楽天の携帯電話参入は、勝算がまったく見当たらない…既存3社並み通信はほぼ不可能

楽天本社ビル「楽天クリムゾンハウス」(「Wikipedia」より/掬茶)

 昨年12月、楽天が携帯電話事業への新規参入を表明した。

 もともと楽天はMVNO(仮想移動体通信事業者)である「楽天モバイル」を運営しており、NTTドコモから回線を借りてサービスを提供していたが、今回は自前の回線を構築しようとしているのだ。これに成功すればNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクという大手3社に続く“第4のキャリア”となるわけで、世間の関心は高い。

 楽天は総務省が今年1月から2月にかけて募集していた携帯電話システム用周波数の追加割り当てに申し込み、4月6日に開かれた電波監理審議会にて1.7GHz帯の免許を獲得。2019年10月のサービス開始を目指し、いよいよ本格的に動き出すこととなった。

 総務省発表の資料によれば、楽天は今回のサービスを「現在のMVNO(=楽天モバイル)で提供中の料金プランで提供予定」とのこと。楽天モバイルは、いわゆる“格安スマホ”として支持されており、プラン次第では月額1980円(税抜、楽天会員の1年目料金)から使用可能だ。この料金がそのまま適用されるとなれば、大手3社を巻き込んだ価格競争に発展する可能性もある。

 携帯電話料金の引き下げを望むユーザーたちにとっては歓迎すべき流れが生まれそうだが、果たして楽天の挑戦は成功するのだろうか。ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温氏に話を聞いた。

“楽天経済圏”をもってしても携帯電話事業は前途多難

「楽天モバイルは現在、NTTドコモのネットワークを借りているため、他の格安スマホと差別化を図るのが難しい部分がありました。しかし、今回の新規参入によって独自のネットワークを整備すれば、今まで以上に多様な料金プランを用意できるようになるのです。

 また、楽天はネット通販の会員や、『楽天カード』のユーザーを大量に抱えています。ユーザーが楽天で買い物をし、楽天カードで支払うことで楽天ポイントを貯め、再び買い物をするという“楽天経済圏”が成り立っていますから、そこに携帯電話を組み合わせ、経済圏をさらに拡大しようというのが今回の狙いなのでしょう。楽天の携帯電話を使えばポイントが貯まり、そのポイントで料金を支払えるというのは、ユーザーにとって魅力的なはずです。

 とはいえ、そのようなメリットはすでに楽天モバイルで提供されていますので、新たに携帯電話事業を始めたからといって、ユーザーが加速度的に増えるのかどうかは怪しいところです」(石川氏)

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