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楽天、その危険な経営 一気に巨額減損の恐れも、果敢な海外M&Aで膨張したのれん代

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楽天本社(「Wikipedia」より/Kentin)
 これまで海外M&A(合併・買収)を発表するたびに株価が下がっていた楽天だが、今回は違った――。

 楽天は3月19日、電子図書館事業の世界最大手、米オーバードライブを買収すると発表した。買収額は4.1億ドル(約495億円)。オーバードライブは公共図書館などに貸し出し用の電子書籍を販売し、図書館は購入した電子書籍を貸し出す。消費者は図書館が扱う電子書籍を自分の端末に取り込み、一定期間内のみ無料で閲覧できる。

 現在、オーバードライブは世界約50カ国で3万超の図書館や大学を顧客に抱え、2100万人が利用している。楽天は2012年に買収した電子書籍事業社コボとの相乗効果で電子書籍事業の拡大を狙う。コボ担当の相木孝仁常務執行役員は「楽天の電子書籍事業を中期で1000億円以上のビジネスに育てる」としている。楽天は先月にオーバードライブの全株式を取得し、完全子会社にした。

 これまで海外M&Aを発表するたびに、楽天の株価は下落した。14年2月に無料対話アプリのバイバー・メディア(キプロス)買収を発表した時には、発表後1カ月で株価は21%下落。14年9月の米キャッシュバックサイトのイーベイツ買収を発表した時も、1カ月で株価は7%下落した。楽天の海外M&Aは「売り」というのが市場の評価だった。

 だが、オーバードライブの買収では市場の反応が違った。発表翌日の株価は4%高。その後、上場来高値を更新し続け、4月10日には2395円の最高値をつけた。バイバーやイーベイツには、先行している強力なライバルが多数あり、勝ち目は薄いと見なされた。一方、黎明期の電子図書館事業で先行しているオーバードライブの買収には、世界のデファクト・スタンダード(事実上の標準)を握れるかもしれないと期待が集まる。これが楽天株が買われた理由とみられる。

苦戦する海外事業


 楽天は海外M&Aで事業を拡大してきたが、良い結果を出しているとは言いがたい。同社の14年12月期連結決算は好調だった。売上高は前期比15.4%増の5985億円、営業利益は17.9%増の1063億円と増収増益である。

 三木谷浩史会長兼社長は決算発表の席上、「連結営業利益がグループで初めて1000億円を超えた。ひとつの節目になる数字だ」と胸を張った。大台乗せは営業利益だけではない。国内EC(電子商取引)流通総額も前期比13.7%増えて2.01兆円と2兆円の大台に乗せた。国内EC流通総額とは、ECモール「楽天市場」などのEC関連事業で消費者が支払った金額の合計額だ。総合ネット通販市場では直販が主体の米アマゾンと、楽天市場に出店者を集めるモール型の楽天が2強である。国内で楽天は、他社を寄せ付けない盤石な体制を誇る。