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山田修「展望!ビジネス戦略」

セブン&アイ、鈴木会長の“逸脱”行為 次男が取締役就任、世襲のような人事の違和感

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イトーヨーカドーの店舗(「Wikipedia」より/ITA-ATU)
 セブン&アイ・ホールディングス(HD)が2日に発表した15年2月期連結決算は、コンビニエンスストアのセブン-イレブン加盟店分も含めた全店売上高が前期比6.6%増の10兆2356億円と絶好調だ。国内小売業で10兆円を超えたのは初という。昨年4月の消費増税の逆風にもかかわらず、営業利益も4年連続で最高を更新し、前年比1.1%増の3433億円を計上した。

 事業別に見ると、コンビニ事業の営業利益が前期比7.5%増の2767億円で計画から67億円上ぶれたが、イトーヨーカ堂をはじめとするスーパーストア事業は同34.8%減の193億円で計画より134億円下ぶれた。また、セブン銀行などの金融関連事業は好調で、同5.1%増の471億円だった。

 セブン-イレブンでは、自社で企画したプライベートブランド(PB)のほか、レジ脇のいれ立てコーヒーやドーナツの販売などの好調もあり、業績面で競合他社をますます離している。今回の決算でも、グループ全体の売り上げの約7割を占めるコンビニ事業が業績を押し上げ、セブンの全店売上高は前期比6%増の4兆82億円に上った。

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 今回の決算で、売り上げではコンビニ事業が2兆7270億円、スーパーストア事業が2兆120億円とそんなに大きく離れていないのに、営業利益ベースでは両事業に14倍もの開きが出た。そしてコンビニ事業は大きく伸びているが、スーパーストア事業は前期を大きく下回った。

 この業績の差について、筆者は1月31日付本連載記事『セブン&アイ、株価下落の元凶“お荷物”ヨーカ堂を即刻売却すべき 超優良グループに変身』で次のように分析した。

「イトーヨーカ堂も例外ではない。年を待たずして赤字部門に落ち、セブン&アイ・グループの大きなお荷物になることは必至だ。イトーヨーカ堂を除いたら、売り上げ約3兆円、営業利益約2400億円の大優良グループが出現する」

 そしてそれを決断実行できるのは鈴木敏文会長以外にはなく、「鈴木敏文氏の最後の大仕事は、イトーヨーカ堂の売却ではないか。(略)イトーヨーカ堂は同グループにとっての祖業だからこそ、従業員経営者である鈴木氏でなければできない『最後のご奉公』がそこにある」とした。

●従業員経営者という出自を超える振る舞い


 しかし、セブン&アイHDにおいて、鈴木会長は従業員経営者という出自を超えて振る舞っているようにみえる。というのは、今回の決算発表と同時に、鈴木会長の次男・康弘執行役員(50)が取締役に就任すると発表されたのである。今秋に本格的に開始するインターネットと実店舗を融合させたオムニチャネル戦略の責任者として、事業を指揮していくという。

 セブン&アイ・グループのように売り上げ規模10兆円を超える大企業で、世襲のような役員就任があるのは極めて珍しい。オーナー企業や創業家が存在する企業であれば、経営者の係累が役員になるのは珍しくないし、受け入れられることだろう。

 筆者はもちろん康弘氏の能力に疑義を呈するものではない。セブン&アイHDとしてももちろん、同氏の実績と能力による役員就任だと説明することだろう。 同社のような大企業で、会長の子息が偶然にグループ社員5万5000人より優れているというのは素晴らしいことだ。さすが、大経営者である鈴木会長の子息だけあると賞賛したい。