南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

過度な減塩は危険&体に害!「塩は高血圧の原因」はウソ?精製塩はダメ、良い塩とは?

「Thinkstock」より

 最近は、「猫も杓子も……」と言いたくなるほど、減塩に気を使っている人が多くなりました。減塩すること自体は、ある意味では間違いではないのですが、正しいとも言い切れません。というのは、基本的に塩は私たちが健康に生きていくためになくてはならないものだからです。過度な減塩は決して健康に良くはありません。要は、摂る塩の質が問題なのです。そして良質な塩を適度に摂ることで、健康な状態が創られ維持されるのです。

 昔から「うまいまずいも塩加減」と言われ、おいしい料理をつくるためには塩が重要な役割を果たしてきました。夏の暑い盛り、スイカに塩を振りかけて食べるおいしさは、何ものにも代えがたく、生き返ったような心地がします。では、その時に振りかける塩はなんでもいいのかというと、そうではありません。塩は単なる調味料にとどまらず、一つの食品として私たちの健康に深く関わっているのです。

 ローマ時代には、兵士への給料が塩(salt)で支払われたといわれており、それがサラリー(salary)の語源になったのです。ローマ時代の人たちにとって、塩がいかに大事なものであったかがわかる逸話です。彼らは今でいうところの緑黄野菜に塩を振り、にがみを消して食べるという料理法を考え出しました。これがサラダ(salad=塩を振るという意味)の始まりです。偉大なる発明といえます。その頃の野菜は、今のように品種改良されておらず、かなり野生に近いものだったと考えられ、塩を振ることでアクを取り除いていたのでしょう。

 一方、日本人はローマの人たちよりさらに優れた食べ方を考え出し、実践していました。それが「塩漬け」や「浅漬け」と呼んでいるものです。塩を振った野菜を漬け込み、保存して乳酸発酵を起こさせることで雑菌を排除して腐敗を防ぎ、なおかつその乳酸菌の働きで腸の状態を整えることも同時に行っていたわけです。これはサラダにも勝る発明品だといえます。

 筆者は、料理は基本的に薄味に仕上げて、各人がテーブルに置いてある塩を好みに応じて使い、味を調整するのが望ましいと主張しています。なぜならば、塩の必要量は人によって異なり、また同じ人でも体調や季節によって、また直前の食事の内容によっても変わってくるものだからです。

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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