにする。来館者が館内で食事も買い物も済ませれば、テナント売上に連動する賃料収入が積み上がる。商業施設の経営としては筋の通ったモデルだ。</p>
<p>　トフロムの低層部は、その発想を半ば手放している。商業ゾーンはタワーの地下1階〜地上4階と、隣接する「ザ フロント」の地下1階〜地上2階にまたがり、総面積は約6000平方メートル。開業日にはタワー内の55店舗が営業を始め、残りを含めて計68店舗が2027年春にかけて出そろう予定だ。そして館内を貫く3本の通路が、八重洲通り、八重洲仲通り、外堀通り、さくら通りの4本を結ぶ。ビルが街の「行き止まり」ではなく、「抜け道」になるように設計されているわけだ。</p>
<p>　通路の途中には、旧町名にちなむ約1200平方メートルの吹き抜け広場「檜物町スクエア」を置いた。創業170年超の「割烹 嶋村」など、再開発前からこの地で営業してきた老舗も新しい区画で再開業している。</p>
<p>「通り抜けを許せば、一人あたりの館内滞在時間は短くなりやすい。それでも歩行者の母数そのものが増えれば、立ち寄る確率が低くても来店の絶対数は確保できる。駅前一等地では、滞在時間より通行量を取りにいくほうが合理的だという判断でしょう」（不動産ジャーナリスト・秋田智樹氏）</p>
<p>　もっとも、通過する人をどこまで売上に変えられるかは、まだ答えが出ていない。開業から1カ月あまりで成否を論じるのは早い。少なくとも1〜2年分の通行量と売上の推移を見てから評価すべきだろう。</p>
<h2 id="second">丸の内と八重洲――「計画された網」と「積み重なった路地」</h2>
<p>　東京駅を挟んだ西と東で、街の成り立ちは対照的だ。</p>
<p>　丸の内側では、地権者らが1988年に「大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会」を設立し、共通のガイドラインに沿って地下歩行者ネットワークを広げてきた。東京駅周辺の地下通路網は、いまや大手町の北側から日比谷、有楽町、東銀座までつながる。雨の日でも濡れずに移動できる、整然としたビジネス街である。ただし丸の内も地下だけの街ではなく、地上の丸の内仲通りを歩行者空間として育ててきた点は付け加えておきたい。</p>
<p>　対する八重洲は、小さな敷地に規模も業種も異なる店が路地に面して並ぶ街として発展してきた。洗練された丸の内・大手町に比べ、雑多で地味な印象を持たれてきたことは業界紙も指摘している。</p>
<p>　トフロムは、その「雑多さ」を消さずに超高層ビルへ取り込もうとした。低層部の外壁に凹凸や隙間を設けて箱を積み上げたような意匠にし、小さな建物が連なる街並みを立体的に再現している。一方で、地下では八重洲地下街を介して東京駅と直結し、地下には高速バスターミナルも入る。つまり丸の内型の「シームレスな地下動線」と、八重洲らしい「地上の寄り道」の両方を、1棟の中で受け止める構造だ。</p>
<p>「丸の内は中核となる大きな地権者がいて、街区単位でまとまった計画を立てやすかった。八重洲は地権者が細かく分かれ、その分だけ店の個性も多様だった。再開発でそれを均質にしてしまうと、わざわざ八重洲を選ぶ理由が薄れる。路地の性格を残せるかどうかが、この街の再開発の勝負どころです」（同）</p>
<h2 id="third">これからの都市開発を測る3つの物差し</h2>
<p>　トフロムの試みを一つの事例で終わらせず、今後の開発を見るときの物差しに置き換えてみる。</p>
<p><strong>（1）「点」ではなく「面」への貢献度</strong></p>
<p>　高さや容積率を競う時代が終わったわけではない。ただ東京の都心では、都市再生特別地区などの制度のもと、歩行者空間やバスターミナルといった公共貢献を評価して容積率を緩和する仕組みが定着している。国も2020年の都市再生特別措置法改正で「居心地が良く歩きたくなるまちなか」づくりを打ち出した。周辺にどれだけ人の流れを返せるか。それがビル単体の評価にも跳ね返ってくる構図は、今後さらに強まるはずだ。</p>
<p><strong>（2）「出社したくなる」理由は、ビルの外にもある</strong></p>
<p>　オフィス市況は逼迫している。三鬼商事の調べでは、都心5区の空室率は2022年8月の6.49%から、2026年8月には1.87%まで下がった。出社回帰が進むなかで、企業がオフィスに求めるものも変わりつつある。トフロムも13階にワーカー向けの食堂やラウンジを備えたフロア、41階に東京湾を望むラウンジを設けたが、昼に歩いて行ける店の選択肢や、帰りに寄り道できる街の厚みも、同じくらい効いてくる。</p>
<p>「社員に出社してもらう理由を、会社はいま必死に探しています。デスク周りの快適さは各社とも横並びになりつつある。差がつくのはむしろ、ビルを一歩出たときの街の体験です。採用の場面で、勤務地の街の魅力を語る企業は確実に増えています」（同）</p>
<p><strong>（3）民間がつくる歩行者インフラ</strong></p>
<p>　ビル内の通路は私有地でありながら、公共の道に近い役割を担う。民間が街のインフラを生み出せる半面、開放時間や維持管理費の負担、イベント利用のルールなど、「私有地の公共性」をどう運用するかという課題も同時に抱える。この運用の巧拙が、エリア全体の価値を左右する。</p>
<h2 id="fourth">「自社を目的地にしない」という発想</h2>
<p>　八重洲口の再開発は、これで終わりではない。2022年に開業した東京ミッドタウン八重洲に続き、2029年には隣接地で「YAESU CORE」が完成する予定で、約1300席の劇場が入ると報じられている。トフロムの約800席の劇場とは競合にもなり得るし、補完関係にもなり得る。東京駅の日本橋口側では、東京建物が進める呉服橋の再開発で地下通路が延び、2029年には10駅を結ぶ地下ネットワークが完成する見通しだ。八重洲は「通過点」から、複数の開発が人の流れを受け渡し合う結節点へと変わろうとしている。</p>
<p>　この構図は、不動産業界に限った話ではない。自社のサービスや店舗を「わざわざ来てもらう目的地」として磨き込むだけでなく、利用者の日常の動線にどう自然に入り込むか。その視点は、ウェブサービスでも小売でも共通する問いになっている。囲い込みを手放すのは勇気がいる。だが、人の流れが細る場所に、長く人は集まらない。</p>
