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成田空港・滑走路のど真ん中に民家?経緯を探る…現地に監視カメラや有刺鉄線

文=Business Journal編集部
成田空港・滑走路のど真ん中に民家?経緯を探る…現地に監視カメラや有刺鉄線の画像1
幹線道から見上げるペンション建物。かつては成田闘争の反対派の団結小屋だった

 成田国際空港(千葉県成田市)のど真ん中に民間の宿泊施設が建っていることを知る人は少ない。「木の根ペンション」といい、エプロンと呼ばれる飛行機の誘導路に囲まれ、飛行機が離発着する迫力のある光景を間近に見ることができる。木造2階の一軒家で敷地にはプールも併設され、年に数回イベントを開いている。数年前までは1泊1000円の激安価格で宿泊者を受け入れていたが、現在は基本的には宿泊営業はしていない。この非日常的な異空間の成り立ちを見ると、成田空港の開港をめぐって機動隊と活動家らが激しくぶつかった主に1960~70年代の成田闘争(三里塚闘争)の歴史がよみがえってくる。

成田空港・滑走路のど真ん中に民家?経緯を探る…現地に監視カメラや有刺鉄線の画像2
木の根ペンションの立て看板。背後には立ち入り禁止の警告板も

 芝山鉄道・芝山千代田駅で降車し、線路と空港の間を縫う道路を東成田駅に向かって歩く。空港側には有刺鉄線の鉄柵が連なり、監視カメラが一定間隔で並び、物々しい雰囲気を醸し出す。10分ほど歩を進めると、誘導路の下をくぐるトンネルに差しかかる。長さは100メートル近くあろうか。そこを抜ければ、右手にペンションの立て看板が目に入る。幹線道からそれて曲がりくねった一本道があり、高台のてっぺんに建物の一部が見える。これが木の根ペンションなのだろう。駅から20分近く。道の入り口には「この先私有地につき関係者以外立入禁止」の警告板が立ち、部外者の侵入を許さない。

 同ペンションとは目下、Facebookを通じてのみ連絡が取れる。それには「イベント時以外は関係者以外立ち入り禁止となっており、宿泊営業はしておりません」と記載されている。Facebookには随時、プールの塗装やイベントの告知をアップ。ミュージシャンを招き、駅から観客用の送迎バスを繰り出す大規模な音楽フェスを開いたり、2022年にはプール改修のためのクラウドファンディングで寄付金を募ったりしている。関係者によると、ペンションの敷地はいわゆる「一坪共有地」で全国800人以上の人が所有権を持っているという。

空港「今後も引き続き話し合いに努める」

 ペンションはもともと、成田闘争の建設反対派の団結小屋の一つだった。闘争の沈静化を図る成田新法が開港の年の1978年に制定されたことを受け、法の適用を避けようと、名称を団結小屋からペンションに変更した。施設名は立地の住所「成田市木の根」から取っている。89年に改修され、現在の姿になった。成田闘争は空港建設用地の買収と土地収用の繰り返しで、一坪共有地からは「ペンションの敷地を国に渡すまい」という反対派地主の強い意思が感じられる。成田闘争は武力衝突の時代は幕を閉じたが、開港から45年を迎えた今も根本的な終結には至っていない。

 空港を管理する成田国際空港会社の話では、ペンションが空港内にあっても飛行機の離発着に支障の出ない施設配置にしているので安全性には問題はないという。ペンション側に立ち退きを求めるかどうかについては「これまで話し合いによる解決を図ってきたところであり、今後も引き続き話し合いに努める」(広報)と述べている。

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