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武田薬品の危機 経営陣が空中分解 巨額報酬の外国人幹部、相次ぐ敵前逃亡

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武田薬品工業東京本社(「Wikipedia」より/Lombroso)
 武田薬品工業の定時株主総会で、長谷川閑史会長の取締役再任への賛成率は80.15%にとどまった。関東財務局に提出された臨時報告書でわかった。昨年の賛成率(89.29%)から9.14%低下した。長谷川氏は今年4月1日付で最高経営責任者(CEO)を退き、6月26日付で代表権のない会長になった。クリストフ・ウェバー社長への賛成率は87.68%(昨年は90.36%)。信任の目安は賛成率90%である。長谷川氏が推し進める人事のグローバル化路線は、信認されたとはいいがたい。

 武田は6月26日、大阪市浪速区の大阪府立体育館で定時株主総会を開いた。株主総会直前にフランソワ・ロジェ最高財務責任者(CFO)が辞任し、急遽、取締役選任リストから除外されるという事態が起こった。フランス人のロジェ氏は今回、スイス食品大手ネスレの次期CFOに引き抜かれた。

 総会ではロジェ氏の辞任について長谷川会長が陳謝したほか、ウェバー社長も「企業のグローバル化を図る中でヘッドハンティングは避けられないが、(就任から)2年で辞任は短すぎる」と遺憾の意を表した。ウェバー社長がロジェ氏の転職を知ったのは総会4日前の22日。株主に配布されていた株主総会の取締役選任議案にロジェ氏の名前は入っていた。

 ロジェ氏が総会直前に退任を表明したことに、株主からの質問や意見が相次いだ。15問あった株主からの質問や意見の3分の1が、「社内の人材を育てていくべきだ」など突然の辞任に関連する内容だったもよう。外部から招かれ昨年6月に就任したウェバー社長に対しても、株主が「骨をうずめるのか」と詰め寄る一幕があった。

 こうした質問が出るのには、大きな理由がある。昨年12月下旬、「ウェバー社長を世界3位のメガファーマ(世界的製薬企業)、フランスのサノフィが次期CEO候補に挙げている」との報道が欧州で駆けめぐった。ウェバー氏は「私は辞めません」と社内サイトで社長を続ける意思を強調したが、社長に就任してわずか半年で「当然、予想される事態が起こった」(武田役員OB)。

「長谷川氏がヘッドハンティングしてきた外国人役員たちには、もっと条件の良いポストが提示されればすぐに移籍する“腰かけ”なのでは、との不信の目が向けられている。それが現実となったのが、ロジェ氏の総会直前の転職だった。“敵前逃亡”と非難の声が上がるのも無理はない」(証券アナリスト)

人事のグローバル化を担う経営幹部3人が退任


 武田のグローバル化を推し進めてきた長谷川氏は、欧米のメガファーマと競争できる体制を整えるために、経営幹部に外国人を多数スカウトした。新設したCFOに招いたロジェ氏は、25年超にわたり食品、通信、医薬品業界に身を置いて大型合併を経験し、メキシコから南アフリカ、ルクセンブルクと世界を駆けめぐってきた人物だ。