スーツ業界、業績壊滅的…ユニクロは「1万円以下」軽量スーツ投入、着る習慣が減退

洋服の青山」の店舗(「Wikipedia」より)

 紳士服大手4社の2018年度の決算が出そろった。いずれも減収減益で、うち2社は最終赤字だ。

 スーツ市場の縮小で苦境が鮮明となっている。各社とも対策を講じているが、市場縮小の波に飲み込まれ、有効打が打てないでいる。

 最大手の青山商事の19年3月期連結決算は、売上高が前期比1.8%減の2503億円、本業のもうけを示す営業利益は29.0%減の146億円。最終的なもうけを示す純利益は50.1%減の57億円だった。

 純利益は半減したわけだが、これは近年まれに見る低い水準だ。18年3月期までは6期連続で100億円を超えていたので、ここにきて急激に悪化したことがわかる。

 折からのスーツ離れに加えて暖冬が影響し、スーツの販売が大きく落ち込んだ。主力のメンズスーツは販売数と販売単価がともに減少。販売数は前期から約4%少ない204.8万着、単価は約110円低下し2万7187円となった。また、暖冬でコートがふるわなかったことも響いた。

 労働の担い手となる生産年齢人口の減少や、オフィスにおける制服のカジュアル化などでスーツの需要は減っている。総務省の家計調査によると、18年の1世帯あたりのスーツへの支出額は4976円。前年からは増加し近年は横ばい圏で推移しているものの、8782円だった00年からは4割強も減っている。

 競争環境も厳しくなっている。同業との競争激化のほか、カジュアル衣料品チェーンや衣料品通販サイトなど、異業種のスーツ市場への参入・販売強化が進み、新旧の勢力が入り乱れた戦いは激しさを増している。

 ユニクロは東レと組んで開発した軽量で伸縮性の高い「感動パンツ」「感動ジャケット」を低価格で販売。上下セットでも1万円に満たないという価格競争力で市場に食い込んでいる。また、色柄やシルエットなどをセミオーダー感覚で選べるジャケットとセットアップできるパンツが、セットで現在2万円に満たない。同様に、イオンやイトーヨーカ堂も、プライベートブランド(PB)商品のスーツを低価格で販売している。

 インターネットショップでは、衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するZOZOが昨年7月にオーダースーツ市場に参入し、話題となった。FABRIC TOKYOは14年に立ち上げた衣料品通販サイトでオーダースーツを販売する。現在は実店舗を構えて店舗で採寸し、サイト上でスーツの注文を受け付けている。

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