
戦略コンサルティングファームの現職者・元職者の半数以上が、自身の市場価値は今後「下がる」と見ている——。採用コンサルティングを手がける株式会社uloqo(東京都港区、代表取締役・関川懸介氏)が9月15日に公表した「生成AI時代のコンサルタントキャリア観の実態調査」で、こうした実態が明らかになった。調査対象はコンサルティングファームの現職者・元職者および転職検討者502名で、8月10日から25日にかけてインターネット調査を実施した。
最も目を引くのは、51.0%が今後の市場価値について「やや下がる」(35.3%)、「大きく下がる」(15.7%)と回答した点だ。長らく「高年収・高市場価値」の代名詞とされてきたコンサルタント職において、当事者自身が先行きに危機感を抱いている構図が浮かび上がる。市場価値が低下すると考える理由としては、「情報・分析力における優位性の喪失」(48.0%)が最多で、「リサーチ・資料作成のAI代替」(45.3%)、「クライアントの内製化」(43.0%)が続いた。これらはいずれも、コンサルタントの付加価値の中核とされてきた情報収集力・分析力・資料作成力そのものが、生成AIによって代替されつつあることを示唆している。
実際、コンサルティング業界では大手ファームを中心に生成AIツールの内製開発や外部AIサービスとの提携が急速に進んでおり、若手アナリストが担ってきたリサーチや資料のたたき台作成は既に自動化が進みつつあるとの指摘は業界内でも珍しくない。クライアント企業側の内製化(インハウス化)も、AIの民主化によって専門家に依存せずとも一定水準の分析が社内で完結できるようになったことが背景にあるとみられる。
もっとも、興味深いのは市場価値の低下予測と、生成AIそのものへの評価が必ずしも一致していない点だ。生成AIの活用を自らのキャリアにとって「プラス」と捉える回答は57.8%に上り、市場価値が下がると予測した層に限っても61.7%がキャリアへの好影響を認識していた。悲観一色ではなく、AIを前提とした働き方への適応が進んでいる様子がうかがえる。
一方で、コンサルタント職そのものへの志望意欲は明確に弱まっている。49.0%が「意向が弱まった」(「やや弱まった」36.3%、「弱まった」12.7%)と回答し、理由は「AIによる業務代替への不安」(39.8%)が最多、「報酬水準低下への懸念」と「求められる水準上昇への不安」がともに32.1%で並んだ。市場価値そのものよりも、AI時代に求められるハードルの上昇や、業務代替による報酬減への不安が、キャリア選択を左右し始めていると言える。
同社代表の関川氏は「AIそのものを悲観しているのではなく、AI時代にコンサルタントであり続ける意味を冷静に見直し始めている」と分析し、複雑な問題の構造化や意思決定支援といった上位レベルの業務はむしろ今後、要求水準が高まると指摘する。定型的な情報処理はAIに置き換わる一方、経営者の意思決定を支える高度な判断業務の重要性は増すという見立てだ。
ただし本調査は採用支援を事業とする一企業による自主調査であり、サンプル数502名という規模や設問設計にはPR的な意図も含まれうる点には留意が必要だろう。それでも、コンサルタント自身が「AIに代替される側」としての危機感を抱き始めているという事実は、人材の採用・育成戦略の見直しを迫られる業界にとって軽視できないシグナルだ。生成AIの実務浸透が今後さらに進めば、コンサルティングファームの人材要件や報酬体系、ひいては業界構造そのものの見直しが避けられなくなる可能性がある。