<p>　トフロム八重洲タワーが示したのは、ビルを街から切り離して完結させるのではなく、街の一部として振る舞わせるという選択肢だ。その成果が数字で確かめられるのは、まだ先である。ただ、全国で駅前再開発が続くなかで、「ビルと街の関係」を考え直す一つの材料になることは間違いない。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝秋田智樹／不動産ジャーナリスト）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://tatemono.com/news/images/5d9efb4bfc7197e00b924733ed5077e9_1.pdf" target="_blank" rel="noopener">東京建物 ニュースリリース（2026年7月15日）</a><br />
<a href="https://newswitch.jp/p/50353" target="_blank" rel="noopener">ニュースイッチ（2026年9月25日）</a><br />
<a href="https://www.kenbiya.com/ar/ns/region/tokyo/9000.html" target="_blank" rel="noopener">健美家（2025年）</a><br />
<a href="https://kumanichi.com/articles/2039063" target="_blank" rel="noopener">共同通信（熊本日日新聞掲載、2026年9月24日）</a><br />
<a href="https://www.mlit.go.jp/common/001210737.pdf" target="_blank" rel="noopener">国土交通省 資料</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-14T00:28:47+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[トフロム八重洲タワー（「Wikipedia」より）]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>半導体の「黒衣」日本酸素HDとは何者か…利益率15%の“空気ビジネス”と、韓国新拠点が映す日韓分業</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396274.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396274.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイント産業ガスで国内首位・世界4位の日本酸素HDは、2026年9月に韓国・牙山市で半導体材料ガス「ジボラン」の新しい製造拠点を稼働させた。2026年3月期はガスの出荷量が減ったが、価格転嫁によってコア営業利益率14.9%を...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396274_nihonsanso.jpg" alt="半導体の「黒衣」日本酸素HDとは何者か…利益率15%の空気ビジネスと、韓国新拠点が映す日韓分業の画像1" width="1227" height="849" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>産業ガスで国内首位・世界4位の日本酸素HDは、2026年9月に韓国・牙山市で半導体材料ガス「ジボラン」の新しい製造拠点を稼働させた。2026年3月期はガスの出荷量が減ったが、価格転嫁によってコア営業利益率14.9%を確保した。オンサイト供給の長期契約、寡占市場、超高純度の技術という3つの収益構造と、日韓の半導体分業を決算データから読み解く。</strong><br />
</p>
<p>　9月30日、日本酸素ホールディングス（HD）が一本のリリースを出した。韓国・忠清南道牙山（アサン）市で、半導体材料ガスの新しい製造拠点が操業を始めたという内容だ。開所式は9月3日。派手な金額も、聞き慣れた顧客名も書かれていない。</p>
<p>　社名を聞いてピンとくる人は多くないだろう。ただ、魔法瓶の「サーモス」の親会社だと言えば、少しは距離が縮まるかもしれない。本業は産業ガスで、国内首位、世界でも4番手につける。この会社がなぜ安定して稼げるのか。そして、なぜいま韓国なのか。決算資料と公表情報を手がかりに、順に見ていきたい。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">「空気を売る」会社の正体</a></li>
	<li><a href="#second">出荷が減っても利益が伸びる理由</a></li>
	<li><a href="#third">なぜ韓国で「つくる」のか</a></li>
	<li><a href="#fourth">ブームの「次」に向けた計画と課題</a></li>
	<li><a href="#fifth">見えない場所にある強さ</a></li>
</ul>
<h2 id="first">「空気を売る」会社の正体</h2>
<p>　源流は1910年創業の日本酸素だ。翌11年、東京・大崎の工場で国内初となる酸素の工業生産に成功している。2020年に持株会社体制へ移行し、国内事業は事業会社（旧・大陽日酸）が担う。筆頭株主は三菱ケミカルグループで、持株比率は50.6%。</p>
<p>　2026年3月期の売上収益は1兆3,596億円。地域別では日本30%、米国27%、欧州26%、アジア・オセアニア15%、サーモス2%と、すでに7割近くを海外で稼ぐ。連結従業員は約2万人にのぼる。</p>
<p>「空気を売る」とは、文字どおりの意味だ。大気を圧縮・冷却して液体にし、沸点の違いを利用して窒素（約マイナス196度）、アルゴン（約マイナス186度）、酸素（約マイナス183度）を取り分ける。業界では「深冷分離」と呼ぶ。原料はタダでも、分離には大型の設備と大量の電力が要る。</p>
<p>　用途は驚くほど広い。製鉄所の高炉に吹き込む酸素、化学プラントの安全確保に使う窒素、食品の酸化を防ぐ充填用の窒素、病院の医療用酸素。そして半導体工場では、ウエハーを汚さないための超高純度窒素や、回路を作り込む工程で使う特殊な材料ガスが欠かせない。普段は目に入らないが、止まれば多くの工場が動かなくなる。インフラと呼ばれるゆえんだ。</p>
<h2 id="second">出荷が減っても利益が伸びる理由</h2>
