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吉田潮「だからテレビはやめられない」(4月1日)

『いいとも』フィナーレ、壮大な内輪ウケのうんざり感と、沈む大きな船には乗らないタモリ

文=吉田潮
『いいとも』フィナーレ、壮大な内輪ウケのうんざり感と、沈む大きな船には乗らないタモリの画像1『森田一義アワー 笑っていいとも!』公式サイト(「フジテレビ HP」より)

 主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、観るべきテレビ番組とその“楽しみ方”をお伝えします。

 壮大な内輪ウケの1週間がようやく終わった。「タモリさん、おつかれさまでした」の言葉とは裏腹に、タモリをさしおいて自分たちの感情論と世界観を広げようと躍起になるタレントやB級アイドル、芸人たち。それがまた時代遅れというか、オワコン感もたっぷり。ホント、こういうのは打ち上げで居酒屋とかでやってくれよ、という内容だった。何がって、『笑っていいとも!グランドフィナーレ』(フジテレビ系/3月31日放送)である。

 先週から最終回までの通常放送でも、記念写真撮るわ、出演者の思い入れだけで構成するわ、やりたい放題好き放題。視聴者は完全に置いてけぼり。それでも許されるのは「32年間単独司会者」「生放送8054回」という偉業があるからこそ。視聴者はこの数字によって、心のハードルを下げて、ちょっと優しい気持ちで見守るだけの余裕があったのかもしれない。好意的な目で観る人も多かったようだが、個人的にはなんかちょっと違和感。

 そもそもこれだけ盛り上がるくらいなら、視聴率も取れていたはず。裏番組の『ひるおび!』(TBS系)に流れたり、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)派になった人が、急に「いいとも!終了」に乗じて、感動するフリをしているのだから。たぶんこういう人たちが佐村河内守のCD買ったんだろうな。

 生ぬる~く見守ってきたこの1週間だが、胸のすく瞬間はあった。

 まず、『いいとも!』派閥に属さないビートたけしの「猛毒表彰状」。これは外様だからこそ言えることであり、たけしだからこそ言えることでもあった。ぬるい温度でダラダラと内輪ウケしている流れに、ひと盛りの毒。かなり効果的だったと思う。

 同日のテレフォンショッキングでは、たけしとタモリで、先輩・大橋巨泉に罵詈雑言。テレビ局の玄関先でやたらと先輩風を吹かせて、売れている後輩に営業する巨泉のことを「玄関先で仕事するなんて、田舎のニワトリのようだ」と評したタモリ。しみじみ。タモリのこういう表現力がハッとさせるんだよなぁ。こはぜがのどを駆け巡る瞬間、である。

壮大な内輪ウケ感を醸し出す人々

 そして、『グランドフィナーレ』で延々と同じことをしゃべる明石家さんまには辟易した。ここ10年ほど、さんまを面白いと思ったことが一度もないし、タモリをねぎらうどころか「笑いの指導」までし始める始末。タモリもそんな昔のボケ作法など覚えているはずもないし、それを強要するとは。イライラ&うんざりが頂点に達し、チャンネルを替えようかと思ったその瞬間、ダウンタウンが出てきて鋭くツッコミ。この時ほど、胸がすいたことはなかった。ありがとう、浜ちゃん!! すっきりしたわ~。この時点でたぶん多くの視聴者の溜飲が下がったと思われる。その後、爆笑問題やらとんねるずが出てきて、またうんざりが上昇しはじめたのだが。

 吉永小百合が中継で出ようが、SMAPが微妙な歌声を披露しようが、特別感も感慨もなかった。涙腺もほぼ刺激されず。歴代レギュラーのスピーチも延々やることかどうか疑問。

 この壮大な内輪ウケ感を醸し出した人々は、ちょっぴり終焉の信号が点滅中でもある。沈みゆく船に乗っている人々。視聴者はうすうす気づいているけれど、この船に実はタモリは乗っていない。タモリは最初っから大きな船には無関心で、無頼派。タモリだけは初めから手漕ぎの小さな救命ボートに乗って、大海に浮いているのだから。

 しかし、関根勤の「芸能界的顔面オーバーリアクション愛想笑い」は職人技の域だよね。
(文=吉田潮/ライター・イラストレーター)

吉田潮

吉田潮

ライター・イラストレーター。法政大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。「週刊新潮」(新潮社)で「TVふうーん録」を連載中。東京新聞でコラム「風向計」執筆。著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『TV大人の視聴』(講談社)などがある。

Twitter:@yoshidaushio

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