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三菱UFJ銀がある地方銀行につくった“借り” 多すぎる地銀の淘汰が加速!

文=編集部
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 13年10月、古田知事は15年度以降の指定金融機関として、大垣共立銀行と5年間契約する追加議案を県議会に提出、県政自民クラブの賛成で可決した。これにより、十六銀行から大垣共立銀行へ指定金融機関の交代が決まり、十六銀行では頭取が堀江博海氏から村瀬幸雄氏に交代した。

規模拡大に突き進む十六銀行

 指定金融機関の座を奪われた十六銀行は、村瀬頭取のもとで規模拡大に突き進む。十六銀行は今年3月、三菱東京UFJ銀行が保有する十六銀行の優先株をすべて取得し、消却した。取得額は200億円だ。

 優先株は旧岐阜銀行が発行し、12年に十六銀行が旧岐阜銀行を吸収合併した際に三菱東京UFJ銀行に交付していた。優先株を買い取ったのは、増資やM&Aに当たり、優先株が残っていると機動性が失われるからだ。

 優先株を消却したことは「十六銀行が再編に打って出る準備が整った」(東海地区の有力地銀の頭取)と受け止められた。

十六銀行のターゲットは、三菱東京UFJ系の中京銀行

 十六銀行の再編のターゲットは、三菱東京UFJ銀行系の第二地銀である中京銀行(愛知)だ。

 現在のメガバンクは合併前の都市銀行時代に、株式の持ち合いを通じて地銀を囲い込んでいた。しかし、00年代に入りメガバンクが誕生すると、グローバル戦略に軸足を移したため、地銀を抱え込む必要がなくなった。三菱東京UFJ銀行は12年に旧東海銀行系の旧岐阜銀行を十六銀行に売却した。今回、旧三和銀行系の大正銀行をトモニHDに譲渡する。

 旧UFJ銀行(旧三和銀行と旧東海銀行が合併)の買収によって、三菱東京UFJ銀行の連結子会社として残っているのは、旧東海銀行系の中京銀行である。十六銀行にとって、中京銀行の買収は大きなメリットがある。15年3月期連結決算で検証してみよう。

【15年3月期連結決算】(以下銀行名 預金残高、貸出金残高、当期純利益/単位:億円)

十六銀行 5兆2273、3兆8545、227
大垣共立銀行 4兆3211、3兆5544、113
中京銀行 1兆7095、1兆2607、30

 十六銀行は大垣共立銀行に預金残高や利益で大差をつけているが、貸出金残高は僅差だ。県の指定金融機関が交代したことで、大垣共立銀行に追い上げられることは確実である。しかし、中京銀行を買収することができれば、東海地区では預金残高7兆円規模の巨大地銀になる。大垣共立銀行を突き放すだけではなく、隣接する愛知県を地元化できる。

 三菱東京UFJ銀行は、お荷物だった旧岐阜銀行を十六銀に引き取ってもらった借りがある。中京銀行を十六銀行に売却して、借りを返す公算が高い。東海地区の再編は、十六銀行と中京銀行が先陣を切るだろう。
(文=編集部)

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