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AIとの対話が驚異的に進化…まるで人間相手のようにキャラクターと自然な会話

2025.04.17 2025.04.18 20:15 ユニコーンアイ

Spiral AI社 会話型友だちAIアプリ「HAPPY RAT」ローンチ発表会

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左から佐々木雄一氏、梶裕貴さん、杉中克考氏

●この記事の概要

 SpiralAI株式会社は4月17日、感情特化型LLM 「GEPPETTO」を発表。極めて自然に会話ができるAIで、従来のチャットボットなどとは一線を画す。そのGEPPETTOを搭載したアプリ「HAPPY RAT」が同日、提供を開始。コラボが決定した声優の梶裕貴さんがアプリのデモンストレーションを行った。

【目次】

 大規模言語モデルなどのAI技術を用いたサービスの開発を行うSpiralAI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:佐々木雄一)は、同社が開発した日本発の感情特化型LLM (大規模言語モデル)「GEPPETTO(ゼペット)」を搭載した、ユーザー向けの会話型友だちAIアプリ「HAPPY RAT」を4月17日から提供を開始した。

 SpiralAI社はゼペットの応用第一弾として、会話型友達AIアプリ「HAPPY RAT」をリリース。ゼペットは、AIに命を吹き込むエネルギーとして開発され、童話「ピノキオ」に登場するゼペットじいさんにちなんで命名されたという。

 ゼペットは、キャラクターを構成する技術、キャラクターに個性を与える技術、リアルタイムで音声合成を行うシステム、会話の奥行きを作り出すトピック制御技術など、様々な技術の集大成となっている。

AIのサイズとコストの最適化

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 SpiralAI社CEO佐々木雄一氏が特に重視したのは、AIのサイズとコストの最適化だ。多くの巨大IT企業が、より賢いAIを目指してモデルサイズを拡大する開発競争を繰り広げる中、ゼペットはNVIDIA L4 TensorコアGPUとNVIDIA TensorRT-LLMを活用することで、わずか12Bパラメーター非常に小規模なLLMでありながら、自然な会話を可能にする技術を詰め込んでいる。同氏は、AIとの会話というユースケースが今後広がると考え、コストと性能のバランスを重視し、12Bパラメーターというサイズが今後のデファクトスタンダードになるとの考えを示す。また、さらなるコストダウンにも取り組み、将来的にはユーザー一人ひとりに最適化された個別のモデル提供を目指すとしている。

 AIの社会実装において重要なキーワードとなる推論に関して、ゼペットはGPUメーカーNVIDIAの推論専用チップL4に特化して最適化されており、推論コストを大幅に削減している。一方でゼペットは、従来のAIのように一つのトピックが終わると会話が収束するのではなく、ユーザーの興味関心を分析しながら会話を広げるよう学習されている点も特徴である。

 ゼペットには、アライメントという技術を用いた倫理フィルターが組み込まれており、個別の倫理フィルターを作成し、様々な価値観を埋め込むことが可能である。これにより、例えば20代の女性芸能人のような、特定の人物の価値観を反映したAIを生成することもできる。

 ゼペットの会話の奥行きを作り出す過程では、占い師などの会話のプロから話を聞き、学習データを作成している。佐々木氏は、占い師との会話で、相手の言葉に耳を傾けたくなるような、心地よい言葉の重要性を学んだという。

ゼペットの高い汎用性

 日本はキャラクターIP(知的財産)大国として知られており、キャラクターIPと対話AIの相性は非常に高い。SpiralAI社は、国内のIPホルダーと連携してショーケースを制作し、来年以降はグローバルIPとのコラボレーションも視野に入れている。

 ゼペットは対話AIとして、エンターテイメント領域だけでなく、教育、介護、観光、ロボティクスなど、言葉がインターフェースとなる様々な領域での活用が期待される。同社は、最終的にゼペットが人々の身近に浸透し、パートナーとして使われる未来を描いている。

