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ドンキ「4万円」PCを推奨しない理由…プラス1万円でデルPC買うべきか

文=佐藤勇馬、協力=西田宗千佳/ITジャーナリスト
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ドンキの情熱価格「MUGAストイックPC5」
ドンキの情熱価格「MUGAストイックPC5」

 大手ディスカウントストア「ドン・キホーテ」が昨年12月中旬より、コスパを追求した税込4万3780円の格安ノートPC「MUGA(ムガ)ストイックPC5」の販売を開始。「シリーズ史上最高スペック」をうたっており、ついに「使える激安ノートPCの登場か」と話題になっている。実際にどの程度の性能で、スペックや価格を勘案すると「買い」なのかどうかを、専門家に忖度なしでズバリと解説してもらった。

 近年のパソコン市場では、ASUSやLenovoなど海外系メーカーを中心に3~5万円程度の低価格ノートPCのラインアップが増加している。だが、格安ノートPCはスペックの低さから「起動が遅すぎる」「動画視聴などをすると頻繁にフリーズする」「ストレージが足りない」などといった問題が多発し、あくまで初心者向けで、一般的には実用レベルにないという印象があった。

 しかし、最近の低価格ノートPCは全体的にスペックが向上してきているとの指摘もある。そんな中、ドン・キホーテは「格安PCは動作が遅く画面がフリーズする」などの利用者の不満を解消するため、オリジナル商品ブランド「情熱価格」よりシリーズ最高スペックの「MUGA ストイックPC5」(以下、MUGA5)を数量限定で発売した。

 MUGA5は、CPUに「Intel Alder Lake N100 (最大3.4GHz 4コア+4スレッド)」を搭載。メモリを4GBから8GBに変更し、ストレージは256GB SSD。ディスプレイサイズは14.1インチで、解像度は1920×1080ピクセル。要望の多かった日本語キーボードを採用した。同社は「ビジネスユース可能なスペックを確保したままどこまで驚安に出来るか」を追求したとして、性能面については「動画の視聴やオフィスソフトなどの作業であればスムーズに行えます」とアピールしている。

 動画やサイトの閲覧、メール、オフィスソフトくらいでしかパソコンを使わないという人は少なくない。そう考えると、税込4万3780円でそれらがスムーズに利用できるノートPCが手に入るならお得に思える。また、同社は新商品発売記念のキャンペーンとして、MUGA5購入時に「情熱価格」のこれまでに発売してきたPC本体を5000円にて下取りするという。

長く使えない可能性

 「ドンキの格安PC」の実際の性能はどの程度のものなのか、ITジャーナリストの西田宗千佳氏はこう解説する。

「このPCは簡単に言えば『CPUの性能はかなり低い』『メモリ量は使えないほどではない』『ストレージ量も最低限はある』というもので、ウェブなどを閲覧するくらいなら確かに使えるものと思います。ドンキの製品は基本的に、PCをOEM生産しているメーカーからの調達ですので、過去の製品もこれも同様です。スペックが『快適に使うならアウト』という内容から『なんとか大丈夫』のレベルになった程度です」(西田氏)

 西田氏の見立てとしては「買い」なのか、それとも微妙なレベルなのか。どのようなユーザーに向いているの、向いていないのかといった点も含めて語ってもらった。

「安心して買えるか、お勧めできるかというと『強くお勧めはしません』。というのは、この性能で5万円弱なら、もう1、2万円ほど足せば、Dell(デル)あたりでいいPCが買えるからです(画像参照)。PCは数年経てば必要とされる機能が上がっていきます。ウェブで使うだけでも求められる機能は増えていきますし、OSも機能アップしていきます。実用ギリギリの性能というのは、その『数年後』に耐えられないかもしれず、長く使えない可能性があります。

 『2年使えればいい』というならギリギリでもいいでしょうが、それなりに長く使いたいなら、少し余裕を持った性能の方が望ましいのが実情です。仮に5年使うなら、予算をもう1、2万円くらい追加することをお勧めしたいです。できればメモリが16GBある製品を選ぶと長く使える可能性が高まります。そうした事情を理解した上で『とにかく安いPCを』というなら、このモデルでも『そこまで問題は出ない』と思います。ただ、PCに詳しくない人が『安くていい』と飛びつくのは推奨しません」(同)

ドンキ「4万円」PCを推奨しない理由…プラス1万円でデルPC買うべきかの画像2

 短期的な利用を前提とするなら使えるが、それほど推奨はできないといった程度の評価の様子だ。となると、お勧めできるポイントはあまりないのだろうか。

「ドン・キホーテが『過去の機種を5000円で引き取る』としていますから、これを加味して購入するなら悪くはありません。もし同社が今度もこの方針を続けるつもりなら、『ギリギリの性能ではあるけれど、使えなくなったらドンキで買い取ってもらって頻繁に買い替えていく』という使い方もできるでしょう。ただ、PCの買い替えは面倒ですから、あまりPCに詳しくない人は、やはり少し予算を足して、性能にある程度の余裕を持たせたPCを買い、長く使うことをお勧めします」(同)

(文=佐藤勇馬、協力=西田宗千佳/ITジャーナリスト)

西田宗千佳/ITジャーナリスト

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。取材・解説記事を中心に、主要新聞・ウェブ媒体などに寄稿する他、年数冊のペースで書籍も執筆。テレビ番組の監修なども手がける。主な著書に「ポケモンGOは終わらない」(朝日新聞出版)、「ソニー復興の劇薬」(KADOKAWA)、「ネットフリックスの時代」(講談社現代新書)、「iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏」(エンターブレイン)がある。
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Twitter:@mnishi41

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