凄惨な虐待の末に子供が死亡するというニュースが後を絶たない。厚生労働省の発表によると、児童虐待を行うのは、実母、実父、母親の交際相手の順に多いという。家庭という閉鎖的な環境の中にあっては、親が日常のイライラなどを子供にぶつけたり、しつけと思って体罰を与えても、なかなか外からはわからない。そのため厚労省は、「体罰によらない子育てのために」というポスターやリーフレットなどを作成、体罰をなくすための啓蒙活動に力を入れている。
また、昨年6月に児童福祉法等改正法が成立し、親権者等は児童のしつけに際して体罰を加えてはならないことが法定化され、今年4月から施行された。これまで、「法は家庭に立ち入らず」との不文律があったが、昨今の児童虐待死の増加を踏まえ、しつけであっても、親が子供に体罰を与えることは違法となったわけだ。
そんななか、9月14日に衝撃的な映像が生配信され、ネット上で大きな話題を呼んでいる。動画配信のプラットフォーム「ふわっち」で1万3000人を超えるフォロワーを抱える人気配信者「こっちん」が、生配信しているなかで事件は起きた。
「こっちんは、今月23日に28歳の誕生日を迎える女性で、11歳から0歳まで6人の子どもがいます。11歳の長男だけは離婚した元夫と暮らしていますが、ほかの5人の子ども及び再婚した現夫との7人暮らしです。普段は、特に面白い企画などをするわけでもなく、何気ない日常の様子や、おしゃべり、メイクなどを配信しています。
14日も、部屋の中にあるカメラで定点観測のように生配信していました。そのなかで、寝転ぶ父親の腕を枕に、2歳の子が寝ているほのぼのした光景が流れていたのですが、突然、父親が子どもの顔面に肘鉄を食らわしました。ゴン、という鈍い音が聞こえ、その直後に子どもが泣き叫びます。母親のいると思われる場所に向かって歩き出すと、父親は慌てて子どもの脚あたりを抱え上げて別の部屋へと消えました。その様子も、逆さ吊りするような感じだったので、衝撃的でした」(芸能記者)
この様子を見ていた視聴者らが、虐待ではないかと厳しく批判。
夫は配信されていることに気づいておらず、こっちんもその場にいなかったことから、猛批判を受けて、2人は動画を確認して事態を把握。その後、配信で謝罪を行った。
夫は暴力を振るったことを認めつつ、子どもを寝かせようと思ったが、なかなか寝つかなかったため、「感情的になってやってしまった」と釈明。そのうえで、暴力は「初めて」と述べ、日常的な虐待を否定。
だが、暴行が振るわれた横でゲームをしていた10歳の兄が、一瞬そちらを見たものの、特に反応を示さなかったことから、暴力は日常的にあったのではないかと指摘する声が上がっている。さらに、児童虐待に詳しい専門家は、こっちんの釈明に懸念を示す。
「父親に暴力を振るわれた子どもは、その父親を恐怖の対象として見ます。その時、母親が自分の味方になってくれれば安らぎを得られますが、母親が父親を擁護するようであれば、家の中で委縮するようになる恐れがあります。今回、こっちんが夫の暴力を初めて認識したとして、今後、どのように夫や子どもに接するかによって、子どもの将来に大きな影響を与えるでしょう。児童相談所などのアドバイスを受けて、慎重に生活を送っていく必要があります」(教育評論家)
いくら感情的になっても、寝ている2歳の子どもに躊躇することなく暴力を振るう父親が、今後、虐待しないという保証はない。こっちんは、「警察、児相さんと家族で話し合っていきます」と決意をツイートしているが、暴力が繰り返されることを懸念する声は続いている。今後、この家族から暴力がなくなることを願ってやまない。
(文=編集部)