<p>　まず数字を確認しておく。本業の稼ぐ力を示す「コア営業利益」（IFRSの営業利益から一過性の損益を除いた同社独自の指標）は、この4年で1.6倍になった。</p>
<p>決算期　　　　売上収益（億円）　コア営業利益（億円）　コア営業利益率<br />
2026年3月期　　13,596　　　　　2,030　　　　　　　　14.9%<br />
2025年3月期　　13,080　　　　　1,891　　　　　　　　14.5%<br />
2024年3月期　　12,550　　　　　1,659　　　　　　　　13.2%<br />
2023年3月期　　11,866　　　　　1,231　　　　　　　　10.4%<br />
出所：同社2026年3月期 通期決算説明会資料より作成。利益率は編集部算出</p>
<p>　目を引くのは、直近期の中身だ。同社の説明では、主要市場の景気停滞でガスの出荷数量はむしろ減っている。それでも増益になったのは、電力費などのコスト上昇分を販売価格に反映させる「価格マネジメント」が効いたためだという。量が落ちても値決めで利益を守れる。ここに、このビジネスの性格がよく表れている。</p>
<p>　背景には三つの構造がある。</p>
<p>　一つ目は供給の形だ。産業ガスの届け方は大きく三つある。顧客の工場の隣に分離装置を建ててパイプで直接送る「オンサイト」、構内に貯槽を置いてタンクローリーで液化ガスを補充する「バルク」、ボンベ（シリンダー）で配送する「パッケージ」。特にオンサイトは10年を超える長期契約が一般的とされ、設備ごと生産ラインに組み込まれるため、途中で他社に切り替えるのは現実的でない。</p>
<p>　二つ目は寡占構造。分離装置には巨額の投資が要り、ガスは重くかさばるため遠くへ運ぶほど不利になる。地域ごとに生産拠点と物流網を持つ企業でなければ戦いにくく、世界市場は独リンデ、仏エア・リキード、米エア・プロダクツ、そして日本酸素HDの上位数社が大半を占めるとされる。シェアの推計は調査会社によって幅があるが、新規参入が極めて難しい市場であることは共通した見方だ。</p>
<p>　三つ目が高付加価値の特殊ガス。半導体製造では「シックスナイン」（99.9999%）級、あるいはそれ以上の純度が求められる場面がある。不純物が数ppb（10億分の1）混じるだけで歩留まりに響くため、精製技術と品質保証体制そのものが商品価値になる。</p>
<p>「産業ガスは景気の影響をまったく受けないわけではありません。ただ、長期契約とコスト転嫁の仕組みがあるため、需要が落ちても利益がぶれにくい。直近の決算は、その特徴がはっきり出た好例だと思います」（証券アナリスト・堀野剛志氏）</p>
<h2 id="third">なぜ韓国で「つくる」のか</h2>
<p>　新拠点は、韓国事業会社のNippon Sanso Matheson Korea（NSMK）が牙山市の仁州（インジュ）地区に建てたものだ。同じ市内の陰峰（ウムボン）地区にある既存工場と連携して生産し、将来の拡張を見込んだ設備も整えたという。主力品目として挙げられているのはジボラン（B2H6）。半導体にホウ素を加える工程などで使われる材料ガスだ。投資額は公表されていない。</p>
<p>　ここで押さえておきたいのは、この案件が空気を分ける大型のオンサイトプラントではない、という点だ。ジボランは毒性が強く、空気に触れると発火しやすい。こうしたガスは長距離輸送の負担が大きく、使う場所の近くで製造・充填し、品質を管理しながら届けるほうが合理的だ。需要地での「地産地消」は、安全と安定供給の両面から理にかなっている。</p>
<p>　韓国にはサムスン電子とSKハイニックスという世界有数のメモリーメーカーがあり、AI向け需要を背景に増産投資が続く。ガス各社の動きも活発だ。米エア・プロダクツは2026年4月、サムスン電子が平沢（ピョンテク）に建てる新工場向けに産業ガスを供給すると発表し、同社にとって半導体分野で過去最大の投資だと説明した。仏エア・リキードも、SKハイニックス向けに約2億ユーロの窒素製造設備を建設すると報じられている。日本酸素HDの新拠点は、こうした競争のただ中にある。</p>
<p>　日韓の関係で言えば、2019年に日本が半導体材料3品目の対韓輸出管理を厳格化し、韓国側が素材・部品・装置の国産化を急いだ経緯は記憶に新しい。措置は23年に解除されたが、韓国の顧客が供給の近さと確かさを重視する流れは続いている。日本企業が韓国国内で製造まで担う形は、日本の精製・品質管理技術と、韓国の量産力をつなぐ現実的な答えの一つと言える。</p>
<p>　人の流れは逆方向にもある。サムスン電子は今年9月、横浜に構える半導体の研究拠点の本格稼働を記念する式典を開き、日本の材料・装置メーカーとの協力を深めたい考えを示した。日本が材料と装置、韓国がデバイスの量産という分業は、片方向の依存ではなく、相互に近づく関係へと変わりつつある。</p>
<p>「政治の関係には波がありますが、半導体の現場では供給を止めないことが最優先です。材料メーカーが顧客のそばに製造拠点を置くのは、両国にとってリスクを下げる選択でしょう」（半導体アナリスト・岩井裕介氏）</p>
<h2 id="fourth">ブームの「次」に向けた計画と課題</h2>
<p>　同社は2026年4月から4カ年の中期経営計画「Next Innovation 2030」を始めた。最終年度の30年3月期に売上収益1兆5,000億〜1兆5,750億円、コア営業利益2,500億〜2,750億円、コア営業利益率17%以上を掲げる。4年間で約7,800億円を設備投資・投融資に充て、成長投資の重点領域にエレクトロニクスを据えた。足元の27年3月期第1四半期（4〜6月）は売上収益が前年同期比14.9%増、コア営業利益が19.9%増と好調な滑り出しだ。</p>
<p>　半導体の微細化や、メモリーのセルを縦に積み上げる3次元化が進むほど、成膜やエッチングの工程は増え、使うガスの種類も量も増える傾向にある。この流れが続く限り、材料ガスの需要は構造的に伸びるとみてよいだろう。</p>
<p>　一方で課題もはっきりしている。</p>
<p><strong>電力コスト</strong>：深冷分離は電力を大量に使う。同社自身、27年3月期の見通しで中東情勢を背景とした電力代の上昇を懸念材料に挙げている。</p>
<p><strong>脱炭素</strong>：温室効果ガス排出量を19年3月期比で31年3月期に9%、36年3月期に21%減らす目標を掲げる。電力の大口需要家として、再生可能エネルギーの調達は避けて通れない。</p>
<p><strong>競争と市況</strong>：韓国やアジアでは欧米大手との受注競争が続く。半導体投資には好不況の波もあり、増産計画の延期がガス需要に跳ね返るリスクは残る。</p>
