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全国の優秀な人材が集結?さくらインターネット、究極の働きやすい環境を追求

2025.03.23 2025.03.23 12:29 企業
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さくらインターネット提供

 国内を代表するデジタルインフラ企業である、さくらインターネット。2023年にはデジタル庁から国内勢初の「政府クラウド」提供事業者として条件付きで選定され、24年度に高度な知識を持つ技術者など最大200人を採用する計画を発表していたが、今、SNS上では
 
「さくらインターネットにオールスター集結という流れ」
「凄い人間が集まってるという認識」
「なんかみんなさくらインターネットに転職してる」
 
などと話題を呼んでいる。同社は優秀な人材をより多く採用するために、どのような工夫、取り組みをしているのか。また、同社といえばリモート前提の働き方を導入していることで知られているが、業務が支障なく回るために、どのような工夫をしているのか。同社の人材企画部部長の武村宙氏、人事総務部部長の川村貴宏氏に話を聞いた。

 さくらインターネットはインターネットや携帯電話が普及していなかった1996年、当時まだ舞鶴工業高等専門学校の学生だった田中邦裕社長が設立。当初はサーバーのレンタル事業を手掛け、ネットの普及と歩調を合わせるかたちで成長し、04年には大阪・堂島データセンターと東京・東新宿データセンターを開設し、主力サービスとなる「さくらのレンタルサーバ」の提供を開始。11年には北海道に石狩データセンターを開設し、パブリッククラウド「さくらのクラウド」の提供を開始。23年には生成AI向けクラウドサービス「高火力」の提供に向けてに3年間で130億円規模の投資を行うことを決定し、米エヌビディア製高性能GPU「NVIDIA H100 Tensor コア GPU」を搭載したサーバーを石狩データセンターに整備。大規模言語モデルなどの生成AIを中心とした利用を想定しており、24年1月に「高火力 PHY(ファイ)」の提供を開始した。

 従業員数はグループ連結で956名(24年12月末)、年間売上高は200億円を超え、東京証券取引所プライム市場に上場するれっきとした大企業だ。業績は堅調だ。24年3月期の売上高は218億円、営業利益は9億円、純利益は7億円となっている。

「さくらのクラウド」「高火力」の拡大に伴い採用強化

――採用活動を活発化している背景はなんでしょうか。

 事業拡大に向けた体制強化が主な理由です。2023年11月、デジタル庁による「ガバメントクラウド整備のためのクラウドサービス」の募集において、当社の「さくらのクラウド」が条件付きで認定を取得しました。これを受けて、2025年度中の技術要件達成に向けた開発体制の強化を進めています。さらに、2024年1月に開始した生成AI向けクラウドサービス「高火力」シリーズについて、高まるニーズに応えるべく、サービスの発展とシリーズの拡充を計画しています。

――SNSでは多くの転職報告を見かけますが、どのような動機で入社される方が多いのでしょうか。

 デジタルインフラを自国で構築していくことの意義と、それを自分たちの手で作り上げていく面白さに共感いただいて、入社につながるケースが多いです。クラウドの構築には、ソフトウェア開発はもちろん、物理インフラの整備、さらには北海道と東京を結ぶような大規模なネットワーク構築まで含まれます。これらすべてを自社で内製化しながら実現できる魅力は、業界内の著名な方々からも高く評価されています。ただ、入社の動機は複合的であり、働き方の多様性を重視している点も大きな要因です。

――働きやすい環境を実現するためにどのような工夫をしていますか。

 働きがいを追求できる制度である「さぶりこ」を導入しております。制度面では、育児や介護、プライベートなど、理由を問わず休暇を取得しやすい環境づくりに取り組んでいます。特徴的な制度が、連続有給手当です。2日以上連続して有給休暇を取得した場合、通常の有給手当に加えて1日あたり5,000円を支給します。この制度は、計画的な休暇取得と業務の冗長化を促進し、効率的な業務調整と引き継ぎを推奨するものです。また、副業・兼業も認めています。

 働き方の面でいえば、新型コロナウイルスを契機に、ワークライフバランスの向上を目指し、全社的にリモートワークを基本とする方針に移行しました。データセンターのサーバー保守運用など、現場作業が必要な業務を除き、通常業務はすべてリモートで行えます。さらに、各種手続きをデジタル化し、育児休業の証明書などもPDFや写真での提出が可能です。

 このような取り組みにより、四国や東北など、当社の拠点がない地域からも多くの応募をいただき、リモートで勤務している方も増加しています。これにより、全国各地から優秀な人材の採用が実現できています。

――生活環境を問わずに応募しやすい環境が整っているわけですね。

 はい。当社での勤務をご希望いただく方の中にも、朝型の生活を好む方や地方での暮らしを希望する方など、個々のライフスタイルを大切にする方が多くいらっしゃいます。そういった方々が能力を最大限に発揮できる環境が整えられているのではないかなと。働きやすさと事業の魅力が相まって、多くの方々からの応募につながっているのだと思います。

代表が起点となり、全社的に採用活動に注力

――貴社で働く魅力については、どのように周知を図っていったのでしょうか。

 当社では採用部門だけでなく、各事業部門のメンバーも積極的に採用・広報活動に携わっています。この全社的な取り組みの原動力となったのは、当社の代表である田中の存在です。田中は2023年頃から、SNSや各メディアなどを通じて、当社の未来をともに創る仲間を見つけ出すための情報発信を率先して行ってきました。

 このような取り組みにより、全社的に採用への意識と機運が高まりました。その結果、社員が自社サイトなどを通じて主体的に情報発信を行い、働き方や想いを広く共有することで、より多くの方々から関心を寄せていただけるようになったのです。

――そのような活動の結果、多数の応募があるなかで、どのような採用基準を設けているのですか。

 当社では、個人の積み重ねてきた経験と実現したい想いを重視し、ともに働く仲間を見出してきました。そのため、年齢や学歴は採用の判断基準としていません。

 現在、社員の中心は30代から40代ですが、これは意図的なものではなく、今年でいえば20代から60代まで、幅広い年齢層の方々が入社しています。当社の社長も高専卒で、創業期のメンバーにも複数の高専卒業生がいます。名門大学出身だからという理由での採用は一切行っていません。

 その上で、当社の大切にする価値を「3つのバリュー」として示し、これらを実践できる人材を採用する方針をとっています。

<3つのバリュー>
1.肯定ファースト:相手の話を肯定的・受容的に受け止めた上で、提案や議論する
2.リード&フォロー:時にはリーダーとして、時にはフォロワーとして、一人ひとりが自律して行動する
3.伝わるまで話そう:相手に伝わるまで話すことや、わかるまで聞くことを通して、お互いの期待を明確化し、すれ違いを起こさない

 能力が優れていても、これらの価値観と大きく異なる方については採用を見送らせていただくことがあります。

 最近では、優秀なエンジニアの方々に入社いただいているおかげで、「あの方もさくらインターネットに入社されているなら、詳しく話を聞いてみたい」という好循環が生まれています。今後も、働きやすい環境とやりがいのある事業を実現し、採用活動に注力していきたいです。

(文=福永太郎/編集者・ライター)