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東証1部、上場基準見直しで3分の1が“2軍”降格&株価急落の危機

文=編集部
東証1部、上場基準見直しで3分の1が“2軍”降格&株価急落の危機の画像1「Getty Images」より

 東京証券取引所で、上場市場の区分の見直しの議論が大詰めを迎えている。3月下旬に開く予定の金融審議会(金融相の諮問機関)で、東証の見直し案を説明する。

 1部上場企業には、四半期決算での英文開示を義務づける。現在、英文で情報開示している企業は、東証1部で35%程度にすぎない。焦点は東証1部の再編、新興市場の集約、上場廃止の基準引き上げの3点に絞られた。

 約30年間に2133社まで膨らんだ1部上場企業の絞り込みが最大の注目点だ。もっとも有力なのは、時価総額(株価と発行済み株式数を掛け合わせた金額)による線引きである。1部昇格の基準を、これまでの時価総額40億円から250億円に引き上げる案や、また東証1部より上位の“プレミアム市場”を創設する案が出ている。

 2月末(2月28日の終値)の時価総額で見ると、時価総額が最大なのはトヨタ自動車の21兆8522億円。最小は家庭用LPガス容器最大手、中国工業の19億円である。

 時価総額250億円未満は約720社で東証1部全体の、およそ33%を占める。

 もともと東証1部は限られた大企業を集めており、バブル期でも1000社程度だった。それが、2000年以降に1部へ昇格するハードルを一気に下げたため、急激に上場社数が増えた。現行の1部上場を維持できる時価総額の基準は20億円なので、仮に250億円に引き上げられた場合、12.5倍となる。

 一方、新興・中堅市場は現在の3市場体制(東証2部、マザーズ、ジャスダック市場)から2市場にする。マザーズとジャスダックの一部分を一緒にして「新興」市場、東証2部とジャスダックの大半を統合して「中堅」市場とする。

500億円で線引きの案もあった

 もし、時価総額500億円で線引きすると2月末時点で1100社が脱落する可能性があった。東証1部上場企業の52%がアウトということになる。

 特に、地方銀行は時価総額が500億円近辺に集まっている。

 琉球銀行は530億円で合格ラインを超えているが、400億円台後半にずらりと並ぶ。東京都民銀行、八千代銀行、新銀行東京が経営統合して2018年5月に誕生した東京きらぼしフィナンシャルグループ(498億円)をはじめとして、宮崎銀行(482億円)、中京銀行(480億円)、山梨中央銀行(480億円)、十八銀行(461億円)とダンゴ状態だ。

 400億円台前半になると、四国銀行(444億円)、愛媛銀行(443億円)、そして三重銀行と第三銀行が経営統合して18年4月に誕生した三十三フィナンシャルグループ(418億円)と続く。

 地銀は地方経済の金融インフラとしてなくてはならない存在だが、過疎化が進み、今後の成長力は乏しい。銀行は、今や衰退産業だ。「成長性を重視する東証1部に、無理して残らなくていいのではないか」といったシビアな意見もあったが、250億円で線引きするのであれば、多くの地銀はセーフとなる。

 銀行が東証1部企業でなくなると、東証1部企業がない県が複数出てくるため、地方経済の衰退に拍車がかかることを懸念する向きがあったのも確かだ。そのため、「これでは厳しすぎる」といった声が多くあがり、半分に“値切る”ことになった。

BusinessJournal編集部

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