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Duolingo創業者、生成AIで教育の未来を拓く…英語学習はなくならない

2025.04.16 2025.04.18 20:15 グローバル
Duolingo創業者、生成AIで教育の未来を拓く…英語学習はなくならないの画像1
Duolingoの創業者兼CEOのルイス・フォン・アーン氏

記事の概要

 Duolingoの創業者兼CEOのルイス・フォン・アーン氏と、CMOのマニュー・オーサード氏が来日。それを記念して開催されたトークイベントで、今後の同社の戦略やテクノロジーの導入について話を聞いた。

【目次】

 

 世界中で利用されている人気の語学学習アプリ「Duolingo」。その特徴は、ゲーム感覚で楽しく言語を学べることにある。ユーザーは、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの練習を通じて、新しい言語を習得することができる。

 Duolingo最大の魅力は、無料で利用できる点にある。基本的な機能はすべて無料で提供されており、誰でも気軽に語学学習を始めることができる。有料プランも用意されており、広告の非表示やオフライン学習などの追加機能が利用可能。

 DuolingoはAI技術を積極的に活用しており、学習内容のパーソナライズや学習効果の最適化に役立てている。ユーザーの学習データに基づいて、個々のレベルや進捗に合わせた学習プログラムが提供されるため、効率的に学習を進めることができる。

 さらにDuolingoは、英語だけでなく、スペイン語、フランス語、ドイツ語、中国語など、42の言語に対応。また、近年では語学だけではなく数学や音楽など、語学以外の分野の学習コンテンツも提供しており、総合的な学習プラットフォームとしての地位を確立しつつある。

 Duolingoは、その革新的なアプローチと高い学習効果により、世界中で多くのユーザーに支持されている。月間アクティブユーザーは1億2000万人を超え、言語学習アプリとしてだけでなく、教育分野におけるAI技術の活用事例としても、注目を集めている。

Duolingoが描く教育の未来

 Duolingoは2011年に設立され、「世界最高の教育をすべての人に無料で提供する」というミッションを掲げている。現在、月間アクティブユーザー数は1億2000万人を超え、世界中で利用されている人気の語学学習アプリとなっている。

 Duolingoの創業者であるルイス・フォン・アーン氏は、利用者が1億人を超えたとはいえ、「まだ始まったばかり」との見解を示し、今後の教育環境について、「学びたいと思ったときに、誰でも無料で学べるようにしたい」と述べ、世界で誰もが気軽に学ぶためのプラットフォーマーとなるビジョンを掲げる。

AI技術の活用

 Duolingoは、AI技術を積極的に活用しており、学習内容のパーソナライズや学習効果の最適化に役立てている。例えば、AIキャラクターとの会話練習機能は、有料プランのユーザーに提供されており、AIが個々のレベルや進捗に合わせて適切なフィードバックを提供することで、効果的なスピーキング練習を可能にしている。

 また、Duolingoは、大量の学習データをAIが解析することで、ユーザーの学習傾向や課題を把握し、より効果的な学習プログラムの開発に繋げている。

多様性の尊重

Duolingoは、言語学習における文化的な側面も重視しており、教材には各言語の文化的な背景や習慣が反映されている。例えば、日本語のコースでは、寿司や温泉など、日本の文化に触れることができる。また、フランス語のコースでは、パリの様々な地区が紹介されている。言語だけでなく、文化的な理解も深めることができるように設計されているわけだ。

翻訳ツールの進化と語学学習の未来

 UNICORN JOURNAL編集部はルイス氏に、語学学習の未来予測および収益モデルの方向性についてたずねた。

ーー近年、翻訳ツールの精度が向上しており、語学学習の必要性が低下するのではないかという懸念も出ていますが、どうみています。

ルイス氏「語学学習のニーズは今後も増加するとみている。英語学習は、キャリアアップや進学など、実用的な目的で学ぶ人が多く、今後もその傾向は続くでしょう。また、趣味として語学を学ぶ人も一定数存在し、AI技術の進化にかかわらず、学習意欲は維持されると考えています」

ーーDuolingoは無料ユーザーと有料ユーザーの2つの層が存在するが、それぞれの割合はどのくらいですか。

ルイス氏「月間アクティブユーザーのうち、約10%が有料ユーザーであり、残りの90%が無料ユーザーです」

ーーDuolingoは無料版と有料版で学べる英語レベルに大きな差がなく、有料版へ移行するインセンティブが働きにくいように思えます。今後も無料版の広告収入と一部の有料版というビジネスモデルを続けるのか、それとも有料版を充実させるなど有料ユーザーの拡充を狙う方向へ舵を切る可能性があるのでしょうか。

ルイス氏「無料ユーザーは広告が表示される代わりに、基本的な機能を無料で利用できます。一方、有料ユーザーは、広告の非表示やオフライン学習などの追加機能が利用可能です。AIを英語で会話できるのは有料版だけです。Duolingoは、無料ユーザーを増やしつつ、有料ユーザーへの転換を促進することで、持続的な成長を目指しています。ただ、無料版ユーザーを軽視することなく、無料版ユーザーと有料版ユーザーの両方を増やしていきたい」

今後の展望

 Duolingoは、語学学習アプリとしてだけでなく、総合的な学習プラットフォームとしての成長を目指している。ルイス氏は、「スマートフォンでほとんどのことが学べるようにしたい」と語り、Duolingoが教育の未来を担う存在になることを示唆した。

 Duolingoは、AI技術を駆使し、革新的なアプローチで語学学習のあり方を大きく変えようとしている。無料でありながら質の高い学習コンテンツ、ゲーム感覚で楽しく学べる仕組み、AIによるパーソナライズされた学習体験などが、多くのユーザーに支持されている。今後もAI技術を活用し、さらなる学習効果の向上と学習領域の拡大を目指していくと考えられる。

(文=UNICORN JOURNAL編集部)

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