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シャープ幹部「サムスンとの話がつぶれたらうちもつぶれる」…出資の舞台裏

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シャープ本社(「wikipedia 」より)
 本日(3月12日)付日本経済新聞朝刊は、3月6日に発表された韓国サムスン電子からシャープへの出資について、その背景と経緯を紹介している(記事『シャープ サムスン提携』)。

 シャープは昨年3月期決算で巨額赤字を計上し、主力工場である亀山工場も苦戦を強いられていた。最新の中小型パネルやテレビ用パネルを生産する第2工場も、昨年秋には稼働率が約3割にまでに落ち込んでいたという。

 そうした中、同記事によれば、昨年12月13日、サムスン副会長のイ・ジェヨンがシャープの奥田隆司社長と片山幹雄会長への表敬訪問のため、シャープ本社を訪れたという。液晶技術について訴訟で争っていた両社首脳による会談は、これが初めてだった。

 その席上でイ・ジェヨンは、サムスンによるシャープ堺工場への出資を打診したが、テレビ用大型パネルを生産する同工場は台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の鴻海グループから出資を受けたばかりだったため、奥田と片山は拒否した。しかし、同席していた藤本俊彦取締役が、シャープ本体への出資を打診すると、イ・ジェヨンは「考えましょう」と応え、ここから、資本提携に向けた交渉が動き出したという。

 こうした動きを受けてか、昨年12月頃、シャープ亀山第2工場では、急にサムスン向けのテレビ用パネルの生産が増加し、稼働率は約6割まで高まった。また同第1工場では、米アップルのスマホ「iPhone 5」向けパネルの生産量が急減した。シャープの大口顧客だったアップル向け生産の激減を受け、「サムスンとの話がつぶれたらうちもつぶれる」(シャープ幹部)というほど追い込まれていったという(同記事による)。

 しかし、交渉を主導した片山らから経緯の説明を受けたある幹部は、強い拒否反応を示し、シャープのライバルであったサムスンからの出資に、社内からは反対論も多く出た。一時は400億円程度という案も出た出資額が、最終的に発行済み株式の約3%である103億円にとどまったのは、こうした社内事情も影響したためとも考えられる。

 一方、昨年3月にシャープと資本・業務提携で合意していた鴻海の郭台銘董事長は、シャープとサムスンの資本提携が発表された3月6日の前日5日に、奥田と片山との会談を予定していた。しかし、サムスンとの件を耳にした郭は、急遽その会談をキャンセル。郭の狙いは、シャープと手を結び、液晶テレビなどデジタル製品でシェアを広げるサムスンを倒すことであり、それゆえ「シャープに裏切られた」との思いがあったと見られている。
(文=編集部)