<p>「顧客が新しい材料を採用するとき、ガスメーカーには開発段階から並走することが求められます。拠点を近くに持つことの意味は、供給だけでなく共同開発のしやすさにもあるはずです」（同）</p>
<h2 id="fifth">見えない場所にある強さ</h2>
<p>　スマートフォンやAIサーバーの性能が話題になるとき、ガスの名前が出ることはまずない。それでも、超高純度の窒素や特殊な材料ガスが一定の品質で届き続けなければ、最先端の工場は1日も動かない。</p>
<p>　日本酸素HDの韓国新拠点は、金額で目を引く案件ではない。ただ、顧客のそばで、扱いの難しいガスをつくり、届ける。その地道な積み重ねこそが長期契約と価格交渉力を支え、15%前後の利益率につながっている。日本の製造業がグローバルな供給網の中で存在感を保つ道筋の一つが、ここに見えている。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝堀野剛志／証券アナリスト）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://jp.nipponsanso.com/news/detail.html?itemid=2597&amp;dispmid=910" target="_blank" rel="noopener">韓国における半導体材料ガス製造拠点 新設のお知らせ（日本酸素HD、2026年9月30日）</a><br />
<a href="https://www2.jpx.co.jp/disc/40910/140120260521543697.pdf" target="_blank" rel="noopener">2026年3月期 通期決算説明会資料（同、2026年5月22日）：業績推移、地域別構成、株主構成、中期経営計画、供給モデル</a><br />
<a href="https://www2.jpx.co.jp/disc/40910/081220260806511678_tse-qcedifsm-40910-20260806340910-ixbrl.htm" target="_blank" rel="noopener">2027年3月期 第1四半期決算短信（同）</a><br />
<a href="https://en.startuprecipe.co.kr/archives/pr-newswire/air-products-to-expand-industrial-gas-supply-for-samsung-electronics-next-generation-semiconductor-fab-in-south-korea" target="_blank" rel="noopener">Air Products to Expand Industrial Gas Supply for Samsung（2026年4月30日）</a><br />
<a href="https://www.gasworld.com/story/air-liquide-to-supply-sk-hynix-with-e200m-plant-in-south-korea/" target="_blank" rel="noopener">Air Liquide to supply SK hynix with €200m plant（gasworld）</a><br />
<a href="https://new.intellinews.com/articles/samsung-opens-full-scale-semiconductor-research-base-in-japan-466884" target="_blank" rel="noopener">Samsung opens full-scale semiconductor research base in Japan（IntelliNews、2026年9月10日）</a><br />
<a href="https://apac.nipponsanso.com/" target="_blank" rel="noopener">Nippon Sanso（APAC）会社紹介：世界4位</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-14T00:08:10+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>495社・自治体に影響したクラウド攻撃…IT投資の先送りが「取引継続」のリスクになる？</title>
		<link>https://biz-journal.jp/company/post_396271.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396271.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイント9月以降、JR東日本やブックオフなどで不正アクセスによる情報流出が相次ぎ、委託先クラウドへの攻撃は495の企業・自治体に波及した。警察庁統計、IPA調査、ガートナーの緊急提言を基に、取引先の信頼を保つためのセキュリテ...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396271_security.jpg" alt="495社・自治体に影響したクラウド攻撃…IT投資の先送りが「取引継続」のリスクになる？の画像1" width="1238" height="850" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>9月以降、JR東日本やブックオフなどで不正アクセスによる情報流出が相次ぎ、委託先クラウドへの攻撃は495の企業・自治体に波及した。警察庁統計、IPA調査、ガートナーの緊急提言を基に、取引先の信頼を保つためのセキュリティ投資の判断基準を、許容停止時間（RTO）、SCS評価制度への備え、予防と復旧の予算配分の3点から解説する。</strong><br />
</p>
<p>　9月以降、国内企業で不正アクセスによる情報流出の公表が相次いでいる。10月9日にはJR東日本が「えきねっと」などの会員情報について最大約200万件、ブックオフグループホールディングスが会員情報最大約643万件の流出の可能性を、それぞれ明らかにした。交通、小売、金融、飲食、通信と、業種も規模もばらばらだ。</p>
