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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

セブン「24時間営業強要」問題で露呈、加盟店にコスト負担押し付け巨額利益得るコンビニ業界

文=大﨑孝徳/デ・ラ・サール大学Professorial lecturer
セブン「24時間営業強要」問題で露呈、加盟店にコスト負担押し付け巨額利益得るコンビニ業界の画像1セブン-イレブンの店舗(撮影=編集部)

 小学生の頃、寝る前に翌日の授業のために持っていかなければならないもの(たとえば、木工用ボンドなど)を確認し、買い忘れていたことに気づいても後の祭りであった。どうすることもできず、先生に叱られるのを待つしかなかった。なぜなら、当時の文房具店の営業時間はおおむね10時から18時程度だったからである。

 しかし、こうした事態は突然、終わりを告げる。家の近くに食料品や日用品を扱う青い看板の店ができ、早朝から深夜まで営業してくれた。本当に小学生時代の窮地を幾度も救ってくれた記憶が今も残っている。この店は、ローソンの日本1号店である。

 時は流れ、現代の日本においてコンビニエンスストアは急激に成長し、郵便局の数に迫る勢いとなっている。豊富な食べ物、温かいコーヒー、公共料金の支払い、さらにはトイレの使用など、実に多くの人がコンビニの恩恵にあずかっている。セブン-イレブンの名の由来は、朝7時から夜11時までの営業時間によるが、今やどのコンビニも24時間営業が当たり前となっている。

24時間営業に関する問題

 東大阪市にあるセブンのフランチャイズ加盟店が人手不足を理由として営業時間を短縮したことに対して、セブン本部が契約違反だとして契約解除と違約金の計1700万円を求めたというニュースが大きな話題となっている。

 この加盟店の場合、店の手伝いをしていたオーナーの奥さんが昨年亡くなり、オーナー自身は16時間超えの勤務を続けるといった状況に陥り、本部に救援を要請したがそれが叶わず、やむなく19時間営業(午前1時~6時の間は閉店)に変更したという事情に、多くの人が心を動かされたことだろう。筆者もそのひとりである。

 しかしながら、形式的に捉えるならば、加盟店が本部との間で交わしたフランチャイズ契約に違反した、つまり本部が正しいということもできる。とはいえ、今後のコンビニ、フランチャイズ契約、さらにはより根源的な企業や社会のあり方を考えれば、大いに議論の余地がある問題といえる。

 本部は、なぜ24時間営業にこだわるのか。

 ひとつには、「利益の追求」がある。繁華街に立地するといった特殊なケースを除けば、通常、多くの店舗において、深夜や早朝の営業は売上が大きく落ち込み、人件費や光熱費を考慮すれば赤字となっている場合も少なくはない。しかし、これはあくまでも加盟店の問題であって、本部はなんら気にする必要がない。なぜなら、コンビニ各社により多少の違いはあるものの、基本的に加盟店が本部に支払うロイヤリティは「売上総利益(粗利益):売上-原価(仕入れ)」によって決まる。よって、本部は人件費や光熱費などは一切気にする必要はなく、ひとつでも多くの商品が売れることのみを追求する。その結果、必然的に24時間営業を強く志向するようになる。

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

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