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高橋潤一郎「電機業界の深層から学ぶビジネス戦略」

あの一流企業だった東芝が、信じられない醜態晒し続け…相変わらず「歪んだ愛社精神」

文=高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役
あの一流企業だった東芝が、信じられない醜態晒し続け…相変わらず「歪んだ愛社精神」の画像1東芝取締役の平田政善氏(つのだよしお/アフロ)

 多くのメディアが東芝については論じており、もはや語り尽くされている感もあるが、個人的に自分はかつて東芝について『東芝』(出版文化社新書)という書籍を上梓したこともあり、やはり一度論じておきたい。

 結論から先に言えば、「東芝は何も変わっていないのではないか」というのが素朴な感想である。

 かつて同書を書くにあたり、東芝側から何回か話を聞く機会があったが、社員から強い東芝愛を感じる半面、不都合な真実には触れたがらないという風土を感じた。そのやや偏狭な愛社精神や保守的な風土は今も根強く残っているのではないか、と改めて思う。

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 2017年2月14日のことを、改めて振り返ろう。15年の不正会計に対する不信感もまだ消えていないなか、東芝のドタバタ劇がまた起きた。

 東芝は16年の末、世間も年末年始モードに入ろうという12月27日になって米原子力子会社ウェスチングハウス(WH)にからむ損失が数千億円規模になる可能性があると、突如発表した。そして損失の詳細は17年2月14日の決算発表時(17年3月期第3四半期)に明らかにするとして、さらに念を押すかのごとく、その直前の2月9日には改めて「四半期業績は2月14日の12時に発表する」と言明していた。

 こうして迎えた2月14日だったが、決算は約束の14日の12時になっても発表されず、東芝側は「予定の時間だが発表できていない」とコメントした後、今度は一転して「業績発表は1カ月延期する」と表明、さらに17時過ぎになって、さすがにメディアに叩かれると怖れたのか、なんと監査法人の承認を受けていない「会社側の見通し」というかたちで業績見通しを発表したのだった。

 こうした二転三転の原因となったのは、WH経営陣による子会社内部への「不適切なプレッシャー」があったという「内部告発」だった。東芝内部で「不都合な真実」をどうするか、さまざまな思惑が錯綜したことは容易に想像できる。愛社精神と保守的な風土が関係者のなかで交錯したのだろう。内部告発がどの段階であったのかは不明だが、2月9日に「決算発表は14日予定通り行う」とわざわざコメントしたのはなんだったのだろうか。

 結果は周知の通りである。12月末時点での債務超過が明らかになったわけだが、そのこと自体は織り込み済みだった。むしろすんなりとそれが開示できなかったところに、闇の深さがある。

 また素朴な疑問として、監査法人の承認がない数字はどこまで正しいのか、という疑問もある。

 さらに言えば、内部告発された「不適切なプレッシャー」とはなんなのか。そのようなプレッシャーが本当にあったのなら、それは15年の反省はまったく生かされていないということになる。

 以上が、「東芝は何も変わっていないのではないか」と改めて思う所以である。

高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役

高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役

業界紙記者を経て2004年に電機業界の情報配信会社、クリアリーフ総研を創業。
雑誌などへの連載も。著書に『エレクトロニクス業界の動向とカラクリがよ~く
わかる本』(秀和システム)、『東芝』(出版文化社、共著)ほか
クリアリーフ総研

Twitter:@clearleafsoken

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