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家電量販店のポイントのカラクリ

ビッグのコジマ買収で揺れる家電量販! ポイント還元で得する方法

松岡賢治/フィナンシャル・プランナー
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ビッグのコジマ買収で揺れる家電量販! ポイント還元で得する方法の画像1家電量販店各社のポイントカード
 転勤などによる引っ越しが増えるこの時期、家電量販店で買い物をする人も多いだろう。いまや、どんなものを買うにしても、事前に『価格.com』に代表される価格比較サイトや、ネット店舗の価格情報をチェックすることは常識。調べた価格と家電量販店の価格を比較して、よりお得な買い物をするために必要なことだ。そこで、改めて、家電量販店が提供するポイントサービスの中身を理解し、上手な活用法を考えてみたい。

 まず、ポイントサービスについて。最も誤解されている点は、「ポイント還元」と「値引き」は違う、ということだ。例えば、10万円で10%ポイント還元の商品を買うと、ポイントは1万円分付いてくる。この時点で、なんとなく1割引されたと思ってしまうが、実は違う。そのポイントで1万円の商品を購入した場合、結果的には11万円の商品を10万円で購入したことになり、これを値引率として考えると約9.1%にしかならない(下記の計算式①参照)。

※ポイントの計算式①…10万円の10%ポイント還元商品の本当の値引率
・商品購入で得た1万円分(10万円×10%)のポイントで、1万円の商品を購入。         ↓
・出費は10万円。購入商品の合計額は11万円。
(11万円-10万円)÷11万円=約9.1%⇒本当の値引率

 10%だと大した違いはないようだが、これが20%ポイント還元だと実際の値引率は約16.7%となる。また、もし100%ポイント還元という商品があったとしても、値引率で換算すると50%でしかない。還元率が高くなればなるほど、見掛けの数字から受ける”お得感”と、実質的な”お得度”のギャップは広がっていくのである。この仕組みを理解した上で、ポイント還元後の価格と現金価格との比較をすることが大事なのだ。

 この家電量販店のポイントサービスを金融的に考えてみると、「店舗に利息の付かないお金を預けている状態」ということができる。したがって、獲得したポイントは、すぐに別の買い物で使いきってしまう方が、使い忘れも防げるため良いのだが、話はそう単純ではない。

 現在、銀行などの金融機関にお金を預けていても、普通預金なら0.02%程度しか金利が付かない。現金をタンスにしまっておいても大した違いはない。しかも、日本の経済状態はずっとデフレが続いている。デフレとは、モノの値段が時間の経過とともに低下していく状態。つまりデフレ下では、現金は金利が付かなくても、実質的には殖えているということになる。

 液晶テレビがわかりやすい例だが、パソコンやデジタルカメラなどのデジタルアイテムは、さまざまな新機能が一般化(=当たり前になる)するスピードが速い。家電のポイントをそのまま放置していたら、1年前は買えなかった大きさの液晶テレビが買えるようになった、なんていうことがよく起きる。ここ数年は、そうした高機能商品の低価格化が激しかった時期と重なっていたため、なんとなくポイントを持ちっぱなしにしていても、結果的にお得になった、というパターンが続いたのである(消費者物価指数は、価格に変化はなくても、高機能化した商品については”実質的な値下がり”と見なし、指数を算出している。そのため、マクロ経済的にも、デジタル家電が進歩すればするほどデフレが続く、という現象につながってしまうのである)。

 家電量販店のポイントが、他の業態のポイントサービスよりもお得感が強いのは、こうした背景がある。すでに説明したように、ポイント還元は現金値引きとは違うので、お得度の見極めを誤らないようにしたい。

肝心の活用術はこれだ!

 鉄則として忘れてはいけないのは、ポイントで商品を買う時は高還元率のものは避けるべし、ということだ。家電量販店のポイントサービスは、ポイントで購入する部分にはポイントは付かない。したがって計算すると、現金やクレジットカードで買えばポイントが20%付く商品を、還元率10%で得たポイントを使って購入すると損をすることになる。

 とすると、この逆のセオリーが生まれる。高還元率の商品購入で得たポイントで、低還元率の商品を購入するようにすると、手持ちの現金から実際に支払う額を少なくすることができる。次の計算式②でケーススタディをしてみよう。

※ポイントの計算式②…還元率の異なるポイントの活用法

<ケース>
以下の2つの商品を購入する。
 ・商品A(価格1万円、ポイント還元率10%)
 ・商品B(価格1万円、ポイント還元率20%)

<比較>
(1)Aを先に買った後でBを買う場合
   ・Aに1万円支払い、1000円分のポイントを得る
   ・1000円分のポイントを使ってBを購入
   →総支払額1万9000円+ポイント1800円分

(2)Bを先に買った後でAを買う場合
   ・Bに1万円支払い、2000円分のポイントを得る
   ・2000円分のポイントを使ってAを購入
   →総支払額1万8000円+ポイント800円分

<結論>
(2)のほうが、残るポイント数は1000円分少ないが、使う現金は1000円少なくなる。そしてちなみに、残りポイント1000円分で1000円の買い物をすると、ポイントは付かないが、現金支払いの場合は付く。

 家電量販店で低還元率の商品というと、プリンターで使用するインクや紙、SDカードなどのメモリー類といった、いわゆる消耗品が多い。こうした消耗品は、還元率が10%であることがほとんどで、ポイントで購入する商品として狙い目となる。

 ただし、ここにも落とし穴がある。量販店側は、当然、そうした事情を熟知しているため、消耗品の価格を高めに設定しているケースが散見される。楽天市場やアマゾンなどで購入したほうが、安いことが少なくないのだ。そこで、自分の使用頻度の高い消耗品の価格をあらかじめチェックしておいて、より安い量販店でポイントを貯めるようにする、という手もあろう。

 そこで、さらにオススメしたいのが、一般的には定価販売されている商品をポイントで買うということだ。「量販店に定価の商品なんてあるの?」という声が聞こえてきそうだが、ある。本や雑誌だ。大手量販店には書籍のコーナーが設けられていることが多く、ポイントで買う商品としては、最もお得となる(ヤマダ電機・池袋総本店ではマンガも買える)。

 本・雑誌以外では、ドラッグストアで扱うような雑貨、日用品もお得感が強い。こうした商品が並んでいる店舗は、大手チェーンの大型店に限定されてくるが、マツモトキヨシなどで売られている日用品と、ほぼ同程度の価格で購入することができる。特に、ヤマダ電機のポイントは、キムラヤでも使えるので利便性は高い。

 ポイント活用術のキモは、なるべく低還元率の商品購入の際にポイントを使う、割高な価格に設定されている商品には使わない、この2点だ。ここに注意すれば、有効にポイントを使うことができるだろう。
(文=松岡賢治/フィナンシャル・プランナー)

松岡賢治/フィナンシャル・プランナー

松岡賢治/フィナンシャル・プランナー

1963年生まれ。89年東京都立大学(現首都大学東京)法学部卒業。証券会社のリサーチ部門等を経て96年独立、97年ファイナンシャルプランナー資格を取得。クレジットカードをはじめ資産運用・投資関連等の記事を執筆。著書に『ロボアドバイザー投資1年目の教科書』。AllAboutガイド。

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