このように、すでに日本は米国の半分規模となる巨大な市場を形成しているのだ。さらに人口対比換算をして国民一人当たりのEコマース市場を見ると、日本は米国の1.25倍に達する。
そうした動きと連動するように、このところ首都圏を中心に、ネット通販事業向けの最新鋭大型物流施設が続々と開業している。その背景には、アマゾンの即日配送に対する各社の強い危機感がある。たとえば楽天は、日本の人口の約7割をカバーするエリアに即日配送するため、100億円規模の投資を発表している。
一方、三井不動産も物流事業に初参入する。今後6年間で3大都市圏主体に約20棟の物流施設を建設し、即日配送も可能な多様なネット通販業者のニーズに対応するという。さらに三菱地所や大和ハウス工業などの異業種大手も、相次いでこの物流市場へ参入しだしてきた。
このような、いわば「物流バブル」とも言える現象は、物流系REIT(リート)相場が過熱してこの業界に資金がふんだんに流れ込んでくるなど、実需以外の要因も指摘されている。
それはともかくとして、こうしたハイテク物流施設の急増は、ネット通販の利便性と市場拡大をさらに促進することに変わりはない。従って有店舗小売業はそうした面からも、「わざわざ店に来てもらう」魅力と武器の明確化と強化が求められよう。
一方、前述のように増加、進化する「サードパーティ・ロジスティックス」に勝る究極の手法は、独自の自社物流方式の確立だろう。言うまでもなくそのベンチマーキング企業は、ネット通販ではアマゾン、そして有店舗では「しまむら」だ。
(文=月泉博/シーズ代表取締役)