<p>　目を引くのは、流出の起点が必ずしも当事者の社内ではないことだ。JR東日本によれば、原因はメール配信に使っていた外部サービスの提供元、IDCフロンティアへの不正アクセスだった。同社は10月7日、クラウドサービスの一部がランサムウェア攻撃を受け、契約する495の企業・自治体に影響が出たと発表している。</p>
<p>　米調査会社ガートナーは10月13日、日本企業向けに緊急提言を出した。インターネットに公開している資産の点検対象に取引先などのサードパーティを含めること、委託先やクラウド事業者について侵害時の連絡体制や復旧の見通しを確認すること。こうした項目に加え、経営者自らが先頭に立つ必要性も挙げている。</p>
<p>　大企業の事案が目立つが、警察庁の統計では今年上半期のランサムウェア被害123件のうち79件が中小企業だった。半期の件数としては統計開始以来最多である。本稿では不安をあおるのではなく、経営者が投資を判断するための材料を整理したい。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">攻撃者が見ているのは「つながり」</a></li>
	<li><a href="#second">「安さ」に含まれていないもの</a></li>
	<li><a href="#third">投資判断のための3つの物差し</a></li>
	<li><a href="#fourth">経営者が担当者に聞くべき3つのこと</a></li>
</ul>
<h2 id="first">攻撃者が見ているのは「つながり」</h2>
<p>　IPA（情報処理推進機構）の「情報セキュリティ10大脅威 2026」組織編では、1位がランサム攻撃による被害、2位が「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」だった。この順位は2023年から4年続いている。守りの堅い企業を正面から破るより、取引でつながった先を経由したほうが効率がいい。攻撃側の理屈は単純である。</p>
<p>　IPAの中小企業実態調査では、過去3年に被害を受けた中小企業の約7割で、影響が取引先にまで及んでいた。被害が自社にとどまらない以上、問われるのは損害額だけではない。「この会社とシステムをつないで大丈夫か」という、取引先からの評価そのものだ。</p>
<p>「大手の調達部門から届くセキュリティのチェックシートは、ここ数年で明らかに増えました。発注側が見ているのは満点の回答ではなく、聞かれたときに根拠を示せるかどうかです」（サイバーセキュリティコンサルタント・新實傑氏）</p>
<p>　逆の側面もある。同じ調査で、取引先から対策を求められた企業のうち、専門部署や担当者を置く企業の59.8%が「対策の実施が取引につながった」と答えた。対策を各自任せにしている企業では24.2%にとどまる。</p>
<h2 id="second">「安さ」に含まれていないもの</h2>
<p>　システム開発やWebサイト制作で初期費用を抑えるのは、経営として当然の判断だ。問題は、見積もりの差額が何を削った結果なのか見えにくい点にある。</p>
<p>　警察庁の同統計では、ランサムウェアの侵入経路の約5割がVPN機器だった。導入時には設定されていても、その後の更新が誰の仕事なのか決まっていない。こうした「運用の空白」は珍しくない。ガートナーが7月に行った調査でも、脆弱性管理を十分に実施できている日本の大手企業は30%にとどまった。</p>
<p>「保守契約に障害対応は書いてあっても、脆弱性が公表されたときの更新作業までは含まれていないケースが多い」（同）</p>
<p>　委託すること自体に問題はない。ただ、何を守る契約で、どこまでが委託範囲なのか。発注側が自分の言葉で説明できる状態にはしておきたい。</p>
<h2 id="third">投資判断のための3つの物差し</h2>
<p>　前提として「100%の安全」は存在しない。すべてを防ぐ前提で積み上げれば、予算に際限がなくなる。セキュリティ費用は事故をゼロにする保険ではなく、事業を続けるためのインフラ費用と捉えたほうが判断しやすい。</p>
<p><strong>（1）止まってよい時間から逆算する</strong><br />
受発注や生産管理が止まったとき、何日までなら持ちこたえられるか（目標復旧時間＝RTO）。警察庁の同統計では、被害組織の約6割が復旧に総額1000万円以上を要し、1カ月未満で復旧できたのは5割弱だった。この数字を自社の売上規模に置き換えると、許容できる範囲が具体的に見えてくる。</p>
<p><strong>（2）取引先の要求水準を「必要経費」と見る</strong><br />
経産省と内閣官房国家サイバー統括室は2026年3月、「SCS評価制度」の構築方針を公表した。対策水準を★3（基礎）と★4（より高度）に分け、2026年度末ごろの開始を目指している。主眼は格付けではなく「見える化」とされるが、取引の場で目安として参照される可能性はある。主要顧客が求めそうな水準を満たす費用は、営業を続けるためのコストとして扱うのが現実的だろう。</p>
<p><strong>（3）予防と復旧に予算を振り分ける</strong><br />
侵入を防ぐことだけでなく、「入られたときに早く気づき、早く戻せるか」にも予算を割く。ログの取得、オフラインを含むバックアップ、復旧手順の確認がこれにあたる。ガートナーの提言でも、ログの横断調査や、復旧手順・バックアップの再確認が挙げられている。</p>
<p>「『いくら必要か』と聞かれたら、まず『何日止まったら困りますか』と聞き返します。そこが曖昧なまま製品を選ぶと、過剰か不足のどちらかに振れやすい」（同）</p>
<h2 id="fourth">経営者が担当者に聞くべき3つのこと</h2>
<p>　・重要なシステムやWebサイト、VPN機器は、いまも定期的に更新されているか。担当は誰か<br />
　・主要取引先からセキュリティ体制を問われたとき、根拠を添えて答えられるか<br />
　・委託先やクラウド事業者でトラブルが起きたとき、連絡を受ける窓口と判断する人は決まっているか</p>
<p>　すぐに答えが返ってこない項目があれば、そこが最初の投資先の候補になる。</p>
<p>　ガートナーは、AIの悪用によって攻撃の準備から実行までの時間が大きく縮む可能性を指摘している。弱点が見つかってから突かれるまでの猶予は、今後短くなると見ておくべきだろう。</p>