会話型友達AIアプリ「HAPPY RAT」

 ゼペットの応用第一弾としてリリースされた「HAPPY RAT」は、感情豊かな多数の動物AIキャラクターたちがユーザーと会話を通してコミュニケーションを取るアプリである。従来のチャットボットとは異なり、動物たちが話している中にユーザーが飛び込むような、没入感のある体験を提供する。また、ユーザーとの会話を記憶し、さまざまなキャラクターがユーザーとの過去の会話の上に立ち、会話を繰り広げることができる点が特徴となっている。

アプリの特徴

・複数AI対話: AI同士の対話シーンにユーザーが参加することで、まるでアニメの中にいるかのような没入感を体験できる。

・ユーモアを持ったAI: 倫理フィルターのカスタマイズにより、ユーモア表現が可能なAIを実現している。

・個性豊かなAIキャラクター: アライメント技術により、多数の個性的なキャラクターが登場し、それぞれに名前、性格、夢、悩み、そして寿命が設定されている。キャラクターたちは、泣いたり笑ったりと感情豊かに表現し、ユーザーは言葉を通して彼らにアドバイスしたり、解決策を与えたりすることができる。

「HAPPY RAT」はローンチ時点で99カ国語の入力に対応しており、出力は日本語のみだが、字幕を英語にすることで英語ユーザーも利用可能である。今夏には英語の音声出力も可能になる予定で、グローバル展開を本格化させるという。

キャラクター演出はポケモンの技術を応用

「HAPPY RAT」に登場する個性的なキャラクターの演出は、ゲーム業界で17年の経験を持つ株式会社クロノゲートの代表取締役社長、杉中克考氏が担当した。杉中氏は、AIとリアルタイムに会話する中で感情が動くような体験の実現を目指し、ゲーム制作の文法をAIに応用する初の試みに挑戦した。AIが生成するシナリオに対して、キャラクターの表情や動き、カメラワークをリアルタイムで演出する技術は、「ポケットモンスター」シリーズの開発で培われた、キャラクターを生かす技術が活かされているという。

 杉中氏はAI演出において、「100点の正解よりも、ちょっとしたズレが人間らしさを際立たせることがある」という発見があったと語る。また、限られたリソースの中で最大限の体験を作るという、ゲームフリークの精神を受け継ぎ、高コストなグラフィックよりも感情や体験に重きを置いたものづくりを行った。

「HAPPY RAT」今後の展開

 SpiralAI社は、「HAPPY RAT」を単なるアプリとしてではなく、YouTubeやInstagramに代わるような新しいコミュニケーションの形、日本のITが世界に追いつくための窓口、タレントやIPホルダーが気軽にコラボレーションできるプレイグラウンドとして位置づけている。

 同社は、AIが業務効率化のためのツールとして使われるだけでなく、温もりを持った存在として人々に受け入れられることを目指し、そのイメージを日本から世界に発信したいと考えている 。この思想に共感した多くのタレントや声優、IPホルダーとのコラボレーションが決定しており、芸人のサンシャイン池崎さんや声優の梶裕貴さんとのコラボレーションがすでに発表されている。

声優 梶裕貴さんとのコラボレーション

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 声優の梶裕貴さんは、自身のオリジナルプロジェクト「そよぎフラクタル」と「HAPPY RAT」のコラボレーションについて語った。梶さんは、佐々木氏との対談をきっかけに、声の権利問題などエンターテイメントにおけるAIの課題について深く考えるようになり、同社の「人間の愛情やぬくもりをAIに吹き込みたい」という理念に共感したという。

 梶さんが声を担当し、設定やビジュアルにも深く関わったAIキャラクター「梵そよぎ」は、「HAPPY RAT」の世界では他の動物たちとは異なるAIとして登場する 。梶さんは、AIキャラクターと人間とのやり取りを通じて、愛情のようなものを育んでいける点がハッピーラットの魅力だと語った。

 梶裕貴さんが声を担当するAIキャラクター「そよぎ」は、4月17日20時から、AIによるユーチューバー「アイチューバー」として、独立して生配信を行う 。SpiralAI社は、この試みを通じて、完全クリーンな形で生成された新しいLLM「ゼペット」の可能性を示し、視聴者とのインタラクションを通じて「そよぎ」という人格を共に作り上げていく参加型の番組を目指す。

(構成=UNICORN JOURNAL編集部)

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