主要なメーカーの商品を概観すると、各社とも機能性を訴求した商品のラインアップに注力している。
例えば、雪印メグミルクはガセリ菌SP株使用の「ガセリ菌SP株ヨーグルト」、明治は順天堂大学医学部の研究でワクチン効果が解明されたR-1乳酸菌使用の「R-1」、カルピスは一般的な乳製品から摂取できないL-92使用の「L-92」。このほかにもキリンが免疫細胞を活性化させるプラズマ乳酸菌使用の飲料水「守って!力水」、パインが乾燥させた菌を使用した飴「乳酸菌10億個」をそれぞれ販売している。
●拡大続ける乳製品市場
乳製品全体の市場規模に関する公的なデータは見当たらないが、ヨーグルトについては雪印メグミルク営業統括部・市乳営業企画グループの相沢利規氏によると「震災以降、11年下期から売れ行きが特に伸びて、毎年10%近いペースで伸びています。ヨーグルトは成長市場です」という。
今年3月、雪印メグミルクは前出の「ガセリ菌SP株ヨーグルト」の新商品であるドリンクタイプを含めて計3アイテム発売する。ガセリ菌とは「日本人の小腸から最も多く検出される善玉菌で、日本人と相性の良い菌」(相沢氏)。さらに生きた状態で腸に長くとどまることが世界で初めて確認された菌である。
同社は、その中から最も機能性の高い一株(菌の構成要素)を抽出して「ガセリ菌SP株」と名づけた。ガセリ菌SP株の機能的特性は、主に以下の5つである。
(1)整腸作用
(2)内臓脂肪蓄積抑制効果
(3)免疫力増強効果
(4)感染予防効果
(5)抗ストレス作用
同社は菌の効果について、肥満治療の第一人者である土田隆医師を起用したセミナーや新聞広告などで啓発している。さらに「朝食以外にヨーグルトを召し上がっていただくために、ヨーグルトを使用したレシピを提案していく」(同)方針だ。
いまやヨーグルトは老若男女の各層に消費されているが、地域別に見ると、売れ行きに相違があるという。
「一世帯当たりのヨーグルトへの支出金額を見ると、酪農と結びつきが深い東北や北関東が非常に高い一方、物流網や配送拠点の問題で遠隔地が低いのが現状です。品揃えを強化することで、まだまだ伸び代のある市場といえるでしょう」(同)
健康管理の初歩は生活習慣の改善からとわかりきっていても、持続するのは決して容易でない。その点、乳酸菌食品の摂取ならローコストで手間も少ない。さっそく始めてみるのもよいだろう。
(文=編集部)