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乃木坂46、中西アルノをセンターに据えたワケ…活動自粛で思わぬ副産物も

文=上杉純也/フリーライター
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乃木坂46、中西アルノをセンターに据えたワケ
乃木坂46『Actually…』(Amazon.co.jpより)

人気女性アイドルグループ・乃木坂46の待望のニューシングルが、3月23日にリリースされた。今作で29枚目となる『Actually…』のセンターを務めるのは、5期生の中西アルノ。2月1日に加入が発表されたばかりの5期生が歴代14人目となる新センターとして抜擢され、同時にグループ史上最速でセンターとなる快挙を打ち立てた。

 しかし喜びも束の間、現在彼女はグループ加入前の“ある経歴”が問題視され、活動を自粛するという、まさかの事態となっている。

 ここで注目したいのは、この異例ともいえるほどの早さで、“なぜ、中西アルノがセンターに起用されたのか?”である。何か理由がなければ、いきなりのセンター起用とはならなかったハズだ。恐らくそれは、ほかならぬ彼女だけが持つ凄さなのではないか。そこで今回は、あえて乃木坂46の新センター・中西アルノの“どこが凄いのか?”を考えてみたい。

 まずは彼女の簡単なプロフィールから紹介しよう。生年月日は2003年3月17日で、19歳になったばかり。出身地は千葉県、血液型はA型、身長は157センチ、好きな食べ物はマカロン。長所は生き物に優しい点、逆に短所は手先が不器用なことと自己分析している。好きな色は青で、好きな乃木坂46の楽曲には10thシングルの『何度目の青空か?』を挙げている。

 ペットとしてトイプードルを飼っているが、それに加えてトカゲやヤモリなど、6匹の爬虫類を飼育しているという。ちなみに、その名前は友達の名前から取っていて、“コジマ”や“オノテラ”、“フジ”といった独特のセンスが感じられる。10代の女子にしてはかなり珍しいタイプだろう。

 センスだけでなく、その存在感にも独特のものがある。パッと見た際にもっとも目を引くのが、乃木坂46には珍しい“ショートカット”のヘアースタイルだということ。黒髪ロングヘアーが多い同グループにあって、かなり印象に残るのだ。5期生で唯一というだけでなく、グループ全体を見回しても貴重なボブヘアなのである。つまりはすでに“キャラが立っている”というか、これまでお披露目されている5期生の中で1人、タイプが違う感じなのだ。

 いや、グループ全体を見渡しても“稀な存在”だといっていい。クールビューティーな佇まいのなかに垣間見せる儚げな表情が強烈なインパクトを放っている。それでいて眼が真っすぐで力強い。これまでの乃木坂46の歴史を振り返っても、かなり個性的でその存在感はかなり異色だ。

 さらに、その歌声も異彩を放っている。5期生のファンお披露目イベント“お見立て会”での特技披露で、あの尾崎豊の名曲『I LOVE YOU』を熱唱。この曲はオーディションの最終審査でも歌っており、彼女自身「自分の人生を変えてくれた曲といっても過言ではない」と語っている。

 その歌声は平常時の脱力系ボイスからは想像もつかないような圧倒的な声量で、深みも伸びもあるものだった。なかでも驚かされたのは、艶やかかつ低音の柔らかな歌声である。それは“グループ随一の歌唱力”と評された卒業生の生田絵梨花の歌声とも違う、今までの乃木坂46にはなかった、新しい歌声だったのだ。

『Actually…』​​は中西アルノがいたからこそ生まれた曲か

 かつてない存在感とかつてない歌声を合わせ持つ中西アルノをセンターに据え披露された『Actually…』は、これまた今までのシングル表題曲にはなかった“曲調”であった。公式サイトに書かれたこの曲の概要には、“独特な世界観そしてミステリアス感漂う、今までのシングル表題曲にはない楽曲”とあり、サウンドは打ち込みの強い壮大なダンストラックとなっている。ひとことで表すならば“クール系”というべきか。

 実際のパフォーマンスも、斬新かつ大胆な構成となっていた。1番のサビにかけてはほぼ中西のソロパートとなっていて、そこから次第にほかのメンバーの歌割りが続いていく流れになっているため、コンテンポラリーダンスの主体にいる中西の存在感がより強調される楽曲となっているのである。

 この歌割りとダンスの構成要素から、これまでの乃木坂46にはなかった新星・中西アルノを全面に出すという狙いが読み取れる。それはすなわち、今年デビュー10周年を迎えたグループが、次の10年に向けて進むための“新たな可能性”を模索し始めたということだろう。この曲の歌い出しは4期生の清宮レイが担当しているが、その歌詞は「You know I need to find something, real bad…」という、実に意味深な英詞なのである。

 5期生オーディション中に突如として現れた中西アルノは、これまでの乃木坂46には存在しなかった“新たな原石”だった。その原石が見つかったからこそ、“新たな世界観”に挑戦することができる。そしてそのためには、大胆とも思える新センター抜擢が必須条件だった。

『Actually…』​​は中西アルノがいたからこそ生まれた曲なのではないか。この楽曲でグループは次の10年へのスタートを切る。そこには“新境地”を開拓しつつ、もちろん今までの“乃木坂らしさ”も残していく。そういう意図が込められているのではないだろうか。

 現在、中西は活動自粛中だが、一方でこの逆境が思わぬ副産物を生み出したのも事実である。限られた時間の中で、新たなフォーメーション&振り付けの『Actually…』を披露したのだ。センターは1期生の齋藤飛鳥と3期生の山下美月のWセンターという布陣になり、この2人が手を合わせ、歌い出すところからパフォーマンスが始まる。まさに『Actually…』新バージョンの誕生であった。

 さらに驚くべきは、この新バージョンの完成度が高いことだ。表現力を筆頭に、先輩メンバーがこれまで培ってきた実力を見せつけられた感じなのである。そこには“彼女たちなりの世界観”が確かに存在していた。

 それでも忘れてならないのは、新フォーメーションがWセンターということだ。それはつまり、“真ん中”があることを意味している。先輩たちはちゃんと席を空けて、中西アルノの帰りを待っている。

上杉純也/フリーライター

上杉純也/フリーライター

出版社、編集プロダクション勤務を経てフリーのライター兼編集者に。ドラマ、女優、アイドル、映画、バラエティ、野球など主にエンタメ系のジャンルを手掛ける。主な著作に『テレビドラマの仕事人たち』(KKベストセラーズ・共著)、『甲子園あるある(春のセンバツ編)』(オークラ出版)、『甲子園決勝 因縁の名勝負20』(トランスワールドジャパン株式会社)などがある。

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