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大西宏「コア・コンセプトのビジネス学」

テレビもDVDもツタヤも、「終わり」始めている 定額動画サービスの脅威

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TSUTAYAの店舗
 次々にやって来た「黒船」は、テレビの何を変えるか――。

 民放テレビ局5社は10月26日、テレビ番組を無料で見られるサービス「TVer(ティーバー)」をスタートさせました。インターネット上で各社が週に10番組程度の最新コンテンツを広告付きで配信するというものです。

 背景には、各社が試みた有料のオンデマンド・サービスがいまひとつの状況であることに加え、「dTV」や「HULU」など国内の定額動画ストリーミング・サービスがスタートし、6500万人のユーザーを抱える同分野世界最大の「Netflix(ネットフリックス)」、さらにネット通販世界最大のアマゾンがプライム会員に無料見放題という破格のサービスで上陸してきたことへの危機感があるのではないでしょうか。

 下手をすると、これらの定額ストリーミングにオンデマンド・サービスの主導権をとられ、番組を安く買い叩かれてしまいかねません。また、大化けする可能性をもったアップルの「Apple TV」の第4世代となる新モデルも発売されました。

イノベーションのジレンマ


 テレビ業界は3Dで無残に失敗し、4Kや8Kなど画質を向上させることで価値づくりと生き残りを図ろうとしていますが、それで新しい市場が広がってくるわけでも、またテレビから離れてしまった若い人たちが戻ってくるわけでもありません。4Kもあらゆる番組にその画質が求められるわけではなく、放送よりはストリーミングサービスなどで先行していく可能性が高いのです。興味深いのは、日中韓のテレビメーカーが3Dや4Kに関してまったく同じ路線の技術で競い合っていることです。赤信号もみんなで渡れば怖くないということでしょうか。

 テレビ局が若者のテレビ離れに手をこまねき、テレビメーカーは市場の飽和とコモディティ化になすすべがないままに、テレビ周辺のビジネスも停滞してきました。

 その大きな原因は、テレビと生活者のライフスタイルやメディア環境の多様化との間にギャップが生じてきたためです。決まった時間に限られた選択肢から選んで見なければならない、あるいはわざわざ事前に録画しておかなければならないシステムは、もう終わり始めています。インターネットやモバイルに若い世代が移っていくのも当然です。

 しかし、テレビ局はそういった変化に対応するイノベーションを起こすと、これまで参入障壁となり自らのビジネスを成り立たせていた「電波」という強みを、自ら破壊することになりかないジレンマを前に、小さな改革しかできなかったのです。その結果、長期的な総世帯視聴率(HUT)の低下、つまりテレビを見る世帯の減少が起こってきました。