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発表2日前の出来高急増に、市場関係者からの注目が集まる

ソフトバンクの大型買収をめぐり囁かれるインサイダー疑惑

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ソフトバンク本社機能が所在する
東京汐留ビルディング
(「Wikipedia」より)
 ソフトバンク株に投資家の注目が集まっている。

 ソフトバンク株といえば、米携帯電話3位のスプリント・ネクステル社の買収交渉に入ったことが明らかになった10月11日以降、12日の株式市場では、前日から15%(496円)も値下がりして2385円まで下落。週明けの15日にはさらに値を下げ、最安値では2200円にまで落ち込んだ。その後、孫正義社長がテレビに出て、買収に関して自信を見せたことで買い戻しが入り、連日ニュースをにぎわせた銘柄だ。

 ただし、投資家の注目はそこだけではない。このスプリント社の買収をめぐって、明らかに不自然な取引が行われているからだ。

「米国での買収交渉が明らかになったのは10月11日(木曜日)です。しかし、なぜかその2日前の10月9日(火曜日)の出来高が、1482万株と前日の2倍以上あるのです。ソフトバンクの株価は、その直前にも大きな動きがありました。10月1日にイー・アクセス買収を発表して下落に転じたのです。しかし、その時の最多の出来高でさえ、2日(火曜日)の984万株でした。この10月9日の時点ではソフトバンクに関してはめぼしい取引の材料が見当たらないにもかかわらず、1482万株もの異例の出来高になりました。しかも株価が一時下落しました。何も株価が下がるニュースがなかったにもかかわらず下落したのです。まるで、2日後に買収交渉が明らかになり、買収は株式交換による買収の可能性が高く、株式数の増加を嫌気した株式市場が『売り』に出るのをあらかじめ見越していたかのように、ソフトバンクを『売り』取引していた動きがあったのです」

 こう語るのは、個人投資家にして著書『インサイダー取引で儲ける人たち』(アスペクト刊)もある高島ゆう氏だ。高島氏によれば、この9日の取引に関して、「あらかじめ見越していたかのような」取引、つまり、インサイダー取引が行われていたのではないかという疑いの目で多くの投資家が見ているというのだ。

●今年春から夏にかけ、立て続けに摘発

 インサイダー取引とは、簡単にいえば、株価に影響を与える未公表情報をあらかじめ知ることのできる人物(インサイダー)が、一般投資家に抜け駆けして投資を行い、利益を得る取引だ。絶対に儲かる取引だが、株式市場の信頼にかかわるため、金融商品取引法によって禁じられている。過去には2006年の村上ファンド事件や、日経社員、NHK職員のインサイダー取引事件があったが、今年春から夏にかけても、増資案件をめぐるインサイダー事件が5件続いて摘発されている。「みずほフィナンシャルグループ」や「国際石油開発帝石」、「日本板硝子」の増資では、いずれも野村證券が情報漏洩に関与し、強い批判にさらされているというニュースも最近話題になっている。金融庁もインサイダー取引規制の強化策を明らかにし始め、業界を挙げて信頼回復に努めようとしているが、いまだにインサイダー取引が横行しているようだ。高島氏もインサイダー取引が疑われる別の事例を挙げた。

「住友金属鉱山株ですね。同社は、9月14日午前に自己株式取得のプレスリリースを行いました。自己株式の取得、いわゆる自社株買いは株式数が増加するために株価が上がりやすい。このプレスリリースの情報を知った人は、同社株に『買い』を入れるでしょう」

 確かに住友金属鉱山のチャートを見ると、それまで800円の年初来安値を付けていた株価は上昇を始めている。しかし、自社株買いが発表される前の段階ですでに960円まで株価が大きく上昇しているのだ。なぜか、発表前に「買い」を入れていた投資家が多かったのだ。

「市場の動きを見たいのであれば、株価のチャートではなく、出来高を見れば一目瞭然です。住友金属鉱山株の出来高は、なぜか9月7日(金曜日)から増え始めます。当初は387万株の取引で、『米国FOMCがQE3の実施を発表し、ドル安とともに金市況の先高期待から買われた』という分析がされていたのですが、その後も自社株買いの発表の前日9月13日(木曜日)まで4000万株を超える取引となったのです。それまでの出来高は3000万株がせいぜいだったので、この14日に至るまでの出来高の山のでき方が不自然なのです」(高島氏)

●情報が漏れやすいプレスリリース

 特に住友金属鉱山株のケースはプレスリリースだ。高島氏によれば、プレスリリースの場合は、情報が漏れやすい傾向にあるという。