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毎日の買い物が超便利になる!コンビニ考現学 第11回

コンビニのトイレの秘密~使用NG店舗の事情、アノ貼り紙に隠された狙い

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「足成」より

コンビニ歴21年・バイヤー歴15年の筆者がコンビニを選ぶ視点から、お得情報、裏ワザまでを伝授! バックヤード事情を見れば、毎日の生活が変わる――。

【今回のテーマ】
コンビニとトイレ

 コンビニを利用する客が、「コンビニで最も嫌な思いをしたのは?」という質問に対してよく挙げるのが、「トイレを我慢して、やっとコンビニにたどり着いたのに、トイレを貸してもらえなかった」ということだ。

 極限状態でやっと探し当てたオアシスで、トイレを貸してもらえなかったその時の憎悪は、その客の我慢した分と比例し増大する。そしてそれは、貸してくれなかった店舗だけではなく、そのチェーン全店に対する憎悪につながるわけだ。

 コンビニ側が客のトイレ使用を断るとき、「当店にはトイレはありません」ということもあるが、各店舗に従業員用は必ずあるわけで、トイレがないということはほぼあり得ない。

 バックルームにある金庫などお金を管理する場所の近くや、その動線上にトイレがあり、防犯上の理由で貸せないという場合が多い。また、オフィスビルテナントに入っているので、一般の客にはトイレを貸せないという店舗もある。観光地や、花火大会などの際に大量に人が来るイベント会場が近くにあり、トイレットペーパーや水道料金がかかるため貸さないことにしているという金銭的な問題によることもある。

●トイレ管理が店全体の管理につながっている

 当たり前だが、水道代やトイレットペーパー代もかかり、その上、従業員による掃除など、結構手間とコストがかかるのだ。こうした中でトイレを貸すことは、直接利益を生むものではないので、オーナーのスタンスはさまざま。だが、ここに、その店舗を見るポイントがあるのだ。

 それというのも、トイレの管理に気を使っている店舗は、接客・清掃・商品の在庫や品質管理も行き届いてる場合が多く、直接的な利益と関係ない運営努力も、最終的には利益に大きく寄与していることは言うまでもない。

 今では、トイレを貸してくれるほうが主流である。だが、90年代中頃にローソンがトイレ開放宣言のテレビCMを流して他チェーンと差別化を図ったほど、その頃までは今ほどどの店舗でもトイレを借りられる状況ではなかった。

 便器に関しても、90年代後半までは和式便器がほとんどだったが、今では温水洗浄機付きの洋式トイレが当たり前になり、利用者の快適度が増している。店によっては「男女トイレが分かれている」「男性のみの立ち式トイレがある」「赤ちゃんの待機する場所がある」など、コンビニトイレも侮れない状況になってきている。

●従業員に声をかけさせる理由とは

 トイレを借りるとき、よく見かけるのが“トイレをご利用の際は、従業員に一声おかけください”の貼り紙である。貼る理由としては、一声かけて利用してもらうことにより、利用者の意識が上がり、キレイに使ってもらえるだろうというのが一番ではあるが、店員に顔を見せることで、利用後にガム・缶コーヒーなどのちょっとした商品を“申し訳ない買い”してもらうことを狙っている面もある。

 一方で、声をかけずに無断で利用するという客も一定数いて、恥ずかしくて従業員に声をかけづらいのか、それは男性より女性のほうが多いようだ。

 また、利用時のゴミやちらかしもさまざまである。昔は、女性のパンストが伝線した際に店舗でパンストを購入後、トイレではき替えてパッケージを捨てたりすることが多かったが、今はパンストをはく女性の数も減り、こうしたゴミはだいぶ減っている。余談だが、バブル時代に繁華街の店舗で、避妊具や注射針なんていうアウトローなものが落ちていたというケースもあったそうだ。

 海外に行くと、公衆トイレは少なく、あっても有料だったりとトイレに困ることが多い。コンビニでただでトイレが借りられるのは、平和の象徴であり、日本のおもてなし文化の表れだとも考えられる。今後も、ライフラインの意味合いも含め、コンビニで気軽にトイレを借りられる日本であってほしいものだ。
(文=渡辺広明/元コンビニバイヤー)