筆者の知人であるアメリカ人トレーダーの年収は、日本円に換算すると5000万円ほどですが、トレーダーの中では平均的だといいます。裕福な生活の中にある彼ですが、カード決済が主なので普段は100ドル程度しか持ち歩いていないといいます。
日本では、財布診断がはやって以降、「お金持ちの財布は、長財布が基本」「収入の多い人ほど高級な財布を使っている」など、財布にまつわるトピックには事欠きません。
そこで今回は、海外のマネー事情に詳しいコンサルタントの千葉祐太氏に、アメリカ人の財布について聞いてみました。
千葉祐太氏(以下、千葉) アメリカではカード決済が主流なので、現金をほとんど持ち歩きません。また、使用している財布は二つ折りのものが一般的です。日本に比べて紙幣のサイズが小さいこともあるでしょうが、長財布を所有している人を見たことがありません。
–二つ折りが主流とは大変興味深いお話です。
千葉 カードを入れる部分が多く付いている、薄めの二つ折りが主流です。また日本では考えられませんが、コインはジャケットのポケットに無造作に放り込んでいるケースが少なくありません。
–紙幣のサイズが小さいということは、財布のサイズも小さく、ジャケットの胸ポケットにしまうことができるということでしょうか?
千葉 いいえ、アメリカではジャケットやスーツの胸ポケットに財布をしまうことはしません。職業の種別にかかわらず、パンツのポケットにしまう人が多いようです。
–財布の中身はお札とカードで、コインはポケットですか。
千葉 カードを使うことが多く、現金をあまり持ち歩きませんから、日本でブームになった、マネークリップなど知らない人がほとんどです。日本では、1円、5円、10円、50円、100円、500円と6種類の硬貨があります。一方、アメリカで発行されている硬貨は1セント、5セント、10セント、25セント、50セント、100セントの6種類ですが、50セントと100セントはほとんど出回っておらず、実質使用されるのは、4種類だけです。
–アメリカ人は少額の買い物でもカードを利用する場合が多いので、現金はあまり使いません。
千葉 名刺の入っていたプラスチックケースを財布代わりに使っている人もよく見かけます。名刺のケースは手頃な大きさで、名刺とお札と硬貨も収納できるので便利なわけです。また、アメリカでは名刺入れを持つ習慣がありませんし、日本のように名刺の取り扱いが丁寧ではありません。パーティなど多くの名刺を配る必要がある席では、名刺の束を輪ゴムで留めたり、クリップで挟んでいる人もいます。
以上を踏まえて、導き出されるアメリカの財布事情は、次のような傾向にあると考えられます。
(1)財布は薄い二つ折りが主流であり、パンツのポケットに入れている。
(2)カード決済が主流で、現金はあまり持ち歩かない。少額でもカードで支払うことが多い。
(3)コインケースは持たずに、コインをポケットに直接入れている。
(4)プラスチックの名刺ケースを、そのまま財布に使うこともある。
(5)マネークリップは使わない。
今回は、アメリカの財布事情についてまとめてみましたが、皆さんも海外渡航の際に各国の財布事情をチェックすると意外な発見があるかもしれません。
(文=尾藤克之/経営コンサルタント)