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山田修「展望!ビジネス戦略」(11月30日)

社長が選ぶベスト社長に永守氏、何がすごいのか?ゼロから1兆円企業に、驚愕の経営手法

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『日本電産 永守重信、世界一への方程式』(田村賢司/日経BP社)
「日経ビジネス」(日経BP社/11月17日号)が「社長が選ぶベスト社長」の調査結果を発表した。1位に輝いたのが、永守重信日本電産会長兼社長だ。有効投票数は東証1部上場社長の65票、それ以外の企業社長の48票でいささかサンプル数が少ないきらいがあるが、永守社長が1位という結果に筆者も異論はない。

 永守氏は同社創業者であり、ゼロから始めた日本電産グループを年間売上高約1兆円の規模にまで育て上げた。主力事業は産業用モーターという地味な部品製造だが、同社の急成長で特に意義が大きいのは、従来型産業であるという点である。モノづくりを行う製造業であり、自社の技術、製造力、そして販売力の総力戦で戦っている。ITやeコマース、金融でなく、仕入れも在庫も物流も存在する伝統的産業のルールの中で規模を拡大してきた。

 この急成長を牽引したのが、永守氏が得意とするM&A戦略だ。

 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』(山田修/ぱる出版)
 1973年の創業以来、50社ほどを買収してきた。これは1年に1社以上という考えられないペースであり、それを40年も続けてきたというのは驚愕に値する。投票したのが現役社長だからこそ、永守氏の手腕のすごさに打たれ、恐ろしいまでの集中と成長への執念に対して、ベスト社長として1票をためらわずに投じたのであろう。

●永守氏の経営手法


 今回のランキング結果を掲載した同誌は、付帯して永守氏と柳井正ファーストリテイリング社長の対談を掲載している。筆者は対談収録時に会場で聴講したが(詳細は筆者ブログ参照)、柳井氏はテレビなどでたびたび目にする機会があるので既視感があった。一方、永守氏は筆者が「動く同氏」を見るのが初めてだったこともあり、特に強い印象を受けた。あの柳井氏に比しても永守氏の「大物感」は強く、オーラと存在感が会場に広がっていた。

 永守氏はよく「M&Aの神様」のように呼ばれるが、対談では「買うまでが20%で、買った後にかける力が80%」と語った。さらに、「高い買い物はしない、この半年で8件も買収を断念した」とも明かした。

 永守氏の経営技法については、『日本電産 永守重信、世界一への方程式』(田村賢司/日経BP社)がとても明快に紹介しているので、興味のある方はご一読いただきたい。筆者が主宰する「経営者ブートキャンプ」でも、永守氏を今期のテーマ経営者にした。課題図書を選ぶために永守関連本を何冊も取り寄せ目を通したが、同書が豊富に資料などを収載しており、最も本質に迫っている。永守氏の経営手法について勉強することは、経営者のみならず一般のビジネスパーソンにとっても大きな糧になることは間違いなく、同書を手に取ってみることをお勧めしたい。
(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)

撮影=キタムラサキコ
●山田修(やまだ・おさむ)
経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第10期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長のロジカルマネジメント-私の方法』(講談社)ほか多数。 

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「山田修の戦略ブログ」
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