希望退職募集と同時に、12年6月に開設したばかりの大阪市内の開発拠点を10月末までに閉鎖し、国内の拠点は東京に集約した。2年前に進出した中国の拠点を閉鎖したのをはじめ、8カ所あった海外営業拠点も今夏に次々と閉鎖、現在は3カ所に減っている。大阪拠点の責任者は吉田大成氏。『探検ドリランド』などヒット作を生み出した実績を買われ、昨年の株主総会で取締役に昇格したが、9月26日付で取締役を辞任した。成果を上げられなかったことで引責辞任したものとみられている。
グリーの業績は苦戦が続いている。13年6月期連結決算の売上高は前年同期比3%減の1522億円、営業利益は同41%減の486億円だった。不採算タイトルの減損処理を行ったことで特別損失が102億円に膨らんだ第4四半期(4~6月期)は、3億円の赤字に転落した。四半期ベースで赤字になるのは、08年に上場して以来初めてだ。
13年7~9月期の業績も落ち込んだ。売上高は前年同期比6.9%減の353億円、営業利益は同37.9%減の97億円、四半期の純利益は同73.5%減の24億円にとどまった。4~6月期のような最終赤字は免れたが、大幅な減益だ。ドル箱といわれた従来型の携帯電話向けのゲーム課金収入が低迷しているのが原因だ。タイトル関連資産を対象に、51億円の特別損失を計上したことが響いた。
ほんの1年前まで飛ぶ鳥を落とす勢いだったグリーは、いまや縮小に次ぐ縮小。その落差はあまりに大きい。
●批判集めたコンプガチャの廃止が痛手に
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の中でゲームに特化して大成功を収めたのがグリーだった。並み居る競合他社たちを退けながら急成長を遂げた。
創業者で現社長の田中良和氏が交流サイトを運営するグリーを設立したのは04年12月。広告を収益源とする交流サイトでは儲けられず、07年6月期の売上高は3億円で最終損益は1億円の赤字。企業の存続さえ危ぶまれた。
そこで生き残りをかけてメイン事業をソーシャルゲームに転換した。携帯電話用ゲームで無料を謳う一方で、オプションによる課金システムを導入したことからグリーの急成長神話が始まる。
有料課金の伸びが業績を牽引した。08年6月期の売上高は前年比9倍の29億円、営業利益は前年の赤字から10億円の黒字に転換した。その後は倍々ゲームで、12年6月期の売上高は同2.5倍の1582億円、営業利益は同2.7倍の827億円と大幅な増収増益となった。
急成長と高収益でグリーの株価は急騰。田中氏が保有しているグリー株式の資産価値は膨張し、米フォーブス誌の「日本富豪ランキング」(12年版)では第7位にランクインした。
しかし、グリーの急成長に合わせるように批判も大きくなった。無料という謳い文句でユーザーを呼び込み、有料のアイテムを購入させて稼ぐというビジネスモデルが急成長の原動力だが、ゲームのユーザーは未成年者が多い。「小中学生に月何万円も使わせるゲームが、はたして健全なゲームといえるのか」などとグリーを批判する声も出てきた。こうした批判の声は、12年に入り、より大きくなった。交流型ゲームの新商法・コンプガチャが射幸心を煽るとして「違法」との指摘が相次いだ。東京都消費者生活総合センターには「中学1年生の息子がガチャにはまり、80万円を請求された」という相談が寄せられたほどだ。
ついに消費者庁は12年7月1日からコンプガチャを禁止。グリーはコンプガチャの依存度が高かったため、全廃の影響は特に大きかった。
そしてコンプガチャ事件と相前後して、『パズル&ドラゴンズ』(ガンホー・オンライン・エンターテイメント)などスマートフォン向けゲームが一気にユーザーを獲得し、従来型携帯電話向けゲームがメインだったグリーからユーザーを奪っていった。こうした流れも踏まえて、今回の退職勧奨は「グリーの敗北宣言にほかならない」(業界関係者)と指摘する声も聞こえる。
(文=編集部)