燦ホールディングス株式会社は、グループ会社の株式会社公益社を通じて、新商品「メッセージ棺 ことのは」の提供を開始した。これは、棺のフタ裏に専用ポケットを備え、遺族が故人に宛てた手紙や写真、思い出の品を納められるほか、棺表面に直接メッセージやイラストを書き込める葬送用の棺である。

開発のきっかけは「故人の視点」
従来の葬儀では、故人の近くに思い出の品や写真を置くことが一般的だった。しかし、それらは遺族からは見える一方、故人からは視界に入らない可能性がある。この視点に立ち、「故人が直接目にできる場所に想いを届けたい」という発想から「メッセージ棺 ことのは」の開発は始まった。また、「他人の目には触れずに、故人だけに見てもらいたい」というニーズにも応えるため、棺のフタ裏側にポケットを設け、外からは見えない構造になっている。
さらに、家族葬や小規模葬の増加に伴い、「自分たちらしい葬儀」を求める遺族が増加している。棺に直接メッセージを書き込むことは、故人らしさや家族の想いを表現する方法として支持されると見込まれた。デザインは、たとえ書き込みをしなくても自然に見える白地の織柄入りとし、購入後に気が変わった場合でも違和感なく使用できるよう配慮されている。
特徴とこだわり
最大の特徴は、フタ裏ポケットの設計だ。手紙や写真、はがき、CDジャケットなどを収められるサイズにし、遺品や趣味に関する品も入れられる。さらに、メッセージ記入用のカラーカードと布描き用クレヨンを付属。油性・水性ペンを試用したうえで、滲みが少なく子どもでも安全に使用できるものとして最終的にクレヨンを選定した。
実際の利用では、特に孫やひ孫のいる家庭で好評を得ており、自由にイラストや言葉を描ける点が喜ばれている。アニメキャラクターを描くケースや、家族全員で寄せ書きする事例もある。価格はプラン料金に加えて約2万円と比較的手頃で、導入しやすい点も普及の追い風となっている。
家族葬時代の新しい葬送文化
公益社によると、近年は形式に縛られない温かい葬送を求める傾向が強まっており、「メッセージ棺 ことのは」はそうした変化を象徴する商品だという。遺族が自ら手を動かし、最後の時間に想いを込めることは、喪失の悲しみを和らげ、別れの時間をより豊かなものにする。
また、外から見えない収納ポケットは、遺族と故人だけのプライベートなやり取りを守る機能を持ち、従来の棺にはない価値を提供する。燦ホールディングスでは、今後さらにデザインの多様化を検討し、淡色やワンポイント柄入りなど、より多様な好みに応えられるラインナップ拡充を進める予定だ。







