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名門ユニチカ、なぜ経営危機に?遅れた非繊維の収益事業育成、30年の暗いトンネル

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ユニチカ大阪本社が所在する大阪センタービル(「Wikipedia」より/Pediaman55)
 2020年の東京五輪招致が決まって以降、1964年の前回東京五輪の思い出のシーンがしばしばテレビで放映されている。中でも多く放送されるているのは、10月23日に行われた女子バレーボールの日本とソ連の優勝決定戦だ。日本が5試合で落としたセットは1セットのみという圧倒的な力で金メダルを獲得し、平均視聴率は66.8%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)とスポーツ中継として歴代最高である。大松博文監督に率いられた日本代表チームは「東洋の魔女」と呼ばれたが、出場選手12名のうち10名がニチボー(日紡)貝塚(現・ユニチカ)女子バレーボール部のメンバーだった。

 繊維の名門であるそのユニチカの経営危機が今年5月、表面化した。ユニチカは5月26日、三菱東京UFJ銀行をはじめとする取引銀行に総額375億円の金融支援を要請した。これを受け27日のユニチカの株価は一時、前日比約3割安の41円まで下落。26日にユニチカが出した中期経営計画からは、名門復活の可能性が見えてこなかったからだ。

 中計によると2015年3月期の連結売上高は前期比1%増の1650億円で、事業構造改革費用として440億円の特別損失を計上。税引き後利益が370億円の赤字(14年3月期は5億8300万円の黒字)となり、160億円の債務超過に陥る可能性が浮上した。債務超過を防ぐため、7月末に三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三菱UFJ信託銀行の3行と、日本政策投資銀行などが出資する再生ファンド、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ(JIS)に対して議決権のない優先株を発行して、金融支援を受ける。

 銀行3行から調達する275億円は全額借入金の返済に充てる。JISが組成する投資組合から調達する100億円は成長が見込める食品包装用フィルムや、樹脂など高分子事業の設備投資に充てる。1600億円の有利子負債を15年3月期末には1260億円に圧縮。14年3月末の自己資本比率は6.1%だが、金融支援により8.9%程度に回復するとしている。中計の最終年度である18年3月期の連結売上高は繊維事業のリストラで1450億円となり、14年3月期の1626億円から10%減る。一方、営業利益は67億円から140億円へと2.1倍を見込んでいる。

 銀行からの金融支援では、借入金を株式に切り替えるデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)を利用する。ユニチカが実際に使えるのはJISが出す100億円だけだが、果たして100億円で揺るぎない収益基盤を築くことができるのかが、今後のユニチカを占うポイントになる。しかし、JISが引き受ける優先株の配当率は6%と高く、年間6億円の配当金を支払うことになる。経営責任を明確にするため、6月27日付で安江健治社長(66)が取締役相談役に退き、後任社長に注連(しめ)浩行取締役常務執行役員が就任する。

●長い不況のトンネル

 ユニチカは1889年(明治22年)創業の尼崎紡績が発祥だ。1918(大正7年)に摂津紡績と合併して大日本紡績となり、東洋紡績(現・東洋紡)、鐘淵紡績(現・カネボウ)とともに「三大紡績」の一角を担い、日本の基幹産業であった繊維産業を支えた。戦後、ニチボーに社名を変え、69年には子会社だった日本レイヨンと合併してユニチカになった。