<p>　セキュリティ対策は事業を縛るものではない。ブレーキを信頼できるからこそ、車は速度を出せる。評価制度の開始を控えたいま、自社の現状を一度棚卸ししておく意味は小さくない。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝新實傑／サイバーセキュリティコンサルタント）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://www.jreast.co.jp/press/2026/20261009_ho02.pdf" target="_blank" rel="noopener">JR東日本 プレスリリース（2026年10月9日）</a><br />
<a href="https://www.nippon.com/ja/news/yjj2026100900441/" target="_blank" rel="noopener">時事通信（nippon.com）「JR東、609万件情報流出か＝ブックオフ643万件」</a><br />
<a href="https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2146693.html" target="_blank" rel="noopener">Impress Watch「IDCFクラウドの障害は『ランサムウェア攻撃』が原因 495の企業・自治体に影響」</a><br />
<a href="https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/2026-10-13-gartner-issues-urgent-recommendations-on-unauthorized-access-incidents-at-japanese-enterprises" target="_blank" rel="noopener">ガートナー「多発する日本企業の不正アクセス事案に関する緊急的な提言」（2026年10月13日）</a><br />
<a href="https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2609/17/news010.html" target="_blank" rel="noopener">警察庁 令和8年上半期の情勢（@IT）</a><br />
<a href="https://www.ipa.go.jp/pressrelease/2025/press20260129.html" target="_blank" rel="noopener">IPA 情報セキュリティ10大脅威 2026</a><br />
<a href="https://scan.netsecurity.ne.jp/article/2025/03/17/52507.html" target="_blank" rel="noopener">IPA 中小企業実態調査（ScanNetSecurity）</a>、<a href="https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2506/03/news033.html" target="_blank" rel="noopener">同（@IT）</a><br />
<a href="https://www.logi-today.com/930059" target="_blank" rel="noopener">SCS評価制度 構築方針（LOGISTICS TODAY）</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-13T16:47:41+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[企業]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	<item>
		<title>JERA、千葉火力に40万kWのAIデータセンター…系統接続の長期化に「直接給電」で挑む</title>
		<link>https://biz-journal.jp/economy/post_396264.html</link>
		<guid>https://biz-journal.jp/2026/10/post_396264.html</guid>
		<description><![CDATA[●この記事のポイントJERAは米デル・テクノロジーズ、英RHAELMと組み、千葉火力発電所の隣接地に最大40万kW、投資額2.3兆円超のAIデータセンターを整備し、2028年の稼働を目指す。送電網への接続待ちが長引くなか、発電所から直接...]]></description>
		<content:encoded><![CDATA[<p><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/10/post_396264_aidc.jpg" alt="JERA、千葉火力に40万kWのAIデータセンター…系統接続の長期化に「直接給電」で挑むの画像1" width="1233" height="850" /></p>
<p><strong>●この記事のポイント</strong><br />
<strong>JERAは米デル・テクノロジーズ、英RHAELMと組み、千葉火力発電所の隣接地に最大40万kW、投資額2.3兆円超のAIデータセンターを整備し、2028年の稼働を目指す。送電網への接続待ちが長引くなか、発電所から直接電力を供給して立ち上げを早める狙いだ。本稿では、火力の価値の見直しやハワイのLNG計画との関係に加え、災害時の集中リスクと脱炭素の課題を検証する。</strong><br />
</p>
<p>　発電国内最大手のJERAは10月1日、米デル・テクノロジーズ、英RHAELM（レルム）の2社と覚書を結び、千葉火力発電所（千葉市中央区）の隣接地に最大40万kW規模のAIデータセンター（DC）を整備すると発表した。投資総額は用地、電力設備、建屋、AI計算基盤を合わせて150億ドル（約2.3兆円）以上。2028年から段階的に稼働させ、29年の本格運転を目指す。米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントも、レルムの資金調達パートナーとして参画する予定だ。</p>
<p>　2兆円を超える金額に目が行きがちだが、この発表でまず押さえておきたいのは場所の選び方である。なぜ発電所の隣なのか。理由をたどると、日本のDC整備が抱える「電気はあっても届かない」という問題に行き着く。</p>
