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最新版も発売「一太郎」根強い人気の秘密…Wordにはない圧倒的メリット&便利機能

文=A4studio
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「一太郎」を開発するジャストシステムのHPより

 ジャストシステムが開発し、前身製品から数えて今年で40年の歴史を誇る日本語ワープロソフト「一太郎」。「一太郎2023」と「一太郎2023プラチナ」が2月10日に発売される。現在はマイクロソフトの文書作成ソフトウェア「Microsoft Word」が普及し、一太郎ユーザーは少ない。しかし、一太郎には公文書作成を意識した機能が多く、現在でも中央官庁などでは利用されているし、法曹関係の書類作成に強いということで、裁判官や弁護士の間でも評価が高い。

 また、一太郎には、誰でも手軽に文書を作成できるよう開発された日本語ワープロソフトという触れ込みがあるが、近年は新規ユーザー層の開拓にも力を入れており、若いユーザーにも使ってもらえるような機能強化を意識している。

 そこで今回は、新しく発売される「一太郎2023」と「一太郎2023プラチナ」の魅力やMicrosoft Wordとの違いについて、「ビーンズ行政書士事務所」の代表で生粋の一太郎ファンである行政書士・遠藤正樹氏に話を聞いた。

実は毎年バージョンアップしている一太郎

 ジャストシステムのホームページによると、今回発売される「一太郎2023」は、誰にでもわかりやすく、場面に応じて明確に伝わる文書を生み出すための機能を追加したとのことだが、具体的にどのように進化したのだろうか。

「一太郎は2001年以降毎年バージョンアップしていますが、最近はとくに表現力と文書校正の強化に注力している印象があります。新しく発売される一太郎2023では、さらに文書校正が強化されており、70年ぶりに改定された公用文のルールに対応したことや、新旧対照表などの相違点比較表を自動作成する機能が追加されるなど、文書校正が重要な場面において従来以上に有用なものとなっているように感じています。

 一太郎2023プラチナには、一太郎2023に加え、統合グラフィックソフトの『花子Personal』や『三省堂国語辞典 第八版』『イワタ書体』から16書体、読み上げソフト『詠太13』などが含まれます。さらにATOK Passportユーザー優待版の一太郎2023プラチナには、Microsoft Officeとの互換性のある表計算ソフトやプレゼンテーションソフトなどを含んだ『JUST Office 5 Personal』も付属するのです」(遠藤氏)

 ほかにも士業である遠藤氏が注目しているポイントがあるという。

「個人的に期待しているのは、相違点比較表を自動で作成することができる機能ですね。行政書士の業務上、契約書やマニュアルなどの文書を作成することが多く、その内容が改訂された際、新旧の対照表が必要となることがよくあるのですが、自動で相違点や変更点を認識しそれを比較表として出力してくれるのです。見直す手間や人為的なミスの削減にもつながるのではないかと大きく期待しています。

 もしATOK Passportプレミアムを契約していれば、『広辞苑 第七版』や『ウィズダム英和辞典 第4版』などが揃う、クラウド辞典を利用することもできます。また、文書作成時に辞書を参照したい方もいると思いますが、一太郎2023プラチナでは先ほどもお伝えしたとおり、8年ぶりに全面改訂された『三省堂国語辞典』も付属しますので、文章表現に迷った場面で重宝するのではないでしょうか」(同)

一太郎とWordの違い、異なる強みがある

 ではMicrosoft Wordとはどういった違いがあるのだろうか。

「一太郎とMicrosoft Wordの最大の違いは、『日本人のための日本語ワードプロセッサ』であるか否か、という点であると感じています。これまで挙げてきたように、一太郎は日本語の文書としての表現力や校正力を重視している印象があり、文書を作成する者にとっても大きなサポートとなるほか、日本語特有の縦書きやふりがなへの対応も充実しており、日本語を見慣れた者にとっては一太郎のほうが直感的に操作しやすいと思います。

 また、文書の入力から編集や校正までを一連のフローとして行うことを意識した設計になっているため、アウトラインや提出確認などの作業フェーズを切り替えることで、フェーズごとに必要な機能や表示を提示してくれるのも特徴です。さらに、Excelのワークシートのように1つのファイル内に複数のシートを持つことができますので、作成した文書とスキャンしたPDFファイルを1つの一太郎ファイルとして保存することもでき、関連するファイルを一元管理できるのも、Wordにはできない一太郎の大きなメリットですね」(同)

 だが、複数人での作業に関しては、双方に設計思想の違いがあるという。

「Wordでは、校閲機能により複数人が自由に編集し、修正履歴やコメントを残すことができますが、一太郎では添削機能により文書の誤字脱字などを指摘する、出版業界などで使われる“赤入れ”という校正作業を模したものの印象が強いため、Wordの校閲と受ける印象が大きく異なります。

 一太郎は、ビジネスで複数人とファイルをやり取りするというよりは、例えば1人の作家さんに対し、原稿に赤入れをするような機能に特化しているので、そのあたりはWordとの設計思想が違うように感じます。それらを踏まえると、複数人で1つのファイルを編集する場合、Wordのほうが使いやすいと感じる場面もあるかもしれません」(同)

 また、一太郎は月額や年額といったサブスクリプション式はなく、買い切り式のみとなっている点も違いのひとつといえるだろう。

「詳細は不明なのであくまで個人的な推察ですが、一太郎は学校や役所でよく使われていた印象があり、そういった場所だと毎月または毎年一定額を払うサブスクリプション型のような契約方法自体、あまり馴染みがないという背景もありそうです。官公署や学校などで利用することを考えた場合、頻繁にバージョンアップする必要性も低く、毎月または毎年費用が発生するサブスクリプションよりは、買い切り型のほうが導入しやすいだろうという意図があったのではないでしょうか」(同)

日本語文書をより正確に作成したい人向け

 一太郎はどんな使用目的を持つ人に向いているのか。

「強力な文書校正機能を持つことに加え、EPUBやKindle、mobi形式などの電子書籍用のファイルを出力することができるため、現在でも利用者の多い官公署や教育機関、法曹界などのほか、電子出版を考えている人やライター、ブロガーなど、日本語の文書を正しく美しく作成したい人には最適だといえるのではないでしょうか。

 また個人的に一太郎を利用するメリットとして、プラチナに付属する『詠太』の存在が大きいです。Wordとは比較にならないほど高品質な読み上げ機能によって、画面を見ているだけでは気が付きにくいミスを発見するサポートが期待できますので、自身の使用目的に合わせて一太郎2023とプラチナを選んでほしいと思います」(同)

 Wordが広く浸透している昨今でも、一太郎ならではの魅力があり、愛用し続けるユーザーやコアなファンがいる理由がわかった。Wordと比較して一太郎が優れている要素もあれば、Wordのほうが使い勝手がいい場面もあるようなので、使用目的によって二刀流使いするのもいいだろう。

(文=A4studio)

A4studio

A4studio

エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

Twitter:@a4studio_tokyo

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