NEW

金融円滑化法終了で倒産予備軍5〜6万社 公的支援策に現場から効果薄との声、相次ぐ

【この記事のキーワード】

,

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

金融庁が入居する霞が関コモンゲート
(「Wikipedia」より)
 大手企業に続いて中堅・中小企業も続々と賃上げという景気の良いニュースが流れているが、大方の中小企業はそんな状況にない。「公共工事削減でズタズタにされた我々に恩恵が回ってくるとしても、何年か先だろう」(建築塗装会社社長)、「アベノミクスは中小企業を視野に入れていない」(食品卸売会社社長)という声もあるほどだ。

 しかも、この4月から中小企業を取り巻く環境が一変する。3月末で中小企業金融円滑化法(円滑化法)の期限が切れたのだ。金融庁は、円滑化法を利用した企業は30〜40万社前後で、そのうち5〜6万社が自主再建困難と推計しているという。つまり、倒産予備軍が5〜6万社あるのだ。

 中小企業が円滑化法の適用を受けるためには、経営改善計画を提出するか、または1年以内に経営改善計画の提出を見込めることという条件があった。しかし、銀行関係者によると「適用を受けた企業には、適用から1年を経過しても計画を提出しないところも少なくなく、金融機関がその企業にヒアリングして作成していた」というお粗末な実態が散見されたのだ。さらに、この銀行関係者は「返済条件の変更を繰り返す企業もあった」と振り返る。

 そうした企業が自主再建困難と判断されるのだろうが、すでに円滑化法の効果が切れつつあることを示す兆候が表れている。

 東京商工リサーチの調査によると、2013年2月度の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は916件、負債総額が1,719億7,100万円。倒産件数は前年同月比11.7%減で、4カ月連続で前年同月を下回った。また、2月度としては、94年以降の過去20年間では99年(939件)を下回り、最少の件数となった。

この数字について、同社は「金融円滑化法などの各種金融支援効果で依然として倒産が抑制されている」と分析する。ところが、円滑化法利用企業に限ると、逆に倒産件数が増えているのだ。

 同じく同社の調査によると、13年2月の円滑化法に基づく貸付条件変更を受けた企業に限って見ると、倒産は36件で、12年10月の31件を上回り、10年1月の調査開始以来、最多となった。直近6カ月間では、12年9月が20件で前年同月を下回ったが、10月は31件、11月と12月が26件、13年1月が25件となり、5カ月連続で前年同月を上回った。「金融支援効果が薄らいできた」。同社はそう指摘する。

 もちろん円滑化法が切れた4月以降、金融機関は融資先を一挙に倒産させてしまえば、不良債権が急増するため、そのようなことはしない。「金融庁主導で毎年の倒産件数を一定の範囲内に収めるなどして、倒産のソフトランディングを図っていくのではないだろうか」と中小企業専門のコンサルタントは見通している。

 ソフトランディングの仕掛けが、多様な公的支援策である。まず昨年12月、金融庁は「金融機関が、貸付条件の変更等や円滑な資金供給に努めるべきということは、円滑化法の期限到来後においても何ら変わりません」との方針を表明して、不安の沈静化に入った。今年1月には「中小企業・小規模事業者等への支援」として、地域経済活性化支援機構の設立、動産・売掛金担保融資の活用促進などを発表した。

だが、どの施策も努力目標を示しているようなもので、法律の裏付けはない。前出の銀行関係者は疑問を投げかける。

「売掛金担保融資といっても、円滑化法を利用しても経営が改善しないような企業には、回収できない売掛金が多い。それを承知のうえで、あえて支援策として打ち出しているところに、あとから『支援したが救済できなかった』と釈明するためという意図が透けて見える」

●公的支援策に延命効果ない?

 公的支援策としては、次のようなものがある。

(1)経済産業省が各都道府県に設置した中小企業再生支援協議会(事業再生を支援)
(2)同協議会と中小企業整備基盤機構が中核となった中小企業支援ネットワーク(経営相談)
(3)同機構と地域金融機関などが連携した事業再生ファンド(出資・融資)
(4)地域金融機関や税理士法人など中小企業経営力強化支援法で認定を受けた経営革新支援機関(認定支援機関:計画策定支援)