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1本3万8500円の高級日本酒を使ったアイス…頭打ちの国内市場、海外展開に活路

2025.04.28 2025.05.01 19:53 ユニコーンアイ
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SAKEICE BAR!

 東京駅八重洲口に、日本酒とアイスクリームの革新的な融合を体験できるSAKEICE BARがオープンした。これは、ただのアイスクリーム店ではない。日本酒の奥深い世界と、アイスクリームの豊かな風味が織りなす、まさに大人のための贅沢な空間となっている。

 SAKEICE BARの最大の特徴は、株式会社えだまめが開発した「SAKEICE」という特別なアイスクリームを提供している点にある。このSAKEICEは、ただ日本酒を混ぜただけのアイスではない。冷凍技術のコンサルティングを行う株式会社えだまめが、長年の研究と試行錯誤の末に開発した、アルコール度数が1%を超える本格的な日本酒アイスクリームなのだ。

 従来、アルコール度数が高いアイスクリームの製造は、法律によって制限されていた。しかし、株式会社えだまめが国税庁と協議を重ね、一定の条件を満たせば製造可能であるという新たな法解釈を得ることに成功。これにより、SAKEICEという革新的な商品が誕生し、私たちに新たな食体験をもたらしてくれるようになりました。

 SAKEICE BARでは、様々なお酒、特に日本酒を使用したアイスクリームを提供している。特に注目すべきは、1本(720mL)3万8500円という高級日本酒ブランド「SAKE HUNDRED」とのコラボレーションによって生まれた、特別なSAKEICEだ。このコラボレーションアイスクリームは、SAKE HUNDREDの日本酒「百光(びゃっこう)」を使用。一口ふくめば日本酒の芳醇な香りとアイスクリームの濃厚な甘みが口の中で溶け合い、至福の瞬間を与えてくれる。

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 SAKEICE BARは、日本酒の新たな魅力を発見する場所でもある。若い世代を中心に、日本酒に馴染みのない人々も気軽に楽しめるよう、アイスクリームという親しみやすい形で日本酒を提供。その結果、「今まで日本酒に興味がなかったけれど、SAKEICEをきっかけに日本酒が好きになった」という声も多く聞かれるという。

 店内は、落ち着いた雰囲気の中でゆっくりとお酒とアイスクリームを堪能できるよう、こだわった空間デザインが施されている。仕事帰りに一人で、あるいは大切な人と二人で、特別な時間を過ごすのに最適といえる。

 株式会社えだまめ代表取締役でSAKEICE開発者の成田博之氏は、「SAKEICEは、日本酒市場に対し、新しいアプローチで新しい日本酒の楽しみ方を提案している」と胸を張る。SAKEICEの顧客は20代から30代の女性が中心で、日本酒に詳しくない人が多いが、アイスをきっかけに日本酒を知ってもらい、購入につなげることを目指すという。国内では人口の減少や若者の酒離れが進むが、日本食や日本酒への注目が高まっている海外展開にも力を入れている、特に台湾市場が好調で、現地企業と合弁会社を設立し、現在は路面店の展開も計画しているという。同氏は「日本酒の未来は海外市場の開拓が重要であり、SAKEICEも海外での展開を強化していく」との意向を語る。

 また今回、SAKEICEとコラボした株式会社Clear代表取締役CEO 兼 SAKE HUNDREDブランドオーナー・生駒龍史氏も、日本酒産業は国内市場では苦戦しているが、海外市場では成長しているとの見方を示す。

「SAKE HUNDREDは、日本の技術力や米の品質の高さを世界に伝え、日本酒の魅力を広めることを目指しています。様々なアプローチで日本酒のファンを増やしたいと考えており、SAKEICEとのコラボレーションもその一環です。今回のコラボレーションを通じて、SAKE HUNDREDはこれまでリーチできなかった層へのアプローチを期待しています。

 日本酒は、特別な体験を提供するものとしての価値があり、SAKE HUNDREDは非日常的な体験を追求したブランド設計を行っています。日本酒市場の未来は明るく、多様なプレイヤーの参入によって市場が活性化することを期待しています」

