ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 不況下で独り勝ちの日立に暗雲  > 2ページ目
NEW
日立金属による日立電線の救済合併は失敗!?

不況下で独り勝ちの日立に暗雲 グループ再編の舞台裏

【この記事のキーワード】,

 総合電機の旗を下ろし、中核事業を社会イノベーションと定め、情報・通信、電力などに高機能材料までひっくるめて組織を見直した。赤字の元凶だった国内のテレビ生産や中小型液晶パネル事業から、いち早く撤退。最大の懸案であったハードディスク部門も売却した。巨額赤字がなければ、できなかった荒療治だ。

 構造改革の成功を数字が裏付ける。12年3月期は3471億円の最終黒字。過去最高益を2年連続で更新中だ。製造業で過去最悪の赤字を出した09年同期のドン底の業績からは、想像できないほどの急回復ぶりだ。

 テレビの大赤字3兄弟のソニー、パナソニック、シャープの3社が、合わせて1兆6000億円もの巨額赤字に沈むなか、日立が独り勝ちの状態となった。

 13年3月期に日立グループは全部門の黒字化を目指す。手付かずで残されていたのが日立電線だった。日立金属と日立電線は重点分野の高機能材料の中核企業と位置付けられている。合併で合理化を進め、高収益会社に変貌させるシナリオを描いている。

 だが、赤字会社を高収益会社に抱えさせた安易なやり方に、市場の反応は冷ややかだ。「投資家を納得させるような合併効果を早急に提示できないようだと、中西社長の構造改革路線にひび割れが起こる懸念がある」(前出のアナリスト)。海外の機関投資家からの評価は特に厳しい。

 国際電気、日立電子、八木アンテナが経営統合してできた日立国際電気の落としどころを決めなければならない。リチウム電池向け部材で高いシェアを持つ日立化成はスマートフォンやタブレット端末向けの基盤用材料に注力中。日立金属と日立電線の合併新会社に日立化成を合流させ、高機能材料の一大拠点を作るウルトラCがあるともいう。その入り口の日立電線の処理でつまずいた。

 かつて日本屈指のコングロマリット(複合企業)だった日立は、グループの再編で筋肉質の経営体に変わろうとしている。しかし、世界のコングロマリットとの力の差は歴然としている。日立グループの弱点は、事業や製品で圧倒的な世界シェアを持つ会社がないことである。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

『HITACHI ふとん乾燥機 アッとドライ』 電子技術の粋を集めたコレ。 amazon_associate_logo.jpg

不況下で独り勝ちの日立に暗雲 グループ再編の舞台裏のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!