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今注目「さくらインターネット」とは何者?政府から補助金→料金値上げの理由

文=Business Journal編集部
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さくらインターネットの公式サイトより

 国内勢初の「政府クラウド」提供事業者に認定された、さくらインターネットが注目を集めている。2026年までの2年間に国から6億円の補助金を受け取ることが決定し、その直後にレンタルサーバサービス「さくらのレンタルサーバ」の全プランの値上げを発表するなどし、さまざまな反応が寄せられているが、攻めの姿勢を見せている。国内クラウド事業者としては富士通や日立製作所など大手ITベンダーの存在も知られるが、なぜ、さくらインターネットが選ばれたのか。また、同社のサービスの強みは何なのか。業界関係者の見解を交えて追ってみたい。

 国内の省庁や自治体などの間で導入が進むクラウド。現在、政府クラウド提供事業者としては外資系企業のアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)ジャパン、日本マイクロソフト、グーグル・クラウド・ジャパン、日本オラクルの4社が認定されているが、政府系ではシェア9割を占め圧倒的な強さを示しているのがAWSだ。

 そこに国内勢として新たに加わる、さくらインターネットは、IT業界では名の知られた存在だが、一般的な知名度はそれほど高いとはいえない。同社はまだインターネットや携帯電話が普及していなかった1996年、当時まだ舞鶴工業高等専門学校の学生だった田中邦裕社長が設立。当初はサーバのレンタル事業を手掛け、ネットの普及と歩調を合わせるかたちで成長し、04年には大阪・堂島データセンターと東京・東新宿データセンターを開設し、主力サービスとなる「さくらのレンタルサーバ」を開始。11年には北海道に石狩データセンターを開設し、クラウド「さくらのクラウド」の提供を開始。昨年には生成AI向けクラウドサービス「高火力」の開発に3年間で130億円規模の投資を行うことを決定し、米エヌビディア製高性能GPU「NVIDIA H100 Tensor コア GPU」を搭載したサーバを石狩データセンターに用意。大規模言語モデルなどの生成AIを中心とした利用を想定しており、今年1月に「高火力 PHY(ファイ)」の提供を開始した。

 従業員数はグループ連結で755名(23年3月末)、年間売上高は200億円を超え、東京証券取引所プライム市場に上場するれっきとした大企業だ。

「10年くらい前までは『安いレンタルサーバ屋』というイメージも強く、個人ユーザや中小企業に重宝されていた印象だったが、現在では大手企業でも広く導入されている。個人向けにサービスを提供してきたこともあり、同社の強みは価格の安さと手軽に使える点だ。これは大手ベンダーとの差別化という面で強力な武器。たとえばクラウドサービスも時間単位での利用・料金支払いが可能だったりと使い勝手がよい。また、田中社長の先見の明も同社成長の大きな要因。まだ中小企業がIT投資に積極的に取り組む前にサーバのレンタル事業に参入し、中小企業と個人客を獲得。セールスフォース・ドットコム(現セールスフォース・ジャパン)などの外資系クラウドが徐々に日本に浸透し始めた11年に北海道に大規模なデータセンターを稼働させクラウドに参入するなど、その優れた経営判断には定評がある」(IT業界関係者)

大手ITベンダーとべったりの関係の政府

 そんな同社が「政府クラウド」提供事業者に認定された背景とは何か。政府・企業の間でシステム基盤としてクラウドの活用が急速に広まるなか、国内クラウド市場において国内に事業基盤を有する事業者のシェアは約3割にとどまる。経済産業省は、国内に事業基盤を有する事業者が撤退すれば、クラウドサービスの供給を完全に外部に依存することとなり、利用者が保有する重要なデータの管理が海外サービスに依存するとの懸念を持っている。また、日本が大量・高速処理のニーズに対応できるクラウドサービスを開発・提供できない場合、情報処理に関する知見を有する組織・人材が日本から喪失し、あらゆる領域において将来の情報処理を他国に依存するおそれがあるとしている。そのため、経産省はクラウドプログラムを「特定重要物資」に指定し、クラウドプログラムの安定供給確保を図ろうとする者に対して助成金を交付しており、同社は昨年6月に同プログラムの計画の認定を受けている。

「政府は24年度の中央省庁のシステム調達の競争入札において設立10年未満の企業に評価点を加算する制度を導入するなど、中小や新興のIT企業に下駄をはかせる姿勢をみせている。もちろん国内の新興IT企業の育成という目的もあるが、政府系システムは長年、富士通や日立製作所など大手ITベンダーとべったりの関係で、それが高コストやいつまでも古いシステムが残存する原因にもなってきたため、そうした現状を変える必要が指摘されている。

 さくらインターネットはIT業界では老舗といえる存在だが、富士通や日立といったガリバーと比べれば規模は格段に小さい。クラウド事業者としての実績に加え、すでに経産省から特定重要物資プログラムで認定を受けているという実績もあるし、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)など必要なポリシーは持っている。こうした要因・背景が重なり、政府クラウド提供事業者に選ばれたのではないか」(IT企業関係者)

 同社は今月、クラウド技術を高めるとの名目で経産省から6億円の補助金を受け取ると発表。ほぼ同時に「さくらのレンタルサーバ」を全プラン値上げすると発表した。

「これだけ電気代をはじめ各種コストが上昇すれば、どこかのタイミングではサービス料金の値上げをしなければならない。明るい話題が続いて企業としての信用力も高まりつつあるので、ここで一気に攻めの姿勢に入ったということでは」(IT業界関係者)

(文=Business Journal編集部)

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