丸山穂高議員“戦争で北方領土奪還”発言は「間違っていない」(防衛省関係者)

丸山穂高衆議院議員(写真:読売新聞/アフロ)

 北方領土のビザなし交流において、元島民の男性に対し「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」などと問い詰めた丸山穂高衆議院議員。「あまりに幼稚すぎる」などと非難が殺到しているが、ある防衛省関係者は次のように持論を述べる。

「丸山議員の発言は、ある意味で間違ってはいません。そもそも北方領土は戦争で奪われたものですし、領土は戦争で奪い合ってきた歴史がありますからね」

 そう、丸山議員が間違っていたのは根本的な言葉の使い方だ。なぜなら、現代の戦争には“切り札”が不可欠だからである。

「そもそも、膨大な国益を生み出す領土がそう簡単に返還されるわけがありません。外交交渉とは、国家間の“力関係”で決まります。北方領土がそうであるように、領土とは軍事力で奪うもの。わかりやすく言えば、『ケンカをしたらどちらが勝つか』という話です」(前出の防衛省関係者)

 防衛省関係者が語る通り、戦争とは「力のあるほうが勝つ」と決まっている。近代の軍事常識で言えば、「核保有国は負けることがない。相手が非保有国なら勝てるし、相手が保有国でも引き分けに持ち込める」のである。

 戦争の是非はともかく、現実問題として、核保有国のロシアに対して核を持たない日本が勝てるわけがないのだ。

「核をもつか否か、その是非は置いておくとして、国際常識として考えた場合、戦争をする前に核武装をするべきです。それで初めて、相手が交渉のテーブルについてくれますからね」(同)

 核保有国対非保有国では力の差がありすぎるわけで、現状は北方領土問題に関して日本はロシアに「掌で踊らされている」わけである。「それなら日本も核武装すべきだ」との見方も浮上するが、実際は非現実的だ。

「ひとつは日本国内の核アレルギーです。いうまでもなく、世界唯一の被爆国ですからね。もうひとつ、アメリカが絶対に許しません。なぜなら、アメリカは日本に駐留することで中国やロシアに睨みをきかせ、同時に日本を属国としています。日本のあちこちに米軍基地を置いているのも、子分のように飼いならしているからです。

 加えて、アメリカは“報復”を恐れています。『日本に核を持たせたら、やり返される』などと思っている権力者も少なくないのです。ただ、日本が核武装をするにはアメリカの庇護から抜け出す必要がありますが、それができる政治家など、今の日本に存在しません」(同)

 つまり、日本が真の“独立”を果たして初めて北方領土交渉が「五分と五分」になるわけだが、丸山議員はそのことがわかっていたのだろうか。戦争などもってのほかだが、仮に領土を奪い返そうとする場合、日本は真の独立=核武装が不可欠というのが国際常識である。それは、とても非現実的だが……。
(文=後藤豊/ジャーナリスト)

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