<p>●目次</p>
<ul>
	<li><a href="#first">足りないのは発電所ではなく「送る線」</a></li>
	<li><a href="#second">発電所の隣に置くという選択</a></li>
	<li><a href="#third">火力発電所の価値をどう見直すか</a></li>
	<li><a href="#fourth">ハワイ案件との位置関係</a></li>
	<li><a href="#fifth">一体型モデルの死角</a></li>
</ul>
<h2 id="first">足りないのは発電所ではなく「送る線」</h2>
<p>　DC業界で「電力が確保できない」と言うとき、その多くは発電量の不足ではなく、送電線や変電所の容量不足を指している。大規模DCは特別高圧で受電するため、近くの変電所に余裕がなければ、変電所の新設や送電線の張り替えといった上位系統の工事が必要になる。</p>
<p>　国内最大のDC集積地である千葉県印西・白井エリアでは、資源エネルギー庁が2025年の審議会に示した資料によると、連系待ちの大規模需要が約40件、申込容量の合計は約250万kWに達していた。今後必要な系統工事の総額は2000億円を超える見込みだという。</p>
<p>　東京電力パワーグリッドは2024年6月、印西市に24年ぶりとなる超高圧変電所を新設した。通常より約2倍の速さで進めた工事だったが、それでも需要には追いつかず、同社が新たに確保した別の変電所用地の稼働見込みは2033年とされる。用地取得から完成まで10年前後を要する変電所は珍しくない。「2〜3年で稼働させたい」というDC事業者の時間軸とは、そもそも噛み合わないのだ。</p>
<p>　JERAも会見で、大規模AIインフラ開発の課題の筆頭に「大電力系統への接続や新たな電源の確保に長い時間を要すること」を挙げた。需要側の伸びは速い。電力広域的運営推進機関（OCCTO）の想定では、34年度の全国最大需要電力は24年度比4.4%増の約1億6459万kW。人口が減るなかで需要が増加に転じる主因は、DCと半導体工場の新増設である。</p>
<h2 id="second">発電所の隣に置くという選択</h2>
<p>　JERAの答えは、DCを発電所の隣接地に建て、電力を直接供給する構成だ。報道によれば、JERAが用地を提供し、15〜25年にわたって電力を供給する。レルムが建設から運営、資金調達までを担い、デルはラック単位で短期間に導入できるAIサーバー群を供給する。レルムのブラッド・ルイスCEOは、系統接続を前提とした通常のスケジュールより何年も早く40万kW級の施設を立ち上げられると述べている。</p>
<p>　発電所の敷地には、DCが必要とするものが最初から揃っている。千葉火力は敷地約76万平方メートル。LNGを燃料とする発電機11基、最大出力は合計438万kWに及ぶ。高圧の送変電設備があり、臨海部で冷却に使える水へのアクセスもある。40万kWは発電所出力の1割弱にあたる計算だ。</p>
<p>　一般論として、発電所の構内や自営線で直接受電すれば、一般送配電網を使う際の託送料金や送電ロスを抑えられる。ただし、今回の契約形態や料金体系の詳細は公表されていない。どの程度のコスト優位が生まれるかは、現時点では判断できない。</p>
<p>「いまDCの立地で最も重視されるのは、土地代でも通信環境でもなく『いつ電気が来るか』です。首都圏で40万kWを2〜3年で受電できる場所は、ほとんど見当たりません。その意味で発電所の隣接地は理にかなっています。一方、利用者が気にするのは単一拠点の冗長性です。系統側のバックアップをどう確保するかは、契約上の焦点になるでしょう」（エネルギー政策研究家・佐伯俊也氏）</p>
<h2 id="third">火力発電所の価値をどう見直すか</h2>
<p>　千葉火力は2000年に運転を始めた1・2号系列と、14年に全面稼働した3号系列からなる高効率のLNG火力で、いわゆる老朽石炭火力とは事情が異なる。それでも、再生可能エネルギーの拡大によって火力の稼働率は下がる傾向にあり、設備を維持する固定費をどう回収するかは電力各社に共通の課題だ。JERA自身も、非効率な石炭火力を30年度までに停廃止する方針を掲げている。</p>
<p>　他方、OCCTOは26年度供給計画の取りまとめで、既設火力を休廃止せずに供給力として維持する方策に言及した。天候に左右されない火力の供給力・調整力を見直す議論は、すでに始まっている。</p>
<p>　こうした文脈で見ると、DCとの長期契約は、発電所にとって長く安定した需要先を得ることを意味する。卸市場で電気を売るだけでなく、土地と電力とインフラを組み合わせて長期で提供する。収益モデルの幅を広げる試みと読むこともできる。</p>
<p>　JERAとレルムは今後、国内26カ所の火力発電所から候補地を絞り込み、30年代に合計数百万kW規模を目指す。政府も25年3月に総務省と経済産業省が「ワット・ビット連携官民懇談会」を設置し、既存の電力インフラを活用できる場所へのDC立地を、足元の需要への対応策として位置づけてきた。今回の構想は、その方向性と重なる。</p>
<p>「火力発電所は稼働率が下がっても、維持の固定費はかかり続けます。隣に長期で電力を引き取る需要家がいれば、収益の見通しは格段に立てやすくなる。ただ、LNG火力と長期で結びつくことをDC利用者がどう評価するかは分かれるところです。脱炭素燃料への移行計画をどこまで具体化できるかが、他の発電所へ広げる際の条件になるはずです」（同）</p>
<h2 id="fourth">ハワイ案件との位置関係</h2>
<p>　JERAの海外展開では、米ハワイ州オアフ島の案件も動いている。ただし既存発電所の買収ではなく、新設の計画だ。米子会社JERAアメリカズは、オアフ島西部カラエロア沖の洋上LNG受け入れ設備と、50万kW級のガス火力発電所を組み合わせた約20億ドル（約3000億円）規模の構想を州に提案。26年7月には州公益事業委員会（PUC）に対し、新たな規制対象の発電会社「GenCo」設立に向けた意向通知を提出した。正式な申請は27年1〜3月期を予定している。</p>
<p>　オアフ島では発電の約7割を石油火力が占め、州知事は電気料金の引き下げにつながるとして構想を支持する。一方で、地元電力会社のハワイアン・エレクトリックや環境団体からは懸念の声も上がっており、実現するかどうかはPUCの審査次第だ。</p>