成田氏と生駒氏へのインタビュー

 UNICORN JOURNALは成田氏と生駒氏に話を聞いた。

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株式会社えだまめ 代表取締役 成田 博之

1985年兵庫県生まれ。一橋大学商学部卒業後、広告代理店に入社し某大手酒メーカーの制作・媒体・商品開発などのマーケティングのプロジェクトを担当。その後、スタートアップへ転職してコンテンツ制作会社の役員CMOに就任。2015年に冷凍技術・冷凍ビジネスに特化した冷凍食品事業コンサルティング会社「株式会社えだまめ」を創業、代表取締役に就任。2020年に世界初の日本酒たっぷりのアイスクリーム「SAKEICE」を販売開始。2025年現在、オリジナルブランド「SAKEICE」は累計20万食を突破し、国内外で展開中。

――法令の解釈変更を得てSAKEICEの実現に至ったとのことですが、具体的にどのような条件を満たすことが求められたのでしょうか。

成田氏「飲み物じゃなくて食べ物と見なせるものであれば良いという解釈になりました。アイスクリームは一般に、飲むとは言わなくて食べます。つまり、これはお酒ではないですよね、と解釈することになったのです。強いてそれをお酒とみなすこともないので、酒税法の適用を外しますと判断されているのです。つまり、飲むか飲まないか、というところで線が線が引かれているという形です」

――製造工程などの条件ではなく、外形的に飲み物でなければいいということであれば、参入障壁は大きく下がったといえ、今後、他社がお酒を使ったアイスを作り始める可能性もあります。その際に十分に戦える、御社ならではの技術や強みがあるのでしょうか。

成田氏「そうですね。実際に酒アイスの専門店としてガッツリやってるのは、日本では私だけではないかと認識しています。SNSなどを見ると、ジェラート店などで多くの商品がある中の一つに、おそらくアルコール度数が1%以上と思われるものが出されているのは見ています。法令解釈の変更があって、日本中誰でも参入できるようになったことは、アイス以外のものでも、食べ物だと言えるものであれば作れることになったわけで、これはポジティブに市場が広がっているなと思いますし、その中で負けないように新しさや美味しさを届けていかなきゃいけないと思っています」

――今は日本酒のアイスをつくられていますが、焼酎など他のお酒も展開する可能性はあるのでしょうか

成田氏「はい。実は細々と取り組みを始めさせていただいております。去年、ユネスコで日本の伝統的酒造りが無形文化遺産に登録されたんですが、日本酒だけじゃなくて、伝統的酒造りなので、焼酎とか泡盛なども全部含まれています。以前からこのあたりも開発の取り組みをずっとやらせていただいておりました。焼酎も昔と違って結構新しい味、すごく香水のような香りのする芋焼酎など、ユニークなものが出ているので、アイスにした時に『これは違うね』と感じさせるものも多くあります。これはお客さんに喜んでいただいている商品になっております。このあたりは今も取り組んでますし、今後より広がっていくんじゃないかなと考えています」

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日本酒をつかったアイスの商品

――生駒氏にお伺いします。SAKE HUNDREDはかなり高級なお酒で、高級な飲食店などでも提供されていると思いますが、SAKEICEに関しても飲食店で提供されるのでしょうか

生駒氏「そうです。SAKEICEの流通自体、我々が持っているわけではないのですが、今後こういうことをしたいなという展望的な話で言うと、いわゆるミシュランの星付きレストランとかラグジュアリーホテルさんと、かなりのお取引があるので、そういったお店に提案させていただく形で、僕らのお酒も飲みつつ、デザートにSAKEICEはどうですかといった展開をできるといいなというふうには思っています」

 日本酒の味と香りがふんだんに感じられ、かつアルコールを飲んだときと同じ満足感も得られる斬新なアイス。贅沢な時間を過ごすのに最高のお供になるかもしれない。

(文=UNICORN JOURNAL編集部)

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