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グリーの誤算〜業界内で進むグリー外し、減収減益でリストラ、コスト増で不採算ゲーム増

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グリー本社が所在する六本木ヒルズ森タワー(「Wikipedia」より)
 今年1月に発覚した「コンプガチャ問題」(未成年者への超過課金)が社会の注目を集めるまで、「SNSの旗手」ともいわれていたソーシャルゲーム大手のグリーが、ついに人員リストラを開始した。主要メディア各紙の報道によると、募集人員はグリー単体社員数の1割強に当たる約200人。10月9日〜28日にかけて希望退職者を募集し、11月30日付で退職させる。

 今回の人員リストラは、コンプガチャ問題が発覚したタイミングから徐々に悪化してきた業績への歯止め策だが、ゲーム業界では「創業以来続いてきたグリーの成長が、曲がり角を迎えた」と見る向きが少なくない。

 その典型が、創業期の古参有力社員に付与したストックオプションの待機期間切れだ。
2008年12月の株式上場時点で生まれた新株予約権による潜在株式所有者77名全員のストックオプション権行使が、今年12月から可能になる。そこで、権利を行使し、所有株の売却益が払い込まれる来年2月から「屋台骨がぐらつき始めた会社に見切りをつけ、大半の古参有力社員が株式売却益を懐に収めたら、一斉に会社を去る気配だ」(業界関係者)との見方が強まっている。

●ユーザからの課金収入と広告収入が急減

 同社では今、一体何が起こっているのか?

 業界関係者は、「グリーの異変は猛暑と共に2つやってきた」と次のように説明する。

 1番目の異変が、今年8月14日の決算説明会だった。同社は例年、六本木ヒルズ内の高級ホテル「グランドハイアット東京」の宴会場で決算説明会を開催してきた。それを今年は、同じ六本木ヒルズ内の同社本社内セミナールームに変更したのだった。株主に会場変更の理由を尋ねられた社員は「経費節減のためです」とうつむき加減に答えていたという。

 そして会場では、13年6月期連結決算の厳しい内容を淡々と説明する、田中良和社長の声だけが聞こえていたという。

 ちなみに決算の概略は、売上高は前期比4%減の1522億円だったが、営業利益は同41%減の486億円、純利益は同53%減の225億円だった。スマートフォン(スマホ)向けゲームは、外部制作会社と共同開発した新作ソフトの『神獄のヴァルハラゲート』などが健闘したが、フィーチャーフォン(ガラケー)向けの『探検ドリランド』など既存ソフトが振るわなかった。このため、ユーザから得る課金収入が急減、それに連れて広告収入も減少した。結局、ガラケー向けゲーム課金収入の落ち込みを、スマホ向けゲームでカバーできなかったのが大幅減益につながった。

 それだけではない。同社の業績悪化は、似たビジネスモデルで成長してきたライバルのDeNAと比べても際立っている。

 グリーの13年4-6月期の売上高は前年同期比8%減の370億円、営業利益は同59%減の77億円。これに対してDeNAの同一四半期の売上高は10%増の521億円、営業利益は8%減の169億円だった。DeNAはグリーと異なり、同じガラケー向けユーザの減少を、ある程度食い止めていた。

 これについて、グリーの田中社長は「スマホ向けゲーム、海外事業、ガラケー向けゲームと、経営資源を分散させてしまった」と弁明している。

●急な人員増で高コスト体質に

 DeNAより強いはずだったガラケー向けゲームの利用者獲得で、DeNAの後塵を拝し、課金収入も広告収入も減らしてしまった。新たな収益源になるはずだったスマホ向けゲームでも、開発費がかさんで採算が取れないゲームソフトを増やしただけだった。

 さらに、スマホ向けゲーム開発のエンジニアを急増員したため、前期末の連結社員数が2364名と1年前に比べ634名(37%)も増加した。その結果、4-6月期の売上高人件費比率は、DeNAの9%に対し、グリーのそれは17%に膨らみ、売上が減少する中での人件費の上昇に見舞われた。

 田中社長は決算説明会で、業績回復のために「選択と集中を進める」と強調したという。具体的には13年7-9月期中に、不採算ゲームの運営・開発を中止するという。すでに数十本のタイトル廃止を決めており、前期に約90億円の関連資産を減損処理した。中国と英国の開発拠点、オランダ、ドバイ、ブラジルの営業拠点も閉鎖した。

 外注費などの固定費も、14年4-6月期までに前年同期比で約10%減らす計画も打ち出している。グリー関係者は、「新作ゲームの開発本数を絞り込み、ピンポイントで稼ぐ作戦」だと解説する。

 だが、業界関係者は「一つの開発プロジェクトに関わる社員数が、DeNAと比べて多すぎる。いつリストラが始まるかと、身構えている社員も見られる」と指摘している。つまり、8月14日の決算説明会時点で、グリーの今回の人員リストラは、業界内ですでに取り沙汰されていたのだ。

●業界内で進むグリー外し

 2番目の異変は、取引先のゲームソフト開発会社の間で起きていた。

 8月21日、日本経済新聞が「セガなどゲーム15社が連合」とのスクープ記事を報道、グリー本社オフィス内は出勤してきた社員たちが真偽を確かめようと騒ぎになった。同紙には次のように書かれていた。

「セガなどゲームソフト15社はスマートフォン向けゲームの顧客開拓で連携する。(略)共通のサイトを設けたりして利用者を囲い込む。参加企業は年内に約30社に増え、利用者数は延べ4000万人超に膨らむ見通し。各社からソフトを集めて配信するグリーなどに頼らない仕組みを構築し、急成長するスマホゲーム市場を攻略する」