<p>　千葉とハワイは、事業として直接つながっているわけではない。共通しているのは、年約3500万トンを扱うLNGの調達・トレーディング力を起点に、発電設備と長期の電力供給をセットで提案する手法である。JERAは今回の協業を「Molecule to Token（燃料の分子から、AIが生み出すトークンまで）」と表現した。燃料から需要家までを一体で設計する発想は、両案件に通じている。</p>
<h2 id="fifth">一体型モデルの死角</h2>
<p>　課題も整理しておきたい。</p>
<p>　まず、集中リスクだ。発電所とDCが同じ場所にあれば、大規模地震や津波、高潮で両方が同時に止まりうる。千葉市の臨海部は東京湾に面しており、19年の台風15号では千葉県内で大規模な停電が長期化した。系統との接続を非常用としてどう確保し、どこまで冗長性を持たせるかは、利用者の信頼性評価を左右する。</p>
<p>　次に、脱炭素との時間軸のずれである。LNG火力の電力でDCを長期間動かす契約は、カーボンフリー電力を掲げる大手IT企業の目標と緊張関係を生む可能性がある。JERAは水素・アンモニアの活用に向けたロードマップを持つが、ガス火力での本格実用化の時期やコストはまだ見通せていない。</p>
<p>　そして、今回はあくまで覚書の段階だという点だ。最終的な投資判断はこれからであり、GPUの世代交代の速さを考えれば、28年の稼働時点で求められる計算基盤の姿が変わっている可能性もある。</p>
<p>　送電網の増強は必要で、国も送配電会社も前倒しを急いでいる。ただ、完成までの10年近くを待てないなら、電気がある場所にDCを持っていくほかない。JERAの構想は、ある意味で当たり前に近いこの発想を、2兆円規模で具体化したものだ。</p>
<p>　千葉での立ち上げが計画どおりに進むのか。そして他の発電所へ広がっていくのか。その進み具合は、日本のAIインフラ整備の速度を測る一つの物差しになる。評価を下せるのは、28年の稼働開始以降だろう。</p>
<p>（文＝BUSINESS JOURNAL編集部、協力＝佐伯俊也／エネルギー政策研究家）</p>
<p>【主な参照データ・出典】<br />
<a href="https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/2145005.html" target="_blank" rel="noopener">クラウドWatch：JERA・Dell・RHAELMの3社、発電所直結AIデータセンター整備で覚書を締結</a><br />
<a href="https://www.sakigake.jp/news/article/20261001CO0158/" target="_blank" rel="noopener">共同通信（秋田魁新報）：千葉に国内最大級データセンター</a><br />
<a href="https://thenextweb.com/news/japan-140bn-ai-data-centre-dell-jera" target="_blank" rel="noopener">The Next Web：Japan AI data centre push with Dell and JERA</a><br />
<a href="https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/jisedai_kiban/system_design_wg/pdf/005_05_00.pdf" target="_blank" rel="noopener">資源エネルギー庁：電力ネットワークの次世代化について（2025年10月）</a><br />
<a href="https://www.occto.or.jp/assets/hyougiinkai/002734/2025_4_besshi_1.pdf" target="_blank" rel="noopener">OCCTO：2026年度供給計画の取りまとめ</a><br />
<a href="https://www.tepco.co.jp/cc/press/betu14_j/images/140616j0101.pdf" target="_blank" rel="noopener">東京電力：千葉火力発電所の概要</a><br />
<a href="https://www.soumu.go.jp/main_content/001009752.pdf" target="_blank" rel="noopener">総務省・経産省：ワット・ビット連携官民懇談会WG資料</a><br />
<a href="https://www.hawaiinewsnow.com/2026/07/18/japanese-energy-company-files-intent-build-2b-lng-power-plant-oahu/" target="_blank" rel="noopener">Hawaii News Now：JERA files intent to build $2B LNG power plant on Oahu</a><br />
<a href="https://www.hawaiipublicradio.org/local-news/2026-07-20/jera-wants-to-form-its-own-utility-in-hawaii" target="_blank" rel="noopener">Hawaii Public Radio：JERA wants to form its own utility in Hawaiʻi</a><br />
<a href="https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/0000354707/000035470726000054/he-20260630.htm" target="_blank" rel="noopener">Hawaiian Electric Industries 10-Q（SEC）</a><br />
</p>]]></content:encoded>
		<pubDate>2026-10-12T19:38:21+09:00</pubDate>
		<category><![CDATA[経済]]></category>
		<media:description type="plain"><![CDATA[画像はイメージ]]></media:description></media:content>
	</item>
	</channel>
</rss>